2026.07.20更新

HOMEアップニーク > アップニークはなぜ効く?

 

【目次】

1: アップニークは交感神経に働きかける点眼薬
2: そもそもミュラー筋とは
3: 目が開く仕組み:「主役」と「補助役」
4: アップニークは眼瞼下垂の進行を防ぐ薬ではない
5: ミュラー筋の状態によっては効きにくい
6: 効果に差が出るのはなぜ?



眼瞼下垂は、一般に手術で治療するイメージが強いかもしれません。そのため、「目薬だけで、なぜまぶたが上がるのだろう」と疑問に思う方は少なくありません。

アップニークの作用を理解する鍵は、上まぶたの奥にあるミュラー筋です。本記事では、アップニークがまぶたの開きを一時的に改善する仕組みに絞って解説します。

効果が現れるまでの時間、持続時間、副作用、使い方、費用などは、ハブページ「アップニーク」をご覧ください。


切らない点眼薬による治療法に関心がある方は、アップニーク|効果・持続時間・副作用・使い方・費用も合わせてご覧ください。




1 アップニークは交感神経に働きかける点眼薬



有効成分はオキシメタゾリン

アップニークの有効成分は、オキシメタゾリン塩酸塩です。オキシメタゾリンは、交感神経系のα(アルファ)アドレナリン受容体に作用する薬です。製品情報では、上まぶたにあるミュラー筋のアドレナリン受容体に働きかけることが作用機序として示されています(文献1)。

この刺激によってミュラー筋が収縮すると、上まぶたが補助的に持ち上がります。つまり、アップニークは、まぶたを開けるための筋肉のうち、交感神経が関わる部分の働きを一時的に引き出す点眼薬です。


「交感神経刺激剤」とは何をする薬?

交感神経は、緊張したときや活動しているときに働きやすい神経です。心拍や血管の働きだけでなく、まぶたの開きにも関係しています。

ただし、アップニークは全身を興奮させるために用いる薬ではありません。点眼した目の周囲、とくにミュラー筋に作用して、交感神経がまぶたを開く働きを一時的に補う、とイメージすると分かりやすいでしょう。


2 そもそもミュラー筋とは?



上まぶたの裏側にある薄い筋肉

ミュラー筋は、上まぶたの奥にある薄い平滑筋です。自分の意思で直接動かせる骨格筋とは異なり、交感神経の働きによって収縮します。上まぶたを大きく開ける主役である上眼瞼挙筋と協力し、開瞼を補助しています(文献2)。


ミュラー筋が持ち上げる幅は大きくない

まぶたを大きく開ける主役は上眼瞼挙筋です。ミュラー筋の役割は補助的なため、アップニークは大きく下がったまぶたを何mmも持ち上げる薬ではありません。

実際の臨床試験でも、点眼後の上まぶたの位置(MRD-1)の平均的な改善は、おおむね1mm前後でした。変化の感じ方には個人差があり、下垂の程度や原因によっても異なります(文献3)。


ミュラー筋の解剖学



3 目が開く仕組みには「主役」と「補助役」がある



普段のまばたきで働く「上眼瞼挙筋」

目を開けるときの主役は、上眼瞼挙筋です。動眼神経の支配を受け、自分の意思に応じてまぶたを開きます。上眼瞼挙筋の力は挙筋腱膜を通じて瞼板などへ伝わります。

加齢などで挙筋腱膜が伸びたり、外れたりすると、上眼瞼挙筋の力がまぶたに伝わりにくくなり、まぶたが上がりにくくなることがあります。後天性眼瞼下垂で多くみられる原因の一つです(文献4)。


緊張したときに目を見開く働きを補助する「ミュラー筋」

驚いたときや緊張したときには、交感神経が活発になります。その際、ミュラー筋が収縮して、上まぶたの開きを補助します。アップニークは、この補助的な仕組みを薬で利用しています。

「通常の開瞼」と「緊急時だけの別の開瞼」が完全に分かれているわけではありません。上眼瞼挙筋とミュラー筋など、複数の筋肉が協力してまぶたの位置を保っていると理解するのが正確です。


アップニークがまぶたを上げるまでの流れ

アップニークを点眼する
有効成分のオキシメタゾリンが上まぶたの組織に届く
ミュラー筋のαアドレナリン受容体に作用する
ミュラー筋が収縮する
上まぶたが補助的に持ち上がる
まぶたの開きが一時的に改善する

海外の第3相試験では、点眼後5〜15分から上まぶたの挙上がみられ、2〜6時間後の評価でもプラセボより良好な結果が示されました(文献3)。


まぶたの構造を元に戻しているわけではない

アップニークは、薬が作用している間にミュラー筋の収縮を強めることで、まぶたの開きを補助します。伸びた挙筋腱膜を元の位置へ戻す薬でも、弱くなった組織を修復する薬でもありません。効果が切れれば、基本的には点眼前の状態に戻ります。


4 アップニークは眼瞼下垂の進行を防ぐ薬ではない



改善するのは「原因」ではなく「症状」

アップニークは、下がった上まぶたを一時的に持ち上げることで、まぶたの開きに関する症状を改善する薬です。加齢に伴う挙筋腱膜の伸展や離開など、眼瞼下垂の構造的な原因そのものを治療するものではありません。

現時点で、点眼の継続によって眼瞼下垂の進行を予防できることは確立されていません。「使い続ければ下垂が進まなくなる」と考えるのではなく、症状を一時的に補う治療と理解することが大切です。


点眼で楽になっても、診察が不要になるわけではない

眼瞼下垂には加齢以外にも原因があります。急にまぶたが下がった、左右差が急に強くなった、複視・瞳孔不同・眼球運動の異常がある、日によって症状が大きく変わる、といった場合には、神経や筋肉の病気を含めて原因を調べる必要があります。

受診の目安急な眼瞼下垂、複視、瞳孔の左右差、目の動かしにくさ、強い頭痛などを伴う場合は、自己判断で点眼を始めず、速やかな医療機関の受診が必要です。


5 ミュラー筋の状態によっては効きにくい可能性がある



薬が働くにはミュラー筋が収縮できることが必要

アップニークはミュラー筋を収縮させることで効果を発揮すると考えられています。そのため、まぶたが下がっている原因や組織の状態によって、反応に個人差が出ることがあります。


ミュラー筋の線維化と薬への反応

ミュラー筋の加齢性変化や線維化など、組織の状態が開瞼に関係する可能性は研究されています。一方で、ミュラー筋の線維化だけからアップニークの効きやすさ・効きにくさを予測できる段階ではありません。


6 同じ眼瞼下垂でも、効果に差が出るのはなぜ?



眼瞼下垂の原因が一人ひとり異なるから

眼瞼下垂には、挙筋腱膜の伸展・離開が中心のケース、上眼瞼挙筋そのものの働きが低下しているケース、神経や筋肉の病気が関係するケース、皮膚のたるみが強く見かけ上まぶたが重くなっているケースなどがあります(文献4)。


アップニークはミュラー筋を介して働くため、すべての原因に同じ程度の変化をもたらすわけではありません。

▶︎眼瞼下垂の原因については、別記事:「眼瞼下垂の原因・種類・治療法を詳しく見る」をご覧下さい。



アップニークが効くかどうかは、実際の反応も重要

診察だけで、点眼後の変化を完全に予測することは難しいものです。軽度の眼瞼下垂で、ミュラー筋の反応が保たれている方は改善を感じやすい可能性があります。一方、下垂が強い場合や構造的な変化が大きい場合には、点眼だけでは十分な改善が得られないことがあります。

*当院では、無料のトライアルとして院内で1回使用して効果を医師が確認した上で、購入を検討していただきます。


まとめ|アップニークはミュラー筋の力を一時的に引き出す薬

目を開ける主役は上眼瞼挙筋で、ミュラー筋は交感神経により開瞼を補助する筋肉です。

アップニークは、ミュラー筋のαアドレナリン受容体に作用し、筋肉の収縮を通じて上まぶたを一時的に持ち上げます。

眼瞼下垂の構造的な原因を治したり、進行を防いだりする薬ではありません。

ミュラー筋の状態や眼瞼下垂の原因によって、効果には個人差があります。

アップニークについて詳しく知りたい方へ 効果が現れるまでの時間、持続時間、副作用、使い方、費用については、以下のページで詳しく解説しています。

 


眼瞼下垂を切らずに改善できる点眼薬『アップニーク』の詳しい効果や料金、治療の流れについては、アップニークの費用・特徴ページをご覧下さい。


 

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【参考文献】

1. 参天製薬株式会社. アップニークミニ点眼液0.1%(オキシメタゾリン塩酸塩点眼液)製品基本情報/電子添文. Santen Medical Channel. https://www.santen.co.jp/medical-channel/di/product/DA074_upneeq.html (参照日:2026年7月20日)

2. Anatomy, Head and Neck: Eye, Superior Tarsal Muscle (Müller Muscle)
Tushar Dave, et al.
StatPearls [Internet]
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK540964/(参照日:2026年7月20日)

3.Rapid and Sustained Eyelid Elevation in Acquired Blepharoptosis with Oxymetazoline 0.1%: Randomized Phase 3 Trial Results
Jason Bacharach, et al.
Clin Ophthalmol
2021 Jun 25:15:2743-2751

4. Clinical Evaluation of Blepharoptosis: Distinguishing Age-Related Ptosis From Masquerade Conditions
Michelle W Latting, et al.
Semin Plast Surg
2017 Feb;31(1):5-16





 

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制作・執筆:坂田修治(医師:美容外科・美容皮膚科 青い鳥 院長)
(最終更新日:2026年7月20日)

投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥

2026.07.19更新

HOMEハイフ(ウルトラフォーマーMPT) > ウルトラフォーマーMPTとは?



