2021.08.31更新

 

皮膚の老化の8割は紫外線が原因」――この衝撃的なフレーズを耳にしたことがある方は多いでしょう。

しかし、この「皮膚の老化の8割は紫外線が原因」説、その根拠は一体どこにあるのでしょうか?長年、多くの専門家が引用しながらも、出典が不明確だったこの説。

本記事では、その起源を巡る探求の物語と、紫外線が皮膚の老化に与える影響、そして皮膚の老化防止のために私たちができることについて解説します。


肌の老化の80%は光老化

1 紫外線が引き起こす「光老化」とは?シワ・たるみ・シミの原因

まず基本的な事実として、紫外線が皮膚の老化の主要な原因であることは広く知られています。太陽光に含まれる紫外線(特にUVAとUVB)は、皮膚の深層部にまで到達し、コラーゲンやエラスチンといった肌のハリや弾力を保つ線維を破壊・変性させます。

▶ECM(細胞外マトリックス)製剤は、コラーゲン・エラスチンの合成促進を目的とした治療


スネコスプロファイロ



これにより、シワたるみシミといった皮膚の老化のサインが現れます。

▶シワ、たるみ、シミに対する標準治療


表情ジワ治療の代名詞 ボトックス・ゼオミン

切らないたるみ治療の王道 サーマクール

シミ取りの標準治療 Qスイッチレーザー



この紫外線による老化現象は「光老化」と呼ばれ、加齢による自然な老化とは区別されます。日常的に紫外線を浴びることで、光老化は着実に進行していくのです。


2 「皮膚老化の8割は紫外線」の根拠はどこから?出典を調査

ある高名な皮膚科教授の講演で、よく学術論文で引用される「皮膚の老化の8割は紫外線が原因」というフレーズに話が及びました。

教授が疑問に思ったのは、多くの文献では明確な出典が示されていないこと。そこで教授は自分で調査したのですが、見つかったのは、皮膚ガンの原因の8割が紫外線という文献で、もしかしたらこれが皮膚の老化の話にすり替わったのではないかと推測されていました。

肌老化80%説の出典は医学誌「NEJM」

この話が妙に心に残り、私も文献を読んでいて「皮膚の老化の8割は紫外線が原因」というフレーズを見つけるたびに、参考文献まで辿ることが習慣になりました。

そして、数年かかって、ついに「皮膚の老化の8割は紫外線が原因」の出典は、医学界のトップジャーナルである ニューイングランドジャーナル (NEJM) であることを発見したのでした。

本当のところは?ヨーニ・ウイト教授の「見識」

「皮膚の老化の80%は紫外線が原因」という記述は、臨床研究の結果ではなく、この権威あるジャーナルのエディトリアルで "anecdotally"(科学的根拠は薄いが、経験上そう思われる)という断り書き付きで述べられていました。

エディトリアルというのは、同じ号に掲載されている医学研究に関連して、編集部からその分野を代表する専門家にお願いして書いてもらう解説記事。

つまり、「皮膚の老化の80%は紫外線が原因」は、厳密な研究データに基づく数値ではなく、その方面の世界の第一人者の「見識」だったのです。(*文末に紹介あり)



3 皮膚老化防止のために:データから見る紫外線対策と予防

皮膚の老化の80%は予防できる


「皮膚の老化の8割は紫外線が原因」における8割という具体的な数値に厳密な科学的データがないとしても、紫外線が皮膚の老化の最大の外的要因であることに変わりはないでしょう。多くの皮膚科学的研究が、紫外線暴露とシワ、シミ、たるみなどの皮膚の老化との強い関連を示しています。

したがって、「8割」という数字の真偽はさておき、皮膚の老化防止のためには、紫外線対策が極めて重要であるという事実は揺るぎません。日焼け止めの使用、帽子や日傘の活用、紫外線が強い時間帯の外出を避けるなど、日常的なケアが将来の肌を守る鍵となるのです。

▶日常的なケア


クリニック専売の日焼け止め UVプロテクトミルク

光老化は治療できる トレチノイン



また、もう一つ強調したいのは、皮膚の老化の「8割」は予防可能だと言うこと。しかも、美容医療に頼ることなく、自分のケアでコントロールできると言うことにぜひ皆さんも勇気づけられて下さい。


