制作・執筆:坂田修治(医師:美容外科・美容皮膚科 青い鳥 院長)
(最終更新日:2025年7月6日)
ハイドロキノン
美白剤No.1の座は譲らない!
市販の美白化粧品ではなかなか改善しない、気になるシミやくすみ、ニキビ跡などの色素沈着にお悩みではありませんか?
皮膚科、美容皮膚科で処方されるハイドロキノンは、そうした根深い色素沈着にアプローチする、医学的に認められた美白成分です。
当院では、港区浜松町・大門・芝公園エリアで美白治療をお考えの方にハイドロキノンをご提案します。
ハイドロキノンとは?
ハイドロキノンは、「肌の漂白剤」とも呼ばれる強力な美白作用を持つ成分で、皮膚科医の診断・指導のもとで使用される医療用の外用薬(塗り薬)です。 シミの原因となるメラニン色素を作り出す際に重要な役割を果たすチロシナーゼという酵素の働きを抑制します。これにより、新たなメラニンの生成を抑え、既に存在する色素沈着を薄くしていく効果が期待できます。
ハイドロキノンは、主に以下のような色素沈着の改善に適しています。
◯老人性色素斑(日光性黒子): いわゆる一般的なシミ
◯炎症後色素沈着(PIH): ニキビ跡、やけど跡、虫刺され跡、湿疹跡など
◯肝斑: 紫外線、ホルモンバランスの影響などで頬骨あたりに左右対称に現れるシミ
◯そばかす(雀卵斑): 遺伝的な要因が大きい小さな色素斑
ハイドロキノンのメリット
◎ 高い美白効果: シミの原因であるメラニン生成の根源に直接働きかけるため、気になるシミやくすみを改善し、肌全体の透明感アップが期待できます。
◎ 幅広い色素沈着に対応: 老人性色素斑や炎症後色素沈着、そばかすなど、様々な種類のシミ・色素沈着に対して効果を発揮します。肝斑治療の一環としても用いられます。
◎ エビデンスに基づく治療: ハイドロキノンの美白効果は、多くの医学的研究によって裏付けられています。当院では、こうした確かなエビデンスに基づいた治療を重視しています。
◎ 自宅でのケアが可能: 医師の指導のもと、ご自宅でのスキンケアに組み込んで治療を進めることができます。
ハイドロキノンのデメリットとリスク
ハイドロキノンは高い効果が期待できる反面、いくつかの注意点やリスクも存在します。安全かつ効果的に治療を進めるためには、以下の点を理解しておくことが重要です。
⚫️ 刺激感・赤み: 使用開始時や肌質によっては、一時的に赤み、ヒリヒリ感、皮むけ、乾燥などの刺激症状が出ることがあります。通常は徐々に慣れていきますが、症状が強い場合や続く場合は、必ず医師にご相談ください。
⚫️ 紫外線への注意が必要: ハイドロキノン使用中の肌は、紫外線の影響を非常に受けやすくなります。日中の使用は避け、夜のみ使用してください。また、日中はSPF30・PA++以上の日焼け止めを必ず使用し、こまめに塗り直すことが必須です。紫外線対策を怠ると、シミが濃くなる可能性があります。
⚫️ 使用期間・濃度の管理: 効果と安全性の観点から、医師が適切な濃度と使用期間を判断します。自己判断での長期使用や高濃度での使用は、白斑(肌が白く抜ける)などの副作用リスクを高める可能性があるため避けてください。
⚫️ 医師による経過観察: ハイドロキノンは医療用医薬品です。必ず医師の診察を受け、指示された用法・用量を守り、定期的に経過観察を受けるようにしてください。
当院のハイドロキノン治療の特徴
港区(浜松町・大門・芝公園エリア)に位置する当院では、シミ・くすみ・色素沈着でお悩みの方に対し、ハイドロキノンを単に処方するだけでなく、お一人おひとりの肌状態とライフスタイルに合わせた総合的な美肌戦略をご提案します。
◎トータル美白療法の指導: ハイドロキノンの効果を最大限に引き出すためには、適切な使用方法に加え、紫外線対策が極めて重要です。当院では、効果的な紫外線対策や、肌のコンディションを整えるためのスキンケア指導を含めた、トータルな美白療法をサポートします。
◎エビデンスに基づいた選択: 確かなエビデンス(科学的根拠)のない高額な美白剤をお勧めすることはありません。当院のハイドロキノン治療は、医学的に効果が証明された方法に基づいています。患者様にとって本当に価値のある、費用対効果の高い治療をご提案します。