【目次】

1: ウルトラフォーマーMPTとは
2: ウルトラフォーマーMPTとウルセラの共通点
3: ウルトラフォーマーMPTとウルセラは何が違う?
4: ウルセラとウルトラフォーマーMPTは、どちらが優れている?
5: よくある質問

ウルトラフォーマーMPTとは、どのような医療ハイフ機器なのでしょうか。

従来のウルトラフォーマーⅢから進化したMPモードの特徴、ウルセラとの照射方式・痛み・施術時間・画像確認機能の違いを医師が解説します。

機種名だけでなく、照射深度や出力、術者の技術が重要である理由も医学研究をもとにご紹介します。


1 ウルトラフォーマーMPTとは



ウルトラフォーマーMPTは、高密度焦点式超音波、いわゆるHIFUを利用して、皮膚や皮下組織へ熱作用を加える美容医療機器です。

皮膚表面を切開せず、狙った深さに超音波エネルギーを集中させることで、顔や顎下の引き締め、フェイスラインの改善などを目指します。
▶︎ハイフそのものの仕組みや、医療から美容領域へ応用されてきた歴史については、別記事の「ハイフの仕組みと歴史」で詳しく解説しています。



ウルトラフォーマーシリーズの後継機

ウルトラフォーマーMPTは、従来のウルトラフォーマーⅢを発展させた後継機です。

従来機と同様に、焦点深度の異なる複数のカートリッジを用いて照射できます。さらに、従来の点状照射であるドットモードに加えて、細かく分割したエネルギーを連続的に照射するMPモードが搭載されました(文献1)。


従来の点状照射に加わったMPモード

従来のドットモードでは、小さな熱凝固点を一定の間隔で点状に並べます。

一方、MPモードでは、より細かく分割された超音波エネルギーを短い間隔で連続的に照射します。その結果、広い範囲へムラなく熱を加えやすくなり、施術時間や痛みにも配慮した治療を行いやすくなりました。

MPモードは、フェイスラインや頬、首など、比較的広い範囲へ均一に熱刺激を与えたい場合に使いやすい照射方法です。一方で、狭い範囲を細かく設計したい場合や、深い層へピンポイントに熱を加えたい場合には、従来のドットモードが適していることがあります。どちらが優れているというものではなく、部位や治療目的に応じて使い分けることが重要です。


施術時間と痛みに配慮しやすくなった

ハイフでは、骨に近い部分などで、熱感や響くような痛みが生じることがあります。

MPモードは、エネルギーを細かく分けて連続的に照射するため、従来の点状照射とは痛みの感じ方が異なります。また、照射時間が短くなることで、施術中の負担を軽減できる場合もあります。

もっとも、ウルトラフォーマーMPTも無痛ではありません。痛みは出力、照射する深さ、部位、骨格、脂肪の厚さ、個人差によって変わります。
▶︎ハイフの痛みや副作用、安全性については、「ハイフの副作用・リスク・痛み」の記事で詳しく解説しています。



複数の深さと照射方法を使い分けられる

ウルトラフォーマーMPTでは、2.0mm、3.0mm、4.5mm、6.0mmなど、焦点深度の異なるカートリッジを使用できます。
▶︎ハイフが狙った深さに熱を集中させる仕組みについては、「ハイフ(HIFU)の仕組みと歴史」で詳しく解説しています。

浅い層の引き締めを目的とする場合と、フェイスラインや顎下の深い組織へ働きかける場合とでは、使用するカートリッジも照射方法も異なります。

したがって、ウルトラフォーマーMPTの特徴は、単に「新しいハイフ」であることではありません。複数の深さと照射モードを、部位や目的に応じて組み合わせられることにあります。



2 ウルトラフォーマーMPTとウルセラの共通点



ウルトラフォーマーMPTとウルセラは、まったく異なる原理の治療機器ではありません。

いずれも超音波エネルギーを一定の深さへ集中させ、組織内に小さな熱作用を加える美容医療機器です。


どちらも集束超音波を利用する美容医療機器

両機種とも、皮膚表面を大きく傷つけずに、皮膚や皮下組織へ熱作用を与えます。
熱刺激による組織の収縮と、その後に起こる組織修復反応を利用して、肌の引き締めやフェイスラインの改善を目指します。


顔の引き締めやたるみ改善を目的に使用される

ウルトラフォーマーMPTもウルセラも、主に次のような悩みに用いられます。
✔️フェイスラインのもたつき
✔️顎下のたるみ
✔️頬のゆるみ
✔️皮膚の引き締め
✔️顔や首の軽度から中等度のたるみ

どちらも、皮膚を切除するフェイスリフト手術と同じ治療ではありません。切開を伴わず、ダウンタイムを抑えながら、緩やかな引き締めを目指す治療です。


3 ウルトラフォーマーMPTとウルセラは何が違う?



両機種の基本原理は似ていますが、照射方式や治療の組み立て方には違いがあります。


照射方式の違い

ウルセラは、熱凝固点を点状に並べる照射が基本です。

ウルトラフォーマーMPTでは、点状に照射するドットモードに加え、細かなエネルギーを連続的に配置するMPモードを使用できます。

この違いにより、ウルトラフォーマーMPTでは、部位や治療目的に応じて照射方式を選択しやすくなっています。


照射速度と施術時間の違い

施術時間が短いことだけで、治療の質が決まるわけではありませんが、ウルトラフォーマーMPTは、従来機やウルセラと比べて、一定範囲を短時間で照射しやすい設計になっています。


痛みの感じ方の違い

一般にウルセラは、骨に響くような痛みを感じやすいとされています。

ウルトラフォーマーMPTでは、MPモードや照射速度の向上によって、痛みに配慮した施術を組み立てやすくなっています。

しかし、痛みは機種だけで決まるものではありません。高い出力で骨に近い部分へ照射すれば、どの機種でも痛みが強くなる可能性があります。



超音波画像機能の違い

ウルセラには、照射時に皮下組織を超音波画像で確認する機能があります(文献2)。ウルトラフォーマーMPTには、同様の画像確認機能は搭載されていません。

ただし、この機能の有無だけで、治療効果や安全性の優劣が決まるわけではありません。

美容ハイフで用いるカートリッジの焦点深度は、基本的に1.5mm、3.0mm、4.5mmなどとあらかじめ設定されています。画像上で何らかの層を確認できたとしても、患者さん一人ひとりの組織の厚みに合わせて、焦点深度そのものを自由に変更できるわけではありません。

画像確認機能は機器の特徴の一つにすぎないと考えるのが適切です。


比較表|ウルトラフォーマーMPTとウルセラの主な違い

比較項目ウルセラウルトラフォーマーMPT
基本技術 集束超音波 集束超音波
主な照射方式 点状照射 ドットモード・MPモード
焦点深度 カートリッジごとに固定 カートリッジごとに固定
照射速度 比較的時間を要する 一定範囲を効率よく照射しやすい
痛み 強く感じることがある 痛みに配慮した設計がしやすい
超音波画像機能 あり なし
結果を左右する主な要因 深度・出力・範囲・照射設計・術者 深度・出力・範囲・照射設計・術者


この表は、両機種の一般的な特徴を比較したものです。同じ機種でも、使用するカートリッジ、出力、ショット数、照射範囲、施術者の判断によって治療内容は異なります。


4 ウルセラとウルトラフォーマーMPTは、どちらが優れている?



