HOME > 肌のハリ・弾力
【目次】
1: そもそも肌のハリとは?
2: 肌のハリ・弾力が低下する3つの原因
3: 肌のハリを取り戻す方法【全体像】
4: セルフケアでできること
5: 美容医療(1) ECM治療
6: 美容医療(2) 機器
7: 自分に合った方法の見つけ方
「頬がたるんできた」「肌を押しても戻りが遅い」「ファンデが毛穴に落ちる」——こうした変化は、肌の“ハリ”が低下しているサインです。
顔のハリを取り戻すには、まず「なぜハリが失われるのか」を知り、原因に合った方法を選ぶことが近道。
この記事では、原因からセルフケア・スキンケア・美容医療までを医師の視点で総まとめし、違いと選び方を一覧で整理します。
肌のハリとは、肌が内側から押し返す弾力のこと。真皮のコラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸などが網目状に組み合わさった「土台」が生み出す物理的な張力です。土台が痩せると、たるみ・小ジワ・肌痩せとして現れます。
肌のハリ・弾力を支える土台については解説記事「細胞外マトリックス(ECM)とは?」もあわせてご覧下さい。
2-1. 細胞外マトリックス(ECM)の加齢による衰え
肌のハリや弾力を内側から支えているのが、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などで構成される「細胞外マトリックス(ECM)」と呼ばれる肌の土台です。
この土台は、年齢を重ねるにつれて徐々に変化していきます。30代後半頃から、これらのハリ成分を生み出す「線維芽細胞(せんいがさいぼう)」の働きが衰え、新しく作られる量が減少してしまいます。さらに、加齢に伴って成分を分解する酵素の働きが活発になるため、土台そのものが徐々に薄く、もろくなって(痩せて)いきます。
このように、年齢とともに土台の密度が低下してクッション性が失われることで、肌のハリが一気に低下し、たるみやシワが目立ちやすくなります。
肌の土台の劣化については解説記事「加齢・紫外線でECMはどう衰えるか」もあわせてご覧下さい。
2-2. 紫外線(光老化)
肌の老化を引き起こす最大の外的要因が、この紫外線です。紫外線による肌の衰えは「光老化(ひかりろうか)」と呼ばれ、加齢による自然な老化とは区別されます。
太陽光に含まれる紫外線のうち、特に注意すべきなのが「UV-A波」です。UV-A波は波長が長く、雲や窓ガラスをも通り抜けて、肌の奥深くにある「真皮層」にまで到達します。
真皮層に届いたUV-A波は、肌のハリを支えるコラーゲンやエラスチンを直接変性させるだけでなく、これらを分解してしまう酵素(MMP)を過剰に発生させます。その結果、肌のクッションとなっていた土台の構造がもろく崩れ、弾力が失われて深いシワやたるみへとつながっていくのです。
2-3. 肌の糖化
肌の「糖化」とは、食事などから摂取して余った過剰な「糖」が、体内のタンパク質(主にコラーゲンやエラスチン)と結びついて変性してしまう現象です。よく肌の酸化が「サビ」と例えられるのに対し、糖化は肌の「コゲ」とも呼ばれます。
本来、コラーゲン線維はしなやかな弾力を持っていますが、糖化によって「AGEs(最終糖化産物)」という老化物質が蓄積すると、まるでホットケーキの表面がこんがりと固くなるように、肌のしなやかさや弾力が失われます(文献4)。
このように肌の奥(真皮層)のクッションが柔軟性を失って弾力がなくなることで、ゴワつきや深いシワ、たるみを引き起こす原因になります。
肌の糖化を引き起こす「AGEs(終末糖化産物)」とは?原因と対策を詳しく解説しています。
「肌にハリがある」状態とは、真皮層において線維芽細胞が活発に働き、質の良いコラーゲンが豊富に存在してしっかりと肌を支え、エラスチンがその構造に弾力性を持たせ、さらにヒアルロン酸などの基質成分が水分を抱え込んで全体をふっくらと満たしている状態を指します。
| アプローチ | おもな手段 | 期待できること | こんな方に |
|---|---|---|---|
| セルフケア | レチノイド、糖化・UV対策、栄養 | 進行を抑える・土台を守る | まず自分でできることから |
| 土台から立て直す | ECM治療・肌育注射 | ECMそのものに働きかける | ハリ・肌痩せを内側から |
