2026.04.23更新

0 はじめに――マスクの話を、いま敢えてする理由

街中でマスクを着ける方は、ずいぶん減りました。コロナ禍という特殊な時代は、すでに私たちの背後に遠ざかりつつあります。

にもかかわらず、なぜ今、敢えて「マスクによる肌トラブル」を取り上げるのか。

その理由は、マスクによる皮膚トラブルの原因を突きつめていくと、現代スキンケアの盲点が浮かび上がってくるからです。

あのコロナ禍の数年間、多くの方がマスクで覆われた肌のかぶれ、乾燥、ヒリつき、そして「マスクネ」と呼ばれたニキビに悩まされました。結論から言えば、その原因は「過剰な湿潤環境による皮膚バリアの破綻」にあります。「保湿は大切。けれど、やりすぎれば肌は壊れる」――マスクトラブルの背後には、現代スキンケアが陥りがちな、この落とし穴がはっきりと姿を現していたのです。

そしてこの事実は、乾燥肌に悩み、熱心にシートマスクを重ね、厚く保湿クリームを塗り込み、「もっと、もっと」と潤いを追い求めるスキンケア習慣に対して、静かな警鐘を鳴らし続けているのです。

 

1 マスク下の肌で、本当は何が起きていたのか (バリア機能低下のメカニズム)

マスクを装着すると、覆われた部分の皮膚温と湿度が上昇します。「蒸れている=潤っている」と思われがちですが、実際に起きていたのは、むしろその逆でした。

マスク着用部位では「TEWL(経表皮水分蒸散量)」が上昇しているという事実が報告されています(文献1)。

TEWLとは、皮膚の内側から外側へ水分が逃げていく量を測る指標で、この値が高いほど「バリアが壊れている」ことを意味します。

さらに興味深いのは、マスクを装着している最中にもかかわらず、口周りの皮膚では角層の保水量がむしろ低下していたというのです(文献1)

蒸れているのに、肌の内側では乾燥が進んでいる――この一見矛盾した現象こそが、マスクの下で起きていたことの本質です。

なぜ、こんなことが起きるのか

答えは「過剰な湿潤環境による皮膚バリアの破壊」にあります。


マスクで皮膚バリアが崩壊するワケ

マスクに閉じ込められたムレムレの環境では、皮膚表面の角層細胞が水を吸って過剰に膨らみます。すると、細胞と細胞を結びつけていた接着構造――ちょうどレンガを固めるモルタルのような構造――がゆるみ、バリアとしての機能が破綻していきます。

ここに、マスクの繊維による摩擦・圧迫が加わります。ゆるんだ角層に物理的ストレスが乗り、微細な損傷が広がり、バリア破壊はさらに加速するのです(文献2)。

これが、マスク下で密かに進行していた「過剰な水分がバリアを壊す」というメカニズムです。


2 マスクで起きる代表的な肌トラブル (マスクネ・乾燥肌の悪化)

学術文献で報告されている主なトラブルを整理します。

1. 接触皮膚炎(かぶれ): マスクのゴム、金属ノーズピース、繊維などが原因で、赤み・かゆみ・湿疹が出ます。頬や鼻梁など密着部位に多発します(文献3)。

2. 圧迫・摩擦による皮膚障害: 跡がつく、めくれる、痛みが出るなど。密着度の高いマスクほど顕著です(文献2)。

3. 乾燥・ヒリつき・かゆみ: 着脱のたびに皮膚表面の温度・湿度が急変し、バリアがさらに乱れます(文献3)。

4. マスクネ(マスク下のニキビ): マスクに覆われる部分にニキビ様の発疹ができる現象。最も一般的なトラブルの一つです(文献2)。

5. 既存疾患の影響 :アトピー性皮膚炎や脂漏性皮膚炎などの既往歴が、マスク着用等による肌トラブルの悪化や発生のリスク要因になる(文献2)。


3 処方箋――『適切なマスク使用』と『適切な保湿』でバリアを守る

ここまでの議論を踏まえれば、対策の方向性は明確です。

過剰な湿潤環境そのものを減らしつつ、すでに傷んだバリアを外側から適切に補ってあげる。この二段構えがポイントになります。

① マスクを適切に使用する――過剰な出塵環境を根本から減らす

何よりも直接的で効果が大きいのは、マスクの使い方そのものを見直すことです。

長時間の連続着用を避ける、必要のない場面では外す、汗や皮脂で湿ったマスクはこまめに交換する――こうしたシンプルな工夫が、マスク内部の高温多湿環境、すなわち肌にとっての「過剰な湿潤環境」を根本から改善します。