◎豊富な美肌治療の選択肢: 当院は、都内でも有数のレチノイド療法(ビタミンA誘導体を用いた治療)の実績を持つクリニックです。ハイドロキノン以外にも、レチノイド、ケミカルピーリング、レーザー治療など、様々な美肌治療の選択肢を有しています。そのため、ハイドロキノンが適さない場合や、他の治療との組み合わせが効果的な場合など、患者様の肌質や症状に合わせて最適な治療プランを多角的に検討・提案することが可能です。
◎ 採用している製剤: 治療効果と安全性を考慮し、高品質なハイドロキノン製剤を採用しています。JMEC社製のナノHQクリーム(ハイドロキノン1.9%)およびナノHQクリームEX(ハイドロキノン4%)を、患者様の肌状態や治療目標に応じて使い分けています。
◎丁寧なカウンセリングと経過観察: 港区の皆様に安心してハイドロキノン治療を受けていただけるよう、事前のカウンセリングで肌状態をしっかり診察し、治療のメリット・デメリット、注意点などを丁寧に説明します。治療開始後も、定期的な診察で効果や副作用を確認し、きめ細かくフォローアップいたします。
まとめ:安心・安全なハイドロキノン治療で、自信の持てる素肌へ
▶︎ 港区でシミ・くすみ・色素沈着にお悩みなら、皮膚科専門医によるハイドロキノン治療をご検討ください。
▶︎ 当院では、エビデンスに基づき、紫外線対策を含むトータルな美白療法の一環として、ハイドロキノンを安全かつ効果的に用いる治療をご提案します。
▶︎ レチノイド療法をはじめとする豊富な治療経験に基づき、お一人おひとりの肌に合わせた最適な治療計画をご提案可能です。
▶︎ 治療効果を最大限に高め、リスクを最小限に抑えるため、丁寧な説明とアフターケアを徹底しています。
▶︎ まずはお気軽にカウンセリングにてご相談ください。専門医があなたの肌悩みと向き合い、最適な解決策を一緒に見つけます。
**お知らせ**
当院は2003年に自由が丘から港区浜松町(最寄駅:JR/東京モノレール 浜松町駅、都営浅草線/大江戸線 大門駅、都営三田線 芝公園駅)に移転して診療しています。
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院長コラム 〜ハイドロキノンと「女心」〜
色白であることを尊ぶのは日本人だけかと思ったら、実はこれは世界中で見られる現象で、色白の方がステイタスが高く見えるのも理由のひとつとか。
そのため美白剤のハイドロキノンは不適切な使用が横行していて、その結果、問題事例が尽きません。
でも、それはハイドロキノンに問題があるわけではなく、使い方の問題。適切に使用すればきわめて安全ですし、何より美白剤のナンバーワンであることは、世界中の医師の認めるところ。
でも、なぜか日本では定期的に(?)「ハイドロキノンの〇倍の効果!」という美白剤がはやります。そんな美白剤は思わず二度見するほどに高額。
当院には皮膚科の女性の先生にも通っていただいていますが、あるとき「なぜ高いだけの美白剤を買い求めるのですか?」といじわるな質問をしたところ「高い方が効きそうで・・それが女心というもの。」とあっさりかわされました。
聞いた瞬間に目が点になって、私にはそんな「女心」は永遠に理解できそうにないし、そうか、だから美容医療の世界に長くいてもパッとしないのだ!とひとり合点したのでした。
こんな方におすすめ
- 1.くすみ、色素沈着をうすくしたい
- 2.肝斑で悩んでいる
- 3.いろいろな美白コスメを使ったが効果がなかった
ナノHQクリームの使い方
使用方法
- 朝・晩、1日2回塗布
- 連続での使用は、6ヶ月まで
- 再開するさいには、医師と相談してから
注意事項
- 必ずサンスクリーン剤も使用
- 日中長時間日光にさらされるときは、朝は使用しない
- 刺激症状が出たら、使用量を減らす
- 2ヶ月使用して効果がなければ使用を中止
価格表
価格(税込) | |
---|---|
ナノHQクリームEx(4%) 5g | 2,200円 |