4 まとめ

◉「皮膚の老化の8割は紫外線が原因」という説は、厳密な研究データではなく、権威ある医学誌の論説における経験的な見解として広まったものでした。しかし、この説の起源がどうであれ、紫外線が皮膚の老化(光老化)の主要な原因であることは広く認められています。

◉皮膚の老化防止のためには、紫外線対策の重要性を理解し、日々のUVケアを実践することが何よりも大切です。日焼け止めを塗る、帽子をかぶるなどの基本的な対策が、健やかで若々しい肌を長く保つための最も効果的な方法と言えるのです。

◉皮膚の老化は、スキンケアで予防できるのです。



(参考文献)
Understanding Premature Skin Aging
Uitto J.
N Engl J Med.
1997;337(20):1463-1465


「皮膚老化の8割は紫外線」の発信源ヨーニ・ウイト(Jouni Uitto)教授について
ヨーニ・ウイト(Jouni Uitto)教授(1943年9月15日 – 2022年12月17/19日)は、1997年の ニューイングランドジャーナル (NEJM) 論説発表当時、ジェファーソン医科大学(トーマス・ジェファーソン大学)の皮膚科学・皮膚生物学科教授兼学科長、および生化学・分子生物学教授。結合組織生物学、分子遺伝学、そして皮膚老化の研究において国際的に認知された第一人者であり、コラーゲンやエラスチンなど皮膚の結合組織生化学と分子生物学の分野で業績を残し、特に遺伝性皮膚疾患や皮膚の老化に関する研究で世界的に著名でした。生涯で1,100編以上の学術論文(査読付き論文776編を含む)を発表し、総被引用数は7万件を超えるとも推定される非常に影響力の大きい科学者でした。

1997年に ニューイングランドジャーナル (NEJM) に寄稿した総説「Understanding premature skin aging(皮膚の早期老化の理解)」では、紫外線による真皮コラーゲン線維の損傷や異常なエラスチン蓄積(いわゆる日光弾性変性)が、自然老化とは異なる皮膚老化像をもたらすことを解説しました。この論考は、同号に掲載されたG.J.Fisherらの研究(紫外線による皮膚の分子病理pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)を踏まえ、光老化の分子基盤を総括したもので、美容皮膚科学の観点からも極めて示唆に富む内容でした。

ヨーニ・ウイト(Jouni Uitto)教授は2022年12月、79歳で逝去されましたが、晩年まで研究と教育への情熱は衰えず、亡くなる年まで継続して論文を発表し続けていました。教授の死に際し、各国の皮膚科学会からは追悼記事が発表されました。

 

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制作・執筆:坂田修治(医師:美容外科・美容皮膚科 青い鳥 院長)
(最終更新日:2025年5月12日)

投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥

2018.10.09更新

なぜヒゲ剃りで肌が傷つくのか?銅線と同じ硬さのヒゲを柔らかくする科学

男性のスキンケアにおいて、「ヒゲ剃り」は大きな問題です。

電動シェーバーを使うにせよカミソリを使うにせよ、どうしても皮膚がダメージを受けることが避けられません。皮膚の表面の角質が傷つけられ、バイア機能が障害されて、ドライスキン、肌荒れの原因となります。男性は女性に比べ皮脂の分泌は多いのですが、テカテカしながらも乾いているというのが男性素肌の実態です。

できるだけ肌にダメージを与えずにヒゲを剃ることが、男性スキンケアの第一関門なのです。

ヒゲというは大変丈夫にできていて、同じ太さの銅線と同じくらいの強度があります。ただし毛の構造蛋白であるケラチンは高い親水性があり、水を吸収すると柔らかくなって、軽い力でも剃れるようになります。

 

髭剃りは2分待て!


(文献1参照)

縦軸はヒゲをカットするのに必要な力、横軸は保湿時間です。
最初の2分で急激にヒゲは柔らかくなり、4分を過ぎるとあとは変わらないことがわかります。

強い力で剃れば剃るほど皮膚の表面は傷つけられてしまいます。シェービングフォームをつけたら必ず2分待ちましょう。どんなシェービングフォームを選ぶかより、ヒゲが柔らかくなるまで待つことが大切です。


▶男性向けのスキンケア:


塗るだけの毛穴・ニキビ跡ケア タザロテン

髭剃り後の保湿ケア ADパーフェクトバリア



(参考文献)
1) Male skin and ingredients relevant to male skin care.
Draelos ZD
Br J Dermatol
2012;166(suppl1),13-16

 

 

 

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制作・執筆:坂田修治(医師:美容外科・美容皮膚科 青い鳥 院長)
(最終更新日:2026年2月1日)

投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥

2018.10.07更新


MSMサプリメント

「MSM」という成分を、サプリメントなどで見かけたことはありませんか?