結論からいうと、現在の医学研究では「どちらが常に優れている」とはいえません。

美容HIFU全体としては、顔や首のたるみ、皮膚の引き締めに一定の効果が示されています。その一方で、異なる機種同士を同じ条件で直接比較した研究はまだ少なく、研究ごとに照射条件や評価方法も異なります。


現時点では「どの機種が常に最良」とはいえない

美容HIFUに関する系統的レビューでは、顔や首の引き締めに中等度の有効性が示されています。

しかし、研究で用いられる機種、照射深度、出力、ショット数、治療範囲、評価時期は統一されていません。

したがって、「機種Aは機種Bより何倍効果が高い」と単純に比較できる状態ではありません。


直接比較研究では大きな効果差が出ない場合もある

Jungらは、2種類のHIFU機器を顔の左右に分けて照射し、その効果を比較しました(文献3)。

その結果、第三者による盲検評価や定量的評価では、両機器の引き締め効果はおおむね同等でした。一方で、患者さんの満足度や施術中の痛みには違いがみられました。

*この研究で比較検討したのは次の2種
Ulthera(ウルセラ / Ulthera Inc., 米国)
Ultra-Skin(ウルトラスキン / WON TECH Inc., 韓国)

この結果からは、機器によって治療体験に差が生じる可能性はあるものの、機種名だけで効果の優劣を決めることは難しいと考えられます。


機器ごとの差を示す研究もあるが、結論はまだ限定的

一部の比較研究では、特定のHIFU機器が別の機器より良好な結果を示したと報告されています(文献4)。ただし、すべての評価項目で差が認められたわけではなく、対象人数や追跡期間にも限界があります。

*この研究で比較検討したのは次の2種
More Young(モアヤング / Chinese Academy of Sciences / Beijing University of Technology, 中国)
7D HIFU(標準的な普及機として記載)

現時点では、機器による差がまったくないともいえませんが、「特定の機種なら誰にでも最良の結果が得られる」と結論づけるだけの根拠もありません。

美容HIFUでは、機種そのものの違い以上に、照射深度、周波数、出力、照射範囲、ショットの配置、術者の判断が結果へ影響すると考えられています。
▶︎照射する深さや出力が不適切な場合に起こりうる熱傷、しびれ、神経障害などについては、「ハイフの痛み・副作用・ダウンタイム」で詳しく解説しています。
▶︎当院のウルトラフォーマーMPTの施術内容、症例、料金については、浜松町・港区の医師施術ハイフ(ウルトラフォーマーMPT)をご覧下さい。



5 ウルトラフォーマーMPTとウルセラについてのよくある質問



Q ウルセラのほうが効果は高いですか?
A 現時点では、ウルセラがほかのすべてのHIFU機器より常に高い効果を示すという、十分な直接比較研究はありません。

ウルセラとウルトラフォーマーMPTには仕様上の違いがありますが、治療結果は機器だけでなく、深度、出力、照射範囲、施術者の判断によって変わります。


Q 画像確認機能があるほうが効果は高いですか?
A 画像確認機能は、ウルセラの特徴の一つです。
ただし、その機能の有無だけで治療効果が決まるわけではありません。焦点深度はカートリッジごとに設定されており、画像を見ながら自由な深さへ変更できるわけではないためです。
現在の研究では、機器の仕様に加え、照射する深さ、出力、範囲、部位選択、術者の技量など、複数の要因が治療結果に関係すると考えられています。


Q ウルトラフォーマーMPTはウルセラより痛くないですか?
A 一般には、ウルトラフォーマーMPTはMPモードや照射速度の違いにより、痛みに配慮した施術を組み立てやすい機器です。

ただし、無痛ではありません。骨に近い部位や高い出力では、熱感や響くような痛みを感じることがあります。


Q 新しい機種ほど効果が高いですか?
A 新しい機種では、照射速度やモードなどが改良されていることがあります。
しかし、新しい機種であれば自動的に高い効果が得られるわけではありません。患者さんの状態に適した照射設計が必要です。


Q ショット数が多いほど効果がありますか?
A ショット数は治療内容を示す一つの目安ですが、多ければ必ず効果も高くなるわけではありません。

どの深さで、どの部位へ、どの出力で照射するかが重要です。


Q 効果はいつから現れますか?
A 施術直後に引き締まりを感じる方もいますが、その後の組織修復に伴って変化が進み、一般に2~3か月程度かけて効果を実感しやすくなります。
▶︎詳しくは「ハイフの効果はいつから?持続期間と施術頻度」の記事をご覧ください。


まとめ|機種の違いだけでなく、照射設計が重要

ウルトラフォーマーMPTは、従来のドットモードに加えてMPモードを搭載し、複数の焦点深度と照射方式を使い分けられる医療ハイフ機器です。

ウルセラとは、照射方式、施術時間、痛み、画像確認機能などに違いがあります。ただし、現在の医学研究では、特定の機種が常に優れているとはいえません。

美容ハイフの結果には、機種名だけでなく、照射する深さ、出力、範囲、ショットの配置、顔の骨格や脂肪量、施術者の判断が大きく関係します。

当院では、顔の状態を診察したうえで、カートリッジ、出力、照射範囲、ドットモードとMPモードを部位ごとに使い分けています。


当院のウルトラフォーマーMPTの施術内容、症例、料金については、浜松町・港区の医師施術ハイフ(ウルトラフォーマーMPT)をご覧下さい。


 

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【参考文献】

1 CLASSYS Inc. ULTRAFORMER MPT
https://classys.com/product/ultraformer-mpt/

2 Merz Aesthetics. Ultherapy: Non-Invasive Skin Lifting Treatment
https://ultherapy.com/

3 Comparison of effect between high intense focused ultrasound devices for facial tightening: Evaluator-blinded, split-face study
Ho Joo Jung, et al.
J Cosmet Laser Ther
2016 Oct;18(5):252-6

4 Evaluating the Efficacy of the More Young HIFU Device for Facial Skin Improvement: A Comparative Study with 7D Ultrasound
Ihab Adib, Youjun Liu
Applied Sciences
2025;15(15):8485



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制作・執筆:坂田修治(医師:美容外科・美容皮膚科 青い鳥 院長)
(最終更新日:2026年7月19日)

投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥

2026.07.15更新

HOMEハイフ(ウルトラフォーマーMPT) > ハイフの痛み・副作用・ダウンタイムは?



【目次】

1: ハイフは痛い?
2: ハイフの副作用・リスクとダウンタイム
3: リスクを高めるのは「装置」ではなく「使い方」
4: よくある質問

「ハイフは痛いと聞くけれど大丈夫?」「ダウンタイムはどのくらい?」「副作用で失敗することはない?」——施術を検討するとき、効果よりもまず不安になるのがこの3点ではないでしょうか。

この記事では、学術文献にもとづいて「痛み・ダウンタイム・副作用」の実際と、後悔しないための注意点を正直にお伝えします。

※本記事は医療ハイフに関する一般的な情報提供を目的としたもので、効果や安全性を保証するものではありません。個々の適応やリスクは体質・既往により異なります。


1 ハイフは痛い?痛みの程度と感じ方には個人差があります


研究で報告されている痛みの程度


美容ハイフの痛みは、軽度〜中等度に収まることが多いと報告されています。顔・首の若返りを対象とした系統的レビュー・メタ解析では、施術中の平均疼痛スコアは10点満点で約4.2点でした(文献1)。


平均疼痛スコアの「4点」は疼痛尺度では軽度と中等度の境目にあたり、はっきり自覚はするものの、多くの方が施術を続けられる範囲です。しかもこれは照射の瞬間に感じる痛みで、常に続くものではありません。


別の文献では、ブロック麻酔なしで平均5.09/10、ブロック麻酔ありで3.9/10と報告されており(文献2)、麻酔によって痛みを軽減できることも示されています。


もちろん、痛みを和らげる方法は麻酔だけではありません。冷却や、出力・照射深度のきめ細かな調整によっても、体感は大きく変わります。

 

なぜ痛みを感じるのか——照射する「層」による違い


ハイフは超音波を体内の一点に集束させ、熱を発生させて肌の土台にはたらきかけます(仕組みの詳細は「ハイフの原点は切らずに治療する」をご覧下さい)

 

痛みが出やすいかどうかは、エネルギーを届ける深さ・層と関係します。マイクロフォーカス超音波に関するナラティブレビューでは、皮膚・SMAS(表在性筋膜)・骨膜は神経が密に分布しており、脂肪層よりも痛みを感じやすいと整理されています(文献3)。骨に近い部位(額・こめかみ・顎のフェイスライン周辺)で「響く」ように感じやすいのはこのためです。


逆にいえば、部位ごとに最適な深さのカートリッジを使い分け、層に応じて出力を設計することで、不要な痛みを抑えながら必要なポイントにアプローチできます。当院が採用するウルトラフォーマーは、複数の照射深度に対応しており、この「層ごとの最適化」を細かく行える機器です。

 

痛みを抑える工夫と、当院のプロトコル


ウルトラフォーマーは、もともとの施術プロトコールでは、表面麻酔を必要としない機器です。照射する深さや出力を部位ごとに調整しながら行うことで、麻酔に頼らずに施術できるよう設計されています。

当院では、お顔の部位ごとの皮膚の厚み、脂肪のつき方、たるみの程度を確認しながら、照射深度や出力を細かく調整しています。痛みを強く感じやすい部位では無理に出力を上げるのではなく、効果と安全性のバランスを見ながら施術を行います。

