2022.04.06更新

コロナ禍で診療所の多くの診療科で患者数は減少しましたが、皮膚科では減少しておらず、マスク生活によって、新たな肌トラブルが起こっていることがうかがえます。それがマスクによる肌荒れ、ニキビ。

マスクを装着することで、肌にどんな悪影響を与えるか?結論から言うと、バリア機能崩壊による「乾燥」。

マスクで崩壊

マスクを着用すると、マスクにおおわれた肌では、皮膚温と湿度が上昇します。蒸れ蒸れになるわけですが、これが肌のバリア機能を低下させます。

なぜかというと、皮膚表面では、細胞同士がピタッとくっついてバリアを形成しているのに、過湿により表面の細胞が膨張すると、細胞間の接着が弛んでしまうから。

長時間のマスクパックでも同じことが言えます。保湿は大切ですが、過湿には要注意なのです。

ここでひとつ訂正があります。私はメルマガで「マスクをしているときは蒸れているというのに、それがバリア機能を崩壊させ、マスクを外したら、一気に乾燥する・・。」と書きました。

しかし、韓国の研究者が発表した論文によると、とくに口まわりの皮膚では、マスクの装着中から保水量は減少していました。蒸れているようで、皮膚は乾燥しているらしい。ここにお詫びして訂正させていただきます。


さて、もうひとつの問題「ニキビ」。

マスクを着用すると、皮膚温が上昇するため、皮脂の分泌が亢進して、これがニキビの原因になります。しかもマスク内だけでなく、おおわれていない額でも皮脂が増えるため、ニキビができてしまいます。

マスクでできたニキビの治療も従来のニキビ治療と変わりありませんが、以前は使用できた薬剤に刺激を感じる患者さんが増えているとか。皮膚のバリア機能が低下して、「敏感肌」になっているのです。

マスクの肌荒れ対策としては、保湿が重要とされていますが、同時にマスクで密封された状態では、かぶれが誘導されやすいことも指摘されています。またウレタンマスクの方が肌にやさしいようですが、感染効果が落ちないようにその上から不織布マスクをすると、ますます蒸れ蒸れになってバリア機能が壊れそう・・

人前に出るときは社会規範としてマスクが必要ですが、近くに人がいない中で仕事しているときなど、マスクが本当は意味のないシチュエーションも多いはず。そういうときは肌をいたわるためにも外して、お肌を休ませてあげてはいかがでしょうか。


(参考文献)

1)Effect of face mask on skin characteristics changes during the COVID-19 pandemic
Park SR,et al.
Skin Res Tcchnol
2021;27(4):554-559

2)Long-term effects of face masks on skin characteristics during the COVID-19 pandemic
Park SR,et al.
Skin Res Tcchnol
2022;28(1):153-161

3)新しい生活様式 スキンケアはどう変わる
川島眞、他
ベラペレ
2022;7(1):69-72





 

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投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