制作・執筆:坂田修治(医師:美容外科・美容皮膚科 青い鳥 院長)
(最終更新日:2025年7月2日)
アゼライン酸で美白&美肌ケア
繰り返すニキビやニキビ跡、赤ら顔(酒さ)、なかなか消えないシミやくすみにお悩みではありませんか?
美容皮膚科領域で注目されている「アゼライン酸」は、これらの根深い肌トラブルに対する有効な選択肢の一つです。
美容外科・美容皮膚科 青い鳥では、確かなエビデンスに基づき、患者様お一人おひとりの肌状態に合わせた丁寧なアゼライン酸治療をご提供しています。
アゼライン酸とは?
アゼライン酸は、小麦やライ麦、大麦などの穀物に含まれている天然由来の成分で、私たちの皮膚にも自然に存在する酸の一種です。長年の研究により、以下のような多様な美肌効果を持つことが知られています。
◯抗菌作用: ニキビの原因菌であるアクネ菌の増殖を抑制します。
◯抗炎症作用: 皮膚の炎症を鎮め、ニキビや酒さによる赤みや腫れを軽減します。
◯角化異常の抑制: 毛穴の詰まりの原因となる古い角質の蓄積を穏やかに整え、ニキビの発生を防ぎます。
◯メラニン生成抑制作用: シミやそばかす、ニキビ跡の色素沈着の原因となるメラニンの生成を抑える働きがあります。
これらの作用により、アゼライン酸はニキビ、酒さ、そして色素沈着といった様々なお悩みの改善に貢献します。 当院では、その品質と効果において信頼性の高いロート製薬社の「ダーマセプトRX AZAクリーム」を採用しています。
アゼライン酸治療のメリット
アゼライン酸による治療には、以下のようなメリットが期待できます。
◎ 難治性ニキビへの効果: 炎症性の赤ニキビから、コメド(白ニキビ・黒ニキビ)まで、様々なタイプのニキビに有効性が示されています。特に、他の治療で改善が見られなかった方や、大人になってからも続くニキビにお悩みの方に適しています。
◎ 赤み・酒さの緩和: 炎症を抑える作用により、酒さ(赤ら顔)に伴う赤みやポツポツとしたできものを改善します。比較的刺激が少ないため、敏感肌の方にも選択しやすい治療法の一つです。
◎ 色素沈着の改善: ニキビ跡の色素沈着(茶色いシミ)や、一部のシミ(肝斑など)に対して、メラニンの生成を抑えることで改善効果が期待できます。美白治療の一環としても用いられます。
◎ 比較的マイルドな使用感: レチノイドなど、他の強力な外用薬と比較して、一般的に刺激感が少ないとされています。そのため、肌への負担を抑えたい方や、長期的な使用を検討している方にも適しています。
◎ 総合的なスキンケアの一環として: アゼライン酸治療は、美肌の基本である紫外線対策など、他のスキンケアと組み合わせることで、より効果的な美白・美肌管理を可能にします。当院では、治療だけでなく、日々のケアについても丁寧に指導いたします。
アゼライン酸治療の注意点とリスク
多くのメリットがあるアゼライン酸治療ですが、以下の点にご留意いただく必要があります。
⚫️ 使い始めの刺激感: 治療開始初期に、ピリピリ感、かゆみ、ほてり感、乾燥などを感じることがあります。通常は一時的なもので、使用を継続する、あるいは塗布方法を調整することで次第に軽減していきますが、症状が続く場合はご相談ください。
⚫️ 効果発現までの期間: 効果を実感するまでには、数週間から数ヶ月程度の継続的な使用が必要です。根気強く治療を続けることが重要です。即効性を求める治療ではありません。
⚫️ 紫外線対策の重要性: 他の治療法ほどではありませんが、治療中は肌が紫外線の影響を受けやすくなる可能性があります。刺激や新たな色素沈着を防ぐためにも、日焼け止め(SPF30以上推奨)による紫外線対策を徹底してください。これは当院が重視するトータル美白療法の一部です。
⚫️ 全ての症状に有効とは限らない: 肌質や症状の程度によっては、アゼライン酸単独では十分な効果が得られない場合もあります。その際は、他の治療法との併用や切り替えを検討します。当院は多様な治療選択肢を持つことが強みです。