また、施術前には、熱感、チクチク感、軽い痛みから中等度の痛みを感じる可能性があることも丁寧にお伝えしています。事前にどのような感覚が起こりうるかを知っておくことは、施術中の不安を減らし、安心して施術を受けていただくうえでも大切です。

実際に当院でウルトラフォーマーを行う際も、多くの場合、表面麻酔の必要性は感じていません。機器の特性を理解したうえで照射設計を行い、出力を適切に調整することで、麻酔なしでも十分に配慮された施術が可能です。

ただし、痛みの感じ方には個人差があります。痛みに敏感な方や、施術に対するご不安が強い方には、出力調整だけでなく、麻酔クリームによる表面麻酔もご用意しています。表面麻酔をご希望の場合は、別途2,750円で対応できますので、ご遠慮なくお申し付けください。



2 ハイフの副作用・リスクとダウンタイム



HIFUは、皮膚の深い層へ熱エネルギーを集中させる施術である一方、照射条件や部位によっては熱傷、神経障害などの健康被害が報告されています。令和5年度の厚生労働科学特別研究事業では、HIFUによる人体への侵襲性や合併症の実態が調査され、リスク低減には医学的判断と適切な技術が重要であることが示されました。ここでは、その報告書(文献4)の内容をもとに、HIFUで起こり得る副作用・リスクと対処について紹介します。


「軽度な副作用」

1. 軽度の熱傷および皮膚の炎症(皮膚障害)

浅達性Ⅱ度熱傷(水疱・びらん・赤み)
アンケートで報告された熱傷57件のうち、81%(47件)が「浅達性Ⅱ度熱傷」でした。これらは多くの場合、適切な処置や保存的治療で改善します。

遷延性発赤(赤みが数日〜数週間長引くこと)
通常は一過性、あるいは1〜2週間以内に消退します(ごく稀に最大3ヶ月要した例もあります)。

紫斑・皮下出血(青あざ・内出血)
アンケートによる「熱傷以外の皮膚有害事象」49件のうち、39%(19件)が紫斑・皮下出血でした。文献を見ても一時的な軽度の皮下出血は多くの症例で認められており、通常は1〜2週間以内、最大でも4週間以内に自然に消退します。

膨疹(一時的なじんましんのような腫れ・プツプツ)
「熱傷以外の皮膚有害事象」の20%(10件)を占めました。文献的にも施術後1時間〜1日以内、最大でも2週間以内に自然消退すると報告されています。

浮腫・腫張(むくみ・腫れ)や一時的な痛み
これらはほぼ必発(施術直後にはほぼ全例に起きるもの)であり、通常は特別な治療を必要とせず、数日〜数週間で自然に軽快します。


2. 硬結(しこり)

アンケートおよび事故情報データバンクにおいて、皮下の「硬結(しこり)」が一部報告されています。これらも非選択的な熱凝固作用によって一時的に生じるものですが、通常は時間経過とともに軽快します。


3. 一過性の知覚障害
顔面・頸部への照射におけるしびれや感覚の鈍さ(知覚障害)は、神経が一時的に熱の影響を受けることで起こる、軽いしびれや感覚の鈍さと考えられています。神経そのものが切れたり壊れたりしたわけではなく、多くは自然に回復します。

原則として治療は不要であり、数日から数週間、遅くとも3ヶ月以内に自然に100%回復(軽快)するとされています。


「まれに起こりうる重い副作用」


HIFU(ハイフ)施術は非侵襲的な治療とされていますが、ターゲットとする深部組織を非選択的に焼灼・凝固するため、医療機関での施術であっても一定の頻度で合併症が生じるリスクがあります。厚生労働省の研究班による医療機関への調査(有害事象報告150件)および国内外の文献レビューでは、以下のような重大な有害事象が報告されています(文献4)。


1. 神経障害
知覚障害(しびれ・感覚麻痺など):前額部や頬部、下顎部、耳介後部などで報告されています。多くは一過性(一過性神経伝導障害)であり、数日から数週間、通常3ヶ月以内に自然軽快しますが、特に深部まで到達するトランスデューサー(4.5mmなど)を使用する際に発生頻度が高まることが分かっています。


2. 運動障害(顔面神経麻痺など)
顔面神経の下顎縁枝(口角下垂など)や頬筋枝(口輪筋麻痺など)の障害が報告されています。これらも経過観察により6週間〜半年以内に軽快した例がほとんどですが、解剖学的知識に基づく慎重な手技を要します。


3. 重度の皮膚障害・熱傷
深達性Ⅱ度熱傷・皮膚壊死:HIFU施術による皮膚有害事象の多くは軽微なものですが、一部で瘢痕(傷跡)を残す可能性が高い「深達性Ⅱ度熱傷」や、顎下部などの「皮膚壊死」により皮膚切除術を要した深刻な症例が文献等で報告されています。



4. 眼球への合併症(極めてまれ)
急性白内障・飛蚊症(ぶどう膜炎など)が報告されています。適切な眼球保護や誤照射の回避が必要です。


5. 血管系・その他深部組織の損傷(極めてまれ)
内頸動脈解離・脳梗塞:頸部(首)への照射後に、骨や空気による反射波・焦点深度の変化が一因となり、深部損傷として「内頸動脈解離・狭窄」を来し、その2週間後に言語障害や片麻痺を伴う「症候性脳梗塞」に至って動脈切除術等が行われた重大な症例が1例報告されています。


6.急性膵炎
側腹部・腰部への照射後、HIFUによる深部熱損傷が原因と推測される「急性膵炎」を発症した痩身目的の施術例が1例報告されています。


このように、HIFU施術に伴う重大なリスクは、施術者の正しい解剖学的知識や、照射部位に応じた適切な深度・出力の選択を徹底することによって低減可能なものであると考えられています。

 

3 リスクを高めるのは「装置」ではなく「使い方」


重要なのは、これら重篤例の多くが、標的から外れたエネルギー照射――深さの誤り、解剖学的部位の誤り、特に眼窩周囲への不適切な照射、不必要に高い出力設定――に起因している点です。


複数の研究でも、これらは装置そのものの欠陥ではなく、予防可能なものと位置づけられています(文献5、6)。

これまでに報告された合併症が発生した症例を調べた結果、共通する最大の特徴は「施術者による誤った診断や不適切な施術方法」であったと報告しています(文献5)。

現在、日本で美容医療として行われているハイフでは、主要な機器ごとに安全な施術を行うためのプロトコールが整備されています。照射する深さ、部位、出力、避けるべき領域などが明確に整理されてきたことで、ハイフは「切らないたるみ治療」として広く普及し、比較的安全性の高い美容医療として位置づけられるようになりました。

ただし、プロトコールは単なる手順書ではありません。大切なのは、その意味を理解したうえで、お客様一人ひとりの骨格、脂肪のつき方、皮膚の厚み、たるみの程度に合わせて、照射部位や出力を適切に微調整することです。ここに、医師が施術を行う意義があります。
(当院のドクター施術の特長については、医師施術についてをご覧ください)


言い換えれば、ハイフの安全性と効果は、どの装置を使うかだけでなく、誰が、どの部位に、どの深さ・出力で照射するかによって大きく左右されます。ハイフ機器ごとの仕様には違いがありますが、現在の研究では、機種名だけで効果や安全性の優劣が決まるとはいえません。

▶︎ウルトラフォーマーMPTの特徴や、ウルセラ・従来機との比較については、「ウルトラフォーマーMPTとは?」をご覧ください。
▶︎当院で医師が施術と出力設定を管理している理由はここにあります。
(当院のドクター施術の特長については、医師施術についてをご覧ください)。



4 よくある質問(FAQ)


Q. 痛みに弱いのですが受けられますか?
A. 当院で導入しているウルトラフォーマーの最新機種であるウルトラフォーマーMPTでは、標準的には施術に表面麻酔は不要とされています。それが施術としての進歩なわけですが、もしそれでは心配という方には、麻酔クリームを使用した麻酔もご用意しています。ご不安の程度に合わせて設定を調整しますのでご相談ください。


Q. ダウンタイム中にメイクはできますか?
A. 赤みなどの一時的な症状は数時間〜数日で軽快することが多く、症状が落ち着いていればメイク可能な場合が多いです。施術内容により異なるため医師の指示に従ってください。


Q. 「頬がこける」と聞いて不安です。
A.学術文献に基づいて回答するなら
「皮下脂肪の萎縮はまれな合併症として報告されていますが、その多くは不適切な出力・部位への照射と関連します。適切な設定と部位選択で回避に努めます。」ですが、ハイフの実際の施術状況を知る者として答えるなら、「頬がこける」最大の原因は「お客様ごとのお顔の症状に合わせるという意味での照射の個別化が不十分だからです。
この「照射の個別化」こそがドクター施術のメリットです。