ナノHQクリーム(1.9%) 10g | 3,300円 |
*肝斑、色素沈着などの治療目的には4%、お顔全体のホワイトニング目的に使用するなら1.9%をおすすめします。
ハイドロキノンの医学的検証
ハイドロキノンの作用機序
ハイドロキノンの主な作用機序は以下の通りです:
チロシナーゼ酵素の抑制
◎ハイドロキノンは、メラニン生成に不可欠なチロシナーゼという酵素の働きを競合的に阻害します(文献1)。
◎チロシナーゼは、アミノ酸のチロシンをドーパキノンやドーパクロムなどのメラニン前駆体に変換する触媒作用を持っています。ハイドロキノンが存在すると、チロシナーゼはチロシンよりもハイドロキノンを優先的に酸化し、メラニンが生成されないようにします(文献1)。
メラノサイトとメラノソームへの直接的な影響
◎ハイドロキノンは、メラノソーム(メラニン色素を貯蔵する細胞内小器官)と色素細胞を選択的に分解します(文献2)。これにより、新しいメラニンの生成が抑制され、皮膚の色素沈着が徐々に薄くなります。
◎メラノサイトの細胞骨格を破壊する作用を示します(文献1)。このことが、ハイドロキノンが高濃度で細胞毒性を示す理由を説明できる可能性があります(文献1)。
◎メラノサイトにおけるDNAおよびRNA合成を有意に阻害することも示されています(文献3)。一部の研究では、この細胞代謝の阻害がチロシナーゼ抑制よりも色素沈着抑制効果に大きく貢献していると推測されています(文献1)。
ハイドロキノンはどのような症状に有効か?
ハイドロキノンは、主にメラニン色素が原因で生じるさまざまな色素沈着障害に有効です。
具体的な症状としては以下のものが挙げられます。
◉肝斑(かんぱん): ハイドロキノンは肝斑の第一選択治療薬とされており、特に一般的な適応症の一つです(文献4)。
◉炎症後色素沈着(PIH): ニキビ、外傷、またはその他の炎症後に生じる色素沈着に対して有効です(文献4)。
◉日光黒子(老人性色素斑): 日光曝露によって生じる「シミ」や「老人性色素斑」として知られる色素沈着の治療に用いられます(文献4)。
◉雀卵斑(そばかす): そばかすの治療にも有効です(文献5)。
◉美白目的: 医療用途に加えて、皮膚のトーンを均一にし、色素沈着した部分を明るくするための美白剤としても使用されてきました(文献1)。
ハイドロキノンは、通常、2〜4%の濃度で用いられ、治療効果は通常5〜7週間の継続的な使用後に現れ始めます。最適な効果を得るためには、日焼け止めとの併用が推奨されます。
ハイドロキノンのリスク・副作用について
ハイドロキノンは美白剤として高い有用性を持つ一方で、いくつかのリスクや副作用が報告されており、その使用には注意が必要です。
1. 皮膚への刺激とアレルギー反応
⚫️ハイドロキノンを使用すると、一般的な短期的な副作用として刺激性接触皮膚炎やアレルギー反応が生じることがあります(文献4)。
⚫️これは皮膚の赤み、かゆみ、腫れ、水疱として現れることがあります(文献4)。
⚫️特に高濃度での使用や長期間の使用でこれらの反応が起こりやすいとされています(文献3)。
2. 外因性色素沈着症(Ochronosis)
⚫️ハイドロキノンを長期的に使用した場合に最も懸念される副作用は、外因性色素沈着症(ochronosis)です(文献4)。
⚫️これは、皮膚が青みがかった灰色に変色し、厚くなる症状を特徴とします(文献1)。
⚫️外因性色素沈着症は一般的に永続的であると考えられていますが、治療によって改善された事例も報告されています(文献1)。
⚫️低濃度でも慢性的な使用で発生する可能性があります(文献6)。
3. その他の色素沈着関連の副作用
⚫️低色素沈着症(白斑):過度な脱色素効果により、本来の肌の色よりも白くなってしまうことがあります(文献3)。
⚫️爪の色素沈着:稀な副作用として、爪に褐色の色素沈着が見られることがあります(文献1)。これはハイドロキノンの使用を中止すると解消します。
4. 発がん性に関する懸念