⚫️ 費用: アゼライン酸治療は、原則として保険適用外の自由診療となります。費用は全額自己負担となります。
当院のアゼライン酸治療の特徴
港区浜松町に位置する美容外科・美容皮膚科 青い鳥では、アゼライン酸治療を提供するにあたり、以下の点にこだわっています。
◯ エビデンスに基づいた治療提案: 当院では科学的根拠(エビデンス)が確立された治療法を重視しています。アゼライン酸に関しても、ニキビ、酒さ、色素沈着に対する有効性が国内外の多くの研究で示されていることを確認した上で推奨しており、効果が不明確な高額な製剤をお勧めすることはありません。
◯ 丁寧な診察とカウンセリング: 患者様のお悩み、肌質、これまでの治療歴などを詳しくお伺いし、ダーマスコープなども用いて肌状態を正確に診断します。アゼライン酸が本当に最適な治療法なのかを慎重に見極めます。
◯ 豊富な治療選択肢の中からの最適解: 当院は、都内でも有数のレチノイド療法の実績を持つクリニックであり、その他にも様々な美肌治療の選択肢を有しています。アゼライン酸を優れた選択肢の一つとして位置づけつつ、必要に応じて他の治療法(ピーリング、レーザー、内服薬など)との組み合わせや、より適切な治療法への変更も柔軟にご提案できます。
◯ 紫外線対策を含むトータルケア指導: アゼライン酸の効果を最大限に引き出し、健やかな肌を維持するためには、適切なスキンケア、特に紫外線対策が不可欠です。当院では、治療薬の処方だけでなく、日々のケア方法についても具体的にアドバイスし、総合的な美白・美肌を目指します。
◯ 信頼できる製品の採用: 患者様に安心して治療を受けていただくために、品質と有効性が確認されているロート製薬の「ダーマセプトRX AZAクリーム」など、信頼できる製品を厳選して使用しています。
◯ アクセスの良い立地: JR浜松町駅、東京メトロ大門駅、都営地下鉄芝公園駅から徒歩圏内にあり、港区内や近隣エリアにお住まい、お勤めの方にも通いやすいクリニックです。
まとめ:港区で確かな美肌治療をお探しなら
▶︎ 港区でアゼライン酸治療をご検討中の方、ニキビ、赤み、色素沈着などのお悩みをお持ちの方は、ぜひあおぞらクリニックにご相談ください。
▶︎ 当院では、エビデンスに基づいた美容皮膚科治療を信念とし、専門知識と豊富な経験を活かして、安全かつ効果的な治療を提供し、患者様の肌目標の達成をサポートいたします。
▶︎ 繰り返す肌トラブルにお困りの方、浜松町、大門、芝公園エリアで信頼できる美容皮膚科をお探しの方は、ぜひ一度カウンセリングにお越しください。
▶︎ 皆様に「満足の笑顔」をお届けできるよう、スタッフ一同、心を込めてサポートさせていただきます。
**お知らせ**
当院は2003年に自由が丘から港区浜松町(最寄駅:JR/東京モノレール 浜松町駅、都営浅草線/大江戸線 大門駅、都営三田線 芝公園駅)に移転して診療しています。
院長コメント 〜悲運のアゼライン酸!?〜
ニキビ治療薬としても美白剤としても世界が認める実力がありながら、どういうわけか日本では医薬品になれませんでした。それがつまづきの始まり。
莫大な宣伝広告費をかけて売り出してもらえなかったばかりに、日本での知名度は低いまま。
メーカーの製造ラインも貧弱というか、すぐ生産が間に合わないと注文が制限されます。(それならもっとラインを増やせばと思うのですが・・)
アゼライン酸がもっと使われるようになれば、日本女性の肌の悩みも減るはずなのに、残念でなりません。
こんな方におすすめ
アゼライン酸は以下のような人に特に適していると考えられます:
- 1.大人ニキビができやすい人
- 2.ハイドロキノンに代わる美白剤を探している
- 3.酒さで治療中の方
- 4.肝斑や色素沈着でお困りの方
- 5.敏感肌の人
- 6.複合的な肌トラブルを抱えている方(多面的な効果があるため)
- 7.長期治療を必要とする方
ただし、個人の皮膚状態や健康状態によって適性は異なるため、使用前に医師にご相談下さい。