当院のウルトラフォーマーMPTの施術内容、料金、適応については、浜松町・港区の医師施術ハイフ(ウルトラフォーマーMPT)をご覧下さい。




まとめ

ハイフの副作用の大半は軽度で一過性ですが、まれに重い合併症もあり、そのリスクは施術者の技量と設定管理に大きく左右されます。効果や持続期間について詳しく知りたい方は〔子ページ2・ハイフの効果はいつから〕を、料金や機種・医師施術については〔ピラーページ〕をご覧ください。ご不安な点は、診察時にお気軽にご相談ください。

ご質問やご相談は、LINEからお気軽にお寄せ下さい。

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ハイフ関連ページのご案内



【参考文献】
1 Systematic review and meta-analysis of safety and efficacy of HIFU for face and neck rejuvenation
Azin Ayatollahi, et al.
Lasers Med Sci
2020 Jul;35(5):1007-1024

2 Nerve blocks prior to microfocused ultrasound treatment are safe and reduce patient discomfort
Marc A Polacco, et al.
Aesthet Surg J
2020 Jul 13;40(8):887-891

3 Demystifying Pain During Microfocused Ultrasound: A Narrative Analysis of Facial Layer Sensitivity and Its Possible Correlation with Treatment Efficacy
Gladstone Eustaquio de Lima Faria, Talita Possagno Chaves
Aesthetic Plast Surg
 2026 Jun;50(11):4359-4363

4 河野太郎.令和5年度厚生労働科学特別研究事業「HIFU施術における人体への侵襲性の評価研究」総括・分担研究報告書.2024年5月

5 Complications and risks of high-intensity focused ultrasound (HIFU) in esthetic procedures: a review
Foteini Biskanaki, et al.
Applied Sciences
2025;15(9):4958

6 Case report: Traumatic carotid artery dissection after 7D High-Intensity Macro- and Micro-Focused Ultrasound treatment for skin laxity of the neck
Fenghe Du, et al.
Front Cardiovasc Med
2022 Aug 18:9:913754






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制作・執筆:坂田修治(医師:美容外科・美容皮膚科 青い鳥 院長)
(最終更新日:2026年7月19日)

投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥

2026.07.12更新

HOMEアップニーク > 眼瞼下垂とは




眼瞼下垂とは、上まぶたが本来の位置より下がり、目の開きが小さく見えたり、上方の視野が狭くなったりする状態です。

美容面では「眠そうに見える」「目力が弱くなった」と感じることがありますが、医学的には、まぶたを持ち上げる筋肉や腱膜、神経などの働きに異常がないかを確認し、原因を見極めることが大切です。

このページでは、眼瞼下垂の仕組み、主な原因、種類、治療法の考え方を、医学文献に基づいて解説します。


切らない点眼薬による治療法に関心がある方は、アップニークの解説ページも合わせてご覧ください。





1 こんな症状はありませんか


⬜︎以前より目が小さく見える
⬜︎眠そう、疲れて見えると言われる
⬜︎おでこのしわが深くなった
⬜︎眉をあげるクセがついた
⬜︎写真で目の左右差が気になる



2 眼瞼下垂の主な原因


成人の眼瞼下垂で最も多いのは、加齢による腱膜性眼瞼下垂です(文献1)。まぶたを持ち上げる筋肉そのものが弱くなるのではなく、その力をまぶたへ伝える「腱膜」が伸びたり薄くなったりすることで、まぶたが下がりやすくなります。

また、コンタクトレンズの長期間の装用も、腱膜性眼瞼下垂に関与する可能性があることが報告されています(文献2)。レンズの着脱を長年繰り返すことで、まぶたに負担がかかると考えられています。

さらに、目をこする習慣や眼科手術の既往なども、腱膜に負担をかける要因になることがあります。

一方、先天性眼瞼下垂は、生まれつき、または幼少期からまぶたが下がっている状態です。多くの場合は手術による治療が検討されます。

このほか、ごくまれに神経や筋肉の病気が原因で眼瞼下垂が起こることもあります。急に片方のまぶたが下がった場合や、ものが二重に見える、眼球が動かしにくい、瞳孔の大きさが左右で違うといった症状を伴う場合は、美容目的の眼瞼下垂ではなく別の病気が隠れている可能性があるため、早めに医療機関を受診してください。


3 治療法の全体像

眼瞼下垂の治療は、原因や重症度、日常生活への影響、ご本人の希望などを踏まえて選択します。

成人に多い軽度から中等度の後天性眼瞼下垂では、切らない治療である点眼薬(アップニーク)が選択肢になる場合があります。一方、重度の眼瞼下垂や視野への影響が強い場合には、手術が検討されます。


切る治療(手術)

手術は、まぶたを持ち上げる構造を調整し、目の開きを改善する治療です。重度の眼瞼下垂や、点眼薬では十分な改善が期待できない場合に第一選択となることがあります。長期的な改善が期待できる一方で、ダウンタイムや合併症などについても十分に検討する必要があります。


切らない治療(アップニーク)

アップニークは、成人の後天性眼瞼下垂に使用される点眼薬です。ミュラー筋に作用して上まぶたを一時的に持ち上げることで、目の開きを改善します。手術を希望しない方や、まず切らない治療を試してみたい方にとって、新しい選択肢となっています。

▶︎切らない点眼薬による治療法に関心がある方は、アップニーク|効果・使い方・副作用・費用をご覧下さい。


4 自分に合う治療の選び方

眼瞼下垂だからといって、すぐに手術を考える必要はありません。

成人に多い軽度から中等度の後天性眼瞼下垂では、まずアップニークを試してみるという選択肢があります。

アップニークは眼瞼下垂そのものを治す薬ではありませんが、まぶたを持ち上げることで日常生活や見た目の改善が期待できます。頭痛持ちの方も頭痛薬を使うことで生活の質(QOL)を改善できるように、眼瞼下垂による不便さを和らげる治療と考えると分かりやすいでしょう。

▶︎アップニークがまぶたを上げる仕組み(ミュラー筋の働き)については、アップニークはなぜ効く?をご覧下さい。

一方で、アップニークだけでは十分な改善が得られない方もいます。その場合には、手術を含めた治療を検討します。


当院では、診察時にアップニークが効果を期待できる状態かどうかを確認したうえで、院内で無料トライアル点眼を行っています。医師が実際の変化を確認してから処方を検討するため、不要な処方を行うことはありません。

ご質問やご相談は、LINEからお気軽にお寄せ下さい。

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5 よくある質問

Q1. 眼瞼下垂は放置しても大丈夫ですか?
軽度で生活に支障がない場合は、経過を見ることもあります。ただし、視野が狭い、頭痛や肩こりにつながっている、左右差が強い、急に下がった、複視や瞳孔異常がある場合は、原因の確認が必要です。特に急な変化は早めに医療機関を受診してください。



Q2. 眼瞼下垂とまぶたのたるみは同じですか?
同じではありません。眼瞼下垂は、まぶたを上げる機能や力の伝達が弱くなり、上まぶたの縁が下がる状態です。一方、皮膚のたるみは、余った皮膚がかぶさって目が小さく見える状態です。両方が重なっていることもあります。


Q3. コンタクトレンズで眼瞼下垂になりますか?
長期間のコンタクトレンズ装用は、腱膜性眼瞼下垂に関与する可能性が報告されています。ただし、すべての方に起こるわけではありません。まぶたの下がりが気になる場合は、装用歴や着脱習慣も含めて診察で確認します。



Q4. アップニークで眼瞼下垂は治りますか?
アップニークは、ミュラー筋に作用して上まぶたを一時的に挙上させる点眼薬です。下垂を根本的に修復する治療ではありません。軽度から中等度の後天性眼瞼下垂で、日中の目の開きをサポートしたい場合に選択肢となります。



Q5. 手術とアップニークはどちらがよいですか?
原因と重症度によって異なります。軽度から中等度では、まずアップニークを試すという考え方もあります。重度の場合は手術の検討が必要です。


Q6. 眼瞼下垂は保険診療になりますか?
医療機関で保険適用の基準を満たすと判断された場合、手術が保険診療になることがあります。一方、アップニークは自由診療となります。当院での費用については、アップニークの料金ページをご覧ください。



目力診断・相談の予約

まぶたが重い、目が小さく見える、写真で左右差が気になる、手術以外の選択肢も知りたい。そう感じている方は、まずは当院の目力診断・相談をご利用ください。

アップニークが合うかどうか、手術相談が適しているか、皮膚のたるみ治療を考えるべきかを、まぶたの状態に合わせて確認します。ご相談・ご予約はLINEよりお進みください。

 

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【参考文献】


1. Clinical Evaluation of Blepharoptosis: Distinguishing Age-Related Ptosis from Masquerade Conditions
Michelle W Latting, et al.
Semin Plast Surg
2017 Feb;31(1):5-16


2. Hard contact lens wear and the risk of acquired blepharoptosis: a case-control study
Takeshi Kitazawa
Eplasty
2013 Jun 19;13:e30



 

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制作・執筆:坂田修治(医師:美容外科・美容皮膚科 青い鳥 院長)
(最終更新日:2026年7月20日)

投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥

2026.07.09更新

HOMEハイフ(ウルトラフォーマーMPT) > ハイフの効果はいつから?

