ニキビ治療薬ディフェリンでエイジングケア
エイジングケアとして始めたトレチノインが刺激的すぎて、お肌がかえって荒れてしまっていませんか?
エイジングケア目的なら、ずっと長く使い続けられるものが必要です。米国FDAが承認しているレチノイドの中で、アダパレン(ディフェリン)はマイルドな効果で、もっとも続けやすいと評価されています。
日本でもディフェリンは2008年以降ニキビ治療に使われいるので、ご存じの方も多いはず。
結局、使い続けられるのものが一番効果的。
皮膚科で「ディフェリンだけ下さい!」と言えない弱気な方も、こちらでお求め下さい。
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光老化に対するアダパレン(ディフェリン)のエビデンス
- 米国FDAには、アダパレン(ディフェリン)は光老化では承認されていませんから、承認されているトレチノインやタザロテンに比べたら、エビデンスが足りない考えられがちですが、ハイレベルなジャーナルの文献が揃います。
- 皮膚科のトップジャーナルに掲載された文献では、0.1%、0.3%ゲルが使われ、どちらでもシミ、小ジワ、全体の印象において、ほとんど変わらない効果を発揮しています。刺激反応、つまりは使いやすさを考えると、0.1%ゲルで長く続けることが、ベストな使用法と言えるでしょう。もし、効果が落ちて感じられたりすることがあれば、0.3%へ変更すれば十分です。
こんな方におすすめ
- 1.お肌のエイジングケアに取り組みたい
- 2.肌のざらつき、毛穴、シミ、くすみ、シワが目立つ
- 3.トレチノインに挫折した
院長コラム
日本では、とくに美容に積極的な人々の間でトレチノインを主成分とするコスメ(ゼオスキン、メラフェード)が人気を集めています。
基本的にはコスメですから、好きなものを使えばと思いますが、トレチノインの刺激反応で皮剥けしたり、赤くなっている人を見ると、本人は納得しているのでしょうが、荒らされている肌が気の毒でなりません。
トレチノインに代わるものがなければ、うまく刺激反応をコントロールして使うことを指導しますが、トレチノインに代われるレチナールが登場した今となっては、レチナールへの変更をおすすめします。
レチナールと聞いても、レチノールの誤植と思う方もきっと多いでしょう。レチナールが登場したことのインパクトは正当に理解されず見過ごされているようです。
とはいえ、私も最初はわからなかったので、何も言えません。ことの始まりは、一通のファックス。それはダーマペンの取扱代理店からで、レチナールのコスメの販売開始を伝えるものでした。スタッフから自分たちで使いたいから取り寄せられないかと言われたことから、レチナールについて調べはじめました。
レチナールは天然レチノイドのひとつでトレチノインの前駆体。レチナールを塗ると皮膚の細胞内でトレチノインに変換されて作用するため、その効果は質的にトレチノイン製剤と同じです。トレチノインよりはマイルドな効き目になりますが、その分刺激反応もずっとマイルドなので、継続して使えて、結局はトレチノインを使うより、肌への効果が期待できます。
なぜこれまでレチナールがなかったかというと、コスメの成分としては不安定で製剤化が難しかったから。レチナールの臨床研究ではアベンヌの製品が使われることが多いのですが、日本では入手困難なようです。
トレチノインの方が効果が強いので、レチナールへの乗り換えに抵抗がある人もいるでしょう。ただトレチノインにしてもレチナールにしても最終目的はエイジングケアのはず。あなたにはまだ何十年も人生が残っています。長距離走と同じで、走り抜くためには、ペース配分が大切。トレチノインのように最初から全力で飛ばしたらすぐにバテて完走できません。長く続けられるものが結局は効果的なのです。
アダパレン(ディフェリン)の使い方
