2022.05.18更新

骨粗鬆症は知っていても皮膚粗鬆症は知らない人の方が多いに違いない。でもご安心(?)下さい。きっとあなたも身につまされるときがやってきます。

みんなの皮膚粗鬆症


皮膚粗鬆症とは、究極の皮膚の老化症状のこと。皮膚がペラペラにうすくなって脆弱になり、裂けたり、剥けやすくなります。ご高齢の方がケアされている施設にいくと、手足に包帯している方がたくさんいることに気づくことでしょう。


典型的な症状を紹介します。
①皮膚萎縮
皮膚がペラペラにうすく、透けて見えるようになること。日光に暴露されていた部分に生じます。

皮膚萎縮


②偽瘢痕
傷つけた覚えがなくても、自然に真皮に亀裂が生じて瘢痕化します。70歳以上の20~40%に見られ、女性に多いとされます。

偽瘢痕

③老人性紫斑
わずかな外傷でも、また外傷の覚えがなくても生じます。血管が破れてできることもありますが、血管から血液が漏れ出て生じるとも言われます。

老人性紫斑



こうした皮膚粗鬆症の根本原因は加齢。60歳前後から見られるようになり、70歳以上では多くの人で認められるようになります。ということは、人生100年時代にはきわめてありふれた、みんなに共通した肌トラブルになるはずです。

「皮膚粗鬆症」という言葉が生まれたのは2007年。まだ疾患名とは認められていませんが、
その存在が知られるようになり、予防することが一般的になれば、それはきっとご高齢の方のQOLの改善につながります。自分の肌がどうなるかということだから、誰にとっても人ごとではありません。

50歳をすぎたら、顔のスキンケアにかける熱意をぜひボディ(特に前腕、下腿)にも分けて下さい。乾燥とそれによるかゆみを防ぐ保湿ケアにとどめず、一歩すすめて皮膚粗鬆症ケアにしましょう。いつまでもピチピチの肌でいられるように。


 

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投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥

2022.05.12更新

「誰が何を言っても許される・・・サイエンスの匂いさえしない・・」

皮膚科学会の重鎮が、学術誌で美容医療の現状をこう表現されています。

自分が足を踏み入れた頃に比べると、ずいぶんましになったと思うのですが、それでもまだ「サイエンスの匂いさえしない」施術が残っています。

例えば「脂肪代謝を高めて脂肪を減らす」注射。典型的には、メソセラピーと称される施術法で見られます。


メソセラピー

メソセラピーはヨーロッパで行われている代替医療のひとつ。たとえば膝の痛みに苦しむ人に対し、膝関節の周囲の皮膚に鎮痛剤をまんべんなく少量ずつ皮内注射します。

痩身を目的とするときも、脂肪の代謝を亢進させるという多くの植物由来の成分を、痩せたい部位に少量ずつ多数カ所注入するのです。

最大の疑問点は、たとえ一時的には脂肪代謝を亢進させることができたとしても、持続的な痩身効果が得られるのか(得られるとはとても思えない)?ということ。

残念ながら、メソセラピーはあまりに施術者ごとに施術方法が違いすぎて(いい加減すぎて)、痩身効果があるのか検証できません。

かつて、メソセラピーとは違う流れで脂肪代謝を高めて脂肪を減らすとする製剤(成分的には喘息の吸入治療薬)で、有効性・安全性を評価する治験がスタートしたことはありました。しかしいつの間にかその後の消息を聞かなくなりました。

現状では、脂肪の代謝を高めることで痩身効果が得られるというエビデンスはありません。「脂肪代謝を高めて脂肪を減らす」注射は消え去るべき。

「誰が何を言っても許される・・・サイエンスの匂いさえしない・・」

こうした評価が、一日も早く昔話になりますように。

 

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投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥

2022.05.04更新

脂肪溶解注射の深層

2015年の米国FDAによる二重顎治療としてのデオキシコール酸の承認は画期的な出来事でした。

実はそれまで脂肪溶解注射には暗雲が立ちこめていたのです。

そもそも脂肪溶解注射が美容施術としてはじまったのは1980年代。

使われたのは、ドイツなどで高脂肪血症や肺塞栓(肺の動脈に脂肪が詰まる病気)の治療薬として承認されていたフォスファチジルコリン製剤でした。

しかし、この施術が広まるにつれ不適切な使用から健康被害も散見されるようになり、各国が規制に乗りだし、米国では医薬品を取り締まるFDAから警告が出され、ブラジルではフォスファチジルコリン製剤を使うことは禁止されてしまいました。