 



 

【目次】

1: ハイフの効果はいつから出る?
2: ハイフの効果はいつから出る?
3: ハイフの持続期間はどのくらい?
4: ハイフは何ヶ月おきに受ける?通う頻度の目安
5: よくある質問


「ハイフを受けたのに、すぐには変化を感じない」——これは失敗ではありません。ハイフ(HIFU:高密度焦点式超音波)は、照射した瞬間に完成する治療ではなく、時間をかけて肌の内側からハリを立て直していく治療だからです。この記事では、効果がいつから出て、どのくらい持続し、どのくらいの頻度で通えばよいのかを、医学文献をもとに解説します。

※本記事は当院ハイフ施術ページの関連記事です。効果・持続・頻度の考え方をより詳しくお伝えします。


▶︎当院のウルトラフォーマーMPTによるハイフ施術詳細はこちら




1. ハイフの効果はいつから出る?



ハイフの効果はいつから?



施術直後に引き締まりを感じる方もいる

ハイフを受けた直後に「少し引き締まった」と感じる方がいます。これは、熱による組織の収縮(熱凝固に伴う即時的な引き締まり)が起こるためと考えられています(文献1)。
(▶︎仕組みの詳細は「ハイフの原点は切らずに治療する」をご覧下さい)

ただし、その即時効果は、組織レベルでのコラーゲン変性・収縮であって、リフトアップという意味で「即時効果がある」と言えるだけの臨床的根拠はありません。直後の感覚は「スタート地点」であって、完成形ではないとお考えください。



本格的な効果は2〜3ヶ月かけて現れやすい

目に見える主な効果(引き締めや若返りなど)が現れ始めるのは、施術後2〜3ヶ月が経過した頃です(文献1)。多くの臨床研究でも効果を判定する評価時点を、施術後3ヶ月前後(12週)にしています(文献2)。


効果のピークは6ヶ月が目安

2025年の美容レビューでは、効果は約6ヶ月でピークに達するとされています(文献1)。

研究によっては、90日(3ヶ月)よりも180日(6ヶ月)時点のほうが改善度が増すという集計結果も報告されています(文献2、3)。

つまり、ハイフは「照射直後 → 2〜3ヶ月で実感 → 6ヶ月前後で完成」という経過で効いていく治療です。焦らず経過を見ていただくことが大切です。


2. なぜハイフの効果は時間差で出るのか



ハイフは熱エネルギーでたるみの土台にアプローチする治療

HIFUは音響(機械的)エネルギーを熱エネルギーへと変換し、皮膚の各層に微細な熱凝固点を作ります。

この熱損傷が引き金となって体本来の創傷治癒反応が始まり、コラーゲンやエラスチンの新たな生成が促されます。このプロセスが組織のリモデリング(再構築)を誘導し、皮膚に厚みと弾力性をもたらします。

コラーゲンの新生や組織の再構築は、数ヶ月にわたり段階的に進行します。


施術直後の引き締まりと、時間をかけて出る変化の違い

ここが「時間差」の正体です。ハイフの効果は、次の2段階に分かれて現れます。

段階何が起きているか時期
即時の引き締まり 熱による組織の収縮 施術直後
本格的なリフト 新しいコラーゲンの生成・組織の再構築 数週間〜3ヶ月かけて進み、6ヶ月前後で完成

 

照射時に熱変化が起きても、その後の修復・リモデリングには時間がかかります。だからこそ、効果は「じわじわ」出てくるのです。


3. ハイフの持続期間はどのくらい?



持続期間の目安

ハイフのたるみ改善は3ヶ月で明確になり、6ヶ月程度は維持され、評価法や症例によっては9〜12ヶ月まで続くというのが標準的な理解です(文献2)。

「効果は一般に最長18ヶ月続く」とするレビューもありますが、長期データはまだ限られているのが実情です(文献1)。


持続期間に個人差が出る理由

同じハイフでも、持続期間には個人差があります。文献では、照射の深さ・出力(エネルギー)・きちんと熱が届いたか・たるみの強さ・部位・機種によって結果が変わるとされています(文献1)。

なお、ハイフ機器には照射方式やカートリッジ構成の違いがありますが、特定の機種が常に優れているとは限りません。
▶︎ウルトラフォーマーMPTの特徴やウルセラ・従来機との違いについては、「ウルトラフォーマーMPTとは?」で詳しく解説しています。


医師が直接施術を行う当院のハイフ(ウルトラフォーマーMPT)では解剖学的な知見に基づき、お一人おひとりのたるみの状態や肌質に合わせて、最適な照射の深さや出力を細かく調整しています。熱エネルギーを的確な層へ確実に届けることで、マシンの性能を最大限に引き出し、効果や持続期間をより高めるアプローチを行っています。


効果が短く感じるケース

そもそもハイフは「加齢による下垂の進行を止める」治療ではなく、現時点のたるみに働きかける治療です。強いたるみでは効果が落ちやすいこと、効果量が中等度にとどまることが指摘されています(効果2)。


4. ハイフは何ヶ月おきに受ける?通う頻度の目安



初回後のメンテナンス頻度

効果の持続がおおむね6〜12ヶ月であることを踏まえると、メンテナンスは半年〜1年に1回程度を一つの目安に考えられます。効果がピークに達し、少しずつ戻り始める時期に合わせて次を検討するイメージです。

なお、安全面から、SMAS層(4.5mm)への照射は6ヶ月以内の反復を避けるべきとされています(文献1)。短期間での打ちすぎは推奨されません。

(参考)3mmのハンドピースを使用する場合は、前回の施術から3ヶ月経過すれば2回目の照射を行うことが可能とされています(文献1)


たるみ予防目的の場合

大きなたるみが出る前に、ハリを保つ目的で受ける場合は、間隔を広めにとって年1回前後を基本に調整するのが現実的です。ハイフはコラーゲン・エラスチンの産生を促すため、下垂が進む前のケアとして活用できます。

※予防的な最適頻度を直接検証したエビデンスは限られるため、医師と相談のうえ個別に設定します。医師が直接施術を行う当院のハイフ(ウルトラフォーマーMPT)では、診察から照射まで一貫して医師が担当するため、お一人おひとりの肌変化に合わせた安全で無駄のない通院ペースをご提案できます。


たるみ改善目的の場合

すでに気になるたるみがある場合は、まず効果のピーク(施術後6ヶ月前後)であることから、半年〜1年ごとに継続的な治療を行うのが一般的です。

たるみが強い方はハイフ単独では限界があるため、他治療との併用も含めて計画を立てます。


ハイフを受けすぎるのはよくない?

受けすぎは推奨されません。前述のとおり、SMAS層への照射は6ヶ月以内の反復を避けるとされています(文献1)。

ハイフの副作用の多くは一過性の紅斑・腫脹・痛みで数時間〜数日で軽快しますが、まれにしびれ・脂肪萎縮・色素沈着などが報告されており、照射設定や術者の経験が安全性に影響します(文献4)。
(▶︎ハイフの安全性については、ハイフの副作用もご覧下さい。)


適切な間隔を守ることが、効果と安全性の両立につながります。


5. よくある質問



Q:ハイフの効果は施術直後からありますか?

A:熱による組織収縮で、直後にわずかな引き締まりを感じる方はいま。ただしこれは一時的な感覚であることが多く、はっきりした効果は2〜3ヶ月かけて現れ、6ヶ月前後でピークに達するのが一般的です。


Q:ハイフの効果は何ヶ月持ちますか?

A:目安は6〜12ヶ月です。単回治療後の改善が6ヶ月まで維持されることが多く、症例や評価法によっては9〜12ヶ月、最長18ヶ月続くとされます。持続には照射条件やたるみの程度による個人差があります。


Q:ハイフは何ヶ月おきに受けるのがよいですか?

A:効果の持続を踏まえると、半年〜1年に1回程度のメンテナンスが目安です。安全面から、SMAS層(4.5mm)への照射は6ヶ月以内の反復を避けるべきとされています。


Q:大切な予定の何日前に受けるのがおすすめですか?