はじめの1ヶ月
夜の洗顔後、水分をよく拭き取ってから、最初に使います。
目、口周辺をさけてお顔全体に塗ります。
2ヶ月目以降
刺激症状が収まっていたら、夜1回から朝、夜の1日2回に増やします。お顔全体に塗って下さい。
念のため、昼は日焼け止めをお使い下さい。
刺激反応への対策
アダパレン(ディフェリン)を使い始めて数日すると、多くの方で刺激反応が出現します。
刺激反応には
- 赤み
- 皮むけ
- ヒリヒリ感
- 乾燥
があり、これらは使用を中止してしまう原因になります。
対策としては
- 必ず保湿剤を併用する
- 塗る量を減らす
- それでも収まらなければ、1日おき、または週に2回にする
など、お肌を慣らしながら使用を続けます。
この反応は、1〜2週間すれば自然になくなります。収まったら、通常通りの使用方法にします。
価格表
アダパレン(ディフェリン) | 価格(税込) |
---|---|
0.1%ゲル | 1,980円 |
0.3%ゲル | 準備中 |
*当院では保険診療は行っていません。自由診療で全額自己負担になります。
その他のレチノイド療法
よくいただくご質問
刺激反応について
アダパレン(ディフェリン)の代表的な作用が皮膚のターンオーバーの促進ですが、刺激反応とはそれが極端に現れた症状です。皮膚には耐性が生じるので、1,2週間で症状は収まります。もしまったく刺激症状がない場合は、濃度が低いことも考えられます。
アダパレン(ディフェリン)にはどんな作用がありますか?
アダパレン(ディフェリン)は、第3世代レチノイドで
1)表皮での新陳代謝促進
2)真皮でのコラーゲンの増生と分解の抑制
3)紫外線の悪影響の抑制
などの作用があります。
アダパレン(ディフェリン)は、第3世代合成レチノイドです。
レチノイドは細胞の核内にあるレチノイド受容体に結合して、さまざまな作用を及ぼします。天然型のトレチノインは、すべての受容体に結合し広範な作用を発揮します。アダパレン(ディフェリン)は、選択的に皮膚にある受容体をメインに結合します。
こうした選択的な受容体との結合が、副作用の軽減、使用する上での安全性に寄与していると考えられています。
妊娠、授乳中について
妊娠している、妊娠しているかもしれない、または妊娠を希望して治療をしている方は使用しないで下さい。妊娠中の使用に関する安全性は確立していません。
授乳中には使用しないことが望ましいですが、やむを得ず使用する場合は、授乳を避けて下さい。母乳への移行についてはわかっていません。
参考文献
1)Adapalene
Tolaymat L,et al.
StatPearls
2022 Jan 4
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK482509/
2)Assessment of adapalene gel for the treatment of actinic keratoses and lentigines: a randomized trial
Kang S,et al.
J Am Acad Dermatol
2003;49(1):83-90
3)Clinical efficacy of adapalene(Differin) 0.3% gel in Chilean women with cutaneous photoaging
Herane MI,et al.
J Dermatolog Treat.
2012;23:57-64
4)Comparable efficacy of adapalene 0.3% gel and tretinoin 0.05% cream as treatment for cutaneous photoaging
Bagatin E,et al.
Eur J Dermatol.