⚫️げっ歯類を用いた研究では、ハイドロキノンがDNA損傷を引き起こし、変異原性/発がん性の可能性が示唆されています(文献1)。
⚫️しかし、外用ハイドロキノンがヒトにおいて皮膚がんや内臓がんを引き起こすことを裏付ける十分な証拠は、50年以上の使用実績の中で確認されていません(文献6)。
⚫️国際がん研究機関(IARC)は、ハイドロキノンを「ヒトに対する発がん性の分類ができない」物質として分類しています(文献4)。
⚫️産業従事者のデータ: ハイドロキノンにさらされる産業従事者の癌発生率を一般人口と比較した研究では、白血病、腎臓がん、肝臓がん、血液疾患の発生率増加は確認されず、むしろ呼吸器がんや消化器がん、全体的な死亡率が一般人口と比較して有意に低いことが示されています(文献6)。
【参考文献】
1) Topical Hydroquinone for Hyperpigmentation: A Narrative Review
Isabella M Fabian, et al.
Cureus
2023;15(11):e48840
2) Hydroquinone: myths and reality
T Searle, et al.
Clin Exp Dermatol
2021;46(4):636-640
3) ハイドロキノンの再評価
川田 暁
Aesthetic Dermatology
2015;25:79-83
4) The safety of hydroquinone
J J Nordlund
J Eur Acad Dermatol Venereol
2006;20(7):781-7
5) ハイドロキノンの安全性試験について
村上義之,他
西日皮膚
2006;68(2):185-194
6) An update on the safety of hydroquinone
Kavya Shivaram, et al.
Arch Dermatol Res
2024;316(7):378
ハイドロキノンの規制状況について
ヨーロッパ・米国における規制状況
ハイドロキノンの国際的な規制状況は、国や地域によって異なりますが、その有用性と副作用の懸念から、近年変更があったり、厳しい管理下に置かれたりしています。
欧州連合(EU)
ハイドロキノンは2001年以降、化粧品としての使用が禁止されています(文献1)。
アメリカ合衆国(US)
◉かつては市販薬(OTC、over-the-counter)として入手可能でしたが、2020年のCARES Act(コロナウイルス援助・救済・経済安全保障法)により状況が大きく変わりました(文献2)。
◉現在、ハイドロキノンを含む製品は、一般に安全で効果的であると認められる(GRASE)ものとは分類されず、FDA(アメリカ食品医薬品局)の承認を得るための新薬承認申請(NDA)プロセスを経なければ市場で販売できません(文献2)。
◉これにより、ハイドロキノンは事実上処方箋医薬品としてのみ販売されており、医療専門家による監督下での使用が推奨されています(文献2)。
日本の規制状況
◉日本では2001年4月の薬事法(現・医薬品医療機器等法)規制緩和により、ハイドロキノンの化粧品への配合が認められており、現在2%以下の濃度で市販されています。これは厚生労働省の化粧品基準(平成12年9月29日厚生省告示第331号)に基づく規制とされています。ただし、医薬品・医薬部外品としての承認は受けていません。
◉化粧品基準では、ハイドロキノンモノベンジルエーテルを配合禁止成分として明記する一方、ハイドロキノン自体については特別な配合制限を設けていません。医療機関での使用については、医薬品医療機器等法に基づく院内製剤として医師の責任において調製・処方されています。
◉現行の化粧品基準(令和6年7月12日改正版)においても、ハイドロキノンに関する規定に変更はなく、現在の規制状況が維持されています。
【参考文献】
1) Hydroquinone for skin lightening: safety profile, duration of use and when should we stop?
