2024.09.24更新

小麦色の肌


1970年代から80年代にかけて、日本では「小麦色の肌」が健康的で美しいとされ、多くの人々が憧れました。しかし、時代が進むにつれ、その美意識は大きく変わり、90年代以降は「白い肌」が理想とされるようになりました。今回は、その背景と現在の美容における日焼けへの考え方について掘り下げます。

小麦色の肌が美しいとされた時代の背景
1970年代から80年代にかけて、日本で「小麦色の肌」が流行した理由の一つは、欧米の文化の影響でした。海外旅行が一般的になり、アメリカやヨーロッパの健康的でアクティブなライフスタイルが注目され、日焼けした肌がその象徴として受け止められました。特にファッション誌や広告では、日焼けしたモデルが登場し、サーフィンやテニスといったアウトドアスポーツも人気を博しました。これにより、日焼けは「健康的」「活発的」といったポジティブなイメージを持たれるようになったのです。

紫外線による影響と美白志向の台頭
しかし、1990年代に入ると、紫外線による肌へのダメージが広く認識されるようになりました。紫外線がシミやシワ、さらには皮膚がんのリスクを高めることが明らかになり、「日焼けは美しい」という考え方に疑問が投げかけられるようになります。
このような背景から、日焼け止めの使用が推奨されるようになり、肌を守るためのスキンケアが重視され始めました。また、アジア全体で古くから美徳とされてきた「白い肌」への憧れが再び強まり、美白化粧品の需要が急速に高まります。結果として、美白志向は90年代から2000年代にかけて確固たるものとなり、今では紫外線対策が美容の基本とされています。

現代における日焼け対策の重要性
現在では、美容や健康の観点から日焼けのリスクが多くの人に知られています。紫外線は短期的には日焼けや赤みを引き起こし、長期的には光老化や皮膚がんの原因となります。肌を若々しく保つためには、日常的な紫外線対策が欠かせません。
紫外線対策としては、日焼け止めをこまめに塗ることが基本です。さらに、帽子やサングラス、長袖の衣類などで物理的に紫外線を防ぐことも効果的です。最近では、紫外線カット機能を持つファッションアイテムも多く販売されており、スタイルを損なうことなく紫外線対策が可能になっています。

まとめ
1970年代から80年代にかけて日本で流行した「小麦色の肌」は、当時の西洋的な健康美の象徴でしたが、90年代以降の研究により、紫外線の有害性が広く知られるようになると、美白志向が主流となりました。現在では、日焼けは美容と健康の大敵とされ、紫外線対策が日常のスキンケアに欠かせない要素となっています。健康で美しい肌を保つために、毎日の紫外線対策をしっかりと行うことが大切です。


 

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投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥

2024.09.23更新

 

色白信仰


「色白」は世界共通で、白人優位の世界観がベースにあると思いましたが、少なくとも日本人では欧米化よりずっと前から「色白」に対する信仰に近い思い、願いがあったのです。

「色白」千年以上続く日本の美意識

色白の肌を美しいとする日本の美意識は、実に千年以上の歴史を持ちます。この「白い肌」への憧れは、平安時代にすでに貴族社会で根付いていました。当時の貴族女性たちは、白粉を厚く塗ることで肌を白く見せ、美を競い合っていたのです。平安時代の美意識では、白い肌は高貴さや美しさの象徴でした。

白い肌の背景にある社会的要因
なぜ色白の肌がこれほどまでに理想とされたのでしょうか?その背景には、日焼けした肌が農作業など屋外労働を示すものと見なされていたことがあります。特に貴族や上流階級の女性にとって、日焼けは労働者の象徴であり、逆に「白い肌」は室内で優雅に暮らしていることの証でした。これにより、色白の肌は特権階級のステータスを表すものとして広まりました。

江戸時代:白粉の普及と庶民の色白志向
江戸時代に入ると、白粉の使用は貴族だけでなく庶民の間にも広がりました。江戸時代の美意識では、化粧文化が一層進化し、色白肌は庶民にとっても理想の一つとなっていきました。白粉は当時の女性にとって、美しさを象徴する重要なアイテムとなり、特に顔を白く見せることが美の基準とされました。