| 機器で刺激する | HIFU(ハイフ)、ダーマペン | 引き締め・コラーゲン刺激 | たるみにも |
4-1. スキンケアの基本
スキンケアの基本は、肌のバリア機能を守り、うるおいを保持すること。そして、ハリ不足に特化した成分を効果的に取り入れること。
4-1-1. レチノイドの効果|肌のハリ改善とトレチノインの使い方
レチノイド(トレチノイン等)は抗加齢治療のゴールドスタンダードとされ、シワやたるみの治療に広く用いられています。
トレチノイン(レチンA)外用は1970年代にニキビ治療に使われ始めましたが、その後の研究で表皮のターンオーバー促進や真皮コラーゲンの新生効果が確認され、光老化の治療薬として位置付けられるようになりました。
ドラッグストアなどで入手しやすい成分にレチノールがありますが、レチノールは作用が弱いので、エイジングケアとしては推奨できません。
レチノイドは医学的エビデンスが確立したハリ改善の第一選択であり(文献8)、医師の指導の下での使用が推奨されます。
当院のレチノイド療法の全体像や製剤の選び方については、レチノイド療法(外用薬・施術)について:レチノイド総合案内をご覧ください。
4-1-2. なぜ保湿ケアは必要か?
保湿の目的は、角層の水分量と皮膚バリア機能を維持することです。乾燥によって経皮水分蒸散(TEWL)が増加すると、角層の柔軟性が低下し、小ジワやハリ低下が目立ちやすくなります。適切な保湿は、このような乾燥による見た目の変化を防ぐ基本的なスキンケアです。
4-1-3. ワンランク上のケアを目指す!
⚪️コラーゲン産生を助けるビタミンC誘導体
ビタミンCはコラーゲンの合成に必須の栄養素であり、抗酸化作用も持ち合わせます。肌への浸透性と安定性を高めたビタミンC誘導体は、メラニンの生成を抑える効果も期待でき、ハリと透明感の両方にアプローチできます。(→ビタミンCジェルについて詳しく見る)
⚪️シワ改善にも期待できるナイアシンアミド
ナイアシンアミド(ビタミンB3)は、コラーゲン産生促進やバリア機能改善、シワ改善効果が報告されている注目の成分です(文献9)。(→ダームエデン美容液について詳しく見る)
⚪️エイジングケア注目の「ペプチド」
化粧品に配合される特定のペプチド(シグナルペプチドなど)は、細胞に特定のシグナルを送り、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸といった真皮の主要成分の産生を促進する働きが期待されています。 これにより、肌の内側からハリや弾力を高める効果が期待できます。 (文献10)。(→リジェニン・ブースターについて詳しく見る)
4-1-4 徹底的な紫外線対策で未来の肌を守る
紫外線は肌のハリを奪う最大の外的要因です。「光老化」を防ぐために、一年中、天候に関わらず紫外線対策を徹底しましょう。
◉曇りの日も室内でも油断禁物: UV-A波は雲や窓ガラスを透過して肌の奥深くまで到達します。室内でも窓際にいる場合は対策が必要です。
◉日焼け止めの正しい選び方と使い方: 日常生活ではSPF30、PA+++、屋外での活動時間が長い場合はSPF50+、PA++++など、シーンに合わせて選びましょう。重要なのは、十分な量をムラなく塗り、屋外での活動が続くなら2時間おきに塗り直すことです。
◉帽子や日傘など、物理的な遮断も効果的: 日焼け止めと併用することで、より効果的に紫外線を防ぐことができます。
4-2. 身体を内側から整える食生活
食事だけで肌のハリを改善することは期待できません。 しかし、栄養不足や偏った食生活は皮膚の健康を損なうため、バランスの良い食事は肌の土台を維持するうえで重要です。
サプリ・食事でコラーゲンを増やす方法については解説記事「肌のコラーゲンを増やす方法」もあわせてご覧下さい。
4-3. 生活習慣の乱れが招くハリ低下(睡眠不足、喫煙など)
日々の生活習慣の乱れも、肌のハリに深刻な影響を与えます。
睡眠と成長ホルモン、ターンオーバーの関係
睡眠不足が続くと、成長ホルモンの分泌が減少し、コラーゲンの産生や修復が十分に行われなくなります。その結果、肌のハリが失われます(文献5)。
喫煙によるビタミンC消費と活性酸素
研究によれば、喫煙者の皮膚では非喫煙者に比べてコラーゲンの産生が低下し、分解酵素の産生が増加することが報告されています(文献6)。
4-4. 表情筋トレーニングと有酸素運動で肌の土台をサポート