この状況を直接的に打破したのが冒頭に書いた2015年の米国FDAによる承認でしたが、その前に脂肪を溶かしているのはフォスファチジルコリンではなくデオキシコール酸であるという「主役」の交代劇がありました。

交代劇の第1幕は2006年。
フォスファチジルコリン製剤には、デオキシコール酸が配合されていました。デオキシコール酸は生体の消化管内にある天然の界面活性剤で、フォスファチジルコリンを水に溶かすための乳化剤として使われていました。

2006年の告発論文では、そのデオキシコール酸が単独でフォスファチジルコリン製剤と同程度の脂肪溶解作用を持つことから、脂肪を溶かしていたのはデオキシコール酸であって、フォスファチジルコリンではないと結論づけました。

交代劇の第2幕は2010年。
ついに技術的困難を克服して完成させたフォスファチジルコリン単独製剤を使って、フォスファチジルコリンには脂肪を溶かす作用がないことが報告されました。

単なる添加物と思われていたデオキシコール酸が実は脂肪溶解注射の主成分だと明らかにされたことは、美容医療業界にとってはショッキングな出来事でしたが、脂肪溶解注射に科学的なメスが入ったことは幸運でした。


注射だけで痩せられる、細くなれる!という、夢というかわがままを叶えてくれる脂肪溶解注射。最近はデオキシコール酸を主成分にしつつ、炎症作用を抑える成分を加えた製剤がトレンドになっています。

しかし、いまだにフォスファチジルコリンの「呪縛」がはびこっていて、「脂肪を溶かす最新のフォスファチジルコリン製剤」なるものも登場します。今、美容医療に携わり、とくに施術として脂肪溶解注射を行っている医師には、この施術を正常進化させる責務があると痛切に思います。

 

 

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投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥

2022.04.27更新

診療をしていて、ときどきレチノイドはコスメの「食わず嫌い王」なのか!と嘆きたくなることがあります。

レチノイドをすすめても、「私、アレ無理です!」と何度即答されたことか。世間のレチノイドの印象は、「肌が乾燥する」、「荒れる」、「皮むけして使えない」とさんざん。

さらに悪いことに、日本を含め世界的に敏感肌を訴える方が増加しています。レチノイドにとって逆風が吹き荒れているのです。敏感肌、乾燥肌の人に刺激的なレチノイドが使えるわけがない!、そうした罵声、悲鳴が聞こえてくるようです。

しかし・・、それは誤解もはなはだしい!

本来、レチノイドを使うことで、皮膚のバリア機能、保水力は高まります。それなのに、なぜ誤解が生じるかというとレチノイド本来の効能とレチノイド反応が混同されているから。

レチノイドは使用をスタートすると多くの方が、皮膚の乾燥、赤み、ヒリヒリ感などに悩まされます。それがレチノイド反応。でも、それはレチノイド本来の効能ではありません。当たり前です。それが本来の効能だとしたら誰も使うわけがない。

残念ながら、多くの方が十分な説明を受けることなく、またフォローもなく使用しているため、レチノイド反応が出ると、途端にモチベーションが下がり、「自分には合わない」と決めつけてやめてしまいます。

その結果、残るのは「レチノイドは合わない」という累々たる不平不満の山。

この現状は何とか変えていかないといけないとは痛切に思いながら、自分の発信力、影響力のなさはどうにもならず、急な好転は望むべくもありません。それでも、まずは自分の足元からコツコツと西川きよし師匠のように頑張るつもり。

敏感肌、乾燥肌で悩まされている方でも、いや、そういう方にこそ使っていただきたいし、使える使用法を広めていきたい。

チャレンジ・アゲイン


(追伸)
世間ではレチノイド反応のことを「A反応」と呼ぶようです。AはビタミンAのことだとか。でもそうなら呼称としてふさわしくない。ビタミンAはレチノールなので、レチノールを使ったときの反応になってしまう。レチノールだけではなく、レチナールでもトレチノインでもディフェリンでも生じるわけで、これはレチノイド(retinoid)反応、つまりは「R反応」とするのが適切だと思います。相変わらず自分の発信力、影響力のなさを顧みず言ってますけど。


 

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投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥

2022.04.20更新


人生100年時代は、「見た目」の時代。そう予言します。年齢が上がれば上がるほど、個人差が大きくなり、実年齢はまったくあてにならなくなります。その結果、「見た目」の元気さ、若々しさで、その人が信用できるかどうか、大げさに言えば社会的信用度が判断されるのです。