A:ハイフの見た目のピークは施術後2〜6ヶ月です。結婚式などしっかり効果を出したい予定があるなら、少なくとも1〜2ヶ月前、余裕があれば2〜3ヶ月前の施術がおすすめです。また、直後に一過性の赤みや腫れが出ることがあり、多くは数時間〜数日で軽快しますので、直前は避け、数日以上の余裕をみておくと安心です。


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▶︎当院のウルトラフォーマーMPTによるハイフ施術詳細はこちら


 

 


ハイフ関連ページのご案内

【参考文献】

1 Complications and Risks of High-Intensity Focused Ultrasound (HIFU) in Esthetic Procedures: A Review
Foteini Biskanaki, et al.
Applied Sciences
2025;15(9):4958

2 A Systematic Review of the Efficacy of Microfocused Ultrasound for Facial Skin Tightening
Mark Contini, et al.
Int J Environ Res Public Health
2023 Jan 13;20(2):1522

3 Efficacy and safety of high‐intensity, high‐frequency, non‐focused ultrasound parallel beams for facial skin laxity
Michael H Gold, Julie Biron
J Cosmet Dermatol
2024 Jan;23(1):117-123

4 A Systematic Review of High-Intensity Focused Ultrasound (HIFU) in Skin Tightening and Body Contouring
Diala Haykal, et al.
Aesthet Surg J
2025 Jun 16;45(7):690-698

 

 

 

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制作・執筆:坂田修治(医師:美容外科・美容皮膚科 青い鳥 院長)
(最終更新日:2026年7月19日)

投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥

2026.07.05更新

レチノイド(ビタミンA)のスキンケアや治療を始めて、数日後に突然現れるお肌の赤みやカサカサした皮むけに、鏡を見て「私の肌、大丈夫?」と不安になっていませんか?

こうしたお肌の変化は「A反応」とも呼ばれ、お肌が生まれ変わる過程で起こる一時的な正常プロセス(適応過程)です(文献1)。しかし、正しい知識や対処法を知らないまま自己流で耐えようとすると、強い乾燥やヒリヒリ感に挫折してしまい、治療を途中でやめてしまう原因(最大の離脱要因)になります。


ビタミンAとその誘導体であるレチノイドは、シワや光老化に対して科学的根拠が最も蓄積されているエイジングケアのひとつです。それだけに、A反応の正しい期間やコントロール方法を知り、お肌を上手に「慣らしながら」継続することが極めて重要となります。


この記事では、美容皮膚科医の視点から、A反応が起こる細胞レベルのメカニズム、症状がいつまで続くのかという具体的なタイムライン、そしてお肌のツヤを引き出すための正しい「A反応の抑え方」を徹底解説します。


当院のレチノイド療法の全体像や製剤の選び方については、レチノイド療法(外用薬・施術)について:レチノイド総合案内をご覧ください。




1 A反応(レチノイド反応)とは?なぜ起こるのか


A反応は、レチノイド(レチノイン酸など)が細胞核内のレチノイド受容体(RAR/RXR)に結合し、遺伝子発現を調節して、お肌の生まれ変わり(表皮ターンオーバー)を強力に促進する過程で生じる現象です(文献2)。



1-1 メカニズムと症状


レチノイドをお肌に塗布したとき、細胞レベルでは主に3つの「生理的変化」が重複して生じており、それらが合わさることで特徴的な「症状」となって現れます。

a) 角質細胞の接着を緩める作用 ➔ 【皮むけ(落屑)・赤み(紅斑)】

レチノイドはお肌の角質細胞同士をつなぎ留めている結合タンパク質の発現を低下させます。これにより、角質細胞の結びつき(凝集性)が一時的に弱まり、古い余分な角質が一気に剥がれ落ちる「皮むけ」が引き起こされます(文献3)。また、この急激な皮膚の生まれ変わりや炎症に伴って血流が増加し、お肌が「赤く」見えるようになります。


b) バリア機能を一時的に抑制する作用 ➔ 【乾燥(カサつき)】

皮膚のバリア機能に欠かせない、細胞同士の接着装置(タイトジャンクション)を構成するタンパク質(クラウディン-1)の働きが一時的に低下します。バリア脂質の変化や急激な細胞増殖(不全角化)も重なることで、肌の水分が外に逃げやすくなる経表皮水分損失(TEWL)が増加し、強い乾燥感をもたらします(文献4)。


c) 感覚神経と炎症経路を活性化する作用 ➔ 【ヒリヒリ感・灼熱感・かゆみ】

レチノイドは皮膚の中で炎症を引き起こす情報伝達物質(MCP-1やIL-8などのケモカイン)を動員し、同時に皮膚の感覚神経末端にある感覚センサー(TRPチャネル)を過敏にします(文献1)。バリア機能の低下(乾燥)だけでなく、この感覚神経の過敏化が生じることで、化粧水がしみたり触れたりしたときのピリピリとした「ヒリつきや灼熱感、かゆみ」が生じます。


このほか、治療開始初期の数週間、肌のターンオーバーが急激に促進されることで、毛穴の奥に眠っていたニキビの「卵」(マイクロコメド)が一気に表面に出てきて、ニキビが一時的に増えて見えることがあります。これは「パージング」と呼ばれる現象で、多くの方に起こるわけではなく、また生じた場合も通常は数週間で改善します(文献5、6)。

 


1-2 「アレルギー性」と「A反応(刺激性)」の見分け方


赤みやヒリヒリ感が出ると、「かぶれてしまった」と心配になる方は少なくありません。


日常会話でいう「かぶれ」とは、多くの場合接触性皮膚炎のことを指します。接触性皮膚炎には、大きく分けて刺激性接触性皮膚炎アレルギー性接触性皮膚炎の2種類があります。

レチノイドによるA反応は、このうち刺激性接触性皮膚炎(レチノイド皮膚炎)に分類されます。レチノイドの薬理作用によって皮膚が一時的に刺激を受けることで起こるもので、適切な量や頻度で使用していても、治療開始初期には誰にでも起こり得る反応です。

一方、アレルギー性接触性皮膚炎は、薬剤や化粧品に含まれる成分に対して免疫が過剰に反応することで起こります。原因となる成分に対してアレルギーを獲得した人だけに生じるもので、刺激性接触性皮膚炎とは発症の仕組みがまったく異なります。


つまり、A反応は「かぶれ」と呼ばれる皮膚炎の一種ではありますが、アレルギーではなく、レチノイドが正常に作用している過程で起こる予測可能な刺激反応です。

では、この2つはどのように見分ければよいのでしょうか。

▶︎A反応(刺激性接触性皮膚炎)の場合
レチノイドの薬理作用によるため、症状は基本的に塗布した部位に限局します。また、お肌がレチノイドに慣れていく(レチナイゼーション)につれて、通常は数週間で赤みや皮むけ、ヒリつきは次第に軽快していきます。


▶︎アレルギー性接触性皮膚炎の場合
レチノイドそのものや製剤中の成分に対する免疫反応で起こります。塗布部位を超えて湿疹や強いかゆみ、腫れが広がることがあり、使用を続けても慣れることはなく、むしろ悪化するのが特徴です。このような場合は、直ちに使用を中止し、医療機関を受診してください。



2 A反応はいつから始まり、いつまで続く?(期間の目安)


A反応には、お肌がレチノイドに順応していくまでの標準的なタイムライン(スケジュール)が存在します。


レチノイドに順応していくまでの標準的なタイムライン(スケジュール)



2-1 ピークは開始から数日〜2週間

個人差や製剤による違いはありますが、多くの場合、レチノイドを使用し始めてから数日〜1週間ほどでお肌に赤み、乾燥、皮むけ、ヒリヒリ感が現れ始めます。


そして、使い始めてから最初の1〜2週間が、最も反応が強く出るピークになります(文献7)。この段階は「副作用ばかりが目立って効果が分からない」と感じて不安になりやすい時期ですが、お肌が新しく生まれ変わるためのステップですので、焦る必要はありません。



2-2 肌が慣れる(耐性がつく)までの期間

お肌がレチノイドに順応し、バリア機能が再構築されると(耐性獲得期)、これらの刺激症状は次第に軽快していきます。


使用開始から3〜4週間ほど継続すると、お肌がレチノイドに適応し、不快な症状は自然と大幅に落ち着いていきます(文献7、8)。この適応期(レチナイゼーション)を乗り越えると、お肌のキメが整い、なめらかで健康的な「ツヤ肌」へと変化を実感できるようになります。


3 自己流は危険?A反応の正しい抑え方・スキンケア対策


レチノイド治療においては、かつて「赤みや皮むけが出るまで濃度を上げて我慢して使うべき(No irritation, No improvement)」という考え方が医師の間でも信じられていました。つまり「刺激があるほど効果的」と信じられ、濃度を上げて刺激を出すことが正しい使い方とされていたのです。

しかし、その後の臨床比較試験(0.025%と0.1%のトレチノインを比較した研究など)において、高濃度の0.1%トレチノインのほうが顕著な皮膚刺激(A反応)を引き起こしたにもかかわらず、最終的な臨床的・組織学的効果に差は認められませんでした(文献9)。


こうした研究をきっかけとして、さらにその後レチノイドの効果と皮膚刺激(A反応)のメカニズムの解明が進んだことで、「刺激の強さと治療効果は別問題」と認識されるようになりました。


「赤くなったり刺激があっても、それで効果が高まるわけではない」、 「刺激を我慢する必要はない」、 「適切な濃度と使用法で、刺激を抑えながらも十分な効果が得られる」