Tsz Wah Tse
J Dermatolog Treat
2010;21(5):272-5
2) Hyperpigmentation: Looking beyond hydroquinone
Naseem Ahmad Charoo
J Cosmet Dermatol
2022;21(10):4133-4145
よくいただくご質問
ハイドロキノンはどう効く?
メラニンに対する二段階の作用
ハイドロキノンの特筆すべき有効性は、メラニン(シミの原因となる色素)生成プロセスに対して二つの異なる段階で作用することに由来します。
◉第一に、チロシナーゼ活性の阻害です。チロシナーゼはメラニン合成に不可欠な酵素であり、ハイドロキノンはこの酵素の働きを強力に阻害します。これにより、新たなメラニンの生成が効果的に抑制されます。
◉第二に、メラノサイト(メラニン生成細胞)自体への細胞毒性です。ハイドロキノンは、単に酵素を阻害するだけでなく、メラニンを生成する工場であるメラノサイトそのものの数を減少させる作用を持ちます。この「新たな生産を停止」させ、「生産工場を減少」させるという二重の作用機序が、ハイドロキノンを他の美白成分と一線を画す強力な薬剤たらしめているのです。
冷蔵保存しなくても大丈夫ですか?
ナノHQクリームは冷暗所(〜15度C)で保管して下さい。開封後は1、2ヶ月で使い切り、クリームが変色していたら使用しないよう気をつけて下さい。
通常ハイドロキノンは冷蔵保存が必要とされますが、ナノHQクリームではフラーレンが配合されて酸化を防ぐように安定化されているため、冷蔵保存は不要です。
ハイドロキノンが使われるようになった経緯は?
初期の発見と観察(1930年代~1960年代)
●ハイドロキノンは1930年にオッテルによって初めて検出され、黒毛猫にハイドロキノンを摂取させたところ、毛の灰色化が観察されています。
●1940年代には、写真現像剤として工業的に使用されていたことが示唆されています。
●1960年代初頭には、米国南部地域でハイドロキノンが日焼け止めとして使用された際に、肌の明るさも観察されています。
●また、ハイドロキノンはアルブチンという植物由来の成分から派生しており、クランベリー、ブルーベリー、米、タマネギ、小麦、梨、赤ワイン、コーヒー、紅茶といった日常的な食品にも含まれていることが知られています。
ハイドロキノンが有効な症状とは?
◎老人性色素斑(日光黒子): いわゆる「シミ」として最も一般的なもので、主要な治療対象です。
◎肝斑: 特定のレーザー治療でかえって悪化することがあるため、ハイドロキノンは肝斑治療において非常に重要な選択肢となります。
◎炎症後色素沈着(PIH): ニキビ跡、虫刺され跡、怪我や手術の傷跡などが原因で生じた色素沈着に有効です。
◎そばかす(雀卵斑): 治療可能な症状として挙げられています。
◎その他の色素沈着: 脇の下、膝などの摩擦による黒ずみにも効果が期待できます。
一方で、ハイドロキノンが効果を発揮しない色素沈着も存在します。特に、太田母斑のような皮膚の深い層(真皮)に色素が存在するアザには効果がありません。これらの治療にはQスイッチレーザーなど、より深部に到達する治療法が推奨されます。
ハイドロキノン治療の成否は、治療対象となるシミが表皮性か真皮性かを正確に診断することに懸かっているので、使用開始にあたっては、必ず医師の診断を仰ぎ、効果が見込めるか判断してもらって下さい。
使用上注意すべきことは?
紫外線対策の徹底
ハイドロキノンを使用するさいには、厳格な紫外線対策の日常的な実践が必要です。
ハイドロキノンが光線過敏症状の原因になる可能性があり、またメラニンによる防御機能が低下しており、紫外線に対して敏感になるためです。
具体的な使用法は?