使い方
【使用方法】
朝・晩、1日2回塗布します。洗顔のあと水分を拭き取ってから、気になる部分、またはお顔全体にやさしくなじませて下さい。10分ほどしてから、いつも通りの化粧品をお使い下さい。
【副作用】
使用を開始すると、ヒリヒリした刺激感、痒みが生じることがありますが、1〜2週間で治まります。
価格表
| 価格(税込) |
---|---|
AZAクリア(15g) | 1,980円 |
アゼライン酸の医学的検証
アゼライン酸の作用機序
アゼライン酸は、その多岐にわたる作用機序により、様々な皮膚症状に効果を発揮します。
抗菌作用
◉アクネ菌(Cutibacterium acnes)や表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)などの細菌に対して静菌活性を示します(文献1)。
◉その作用機序は、細菌の細胞膜を非選択的に通過し、細胞内のpHを低下させて膜の恒常性を乱します(文献2)。
◉抗生物質とは異なり、薬剤耐性を誘発しないという利点があります(文献2)。
抗角化作用
◉毛包漏斗部の角化亢進を正常化し、ざ瘡の形成を抑制します(文献3)。
◉ケラチノサイト(表皮細胞)の増殖を可逆的に抑制し、細胞の分化、特に最終分化に影響を与えます(文献1)。
抗メラニン生成作用
◉過剰に活動している異常なメラノサイトを選択的に標的とし、正常な細胞には影響を与えません(文献1)。
◉メラニン生成の主要酵素であるチロシナーゼの活性を競合的に阻害し、チロシンからドーパやドーパキノンへの変換を抑制することで、メラニン生成を効果的に阻害します(文献1)。
抗酸化・抗炎症作用
◉好中球からの活性酸素種(ROS)の放出(水酸ラジカルやスーパーオキシド陰イオンなど)を用量依存的に抑制します(文献2)。
◉ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ(PPARγ)を活性化し、炎症誘発性サイトカイン(IL-1β、IL-6、TNFα)の産生を減少させることで、炎症反応を調節します(文献1)。
アゼライン酸の臨床応用
アゼライン酸は、その多面的な作用により、以下の様々な皮膚疾患の治療に利用されています。
酒さ(Rosacea)
◎FDAに承認されており、尋常性ざ瘡性酒さ(PPR)の治療薬として20年以上使用されています(文献2)。
◎大規模な臨床試験では、プラセボと比較して、炎症性皮疹の有意な減少、紅斑の改善、および全体的な評価スコアの改善が示されています(文献1)。
◎メンテナンス療法としても効果が確認されています(文献4)。
◎忍容性が高く、副作用による中止率は低いとされています(文献1)。
尋常性痤瘡(ニキビ)(Acne Vulgaris)
◎炎症性および非炎症性両方のざ瘡病変に効果を発揮します(文献1)。
◎皮脂分泌抑制作用も報告されており、ざ瘡治療に良い影響を与えます(文献2)。
◎ニキビ後の紅斑(PIE)や色素沈着(PIH)の改善にも有効であることが確認されています(文献5)。
◎アダパレンや過酸化ベンゾイル、外用クリンダマイシン、経口テトラサイクリンといった他のざ瘡治療薬と比較して、同等か、あるいは一部の状況で優位な効果を示します(文献4)。
◎抗生物質耐性を誘発しないため、単剤療法としても、他の治療薬との併用療法としても推奨されています(文献1)。
◎催奇形性がないとされており、妊婦への使用も考慮される利点があります(文献4)。
肝斑(Melasma)/色素沈着過剰(Hyperpigmentation)
◎肝斑の治療において、ハイドロキノン(HQ)の安全な代替品とされており、一般的に15%〜25%の濃度で用いられます(文献6)。
◎メラニンの生成を抑制し、異常なメラノサイトに選択的に作用することで、色素沈着を軽減します(文献1)。
◎MASIスコア(Melasma Area Severity Index)の改善において、ハイドロキノンと比較して優位な効果が示されたメタアナリシスがあります(文献6)。