バリアを傷めている原因そのものを取り除くという意味で、これが最も根本的な処方箋と言えるでしょう。


② 適切な保湿で、壊れたバリアを補強する

もう一つが、すでに傷んでしまったバリアを外側から補う治療、すなわち保湿です。

実際に、マスク装着前に保湿剤を塗布することで、TEWLの上昇や紅斑が改善したという介入研究があります(文献4)。バリアを事前に補強することで、ダメージの「入口」を塞ぐことができるのです。

マスクを使用する1時間前に、ノンコメドジェニック(毛穴を詰まらせにくい)な保湿剤やジェルを塗布することが推奨されています(文献5)。

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4 シートマスクやクリームの塗りすぎ注意! マスクによる皮膚トラブルからの教訓


ここが、今回の記事でもっとも強調したいポイントです。

「保湿が大事」という言葉をから、「たっぷり塗れば塗るほどいい」と解釈してしまう方がいます。

けれども、マスク下で起きていたこと――過剰な湿度で角層細胞が膨潤し、細胞間の接着構造がゆるみ、バリアが崩壊する――これは、マスクをしていない日常のスキンケアでも、まったく同じように起こり得る現象です。

分厚い保湿クリームの塗り重ね、シートマスクの長時間装着、何枚も連続で重ねるパック、さらにトドメのスチーム・・こうした「過剰保湿」は、マスクが皮膚に強いていたのと同じ「過湿状態」を、自らの手で再現してしまっているとも言えます。

肌に良かれと思って続けているケアが、実は肌のバリア構造をじわじわと溶かしている――この可能性を、どうか心の片隅に置いていただきたいと思います。


5 まとめ――「過剰保湿」から「適切なバリアケア」へ

マスク生活が私たちに残した教訓は、単なる一時的なトラブルの記録ではありませんでした。それは現代スキンケアが抱える根本的な盲点――「肌に良かれと思って行うケアが、実は肌を傷めている可能性がある」という重要な事実を、私たちの目の前に突きつけたのです。

今回明らかになった重要なポイントを改めて整理すると:

✔️マスク下では過剰な湿潤環境により角層細胞が膨潤し、バリア機能が破綻していた
✔️「蒸れている=潤っている」ではなく、実際にはTEWL(経表皮水分蒸散量)が上昇し、内側の水分は失われていた
✔️ 同じメカニズムは、シートマスクの長時間使用や保湿クリームの過剰な塗り重ねでも起こり得る
✔️ 対策の核心は「過剰な湿潤環境を避ける」ことと「適切な保湿でバリアを補強する」ことの両立にある

乾燥やヒリつきを感じるとき、「もっと潤わせなければ」と思うのは自然な反応です。しかし、もしあなたが丁寧にケアを続けているにもかかわらず、慢性的な肌荒れ、繰り返す乾燥、なかなか改善しないニキビに悩んでいるとしたら――それは肌に潤いが足りないからではなく、皮膚バリアが「過剰な湿度」によって弱っているサインかもしれません。

美しい肌の土台となるのは、健全な皮膚バリア機能です。 スキンケアの真の目的は、外から無制限に水分や油分を押し込むことではなく、肌自身が持つバリア機能を適切に守り、育てることにあります。

これからのスキンケアでは、「与える」発想から「守る」発想への転換を意識してみてください。長時間のシートマスクや何層にも重ねる保湿ケアを一度見直し、ご自身の肌にとって「ちょうどいいバランス」を見極めることが、健やかな美肌への近道となるでしょう。


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【参考文献】

1 Effect of face mask on skin characteristics changes during the COVID-19 pandemic
Sae-Ra Park, et al.
Skin Res Technol
2021;27(4):554-559

2 Skin adverse events related to personal protective equipment: a systematic review and meta-analysis
T Montero-Vilchez, et al.
J Eur Acad Dermatol Venereol
2021;35(10):1994-2006

3 Occupational dermatitis to facial personal protective equipment in health care workers: A systematic review
Yu J, et al.
J Am Acad Dermatol 
2021;84:486-494

4 Mask wearing impacts skin barrier function and microbiome profile in sensitive skin
Zhong S, et al.
Scientific Reports
2024 Oct 16;14(1):24209

5 Effect of face mask on skin characteristics changes during the COVID‐19 pandemic
Sae-Ra Park, et al.
Skin Research and Technology
2021 Jul;27(4):554-559

 

 

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制作・執筆:坂田修治(医師:美容外科・美容皮膚科 青い鳥 院長)
(最終更新日:2026年4月23日)

投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥

2026.04.15更新

1. しない理由が見つけられない――有酸素運動がもたらす“美容・アンチエイジング効果”

正直に白状すれば、私は有酸素運動が好きではありません。ジムでバイクをこいだり、ランニングマシンで走っていると、ハムスターになったようで人間性を否定された気分になるし、単調さに耐かねて「この時間を本や論文を読む時間に使った方が、自分の残された人生において有益ではないだろうか...」というバカげた疑問に真剣に悩むことになります。