◉表情筋トレーニング?: 表情筋の衰えが直接的に真皮のコラーゲン量に影響を与えるという医学的エビデンスは現時点では明確ではありません。
しかし、加齢などで表情筋が萎縮したり、筋力が低下したりすると、その上にある皮膚や脂肪組織を適切に支える力が弱まります。結果としてハリがないように(ハリ感が低下したように)見えます(文献7)。
◉有酸素運動は効果的?: ウォーキングなどの有酸素運動や筋力トレーニングで皮膚の弾力性や真皮の構造が改善することが報告されています(文献11)。
エクササイズが肌に及ぼす影響については、解説記事「有酸素運動で肌がきれいになるって本当? 」で説明しています。
4-5. その他
◎摩擦などの肌への過度な刺激を避ける
◎無理なダイエットが肌に与える影響: 急激な体重減少や栄養不足は、肌のハリを支えるために必要な栄養素が不足し、肌のしぼみやたるみを招くことがあります。無理なダイエットは禁物です。
◎美容家電(LED、EMSなど)の活用: LEDもEMSもどちらもエビデンスはありますが、美容家電としてのLED、EMSが有用かどうかは別の問題です。過度に期待することなく、各機器の説明書をよく読んで判断して下さい。
年齢とともに痩せてしまった肌の土台である細胞外マトリックス(ECM)に、単に材料を届けるだけでなく、肌のハリを生み出す「線維芽細胞」や「幹細胞」が最も活動しやすい理想的な生存環境(マトリックス)を整え、その働きを最大化させるのが細胞外マトリックス(ECM)治療です。
「全体的に顔がコケて影が気になる」「肌が薄くなってハリが出ない」といった、肌痩せやしぼみ感に根本からアプローチしたい方にとって、効果的な選択肢となります。
具体的な治療内容については解説記事「ECM治療 | 肌育注射」で詳しくご紹介しています。また、この治療が肌の奥でどのように働くかという詳しい仕組みについては、「ECMリモデリング」の解説をご覧下さい。
6-1. HIFU(ハイフ)|肌質改善のエビデンスとコラーゲン修復
高密度焦点式超音波(High-Intensity Focused Ultrasound)を用い、皮膚の深層にあるSMAS筋膜や真皮層に熱エネルギーを与え、コラーゲンの収縮と産生を促します。
【HIFUの新たな可能性?】紫外線ダメージで変性したコラーゲン配列を正常に戻す研究報告
HIFUは主にたるみ治療に用いられますが、近年、肌質の改善にも寄与する可能性が示唆されています。
2022年に発表された動物実験(マウス)の研究では、紫外線によってダメージを受け、配列が乱れてしまった皮膚のコラーゲン線維が、HIFUを照射することによって、より正常に近い規則正しい配列パターンに再構築されることが報告されました(文献13)。
これは、HIFUが単にコラーゲンを「増やす」だけでなく、紫外線ダメージによって「変性したコラーゲンの質的な改善」にも貢献しうる可能性を示唆しています。
まだ動物実験の段階であり、ヒトでの効果はさらなる検証が必要ですが、HIFUが光老化によって損なわれた肌の根本的な構造を修復するエイジングケア治療となる可能性を秘めているかもしれません。 →ハイフ(ウルトラフォーマーMPT)について詳しく見る
6-2.フラクショナルレーザー
コラーゲン生成促進 皮膚に微細な熱ダメージを与えることで創傷治癒反応を引き起こし、コラーゲンやエラスチンの再構築を促します。肌のハリ、毛穴の開き、小ジワなどの改善が期待できます。→炭酸ガスフラクショナルレーザー(スマートサイドスクエア)について詳しく見る
6-3.ダーマペン|肌のハリへの効果とニキビ跡治療
「コラーゲン誘導療法」とも言われ、日本では2000年代後半に最初はダーマローラー(極細針が多数付いた手動ローラー)として導入され、2010年代後半からは電動式のダーマペンが登場し、美容クリニックで毛穴、ニキビ跡治療として、またエイジングケアとして使われています。→ダーマペンについて詳しく見る
この章では、ご自身に合ったハリケアを見つけ、効果的に実践していくための具体的なステップをご紹介します。
7-1. 原因を理解することから始めよう
まず最も大切なのは、ご自身のハリ不足が主に何によって引き起こされているのか、その原因を冷静に分析し理解することです。
