2025.11.18更新

ランニングでバストは垂れる？バストケアの真実

はじめに

「ランニングやジョギングをするとバストの形が崩れて垂れてしまうのでは？」、このような不安から、健康的な運動を避けている女性が少なくありません。

美容医療の専門家として、エビデンスに基づいた正確な情報をお伝えすることで、皆様が安心して健康的なライフスタイルを送れるようサポートしたいと思います。

ランニングでバストは垂れる？

バストの下垂が心配されるワケ

乳房は主に乳腺組織と脂肪組織で構成され、クーパー靭帯という結合組織によって支えられています。このクーパー靭帯は線維性組織で、一度伸びたり切れたりすると元通りにはなりません。

ランニングなどでバストが揺れると、このクーパー靭帯が伸びてしまいバストが下垂してしまうのではないかと心配されているのです。

バストの下垂のリスク要因

米国の形成外科医による大規模研究では、バストの下垂に影響を与える要因として以下が挙げられています（文献1）。

主要なリスク要因：
✅加齢
✅22.7キロ以上の大幅な体重減少
✅肥満
✅大きなブラサイズ
✅妊娠回数が多い
✅喫煙歴

この研究では、上半身の筋トレをしているかどうかは、バストの下垂のリスク要因にならないと明確に述べていますが、ランニングなどの有酸素運動が下垂の原因になるかどうかは言及していません。

エビデンスの現状

現時点では、ランニングのような活動が乳房の下垂を引き起こすことを実証したエビデンスは存在しません。

ランニングのような活動を行っている女性と行っていない女性において、乳房下垂に着目して前向きに追跡した縦断研究が存在しないため、因果関係の推論は不可能と言えます。

運動が及ぼすバストへの影響

最近の生体力学研究によると、ランニング時のバストへの機械的ストレスは、バストの体積と強い相関関係があることが分かっています。

具体的な研究データ（文献2）
◉多くの女性：ランニング時のバスト皮膚のひずみは60%未満
◉バストが大きい女性：最大93%のひずみが発生する可能性

この数値が意味するのは、バストが大きい女性の場合、ランニング時に皮膚組織が理論的な耐性限界に近いストレスを受ける可能性があるということです。適切なサポートなしでの運動は、クーパー靭帯への負担を増大させ、長期的には下垂のリスクを高める可能性が否定できません。

しかし、ここで重要なのは「リスクがある」ことと「必ず問題が起こる」ことは違うという点です。適切な対策を講じることで、これらのリスクは大幅に軽減できます。

スポーツブラの効果

適切なスポーツブラの着用により、運動時のバストへの負担を劇的に軽減できます。スポーツブラは、女性の健康的な運動習慣を支える重要な機能性下着なのです。

研究データが示すスポーツブラの効果：
◉バストの伸展を約80%削減（文献3）
◉85%のケースで運動時の胸部の不快感を軽減（文献4）

バストサイズに関わらず、適切なサポート下着を着用すれば、安心して運動を楽しむことができるのです。

体型維持の秘訣は「動くこと」

下着メーカーであるワコールが、40年以上にわたり収集した日本人女性の体型データ（延べ4万人以上）の分析から、歳を重ねても体型を維持している女性が約25%存在し、彼女たちに共通する特徴として、たくさん歩くなどの「運動習慣」を持つことが報告されています（文献5）。

つまり、バストへの影響を恐れて有酸素運動を避けるのは、バストなど体型維持の観点からは逆効果で、かえってバストの下垂などを招く可能性があるのです。

まとめ：正しい知識で美しく健康的な生活を

⚪️「バストが垂れるから有酸素運動は避けるべき」という考えは、直接的な証拠は、現時点で存在しません。

⚪️確かにバストが大きい女性の場合、ランニング時に皮膚組織へのストレスが高くなる可能性がありますが、適切なサポート下着の着用により、ストレスを軽減できることが科学的に証明されています。

⚪️ワコールの長年の研究からも、体型を維持している女性の特徴として「たくさん歩く」など運動習慣を持つことが挙げられており、運動を避けることはかえって逆効果であることが分かります。

⚪️ウォーキング、ジョギング、ランニングなど、積極的に身体を動かして健康的な生活を送ることこそが、結局は美しい体型を維持する最良の方法なのです。バストへの不安から運動を避けるのではなく、適切な対策を講じながら、楽しく身体を動かしていきましょう。

ランニングでバストは垂れる？バストケアの真実

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