◎妊娠カテゴリーBに分類されており、妊婦の肝斑治療に有効かつ安全な方法とされています(文献2)。
安全性と忍容性
アゼライン酸は、局所使用において忍容性が非常に高いとされています(文献1)。主な副作用は軽度で一過性のチクチク感、灼熱感、かゆみなどで、通常は時間とともに軽減します(文献1)。重篤な全身性副作用や光線過敏症は報告されていません(文献2)。
製剤と濃度
臨床では主に15%と20%の濃度の製剤が使用されていますが、ざ瘡治療では30%の高濃度も用いられることがあります(文献1)。クリーム、ゲル、フォーム、リポソーム製剤など、様々な剤形が存在し、剤形によって皮膚吸収率が異なります(文献1)。特にリポソーム技術を用いた製剤は、有効成分の皮膚への浸透性を高め、長期的な活動レベルを維持できる可能性があります(文献1)。
【参考文献】
1) The multiple uses of azelaic acid in dermatology:mechanism of action, preparations, and potential therapeutic applications
Natalia Sauer, et al.
Postepy Dermatol Alergol
2023;40(6):716-724
2) Azelaic Acid: Mechanisms of Action and Clinical Applications
Xiaoyue Feng, et al.
Clin Cosmet Investig Dermatol
2024:17:2359-2371
3) Azelaic Acid: Evidence-based Update on Mechanism of Action and Clinical Application
Brian C Schulte, et al.
J Drugs Dermatol
2015;14(9):964-8
4) A systematic review to evaluate the efficacy of azelaic acid in the management of acne, rosacea, melasma and skin aging
Sarah King, et al.
J Cosmet Dermatol
2023;22(10):2650-2662
5) Effects of 15% Azelaic Acid Gel in the Management of Post-Inflammatory Erythema and Post-Inflammatory Hyperpigmentation in Acne Vulgaris
Huidi Shucheng,et al.
Dermatol Ther
2024;14(5):1293-1314
6) Azelaic Acid Versus Hydroquinone for Managing Patients With Melasma: Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials
Wardah Albzea, et al.
Cureus
2023;15(7):e41796
よくいただくご質問
アゼライン酸はどのような特徴を持つ成分ですか?
⚪️天然由来の有機化合物
○天然に存在する飽和ジカルボン酸の一種です。
○化学的には、9つの炭素原子を持つ直鎖状の飽和ジカルボン酸(分子式 C9H16O4)です。
○主に小麦、ライ麦、大麦などの穀類に含まれています。
○また、皮膚の常在菌であるマラセチア属の酵母(Malassezia spp.、旧名Pityrosporum ovaleまたはMalasezzia furfur)によっても生成されます。
○ヒトの尿中にも生理的成分として少量存在します。
アゼライン酸はどのように作用しますか?