明治時代以降:西洋文化の影響と現代の色白志向
明治時代に入り、日本は西洋文化の影響を大きく受けました。しかし、その影響下にあっても、日本独自の色白美意識は根強く残り、現代に至るまで受け継がれています。現代では、美白ケア製品や日焼け止めが一般的に利用され、色白肌を維持するための様々な美容技術が発展しています。さらに、美白に対する関心は国内だけでなく、アジア全体でも広がっており、日本の美容文化としても重要な位置を占めています。

現代の美容と色白美意識
今日、色白の肌は依然として美しさの象徴とされ、多くの女性が美白を目指してケアを行っています。特に美容皮膚科の分野では、美白を目的としたレーザー治療や美白成分を配合したスキンケア製品が多数提供されています。美白に対する関心が高まる中、正しいスキンケアと紫外線対策がこれまで以上に重要視されています。
日本の美意識は、時代を超えてもなお「白い肌」を美の基準として捉えており、その歴史と文化を知ることで、現代の美容トレンドもより深く理解できるでしょう。

 

 

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投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥

2024.09.21更新

 

eyecontact


コミュニケーションにおいて「アイコンタクト」はときに悩ましい問題をもたらします。とくに国や文化が異なるとなおさらです。


西洋文化におけるアイコンタクトの重要性
アメリカやヨーロッパの多くの国では、直接的なアイコンタクトが重視されます。目をしっかり見つめることは、信頼感や誠実さを示すとされており、ビジネスや日常会話でも重要視されます。特に、アメリカでは相手の目を見ることが自信の表れとされ、積極的にアイコンタクトを取ることが奨励されます。


東アジア文化における控えめなスタイル
一方、日本や中国などの東アジアでは、アイコンタクトは慎重に行われます。日本では、目をじっと見つめることは失礼とされ、特に目上の人や年長者との会話では、アイコンタクトを控えることが一般的です。


中東およびアフリカ文化でのアイコンタクトの役割
中東や一部のアフリカ諸国では、アイコンタクトは地位や性別に大きく依存します。同性同士では長いアイコンタクトが尊敬や関心を示すことがありますが、異性間では目を合わせることが不適切とされることもあります。


文化的な違いを理解することの重要性
国ごとのアイコンタクトや視線の文化的な違いを理解することが、異文化間のコミュニケーションを円滑に進め、より良いコミュニケーションを築くうえで重要です。

 

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投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥

2024.09.20更新

 

関東と関西


初めて会う人との出会いにおいて、「顔」は印象を大きく左右する要素です。ただし、地域によってどこに注目するかは異なる可能性があります。これを知ったら、初対面の人にまず「関東の方ですか?関西の方ですか?」と聞きたくなるかもしれません。

1 初対面で見られる顔のパーツ

日本全体に共通して、初対面でよく見られる顔の部分には一定の傾向があります。特に「目」は、最も注目されるポイントです。目を合わせることは信頼や誠実さの表れとされており、第一印象において非常に重要です。また、「肌」や「口元」もよく見られます。肌の美しさは、健康やライフスタイルを反映しているとみなされ、清潔感のある肌は好印象を与えます。

2 関東と関西、注目するポイントの違い

同じ日本でも、関東と関西では初対面で顔を見る視点が微妙に異なります。どちらにお住まいでも、相手に好印象を与えるポイントとして押さえておくと良いでしょう。

関東
関東では、目や肌に注目される傾向にあります。目の印象は「誠実さ」の象徴とされ、視線を合わせることが好印象につながります。また、肌の清潔感や髪の整い具合もポイントです。関東の文化では、きちんとしたフォーマルさが重視されるため、全体的な外見が相手の評価に大きく影響します。忙しい毎日でも、肌のお手入れをきちんと行うことは、関東では好印象作りに役立ちます。

関西
関西では、表情や全体的な雰囲気が重視される傾向にあります。笑顔や親しみやすさ、明るい態度が好印象を与え、会話中のユーモアや親しみやすさが、より良い関係を築くための鍵になります。関東のフォーマルさに対し、関西ではリラックスした自然な表情が好まれ、笑顔や柔らかい表情は、関西での「あなたらしさ」を引き立てるポイントになります。

3 地域文化と第一印象

関東と関西、それぞれの地域文化が、初対面での印象形成に深く影響を与えています。

関東の文化
関東では、清潔感やフォーマルさが重要視されます。これは、目に見える外見だけでなく、洗練された身だしなみや整った肌も含まれます。初対面での印象を良くするためには、外見だけでなく内面的な「整え」も心がけると良いかもしれません。