現代の正しい治療アプローチは「効果的な最小濃度で、お肌の刺激(A反応)を最小限に抑えながら継続する」へとパラダイムシフトしたのです(文献8)。


A反応を適切に抑え、安全にお肌を慣らしていくための3つの基本対策をご紹介します。



3-1. 使用頻度と量


少量(豆粒大)を乾燥した肌に使用する
早く効果を出したいからと多量に塗るのはNGです。必ず洗顔後、お肌が十分に乾いた状態で豆粒大(pea-sized)の少量を薄く伸ばすようにしてください。

使用頻度を落とす(インターバル法)
使用初期や刺激が強いときは、毎日使用するのではなく「2〜3日に1回(隔日〜数日おき)」の塗布から開始し、お肌の様子を見ながら段階的に毎晩の使用へと増やすこと(インターバル法)が極めて有効です(文献10)。

敏感な部位を避ける
お肌が薄く過敏な目の周り、口の周り、小鼻のキワなどは、最初のうちは塗布を避けると安全です。



3-2 徹底的な「保湿」と「紫外線対策」


A反応中のお肌は一時的に水分が逃げやすく、外部からの刺激に対してもデリケートになっています。


保湿の徹底(バッファリング法)
バリア脂質や非コメドジェニックな保湿剤を使用してお肌の潤いを補います。特に刺激を和らげたい場合は、レチノイドを塗る「前に」保湿クリームを薄く仕込む「バッファリング法」を取り入れると、お肌への過度な浸透を緩やかにし、刺激を緩和できます(文献11)。

SPF30以上の日焼け止めを一年中使用する
古い角質が剥がれ落ちて薄くなったお肌は、紫外線ダメージに非常に脆弱になっています。紫外線対策を怠ると、シミやくすみが悪化する原因になるため、日中は必ずSPF30以上の日焼け止め(サンスクリーン)を徹底的に使用し、強い光からお肌を保護してください。


3-3 他の刺激成分(ピーリング・ビタミンCなど)を控える


A反応が起きている時期に、お肌をこすったり他の強い活性成分を重ねたりすることはバリア機能をさらに傷つけます。


スクラブ洗顔、ピーリング剤、AHA(グリコール酸など)、BHA(サリチル酸など)の同時多用は一時的にすべて中止して下さい。クレンジングや洗顔も、摩擦を与えないよう泡で優しく行う「マイルドでシンプルなスキンケア」に留めることが重要です。

 

4 【製剤別】A反応の出やすさの違い


レチノイドは種類(世代)によって、お肌への作用の強さや、A反応の出やすさ(耐容性)に大きな違いがあります。


4-1 CDトレチノイン

トレチノイン(レチノイン酸)は、皮膚細胞の受容体にダイレクトに結合する活性型成分のため、強力な作用(若返り・抗老化効果)を発揮する一方、A反応が出やすい傾向にあります。

当院では、成分をシクロデキストリンで包むことで、従来の強力な効果を維持しながらお肌への刺激性をマイルドに緩和したCDトレチノインを採用しています。

▶︎ CDトレチノインの効果・料金・使い方について詳しくはこちら



4-2 タザロテン

核内受容体との親和性が極めて高く、4種類の中で最も強力な作用を持ち、毛穴やニキビ跡への高いエビデンスを誇ります。その反面、刺激(A反応)も最も強く出やすい製剤です。

当院では、お肌に塗布して短時間で洗い流す「ショートコンタクト法(短時間接触療法)」を導入し、有効性を損なわず刺激を安全に管理しています。また、安全性を最優先し、妊娠可能年齢の女性への処方は行っておりません。

▶︎ タザロテンの詳しい効果や使用法(ショートコンタクト法)、料金についてはこちら



4-3 レチナール

皮膚の中で1段階代謝されるだけで活性型(トレチノイン)に変換される、効果と使いやすさのバランスに優れた医療と化粧品の「架け橋」成分です。

臨床研究において、シワに対する優れたエイジングケア効果はトレチノインと同等でありながら、皮膚への局所的な刺激(赤みや皮むけ)は有意に少ないことが実証され、レチノイド初心者にも非常に推奨しやすい製剤です。

▶︎ レチナールの詳しい効果や料金についてはこちら



4-4 ディフェリン(アダパレン)

ニキビ治療で使ったことのある方も多いことでしょう。

トレチノインに比べて皮膚刺激が有意に低い(使いやすさの優等生)ことが複数の研究で示されています。光に対しても安定しており、特に毛穴の詰まりやコメド(面皰)の改善に非常に優れ、レチノイド治療のファーストステップとして極めて取り組みやすい製剤です。

▶︎ ディフェリン(アダパレン)の詳しい効果や料金についてはこちら



5 挫折しないために。港区・青い鳥クリニックのA反応サポート


A反応に伴うお肌のカサカサやピリピリ感を一人で抱え込み、自己判断で「お肌に合わなかった」と諦めてしまうのは非常にもったいないことです。

レチノイド治療は、単にお薬を処方するだけで完結するものではなく、お一人おひとりのお肌の反応(A反応)をきめ細かくマネジメントし、長期的に寄り添いながら「お肌を適応させていくプロセス」そのものが成功の鍵を握ります。


◉港区浜松町(大門駅・芝公園駅すぐ)に位置する「美容外科・美容皮膚科 青い鳥クリニック」では、美容医療に20年以上の豊富な臨床経験を持つ院長が初診から責任を持って診察・経過観察を担当します。


◉当院では、お肌のタイプ、お悩み、ライフスタイルに合わせて、4つの異なるレチノイド(CDトレチノイン・レチナール・ディフェリン・タザロテン)から最適な薬剤を個別設計し処方いたします。


◉さらに、A反応がつらいと感じたときに、すぐに使用頻度や量の微調整を医師に直接ご相談いただける「メールサポート」体制をアフターケアとして完結させています。

◉日常の外用ケアに加え、当院オリジナルの「レチナール・トリートメント」や「レチノールピール」などの施術メニューを組み合わせることで、お肌の負担を管理しながら、最大限の若返り相乗効果を引き出すプランもご提案可能です。

「以前、皮むけで痛くて断念してしまった」「自分の肌質で始められるか不安」という方も、当院のプロフェッショナルな管理サポートのもとで、不快な反応を最小限に抑えながら、自信に満ちた極上の「ツヤ肌」を目指してみませんか。

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当院のレチノイド療法の全体像や製剤の選び方については、レチノイド療法(外用薬・施術)について:レチノイド総合案内をご覧ください。




【参考文献】


1. Retinoid dermatitis and retinization: from retinoid structure to tolerability profile and management strategies
Vashkevich A, Olkhovskaya K
Medical Alphabet
2026;3:72–79


2. Ertekin S, Gürel MS. Mechanism of Action of Topical Retinoids. In: Tüzün Y, Gürer MA, Serdaroğlu S, Oğuz O, Aksungur VL, editors. Retinoids in Dermatology. Cham: Springer; 2019


3. Retinoid Induces the Degradation of Corneodesmosomes and Downregulation of Corneodesmosomal Cadherins: Implications on the Mechanism of Retinoid-induced Desquamation
Moon Young Kim, et al.
Ann Dermatol
2011;23(4):439–447


4. All-trans retinoic acid alters the expression of the tight junction proteins Claudin-1 and -4 and epidermal barrier function-associated genes in the epidermis
Jing Li, et al.
Int J Mol Med
2019 Apr;43(4):1789-1805


5. Why Topical Retinoids Are Mainstay of Therapy for Acne
James Leyden, et al.
Dermatol Ther
2017 Jun 5;7(3):293–304

6. Retinoid-induced flaring in patients with acne vulgaris: does it really exist? A discussion of data from clinical studies with a gel formulation of clindamycin phosphate 1.2% and tretinoin 0.025%
Del Rosso JQ
J Clin Aesthet Dermatol
2008;1(1):41-43

7. Why topical retinoids are mainstay of therapy for acne
James Leyden, et al.
Dermatology and therapy
2017 Sep;7(3):293-304

8. 50 years of topical retinoids for acne: evolution of treatment
Hilary Baldwin, et al.
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2021 May;22(3):315-327

9. Two concentrations of topical tretinoin (retinoic acid) cause similar improvement of photoaging but different degrees of irritation: a double-blind, vehicle-controlled comparison of 0.1% and 0.025% tretinoin creams
C E Griffiths, et al.
Archives of dermatology
1995 Sep;131(9):1037-44

10. [Translated article] Iberia Consensus on Strategies to Prevent and Manage Irritation by Topical Retinoids in Facial and Trunk Acne
V Aneri, et al.
Actas Dermosifiliogr
2024 Sep;115(8):T791-T800

11. Dermatology Times – Open Sandwich Moisturization Regimen Does Not Affect Bioactivity of Retinols and Retinoids (AAD 2025)

 




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制作・執筆:坂田修治(医師:美容外科・美容皮膚科 青い鳥 院長)
(最終更新日:2026年7月5日)

投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