「お肌に良いらしい」、「関節にも効果があるって聞くけど…」、そんな風に気になっている方も多いのではないでしょうか。

以前、お客様からMSMについてご質問をいただいたことをきっかけに記事にしたのですが、予想外に多くの方に読まれる記事だったので、改めて最新の情報を集めて、書き直すことにしました。


1 MSMとは?コラーゲン生成に関わる「有機硫黄化合物」の正体


MSM(メチルスルフォニルメタン)とは、実はとても身近な物質です。

◉自然界に存在する「有機硫黄化合物」
MSMは、野菜や果物、牛乳など多くの食品に微量ながら含まれている、天然の栄養成分です。

◉美容に不可欠な「硫黄」の供給源
⚪️私たちの体内では、カルシウムやリンに次いで4番目に多いミネラルが「硫黄」です。MSMは、この硫黄を体に補給してくれる重要な存在。特に、肌のハリを支えるコラーゲンや、髪・爪の主成分であるケラチンなど、美容に欠かせないタンパク質を作るために不可欠です。


2 MSMの効果の鍵は「抗炎症」と「抗酸化」。老化と肌荒れを防ぐ仕組み

MSMが注目される理由は、その優れた「抗炎症作用」と「抗酸化作用」にあります。

ポイント1:内側から炎症をブロック!「抗炎症作用」(文献1)

肌荒れやニキビ、そしてシミやシワといった肌の老化。これらの肌トラブルの根本には、体内で起こる「炎症」が深く関わっています。

私たちの体には、炎症を引き起こす炎症の司令塔(NF-κB)ともいうべきスイッチのようなものがあります。このスイッチがONになると、炎症を促進する物質(サイトカインなど)が次々と作られ、肌トラブルや体の不調につながります。

MSMは、この「炎症の司令塔」のスイッチをOFFにする働きを持っています。つまり、炎症が起こる大元にアプローチすることで、肌トラブルを未然に防ぎ、健やかな状態に導いてくれるのです。

【関連施術】繰り返すニキビ・肌荒れを改善するケミカルピーリング


ポイント2:体の"サビつき"を防ぐ!「抗酸化作用」(文献2)


呼吸するだけで発生し、紫外線やストレスでさらに増える「活性酸素」は、体を鉄のようにサビつかせ、細胞にダメージを与えて老化を促進させる原因です。



MSMは、活性酸素を直接攻撃するわけではありませんが、私たちの体に元々備わっている”サビつきを防ぐ力(抗酸化酵素)”をパワーアップさせてくれます。



これにより、体全体の抗酸化力を底上げし、活性酸素のダメージから肌や体を守ってくれるのです。





3 MSMはサプリメント摂取がおすすめ?気になる副作用と安全性?


MSMは食品にも含まれますが、その量はごくわずか。美容や健康への効果を実感できるほどの量を食事だけで摂るのは、残念ながら現実的ではありません。

MSMは、もともと工業用溶剤の研究過程で、その代謝物として発見されました。研究を進める中で、無臭で体に有益な作用があることが分かり、1980年代には美容効果に関する特許も取得されています。



現在、サプリメントとして流通しているMSMは、高純度に精製されたもので、その安全性は米国食品医薬品局(FDA)によっても「一般的に安全と認められる物質(GRAS)」として認定されています。副作用の報告もほとんどなく、安心して摂取できる成分です。




4 【お悩み別】MSMサプリに期待できる4つの効果



MSMは、その多様な働きから、様々なお悩みにアプローチできます。



Case 1:関節の動きをスムーズにしたい、アクティブに過ごしたい方(文献3)


MSMの抗炎症作用は、関節の健康維持にも役立ちます。変形性関節症の痛みやこわばりを和らげたという臨床試験の結果も多数報告されています。


⚪️ 階段の上り下りなど、関節の動きが気になる

⚪️運動後の筋肉や関節の痛みを軽減したい





Case 2:美肌を目指したい方(シワ・ハリ・弾力不足)(文献3)