◉角化の正常化(毛穴の詰まり解消)
アゼライン酸は、毛穴の入口部分の異常な角質肥厚(角化異常)を抑制する作用を持ちます。これにより、毛穴の詰まりを防ぎ、ニキビの初期段階であるコメドの形成を阻害します。
◉抗菌作用と抗炎症作用
アゼライン酸は、ニキビの原因菌であるアクネ菌(Cutibacterium acnes)に対して直接的な抗菌作用を示すと同時に、皮膚の炎症反応を鎮める効果も持ちます。これにより、炎症を伴う赤ニキビの改善に寄与します。特筆すべき利点として、抗生物質治療で見られるような薬剤耐性菌の出現が、アゼライン酸に関してはこれまで報告されていない点が挙げられます。
◉皮脂分泌の抑制
皮脂の過剰分泌は、ニキビや脂性肌の一因となります。アゼライン酸は、皮脂産生に関与する男性ホルモンを活性化させる酵素の一種である5α-リダクターゼの働きを阻害します。この作用により、過剰な皮脂分泌を抑制し、顔のテカリや脂性肌の状態を改善します。
◉メラニン産生の抑制(美白効果)
アゼライン酸は、メラニン色素を生成する酵素であるチロシナーゼの活性を阻害する働きを持ちます。このメカニズムにより、ニキビが治った後に残る炎症後色素沈着(PIH)や、肝斑、シミといった様々な色素沈着トラブルの予防および改善に効果的を発揮します。
アゼライン酸はどのような皮膚の症状に使われていますか?
◎ニキビ(尋常性ざ瘡): 最も主要な適用対象である。毛穴の詰まり(非炎症性皮疹)から、炎症を伴う赤いニキビ(炎症性皮疹)まで、広範な病態に有効性が示されています。海外の治療ガイドラインでは、レチノイド(ビタミンA誘導体)に次ぐ第二選択薬として位置づけられることもあります。
◎酒さ: その優れた抗炎症作用により、酒さに見られる持続的な赤みや、ニキビ様の丘疹・膿疱を改善する効果が期待できます。
◎色素沈着症: ニキビ跡の赤みや茶色いシミ、そして肝斑の治療に広く推奨されています。
アゼライン酸の使用法について教えて下さい。
AZAクリアは、ロート製薬が製造販売する医療機関専売の20%アゼライン酸製剤です。使用法についてロート製薬公式サイトで以下のように案内されています:
⚪️朝晩の1日2回使用
洗顔後、化粧水・乳液などで肌を整えたあとに使用します。
⚪️適量を手に取り
パール粒大(丸く一粒分)を目安に手に取り、気になる部分または顔全体にやさしくなじませます。
⚪️やさしく塗布すること
ムラなくのばし、肌にしっかりなじませることが大切です。
アゼライン酸の刺激症状について
治療開始初期に最も頻繁に報告される副作用は、一過性の皮膚刺激症状です。
⚫️具体的には、ピリピリとした刺激感、かゆみ、ほてり感、赤み、そして乾燥などが挙げられます。
⚫️これらの症状は、一般的に軽度かつ一時的なものであり、肌が成分に慣れるにつれて、通常は1〜2週間以内に自然に治まります。
刺激症状にはどう対応したらよいか?
◉塗布頻度の調整: 1日2回の使用を、夜のみの1日1回に減らす、あるいは1日おきの使用にするなど、頻度を落として下さい。
◉塗布量の調整: 1回あたりの使用量を減らして下さい。
これらのアプローチの目的は、肌を徐々にアゼライン酸に慣らしていくこと(お肌に慣らしながら)にあります。
もし刺激が強すぎる場合は、このように(頻度や量を減らして)対処して下さい。それでも症状が改善しない場合は、医師に相談してください。
アゼライン酸の塗布範囲について教えて下さい。
肌の状態や目的に応じて柔軟な対応することができます。
◎部分使用:ニキビや赤みが気になる部分に限定して塗布します。
◎全顔使用:顔全体に塗布することで肌全体のコンディションを正常に整え、新たな肌トラブルの発生を予防する維持療法としての役割を果たします。
塗るときの注意点を教えて下さい。
安全かつ効果的に治療を進めるため、いくつか注意点があります。
◉敏感な部位の回避:特に使用開始当初は、 目まわり、口まわりは避けて下さい。もし誤ってこれらの部位に付着した場合は、直ちに水またはぬるま湯で十分に洗い流して下さい。
