2022.03.20更新

ニキビ治療薬であるディフェリンが、エイジング治療薬にもなるのはちょっと不思議に思うかもしれません。しかも、どちらでも第一選択という治療戦略上重要なポジションを占めています。

10代、20代のまだ「老化」を想像すらできない人たちがニキビ治療でディフェリンを使い、そして時が経って、「老化」に直面した頃に、また再びディフェリンのお世話になるというわけ。

ディフェリンという塗り薬は、第3世代合成レチノイドに分類されます。ちなみに合成レチノイドの最新事情を紹介すると、第4世代トリファロテンはニキビ治療薬として米国FDAが承認しています。第4世代で、まだ未承認ですが、注目はセレチノイドG。塗ってラップ巻いて密封療法のようにして使用しても刺激症状が出ないらしい、つまり無刺激。

そもそも合成レチノイドは、「刺激症状がなくて、効果はトレチノイン以上」を目標として、開発がすすめられています。「効果はトレチノイン以上」については、タザロテン、トリファロテンが、「刺激症状のない」ことではセレチノイドGが登場したので、あとはひとつで両方の条件を満たす製剤が誕生するかに期待が集まります。

さて、レチノイドを使った老化治療ということに話を戻すと、現状で米国FDAが承認しているのは、トレチノインとタザロテンのみ。残念ながらディフェリンは承認されてはいません。しかし、同じニキビに効くレチノイドですから、老化に効かないわけはなく、実際いくつか臨床試験も行われ、結果を残しています。

興味深かったのは、皮膚科のトップジャーナル(米国皮膚科学会の公式ジャーナル)。さすがに敷居が高いところはいい加減な言い方は許さないというか、光老化全体の治療とは認めず、その症状である前がん病変、シミの2つに対象を絞ってディフェリンの効果をみた臨床研究になっています。

FDAもまだ公式には老化を疾病とは認めていないので、米国皮膚科学会としても他の安っぽいジャーナル(?)みたいに、すぐに雑な言い方をして光老化に有効とは意地でも言わせたくなかったのでしょう。

このときの臨床試験での使用方法というのが、夜1回、洗顔後に豆粒大(a pea-sized)を顔全体に塗る、1ヶ月後に刺激反応が収まっていれば、2ヶ月目以降は朝にも塗るというもので、ディフェリンをエイジングケアとして使うならこの使用法をおすすめしたいと思います。

どこまでも慎重な姿勢を崩さない米国皮膚科学会にかわって、どこまでも軽い私に言わせてもらえれば、ディフェリンは光老化、つまりは肌の老化に効果的です。

レチノイドでしばしば問題になる刺激反応も、すでにニキビ治療薬として広く使われているのですから恐れる必要はありません。日本で唯一の厚労省承認のレチノイド・ディフェリンは30代、40代のエイジングケアとして第一選択です(更年期が視野に入ってきたらレチナールをおすすめします)。


 

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投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