「見た目」の時代

いつ「見た目」の時代が到来しても慌てないように、肌のエイジングケアをおすすめします。この頃「老化は病気」という見方も出てきていますが、実際にもっとも「老化」を治療しやすい臓器は皮膚に違いありません。しかも再生医療とかおおがかりなことをしなくても、自分のスキンケアの範囲で十分できるのですから、しない手はありません。

具体的には、今より光老化をすすめないよう日焼け止めを使うなど日光対策を尽くすことと、自分に合ったレチノイドを使いこなすこと、さしあたりこの2つで十分です。

ただ、レチノイドについて自分の診療で痛切に反省しているのは、ただすすめるだけで、どうしたら使い続けられるかまでの説明が不十分だったこと。レチノイド反応が出たら、こうしましょうではなく、ほとんどレチノイド反応が出ないような使用法を説明すべきではなかったか。続けられなければ、エイジングケアなんて絵に描いた餅なのだから。


レチノイド反応を抑え込む使用法は、大きく分けて2つの方法
1)レチノイドを塗る時間を短縮(ショートコンタクト法)
2)レチノイドを塗る間隔をあける(隔日、3日に1度など)
があります。

こうした使用法でレチノイド反応が出る最初の1~2ヶ月を乗り切ることが、レチノイド脱落者を出さないために必要なのです。

大まかな方針としては、タザロテンはショートコンタクト法、ディフェリン、レチナールは間隔をあける方法が適していると思います。

ディフェリンは日本でもニキビ治療薬として使われているので、もしかしたら頭の硬い(心の狭い、口の悪い)皮膚科の先生からは、エイジングケアとして使用することにエビデンスがあるのかとお叱りを受けるかも。

確かにエビデンスは不十分かもしれません。しかし、レチノイドとして同じカテゴリーのトレチノインとタザロテンは、光老化の症状への使用が米国FDAに承認されています。

ほとんどの日本人にとって使いやすいのはトレチノインやタザロテンよりディフェリンなのです。そのエビデンスが揃うのを待っていたら、今レチノイドが必要な人を見捨てることになってしまいます。

今ある限りのエビデンスから、ない頭をしぼって類推を働かせ、最適解に導くのが「臨床」だと批判には応えるつもりです。

 

 

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2022.04.13更新

乾燥するとニキビができやすくなるので、特に大人ニキビ対策として保湿は重要。これ美容外科・美容皮膚科向けの医学雑誌でもよく見かけますし、実際診療において、私自身もそう説明したことがあります。

だから、今回の記事には反省の意味も含まれています。


ニキビと保湿


昨年出された日本美容皮膚科学会誌という、その名の通り美容皮膚科医向けの学会誌に皮膚科の大先生が、敢えて言えば「怒り」の投稿をされています。


「最近、乾燥がニキビを悪化させ、保湿がニキビを改善するという考え方が、メディア、美
容雑誌などで拡散され都市伝説のようになっているため、十分注意する必要がある。」

さすが大先生になると、あからさまに怒りを表現することはせず、あくまで控え目に書いていますが、ほんとうは「ちゃんとやれよ、注意しろよ!」と後輩を叱咤しているように読めます。

深読みすると、本来なら「美容雑誌などで拡散され・・」のところ、学術文献としては例として参考文献を上げるべきところですが、あえて(?)スルーしています。おそらくそれを書いたら、後輩に恥をかかせることになるし、それも一人、二人ではすまなくなるので、ここは大先生のお慈悲かもしれません。


「保湿をすることで、ニキビを発症させる毛穴の入り口の閉塞が防げるという「説」があるが、保湿でニキビが改善したというエビデンスはない。むしろコメド形成性のある保湿剤で悪化させている可能性がある。」

おそらく大先生がこれを書いたのは、過剰な保湿でニキビを悪化させているニキビの患者さんをよく見かけるからなのでしょう。


「保湿の本来の目的は、肌の乾燥に対するスキンケア、ニキビ治療薬の副作用軽減であり、ノンコメドジェニックなものを必要最小限使用するにとどめるべき。」

論文の全体を通して伝わってくるのは、自身の肌の状態に合わせてコスメを選び、スキンケアしなさいという大先生の教えです。

格言としてまとめれば、
「汝自身の肌を知れ!」

 

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投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥

