私が子供の頃は、虫歯のない子供の方が珍しく、毎年の学校検診が終わると皆いっせいに歯医者さんに通院したものでした。ところが最近では子供の虫歯は劇的に減っています。
それとまったく正反対に激増中!なのが・・・近視です。
都内のある有名中学では、生徒の95%が近視だとか。この現象は日本特有ではなく、世界的にも近視は増えており、アジア諸国ではパンデミックの様相を呈しています。
メガネやコンタクトで視力を矯正すれば日常生活に支障がなく、またそれ以上問題にはならないと思われてきたこともあって、近視はこれまで軽視されてきました。しかし実際には、重度の近視は大人になっても進行して、網膜剥離などの眼疾患も引き起こし、失明の原因にもなります。日本以上に若年者の近視が問題になっている中国では、いずれ近視が失明原因のトップになることが確実視されています。
近視が爆発的に増えている背景には、現代社会の生活習慣があるようです。中高年の方なら、自分たちの頃と比べ今の子どもたちの生活が圧倒的にインドアになっていることにお気づきでしょう。
近視は、本来球形であるはずの眼球が扁平化してしまって、目に入ってくる光の焦点が合わなくなる疾病。こうした眼球の変形を防ぐには、太陽光に含まれるバイオレットライト(紫色の波長の光)が必要ですが、室内にはバイオレットライトは存在しません。実際に1日2時間の屋外活動で近視の進行が止められることが臨床試験で実証されています。
バイオレットライトの作用機序の研究からは、クロセチンというクチナシの花など植物に含まれる黄色の色素は、内服するとバイオレットライトを浴びるのと同じ効果を発揮することが見出されていて、すでにいくつものメーカーからサプリメントとして発売中です。
臨床試験では子供には1日7.5mgのクロセチンで近視の進行が抑制されたのですが、それを踏まえて製品化しているのが、ロート製薬。子供用に飲みやすい形状ですから、近視が進行しているお子さんにおすすめです。
私自身はDHCから出ているサプリメントを利用しています。メーカーは1日2錠(11mg)を推奨しています(私は自己判断で1日4錠!)。ドラッグストアには置いていないので、ネットで買っています。私のように、いまだに運転免許の更新の際の視力検査にびくびくしている方に強くおすすめします。
*本記事は第20回日本抗加齢医学会総会での講演に基づいて作成しました。
(メルマガ10月8日号を加筆修正)