例えば、「日焼け止めを塗る習慣があまりない」、「保湿ケアは化粧水だけで済ませてしまうことが多い」、「甘いものや炭水化物が大好き」、「睡眠時間が不規則で短い」など、ご自身の生活習慣やスキンケアを振り返り、思い当たる原因をピックアップしてみましょう。原因が明確になることで、対策の優先順位が見えてきます。
7-2. できる対策から一つずつ取り入れる
原因の見当がついたら、次は対策です。しかし、一度に全ての対策を完璧に行おうとすると、負担が大きくなり長続きしません。大切なのは、ご自身にとって無理なく「これならできそう」と思える対策から一つずつ、確実に取り入れていくことです。
例えば、紫外線対策であれば、「まずは毎日、顔と首に日焼け止めを塗ることから始める」、乾燥対策であれば、「今使っている化粧水に加えて、保湿効果の高い乳液・クリームをプラスしてみる」など、具体的な行動目標を立てると良いでしょう。
7-3. 専門家(美容皮膚科医など)への相談も視野に
セルフケアだけではなかなか改善が見られない場合や、より積極的なケアを求める場合は、美容皮膚科医などの専門家に相談してみてはどうでしょうか。
ただし、美容医療は効果が期待できる反面、リスクやダウンタイムも伴います。どのような治療が自分に適しているのか、費用はどのくらいかなど、納得いくまで説明を受け、信頼できる医師のもとで治療を選択することをお勧めします。
まとめ:今日から始めて、弾むようなハリ肌を手に入れよう!
「昔のようなハリはもう戻らないのでは…」と諦めかけていた方もいらっしゃるかもしれませんが、この記事を通して、「肌のハリ」は正しい知識と適切なケアによって取り戻せる可能性があることをご理解いただけたのではないでしょうか。
ご自身の肌状態とハリ不足の主な原因を把握し、日々のスキンケアや生活習慣を見直すことが、ハリを取り戻すための大切な第一歩です。そして、レチノイドやビタミンC誘導体といった有効成分を取り入れたり、紫外線対策を徹底したりと、できることから一つひとつ実践していくことが重要です。
しかし、セルフケアだけでは改善が難しい、あるいはより早く確実な効果を実感したいという方もいらっしゃるでしょう。そのような場合は、ぜひ美容皮膚科にご相談ください。自己判断でのケアは、時に遠回りになってしまうこともあります。
当クリニックでは、お一人おひとりの肌質やお悩みを丁寧にカウンセリングし、医学的根拠に基づいた診断のもと、あなたに最適な「肌のハリ」改善プランをご提案いたします。あなたの「ハリを取り戻したい」という想いに、全力でお応えします。本格的な治療をお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。
当記事についてのご質問やご相談は、LINEからお気軽にお寄せ下さい。
(参考文献)
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8) Retinoids in the treatment of skin aging: an overview of clinical efficacy and safety
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11) 筋力トレーニングが美肌に貢献することを世界で初めて報告
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https://www.ritsumei.ac.jp/news/detail/?id=3229
12) Short-term skin reactions and changes in stratum corneum following different ways of facial sheet mask usage
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13) Rejuvenation of photoaged aged mouse skin using high-intensity focused ultrasound
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2022;75(10):3859-3868
制作・執筆:坂田修治(医師:美容外科・美容皮膚科 青い鳥 院長)
(最終更新日:2026年7月8日)