2022.04.06更新

コロナ禍で診療所の多くの診療科で患者数は減少しましたが、皮膚科では減少しておらず、マスク生活によって、新たな肌トラブルが起こっていることがうかがえます。それがマスクによる肌荒れ、ニキビ。

マスクを装着することで、肌にどんな悪影響を与えるか?結論から言うと、バリア機能崩壊による「乾燥」。

マスクで崩壊

マスクを着用すると、マスクにおおわれた肌では、皮膚温と湿度が上昇します。蒸れ蒸れになるわけですが、これが肌のバリア機能を低下させます。

なぜかというと、皮膚表面では、細胞同士がピタッとくっついてバリアを形成しているのに、過湿により表面の細胞が膨張すると、細胞間の接着が弛んでしまうから。

長時間のマスクパックでも同じことが言えます。保湿は大切ですが、過湿には要注意なのです。

ここでひとつ訂正があります。私はメルマガで「マスクをしているときは蒸れているというのに、それがバリア機能を崩壊させ、マスクを外したら、一気に乾燥する・・。」と書きました。

しかし、韓国の研究者が発表した論文によると、とくに口まわりの皮膚では、マスクの装着中から保水量は減少していました。蒸れているようで、皮膚は乾燥しているらしい。ここにお詫びして訂正させていただきます。


さて、もうひとつの問題「ニキビ」。

マスクを着用すると、皮膚温が上昇するため、皮脂の分泌が亢進して、これがニキビの原因になります。しかもマスク内だけでなく、おおわれていない額でも皮脂が増えるため、ニキビができてしまいます。

マスクでできたニキビの治療も従来のニキビ治療と変わりありませんが、以前は使用できた薬剤に刺激を感じる患者さんが増えているとか。皮膚のバリア機能が低下して、「敏感肌」になっているのです。

マスクの肌荒れ対策としては、保湿が重要とされていますが、同時にマスクで密封された状態では、かぶれが誘導されやすいことも指摘されています。またウレタンマスクの方が肌にやさしいようですが、感染効果が落ちないようにその上から不織布マスクをすると、ますます蒸れ蒸れになってバリア機能が壊れそう・・

人前に出るときは社会規範としてマスクが必要ですが、近くに人がいない中で仕事しているときなど、マスクが本当は意味のないシチュエーションも多いはず。そういうときは肌をいたわるためにも外して、お肌を休ませてあげてはいかがでしょうか。


(参考文献)

1)Effect of face mask on skin characteristics changes during the COVID-19 pandemic
Park SR,et al.
Skin Res Tcchnol
2021;27(4):554-559

2)Long-term effects of face masks on skin characteristics during the COVID-19 pandemic
Park SR,et al.
Skin Res Tcchnol
2022;28(1):153-161

3)新しい生活様式 スキンケアはどう変わる
川島眞、他
ベラペレ
2022;7(1):69-72





 

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投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥

2022.04.01更新

数年前から植物由来のバクチオールというコスメ成分が話題です。「次世代レチノール」、「第二のレチノール」、「レチノールに代わる・・」などと、キャッチフレーズにはいつもレチノールがついています。

この場合、レチノイドの中でも「レチノール」を相手に選んだのがニクい。これがレチナールだと知名度が低いので、消費者の心に響かないし、トレチノインを選ぶとただではすまない。レチノイドはトレチノインを中心に学問的に発展してきました。「トレチノインに代わる・・」などと言われたら、いきなり本丸に土足で踏み込まれたようで、皮膚科医、美容皮膚科医が騒ぎます。

そこで、「レチノール」。これが感心するほどにちょうどよい。これだとたいていの医師からしたら、騒ぐのも大人気ないかなと思ってしまいます。そして、私がそうであったように、とくに調べることもしないで、バクチオール=レチノールで納得してしまいます。

レチノールのイメージを刷り込ませることで、説明するまでもなく、どんな効果か消費者に勝手に想像させますし、さらには効果のほどまで納得させてしまうのですから、メーカーのマーケティング戦略は見事です。

逆に決してほめられないのが、皮膚科領域では指折りのブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ダーマトロジー(BJD)誌。バクチオールがレチノールと同程度の効果とした臨床研究は、BJD誌に掲載されています。

しかし、私ですら一読して、アレ?と思う箇所に気づきます。バクチオールとレチノールの比較試験ですが、バクチオールは1日2回塗るのに、レチノールは1日1回だけで、これでまともな比較試験になるのか?