MSMはコラーゲンの生成をサポートするため、内側からふっくらとしたハリと弾力のある肌を目指せます。



【関連施術】肌細胞に直接働きかけ、コラーゲン・エラスチンを増生する「プロファイロ」、「マッサージピール

⚪️ 肌のハリや弾力が欲しい

⚪️乾燥による小ジワが気になる

⚪️内側から輝くようなツヤ肌になりたい





Case 3:健康で美しい髪と爪を育てたい方(文献3)



髪や爪の主成分は「ケラチン」というタンパク質で、その生成には硫黄が欠かせません。MSMで硫黄を補うことで、強くしなやかな髪と爪を育むサポートができます。



⚪️ 髪にハリやコシがなくなってきた
⚪️爪が割れやすい、薄い





Case 4:季節の変わり目などの不調が気になる方(文献3)



MSMには、アレルギー症状を緩和する効果も期待されています。研究では、季節性アレルギー性鼻炎の症状が軽減したという報告もあります。



⚪️季節の変わり目に肌がゆらぎやすい

⚪️花粉などのアレルギー症状に悩んでいる




5 美容皮膚科医の本音:MSMだけで「美肌」は作れるのか?

実際にはMSMはもっぱら整形外科領域での使用が一般的でグルコサミン、コンドロイチン硫酸に近い使われ方をするサプリメントと言えるでしょう。



「美肌効果」についてですが、特許取得にさいして申請理由に「皮膚の質感、テクスチャーの改善」が上げられていますが、美容皮膚科医として断言しますが、MSMで「美肌」というのはお勧めできるレベルではありません。




本気で肌質を変えたいなら、直接肌の再生を促す治療が近道です。

【関連施術】肌そのものを若返らせるサーモン注射「リジュラン
【関連施術】肌の入れ替えを行い、質感そのものを改善する「ダーマペン4


6 まとめ:MSMを上手に取り入れて、内側から輝く美しさを



今回は、注目の美容成分「MSM」について解説しました。



◎MSMはコラーゲンやケラチンの材料となる「硫黄」を補給する天然成分

◎「抗炎症作用」と「抗酸化作用」で肌や体の老化にアプローチ

◎食品から摂るのは難しいため、サプリメントでの摂取が効率的

◎肌、髪、爪、関節など、幅広いお悩みに対応



安全性も高く、副作用の心配もほとんどないMSMは、美容と健康の心強い味方です。ご自身の目的に合わせて、毎日のケアに取り入れてみてはいかがでしょうか。




【参考文献】



1) Methylsulfonylmethane: Applications and Safety of a Novel Dietary Supplement
Matthew Butawan, et al.

Nutrients

2017;9(3):290



2) Effects of Methylsulfonylmethane (MSM) on exercise-induced oxidative stress, muscle damage, and pain following a half-marathon: a double-blind, randomized, placebo-controlled trial

Eric D Withee, et al.

J Int Soc Sports Nutr

2017:14:24



3) Beauty from within: Oral administration of a sulfur-containing supplement methylsulfonylmethane improves signs of skin ageing

Neelam Muizzuddin & Rodney Benjamin

Int J Vitam Nutr Res

202l;92(3-4):182-191
 
 


 

 


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【参考文献】

1)  A moat around castle walls. The role of axillary and facial hair in lymph node protection from mutagenic factors
Svetlana V Komarova
Med Hypotheses
2006;67(4):698-701

2)  Hair or Bare?: The History of American Women and Hair Removal, 1914-1934
Kirsten Hansen
https://history.barnard.edu/sites/default/files/inline-files/Hansen_HairOrBare_2007.pdf

3)  A comparative clinical study of different hair removal procedures and their impact on axillary odor reduction in men
Anthony Lanzalaco, et al.
J Cosmet Dermatol
2015 Dec 10;15(1):58–65

4)  Characteristics of Axillary Odor in the Modern Japanese Female
Ayumi Kyuka, et al.
J Soc Cosmet Chem Jpn
2017;51(2):147-152



 
 

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制作・執筆:坂田修治(医師:美容外科・美容皮膚科 青い鳥 院長)
(最終更新日:2026年1月3日)

投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥

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