2018;28(3):343-350
ディフェリンのエビデンス(Tweet集)
- 100歳まで美肌を保つ法~ディフェリン(1)
ディフェリンが最初にニキビ治療薬として米国FDAに承認されたのは1996年。米国では、2016年から0.1%ゲルは薬局でも購入できる。0.1%クリーム、ローション、0.3%ゲルは処方箋が必要。
StatPearls 2022 Jan 4 (2022年3月7日)
- 100歳まで美肌を保つ法~ディフェリン(2)
ディフェリンは、第3世代合成レチノイド。合成レチノイドは、トレチノインの副作用を軽減させることを目指して開発されている。
StatPearls 2022 Jan 4 (2022年3月8日)
- 100歳まで美肌を保つ法~ディフェリン(3)
米国FDAに承認されたニキビ治療に使われるレチノイドは、ディフェリン、トレチノイン、タザロテン、トリファロテン。作用機序は、いずれもコメド(白ニキビ)の予防と抗炎症作用。
StatPearls 2022 Jan 4 (2022年3月9日)
- 100歳まで美肌を保つ法~ディフェリン(4)
米国FDAに承認されたニキビ治療に使われるレチノイドは、ディフェリン、トレチノイン、タザロテン、トリファロテン。ディフェリンは効果はもっともマイルドだが、もっとも使いやすい。
StatPearls 2022 Jan 4 (2022年3月10日)
- 100歳まで美肌を保つ法~ディフェリン(5)
ディフェリンは、他のレチノイドに比べ、物質としての安定性にすぐれている。そのため使用にさいし、日中紫外線を浴びても問題になることは少ないし、薬剤として過酸化ベンゾイルの配合も可能(エピデュオゲル)。
StatPearls 2022 Jan 4 (2022年3月11日)
- 100歳まで美肌を保つ法~ディフェリン(6)
ディフェリンの抗炎症効果は、ベタメタゾン吉草酸エステルクリーム(ステロイド)にも匹敵する。
StatPearls 2022 Jan 4 (2022年3月12日)
- 100歳まで美肌を保つ法~ディフェリン(7)
ディフェリンの米国FDAによる胎児に対するリスク分類はカテゴリーC。妊娠中はさけるべきとされる。
StatPearls 2022 Jan 4 (2022年3月13日)
- 100歳まで美肌を保つ法~ディフェリン(8)
日光角化症、日光性のシミへのディフェリン0.1%、0.3%ゲルの効果を調べた研究。使用法は、夜1回、洗顔後に豆粒大(a pea-sized)を顔全体に塗る、1ヶ月後に刺激反応が収まっていれば、2ヶ月目以降は夜にも塗る。
J Am Acad Dermatol
2003;49(1):83-90 (2022年3月14日)
- 100歳まで美肌を保つ法~ディフェリン(9)
光老化の症状である日光角化症へのディフェリン0.1%、0.3%ゲルの効果。0.3%ゲルは、9ヶ月間の使用で日光角化症(前癌病変)の数を減らした。
(補足:日光角化症に効果ないとした文献もある。)
J Am Acad Dermatol
2003;49(1):83-90 (2022年3月15日)
- 100歳まで美肌を保つ法~ディフェリン(10)
光老化の症状である日光性のシミへのディフェリン0.1%、0.3%ゲルの効果。数は変わらなかったが、色味は、0.1%、0.3%ともにおよそ60%の症例で改善した。
J Am Acad Dermatol
2003;49(1):83-90 (2022年3月16日)
- 100歳まで美肌を保つ法~ディフェリン(11)
光老化の症状へのディフェリン0.1%、0.3%ゲルの効果。効果があったのは
・斑状のシミ
・全体の印象
・小ジワ
・赤み
変わらなかったのは大ジワ。
J Am Acad Dermatol
2003;49(1):83-90 (2022年3月17日)
- 100歳まで美肌を保つ法~ディフェリン(12)
光老化症状へのディフェリン0.1%、0.3%ゲルの効果をみた研究。使い続けられるかは、0.1%、0.3%ゲルに差はなかったが、刺激反応の出現率は、0.1%ゲルで25%、0.3%ゲルで40%。
(補足:やはり濃度が高い方が大変。)
J Am Acad Dermatol
2003;49(1):83-90 (2022年3月18日)
- 100歳まで美肌を保つ法~ディフェリン(13)
南米チリの女性40人に0.3%ゲルを夜1回6ヶ月使用した研究。小ジワ、メラニン色素量、バリア機能、保水性が改善した。刺激反応から使用を中止したのは3名。
(補足:対象者はスキンタイプⅡ~Ⅲで、日本人と同様。)
J Dermatolog Treat.
2012;23:57-64 (2022年3月19日)
- 100歳まで美肌を保つ法~ディフェリン(14)
南米チリの女性40人に0.3%ゲルを夜1回6ヶ月使用した研究。自己診断としては、対象者の97%が、皮膚が柔らかくなったと回答した。
(補足:対象者は、いずれも経済的にコスメ、美容医療に無縁だった人たち。)
J Dermatolog Treat.
2012;23:57-64 (2022年3月20日)