これほどのジャーナルになれば、偉すぎるほどの専門家が複数で審査しているはずですが、きちんとした専門家からもきちんとした、そもそも研究デザインから間違っていて、結論をミスリーディングしていると批判される始末で、こんな臨床研究の根幹に関わるところで批判を受けるなんて、一流誌として恥ずかしいこと。

ただ、レチノールとの類似性を打ちだしたマーケティング戦略も見事なら、ついには世界で指折りのジャーナルまで巻き添えにしたという意味では、メーカーの努力は素直に賞賛すべきと言えるでしょう。

さて、肝心のバクチオールですが、言うほどにはレチノールに似ていません。そもそもバクチオールはレチノイド受容体には結合しないので、レチノイドとは言えない。まったくのニセモノ、いや、別物。

まったくの別物をレチノールに仕立て上げるわけですから、そこにはメーカーの涙ぐましい努力があります。近頃は「エビデンス」という言葉も一般的になり、コスメにもエビデンスが求められるわけですが、それを自作自演で自分たちの販売戦略に忠実に作り上げてしまいます。

バクチオールの光老化皮膚への有効性を論じた最初の論文は、メーカーの研究員が書いています。冒頭からバクチオールではなく、ひたらすらレチノイドの話が展開され、全体的にもレチノールとの類似性をこれでもかと強調しています。最初これを読み終えたとき、レチノールとの類似性を強制的に理解させられただけで、バクチオールの全体像はさっぱりわからないという、不思議な気分になりました。

バクチオールには、抗酸化や抗炎症作用があり、心臓や肝臓の臓器保護に有用ではないかという基礎系の論文もありますが、臨床的に使われる段階にはないので、まだまだ未知数。「美容には夢が必要」という持論を持っている私ですが、さすがにバクチオールは夢というよりまだまだ「幻」に近い。

コスメとしてのバクチオールは、レチノイドではないので当たり前ですが、刺激反応もなく使いやすいようです。現在気に入って使用しているなら、あえてやめることもありません。ただ、もし「使いやすい」レチノールをお探しなら、バクチオールに手を出すのではなく、あくまでレチノールで、ただその使い方を工夫すべきでしょう。


 

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(参考文献)

1)Prospective, randomized, double-blind assessment of topical bakuchiol and retinol for facial photoageing
Dhaliwal S,et al.
Br J Dermatol.
2019;180(2):289-296

2)Bakuchiol: a retinol-like functional compound revealed by gene expression profiling and clinically proven to have anti-aging effects
Chaudhuri RK,et al.
Int J Cosmet Sci.
2014;36(3):221-230

3)Cosmetic commentary: Is bakuchiol the new skincare hero?
Spierings NMK
J Costet Dermatol.
2020;19:3208-3209

4)Bakuchiol: A new discovered warrior against organ damage
Xin Z,et al.
Pharm Res.
2019;141:208-213



 

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投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥

2022.03.24更新

大げさな言い方になりますが、人生100年時代には中分子ヒアルロン酸は必須です。使わなければ命が100年もっても、肌がもたないから。

みんなにとって必要なものなので、作り方を公開します。これを商品化して一儲けしようという人が出てこないように。

作り方は簡単、容器に水とヒアルロン酸粉末を入れて振るだけ! ポイントはヒアルロン酸の分子量。5万から40万のヒアルロン酸を選ぶこと。

使い方は、顔には化粧水として、ボディには保湿クリームと併用してお使い下さい。


100ccの3%ローションを作成する方法
*あくまで自己責任としてご使用下さい。
*防腐剤、保存料は入っていませんので、冷蔵保存とし、1週間以内に使いきって下さい。色やにおいなど変化があればただちに使用を中止し、破棄して下さい。


1)用意するもの
・中分子ヒアルロン酸粉末(分子量5万~40万程度)
*ここでは誰でも入手しやすいようにニチエーのヒアルロン酸粉末で紹介しています。楽天で買えます。食品用です。
・精製水
・ビーカー
・(滅菌)容器
・計量器
・薬包紙(計量器に載せておく)

準備

2)精製水をビーカーに50ccとり、容器に入れる

精製水

3)計量器に載せた薬包紙の上にヒアルロン酸粉末を3.0g取ります。

ヒアルロン酸粉末

4)ヒアルロン酸を容器に入れます

ヒアルロン酸を容器へ

5)容器にフタをしてよく振る

振る

6)もう一度ビーカーに精製水50ccをとり、容器に入れる
7)容器にフタをしてよく振る


ヒアルロン酸粉末は溶けにくいときは、
5')精製水をビーカーに20ccとり、容器に入れる
6')容器にフタをしてよく振る
7')精製水をビーカーに30ccとり、容器に入れる
8')容器にフタをしてよく振る
のように水を少しずつ加えてもいいでしょう。