関西の文化
関西では、親しみやすさと笑顔がカギです。形式にこだわらず、リラックスした表情で相手に接することが重要です。自分らしさを出しつつ、親しみやすい雰囲気を大切にすることで、第一印象をぐっと良くすることができます。

4 まとめ

関東では、清潔感やフォーマルさが重視され、目や肌、髪型が評価されるポイントです。一方、関西では、親しみやすさや表情の豊かさが大切にされ、笑顔や全体の雰囲気が好印象を与えます。地域ごとの文化的な背景を理解し、TPOに応じた表情や外見を意識することで、よりスムーズなコミュニケーションが可能になります。ぜひ、この違いを活かして、初対面の場面でも自信を持って行動しましょう!



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投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥

2024.09.19更新

 

第一印象


第一印象は、人間関係や社会生活において極めて重要。やっぱり、なんだかんだ言って「見た目」が支配する世の中です。最後に良い第一印象を与えるためのポイントをご紹介しますので、大切な人に会う前のチェックリストとしてご活用下さい。

1. 第一印象の重要性

人と会う時、最初の数秒で「この人はどんな人か?」という印象が無意識に形成されます。この瞬間の判断は、その後のコミュニケーションに大きな影響を与え、場合によっては信頼関係の土台となるかもしれません。特に社会生活においては、第一印象が良いとその後の仕事がスムーズに進むことも少なくありません。


2. 視覚情報の影響

メラビアンの法則によると、コミュニケーションにおいて相手に与える印象の55%が視覚情報から来ています。視覚情報には、服装、身だしなみ、表情、ジェスチャーなどが含まれます。このため、清潔感のある外見や笑顔などのポジティブな視覚情報が、相手に好印象を与えるポイントになります。


3. 聴覚情報の役割

第一印象においては、声のトーンや話し方も重要です。メラビアンの法則では、聴覚情報が38%を占めるとされ、穏やかで落ち着いた声のトーンや抑揚が感情や意図を伝える上で非常に効果的です。たとえば、相手に親しみを感じさせるには、柔らかい声で話すことが効果的です。


4. メラビアンの法則とは?
メラビアンの法則は、視覚情報、聴覚情報、言語情報が矛盾した場合に、それぞれの情報が相手に与える影響の割合を明らかにしたものです。具体的には、視覚情報が55%、聴覚情報が38%、言語情報が7%とされています。ただし、これらの情報が矛盾していなければ、全ての要素が同様に重要となります。


5. 第一印象を良くするためのポイント

第一印象を良くするためには、視覚、聴覚、言語の情報を統一させ、矛盾のないコミュニケーションを心掛けることが重要です。具体的には、笑顔で接する、相手の目を見て話す、柔らかい声で語ることなどが挙げられます。また、適切な身だしなみや礼儀正しい態度も重要なポイントです。


 

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投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥

2024.07.29更新

スキンケアにおいて日焼け止めは欠かせないアイテムです。多くの方が日々のスキンケアの一環として日焼け止めを使用していますが、SPFに関する規制とその意義についてご存知でしょうか?

sunscreen

日本での日焼け止めの売り上げをSPF別にみると
1位 SPF50
2位 SPF30
3位 SPF15
とSPFが高い製品ほど売れているのがわかります。やはりどうせ買うなら紫外線防御能力の高い、つまりSPFの高い製品に手が伸びるのでしょう。

ただし、いくら探しても日本製の日焼け止めにはSPFが50以上のものはありません。

日本では、日焼け止め製品のSPFは50+が上限とされています。かつては日本でも次々とSPFの高い日焼け止めが登場し、50どころか100も超えて「SPF戦争」と称されるほどでした。しかしSPFが高い製品はそれだけ肌への刺激も強くなり肌荒れの原因になります。そのため1996年にSPFの上限は50+と決められたのです。

紫外線対策を重視する美容意識の高い消費者にとって、この規制が適切かどうか疑問に思うこともあるでしょう。

ここで参考になるのは、米国での日焼け止め事情。

興味深いことに、SPFの上限規制がない米国で、売上トップはSPF50の製品で、SPF50を超える製品はトップ3に入っていません。

(参考)
米国でのSPF別日焼け止めの売り上げトップ3
1位 SPF50
2位 SPF30
3位 SPF40

このことから、仮に日本でSPFの上限規制がなくなったとしても、やはりSPF50前後の製品が主流になる可能性が高いと考えられます。


強い日差しから肌を守ることは大切ですが、同時に肌への負担も考慮しなければならないことを考えれば、日本の現行のSPF上限規制にも一定の意義があると言えるでしょう。

SPFの数値だけにとらわれるのではなく、自分の肌質や生活スタイル、そして季節に合わせて適切な日焼け止めを選ぶことが大切だとまとめさせていただきます。



 