◉損傷した皮膚への使用禁止: 傷、はれもの、湿疹、かぶれなど、何らかの異常がある部位へは使用しないで下さい。
◉衣類への付着: クリームが衣類に付着すると材質によっては落ちにくい場合があるため、塗布の際には注意して下さい。
効果が出るまでの期間について
アゼライン酸は即効性を求める治療法ではありません。効果を実感するまでには、ある程度の時間と継続的な使用が必要です。
◎効果が見え始めるまでの最短の目安として、最低2週間が必要とされます。
◎ハッキリとした効果を実感までの期間は、少なくとも4週間、すなわち1ヶ月間の継続使用が必要です。
◎治療の最大限の効果を得るためには、数ヶ月単位での継続的な使用が必要になります。
アゼライン酸使用の見直しのタイミングについて
アゼライン酸の使用は漫然と続けるのではなく、適切なタイミングで効果を評価し、必要に応じて方針を見直すことが必要です。
◉最初の評価ポイントは、使用開始から1ヶ月後になります。この時点で何らかの改善を実感できている場合は、治療を継続することが推奨されます。
◉1ヶ月使用してもほとんど、あるいは全く改善が見られない場合、それ以上使用を続けても大きな効果は期待しにくいと判断されますので、他の治療法への切り替えを検討すべきです。
◉特に色素沈着の治療を目的とする場合は、より長い評価期間として3ヶ月は使用を継続して下さい。3ヶ月使用しても満足のいく結果が得られない場合は、アゼライン酸よりも作用が強力な高濃度のトレチノインやハイドロキノンといった治療へのステップアップへの検討が必要でしょう。
アゼライン酸の長期使用について
アゼライン酸は、その安全性プロファイルの高さから、長期的な使用に適した薬剤として位置づけられています。
◎副作用のリスクが低く、細菌の薬剤耐性を誘導しないという特性から、長期にわたる使用が可能です。
◎この特徴は、ニキビや酒さといった、継続的な管理を必要とする慢性的な皮膚疾患の治療に特に適しています。
◎アゼライン酸を、症状を改善させる「治療薬」としてだけでなく、良好な肌状態を維持し、再発を予防するための「維持療法」としても使用することができます。
アゼライン酸の安全性について
アゼライン酸は、小麦やライ麦などの穀類由来の成分で、催奇形性試験、遺伝毒性試験、耐性獲得試験のすべてが陰性で、非常に高い安全性が証明されています。
妊娠・授乳中のアゼライン酸の使用について
アゼライン酸外用薬は:
⚪️妊娠中: 母体での使用が胎児への曝露をもたらすとは予想されない
⚪️授乳中: 母乳中に自然に存在し、外用による追加的な乳児曝露リスクは低い
⚪️総合的判断: 利益とリスクのバランスを考慮すべき
というのが米国FDAの見解と言えます(参考)。
また、国内に目を向けると、日本皮膚科学会、日本産婦人科学会はアゼライン酸の使用について、これまで何も言及していません。
アゼライン酸は妊娠・授乳中にも安全に使用できる可能性が高いと言えますが、それを実証するエビデンスはありません。したがって。妊娠・授乳中の美容目的での使用はお薦めすることはできません。
参考:
https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2020/021470s015s016lbl.pdf
アゼライン酸について
◉標準製品: ロート製薬が製造する医療機関専売の「DRX® AZAクリア®」(アゼライン酸20%配合)が標準的な選択肢です。
◉基本プロトコル: 1日2回、パール粒大の量を塗布します。
◉導入期プロセス: 使用開始後1〜2週間は、管理可能な軽度の刺激感が予想されます。肌を慣らすために使用頻度や量を調整することが鍵となります。
◉効果のタイムライン: 初期効果の目安は約1ヶ月、最大効果を得るには数ヶ月を要します。
◉安全性プロファイル: 非常に安全性が高く、長期使用に適しています。
◉併用の柔軟性: 他の治療法と併用できますが、強力な有効成分や専門的な美容施術と組み合わせる際には、専門家の指導が不可欠です。
◉経済的側面: アゼライン酸の使用は保険適用外の自由診療であり、治療費は全額自己負担となります。