また、時間が経てば溶解するので、一晩放置すればたいてい溶けています。


ヒアルロン酸濃度は1%あればいいのですが、1%だとほぼ「水」で使いにくいので、ここでは3%で紹介しています。

注)厳密に言えば、3%濃度にするには、ヒアルロン酸3gを精製水97gに溶かすことになりますが、実用上変わりませんから、ヒアルロン酸3gを精製水100ccに溶かしています。

注)防腐剤、保存料は入っていませんので、冷蔵保存とし、1週間以内に使いきって下さい。色やにおいなど変化があればただちに使用を中止し、破棄して下さい。



中分子ヒアルロン酸がなぜこれまで商品化されなかったか?

おそらくそれは皮膚の老化が相当に進んだいわゆる「皮膚粗鬆症」には効果を認めても、そこまで老化が進んでいない肌では効果が見られなかったから。

しかし、エイジングケアとして考えれば、意味がないとは思いません。若い頃から使うことで、「皮膚粗鬆症」の症状の出ることを大幅に遅らせたり、防ぐことができるはず。

中分子ヒアルロン酸ローションが今すぐに役立つのは、自宅や高齢者施設で介護を受けている高齢者の方々の肌ケア。

私の小さな試みが、そんな方々の手足から少しでも内出血のアザや傷を減らすことにつながりますように。

 

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2022.03.20更新

ニキビ治療薬であるディフェリンが、エイジング治療薬にもなるのはちょっと不思議に思うかもしれません。しかも、どちらでも第一選択という治療戦略上重要なポジションを占めています。

10代、20代のまだ「老化」を想像すらできない人たちがニキビ治療でディフェリンを使い、そして時が経って、「老化」に直面した頃に、また再びディフェリンのお世話になるというわけ。

ディフェリンという塗り薬は、第3世代合成レチノイドに分類されます。ちなみに合成レチノイドの最新事情を紹介すると、第4世代トリファロテンはニキビ治療薬として米国FDAが承認しています。第4世代で、まだ未承認ですが、注目はセレチノイドG。塗ってラップ巻いて密封療法のようにして使用しても刺激症状が出ないらしい、つまり無刺激。

そもそも合成レチノイドは、「刺激症状がなくて、効果はトレチノイン以上」を目標として、開発がすすめられています。「効果はトレチノイン以上」については、タザロテン、トリファロテンが、「刺激症状のない」ことではセレチノイドGが登場したので、あとはひとつで両方の条件を満たす製剤が誕生するかに期待が集まります。

さて、レチノイドを使った老化治療ということに話を戻すと、現状で米国FDAが承認しているのは、トレチノインとタザロテンのみ。残念ながらディフェリンは承認されてはいません。しかし、同じニキビに効くレチノイドですから、老化に効かないわけはなく、実際いくつか臨床試験も行われ、結果を残しています。

興味深かったのは、皮膚科のトップジャーナル(米国皮膚科学会の公式ジャーナル)。さすがに敷居が高いところはいい加減な言い方は許さないというか、光老化全体の治療とは認めず、その症状である前がん病変、シミの2つに対象を絞ってディフェリンの効果をみた臨床研究になっています。

FDAもまだ公式には老化を疾病とは認めていないので、米国皮膚科学会としても他の安っぽいジャーナル(?)みたいに、すぐに雑な言い方をして光老化に有効とは意地でも言わせたくなかったのでしょう。

このときの臨床試験での使用方法というのが、夜1回、洗顔後に豆粒大(a pea-sized)を顔全体に塗る、1ヶ月後に刺激反応が収まっていれば、2ヶ月目以降は朝にも塗るというもので、ディフェリンをエイジングケアとして使うならこの使用法をおすすめしたいと思います。

どこまでも慎重な姿勢を崩さない米国皮膚科学会にかわって、どこまでも軽い私に言わせてもらえれば、ディフェリンは光老化、つまりは肌の老化に効果的です。

レチノイドでしばしば問題になる刺激反応も、すでにニキビ治療薬として広く使われているのですから恐れる必要はありません。日本で唯一の厚労省承認のレチノイド・ディフェリンは30代、40代のエイジングケアとして第一選択です(更年期が視野に入ってきたらレチナールをおすすめします)。


 

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