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投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥

2024.04.19更新

 

4月7日(日)の夜から腹痛に襲われ、8日(月)に病院を受診したところ絞扼性イレウスの診断で緊急手術となりました。


昨年秋に大腸がんが発覚し手術しましたが、先月術後半年の定期検査があり問題なかったし、一度開腹手術を受けると腸管の癒着が生じて通過障害(腸閉塞)をきたしやすくなるので、深刻な話ではないと思っていましたが、腸閉塞となると鼻から管を入れて何日も様子を見ることになって、もしかしたら長期入院になるかもしれないし、また今回は手術しないで回復したとしても、またいつ腸閉塞を起こすかもしれないという爆弾を抱えて生活しなければならず、すっかり憂鬱になってしまいました。


ところが、この春から交代になった若い主治医はとても積極的で、治療方針として緊急手術の提案があり、「いつですか?」とおそるおそる聞いたら、「今日!」だと。緊急手術にはもちろんリスクはありますが、何より「すぐ治療して、すぐ退院したい!」という私の気持ちにピッタリな提案。手術までの時間も待ち遠しいくらいでウキウキしていました。


手術は内視鏡手術から、開腹手術になったのですが、前回よりは傷の大きさも半分ほどで、痛みもずっと楽でした。何より腸を切除することもなく腸を締め付けていた癒着でできたバンドをチョキンと切るだけだったので、手術後の経過も早くて開腹手術でありながら月曜に入院・手術でその週の金曜日には退院することができました。


退院後は、13日(土)、14日(日)は外出は控えましたが庭仕事(!)で体調を整え、ちょうど術後1週間となる4月15日(月)に診療を再開させることができました。


ご予約の変更でご迷惑をおかけしたお客様には謹んでお詫び申し上げます。また早期の社会復帰を可能にしてくれた主治医をはじめとする医療スタッフの皆様にはお礼を申し上げます。



腸閉塞で手術だなんて、まるで昨年秋のデジャブかのようで、「いよいよか・・」と気を回される方もいるでしょうが、まことに残念(?)ながら「いよいよ」ではまったくございません。今回の手術所見として、お腹の中にはがんの転移、再発はまったく認めませんでした。


手術、入院も2度目となると特別な感慨など何もありませんでした。ただ消化管に持病を抱えていると、体調がいとも簡単に崩れることがよくわかったので、今後は元気なうちに自分のキャリアの集大成を急ぎたいと思います。


これから私が展開する美容医療にぜひご期待下さい。晩節を汚したくないので、後ろ指を指されるようなことは決して行わないことをお約束します。



 

 

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投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥

2024.01.09更新

 

CBD


このところ何度か大麻関連の話題がニュースになっています。美容業界でも大麻の成分のうち抗精神作用のないカンナビジオール(CBD)を含むコスメが次々に登場しています。

大麻由来成分というハンディキャップがありながら、CBDコスメが大きな顔で、好き勝手に効能を書き立てることができるのは、ひとえにカンナビジオール(CBD)が、内因性カンナビノイド受容体に結合して、内因性カンナビノイドシステムを作動させることができるから。

内因性カンナビノイドシステムというのは、おもに中枢神経系、免疫系で働きますが、皮膚でも表皮のメンテナンス、毛包、皮脂腺の制御に働いていて、アトピー性皮膚炎、皮膚癌などの皮膚疾患に関係しているとされています。内因性カンナビノイドシステムが健康な肌を支えていることから、CBDコスメにもきっと美肌効果があるはずという甘い(?)憶測が働いてしまうのです。

それにしてもなぜ内因性カンナビノイド受容体だの、内因性カンナビノイドシステムだのと命名されたのでしょう?もちろん身体がもともと大麻のために受容体を用意しているはずはありません。実はこれは単純に発見された順番の問題なのです。

大麻に含まれる化合物群はカンナビノイドと呼ばれ、幻覚作用などをもたらすことが知られていましたが、そのメカニズムの研究から、1980年代後半にカンナビノイドが結合する受容体が発見されました。それは当時無名だったため、「内因性カンナビノイド受容体」と名付けられました。その受容体に本来結合する物質が発見されのは1990年代に入ってからでした。