パッチテスト: 顔に使用する前に、腕の内側など目立たない部位でパッチテストを行い、アレルギー反応や重度の刺激がないかを確認することが推奨されます。
頻度: 光線過敏症のリスクを最小限に抑えるため、多くのクリニックでは夜1回のみの塗布を標準的な使用法としています。
塗布方法:
⚪️洗顔後、最初に使用します。肌が落ち着いてから、普段のスキンケアを続けて下さい。
⚪️トレチノインと併用する場合は、トレチノインを先に、ハイドロキノンを後にするのが理にかなっていますがが(トレチノインがハイドロキノンの吸収をサポートする)、前後が逆になっても差があるとは思えません。
⚪️4%の高濃度では少量を、しばしば綿棒を用いて正確に塗布します。1.9%の低濃度では、薄く顔全体に伸ばすように塗布して下さい。
ハイドロキノンのリスク・副作用について
ハイドロキノンの主な副作用は以下の通りです。
一般的な短期的副作用
⚫️一次刺激や接触皮膚炎(刺激性またはアレルギー性接触皮膚炎):皮膚の刺激感、赤み、かゆみ
⚫️色素脱出(hypopigmentation):一時的な色素脱出
⚫️炎症後色素沈着(post-inflammatory hyperpigmentation)
長期使用による副作用
⚫️外因性組織褐変症(exogenous ochronosis):発生例の多くは、高濃度のハイドロキノンを医師の監督なしに長期間使用しています
⚫️指趾末端や爪甲の色素沈着:特に爪に茶色の色素沈着
⚫️皮膚の弾力性低下や創傷治癒の阻害、末梢神経障害も報告されています
⚫️異常白斑:不可逆性の白斑として報告されています
稀な副作用
⚫️トリメチルアミン尿症(「魚臭症候群」):一部の慢性的なハイドロキノン使用者で、体から腐った魚のような匂いが分泌されると報告されています。
⚫️眼科的合併症:工業的に高濃度でハイドロキノンに曝露した作業員には、結膜や角膜の着色、角膜変性などの眼科的合併症が報告されています。また、局所使用でも角膜の変化が報告されていますが、使用した濃度や期間は不明で、医療監督下になかったケースです。
接触皮膚炎についてもっと詳しく
症状: 赤み(発赤)、皮むけ(剥脱)、ヒリヒリとした刺激感、かゆみといった症状は、特に治療開始初期によく見られます。
経過: これらの反応は、使用開始後2週間をピークに最も強くなることが多く、肌が薬剤に慣れる(耐性を獲得する)につれて徐々に軽減していくのが一般的です。
対処法:
⚪️刺激が軽度であれば、肌が順応していく可能性が高いため、使用を継続します。
⚪️刺激が中等度から重度の場合は、塗布頻度を減らす(例:毎日から隔日へ)か、数日間使用を一時的に中断することが推奨されます。
⚪️患部を冷やす(冷たいタオルや保冷剤を当てる)ことで症状が和らぐことがあります。
症状が重度であるか、長期間持続する場合は、真のアレルギー反応や過剰な炎症反応の可能性があるため、直ちに使用を中止し、医師に相談する必要があります。
白斑のリスクについてもっと詳しく
定義: 白斑は、皮膚の色素が完全に失われ、永続的な白い斑点が残る重篤な副作用です。ハイドロキノンの高濃度での長期使用により、メラノサイトが破壊されることで発生するとされます。
リスクと濃度の関係: このリスクは、一般的に6%〜8%を超える高濃度の製剤を、医師の監督なしに長期間使用した場合に関連付けられています。
日本人では5%までの濃度では白斑の報告はありません。
「休薬期間」の必要性:長期使用について
長期間の連続使用に伴い、副作用が発症することを防ぐため、無期限に連続使用するのではなく、「休薬期間」を設けることが必要です。
当院のサイクル: 当院では6ヶ月間の使用後、6ヶ月間の休薬期間を設けています。
休薬期間はどうすれば?
ハイドロキノンの休薬期間にも治療をすすめたい場合は、別の美白剤に切り替えてご使用下さい。アゼライン酸20%配合クリームをおすすめします。4%ハイドロキノンと同程度の効果があると報告されています。
切り替える美白剤
禁忌:ハイドロキノンを避けるべき人
妊娠中、妊娠の可能性がある、あるいは授乳中の方は、ハイドロキノンの使用は推奨されていません。