本来結合する物質が発見された後も、一度つけられた名称がそのまま使い続けられたことが、いかにもカンナビノイドが身体の中で重要な役割を果たしているかのような誤解を生む元になったのです。

ここからはカンナビジオール(CBD)の皮膚への作用についての正当な医学的評価を紹介します。現在臨床研究が行われているのは、
・掻痒症(かゆみ)
・炎症性疾患
・皮膚癌
に対してですが、この中では、痒みの治療がもっとも有望視されています。

コスメとして考えたとき、せいぜいウリになるのは抗炎症効果くらいで、保湿効果があるわけでも、美白効果があるわけでもありません。その抗炎症効果も「だから何だ!?」という話で、今のところどういう良い効果をもたらしてくれるか明らかではありません。少なくともCBDコスメが声高に宣伝する皮膚の健康に役立つかのような言い方は、故意か過失かはともかく完全に言い過ぎ。いくら内因性カンナビノイド受容体に結合できるとしても、実は受容体は結合するリガンドにより正反対の作用をもたらすこともあり、実際に生じる作用はさまざま。だから効果を謳いたいなら、まずは人での臨床試験で結果を出すことが先決で、作用機序は二の次なのです。

CBDコスメは、「内因性カンナビノイドシステム」という身に余る(?)命名を最大限に利用(悪用)したに過ぎないというのが、現状での私の結論です。どういう方になら勧められるか、まったく見当がつきません。 

 

(参考文献)
1) Cannabinoids for the treatment of chronic pruritus: A review
Avila C, et al.
J Am Acad Dermatol.
2020;82(5):1205-1212

2) The role of cannabinoids in dermatology
Mounessa JS, et al.
J Am Acad Dermatol.
2017;77(1):188-190

3) カンナビノイド受容体の内因性リガンドの発見
木村 敏行
ファルマシア
1993;29(11):1293

 

 

 

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投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥

2023.09.10更新

 

コロナから学んだこと


これだけ世界中で猛威を振るうコロナだから、自分もそのうち・・と覚悟しているのに、なかなか罹らないから、もしかしたらこのまま乗り切れるかと淡い期待を抱いた途端、アッサリ罹ってしまいました。

(学んだことその1)一気に肺炎!

最初は夏風邪のような喉の異変で、この時点での抗原検査は陰性でした。それからとどまることなくノドの痛みが悪化して、もうつばも飲み込めないほどになるとともに痰が多く出るようになりました。

普通の風邪でもインフルエンザでも肺炎になることはあります。でもそれは「こじらせたら」の話。最初からではない。コロナは肺炎ウイルスだから当たり前と言われたらそれまでですが、最初から来る!自分が感染してみてようやくこの感染症の恐ろしさが実感できました。

実を言うと私は痰をうまく口からペッと出せなくて、何かの拍子に喉に絡んでもごくんと飲み込んできたのですが、つばも飲めないほど痛いのに、それでも飲み込まなければ確実に窒息するという状況は悲惨の極み。これがいつまで続くのかと想像するだけで、病と闘う気が失せました。

私も医師、それも呼吸器外科医としてのキャリアが長かったので、何度も痰づまりで息が吸い込めずパニックになりましたが、さすがに痰を詰まらせて死ぬわけにはいかないと、頭の中に肺、気管支の解剖を思い浮かべて、痰が出やすいように対位ドレナージを工夫して乗り切りました。

ご自身、ご家族がコロナに罹って自宅療養の際は、この痰を出しやすくする「体位ドレナージ」のテクニックは必須だと思います。「痰 体位ドレナージ」で検索して、自身にとってわかりやすいサイトをチェックしておきましょう。


(学んだことその2)いつから社会復帰していい?

ようやく最悪期を乗り越えると、急に免疫システムが作動したように感じられ順調に改善していきました。ただ、開業医である自分はいつから仕事復帰していいのだろう?という素朴な疑問が残りました。

厚労省が5類移行後の対応についてこう発表しています。
1)外出を控えるかどうかは個人の判断
2)外出を控えることが推奨される期間
発症日を0日目として5日間経過するまで
発症後5日以降まで症状が続くときは、症状が軽快して24時間経過するまで
3)周りの方にうつさないための配慮
発症日を0日目として10日間を経過するまでは高齢者などハイリスク者との接触を控えることやマスクを着用する

一律に発症日からの日数で規定していて検査はまったく要件に入っていないことは意外でしたが、そもそもが「個人の判断」なのですから妥当なラインなのでしょう。

私の場合は偶然ですが、結局「周りの方にうつさないための配慮」に従って、11日目に診療を再開していました。

私は自分で診断して、結局医療機関に連絡することもなく、勝手に治ったわけですが、皆様ご自身やご家族が罹ったとき、どのタイミングで医療機関に連絡すべきか、軽症だと迷惑がられるのではないかと悩まれるかも。

その答えは「医療機関に頼りたいときが頼りどき」。これはコロナに関わりなく、救急車をいつ呼ぶか、救急センターをいつ受診するかも同じ。軽症、重症なんて医師が判断すべきことです。

 

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投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥

2023.06.20更新

この文章は、私にシフトワーカーの健康問題を考えるきっかけを下さった、あるお客様に捧げます。看護師をされていたそのお客様と、この話題になった時、何もアドバイスできないばかりか、冗談めかして「早く婦長さんになって、この状況から脱却するしかないですよ!」としか言えなかったことが、今も痛恨の思いとして心に残っています。答えとして不十分ですが、今も考え続けていることをお伝えしたい。


ここ数十年くらいで日本の社会では急激に24時間化が進みました。

それ以前から生きている私は、家の近所にセブンイレブンができて、名前の通り朝の7時から夜の11時まで営業することに衝撃を受けたことを覚えています。社会が24時間化してから生まれ育った人には、「セブンイレブンの衝撃」は決して理解できないでしょう。

最近は人手不足の影響で、一部のコンビニが24時間営業でなくなったりしていますが、ではみんな「セブンイレブン」に戻るかと言えば、それも無理な話。最近、さまざまな「多様性」が議論されていますが、社会の24時間化が実現させているのは、生活、生き方の「多様性」。これからもそれを尊重する方向に社会は進歩していくはず。

ただし、24時間営業の現代社会を支えるシフトワーカーには、大きな身体的負担がかかっています。


シフトワークが睡眠障害をはじめ、肥満、脂質異常症、高血圧、糖尿病など生活習慣病や心筋梗塞、脳卒中、乳がん、前立腺がんなどの疾患リスクを上昇させることが多くの疫学研究から示されています。

なぜシフトワークが健康に悪いか・・不規則な生活は身体に悪いに決まっていると言えばそれまでですが、ではなぜそうなのでしょう?

人に限らず、地球上の生物には、体内時計が備わっています。地球の自転によって、およそ24時間周期で昼夜の環境が変化する地球上で生存競争に勝ち抜くために不可欠なシステムです。

体内時計を調整するメラトニンというホルモンは、驚くべきことにヒトはもちろん動物でも植物でも微生物でも共通。いかに生命にとって根源的なシステムであるかがわかります。体内時計は地球上生命体全般において、普遍で不変!な進化をとげたのです。

そして、そのシステムに従って、睡眠覚醒、代謝、ホルモン分泌などさまざまな生理現象が調節されています。

だから人はシフトワークのように地球の自転を無視した生活には適応できないのです。これが体内時計を研究する医学分野である「時間医学」的な解答になります。


「時間医学」


その「時間医学」の新しい知見として、マウスの実験ではありますが、だんだん活動期を遅らせていくのと早めていくのでは、遅らせていく飼育条件の方が順応しやすいことが報告されています。

マウスの結果をヒトに当てはめるのも性急すぎますが、無理やり当てはめるなら、ヒトでも数日おきに活動時間をずらす、それも遅寝遅起きの方向にずらすのなら身体への負担も少なくできるかもしれません。

具体的には、日勤、準夜勤、深夜勤という3交代制のシフトワークでは、必ず数日おきに日勤→準夜勤→深夜勤の方向へずらしてシフトを組むのです。

不規則な生活を強いられるシフトワーカーですが、「規則的」に不規則な生活なら、まだ健康を害するリスクは小さくできる可能性があります。


今日も真夜中の街ではいろんな職種の方がシフトワーカーとして勤務されています。そのおかげで、社会は24時間稼働して、いつでも時間に関係なく好きなように生活することが可能になっています。

シフトワーカーの健康を守る取り組みは、差し迫った課題なのです。

 

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投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥

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