しかし、それでも有酸素運動には同情(?)するところもあって、それはほんとうのスゴさが十分に知れ渡っていないこと。

有酸素運動のメリットというとたいてい「心肺機能を強化できる」とか「インスリン抗性や動脈硬化が改善する」というのですが、そんな説明では人の心に響くわけがない。

有酸素運動のほんとうのスゴさは、今が健康だろうが、闘病中だろうが、死亡率を30~50%も下げてしまうこと。そして近年わかってきたのが、それだけではなく肌の弾力や真皮の構造まで若返らせるという、美容面でのエビデンスです。

今回は「ほんとうに美容に効く運動とは何か?」という視点で、有酸素運動が肌にもたらす効果をエビデンスとともにご紹介します。


2. そもそも有酸素運動とは? 美肌に効く運動の定義と種類を整理

美肌効果の話に入る前に、そもそも有酸素運動とは何かを整理しておきましょう。

有酸素運動の定義

有酸素運動とは、大きな筋肉群(脚・体幹など)をリズミカルに、持続的に動かす運動です。呼吸によって酸素を取り込みながら、比較的長い時間にわたってエネルギーを生み出し続けます。心拍数と呼吸数がほどよく上がり、「ちょっときついけど続けられる」のが特徴。

無酸素運動(短距離走、筋トレなど)が短時間に大きな力を発揮するのに対して、有酸素運動は持続性がポイントです。

強度による分類

有酸素運動の分類

 

代表的な有酸素運動の種類

ウォーキング・速歩・ジョギング・ランニング
サイクリング・エアロバイク
水泳・アクアビクス
ダンス・エアロビクス
日常の活動:階段を使う、買い物に歩いて行く、庭仕事なども立派な有酸素活動

どの種目を選ぶかよりも、続けられることが最も重要です。


3. 運動は肌だけでなく全身の若返りにも?死亡率を下げる驚くべきデータ

有酸素運動がカバーする健康効果の広さ

有酸素運動は、心血管系・代謝系・脳・メンタルヘルス・身体機能などに良い影響を与えることがわかっています。


有酸素運動の健康効果


心肺機能の向上:最大酸素摂取量(VO₂max)が向上し、心臓と肺の機能が強化される
血圧低下・脂質改善・血糖コントロール:糖尿病・肥満・動脈硬化の予防と改善に有効
脳とメンタルヘルス:記憶力・実行機能が改善し、不安・抑うつ・ストレスを軽減
身体機能の維持:高齢者の持久力、バランス、歩行能力を改善し、QOLを向上させる


死亡率を40%下げるという衡撃のデータ

米国には身体活動のガイドラインがあり、成人では週に有酸素運動を中強度(ウォーキングなど)なら150分以上、高強度(ランニングなど)ならは75分以上、加えて筋トレを週2回以上行うことが推奨されています(文献1)。

実際にガイドラインを満たす身体活動をしているのは成人全体のわずか16%。有酸素運動だけ満たした人が24%、筋トレだけが4.5%とのことです(文献2)。

そしてここからがスゴいのですが、50万人の成人米国人を対象に調査したところ、ガイドラインを満たす運動をしていた人は、全ての死亡原因をまとめた比較で、運動をしていない人に比べ死亡率が40%減少。有酸素運動だけでもしていれど29%も減少していたのです(文献2)。

死因を癌、心血管系、事故・ケガなと8つの原因別に分けたとき、有酸素運動はすべての原因別死亡率を減少させていました。しかもこの効果は、健康な人より基礎疾患のある人でより大きかったのです(文献2)。


日本人のデータ:ウォーキング30分で死亡率はほぼ半減

日本人でのデータもあります。糖尿病患者を対象にした研究ですが、1日30分程度のウォーキングで、なんと死亡率はほぼ半減しました(文献3)

この研究では当初、心臓病による死亡率が減ることで全体の死亡率を下げるだろうと予想していたようですが、実際は心臓病での死亡はそんなに減っておらず、それではなぜ死亡率が半減したのかよくわからないという、何とも締まらない結末になるのですが、それにしても半減とはスゴい。

日頃、医者というのはわずかな人数を対象にした研究で、吹けば飛ぶような数値の差を統計式をこねくりまわして有意差があるとかないとかで大騒ぎしているのですが、それを思えば、何千・何万人単位で30%とか50%の差なんて、開いた口がふさがりません。


「膝に悪い」は誤解だった

ここまで来ても、意気地のない私なんか「あまり膝に負担をかけると、膝関節症になるから...」と駄々をこねたくなるのですが、最近講演で聞いた話では、ランニングしている人の方が、何もしていない人より膝関節症になりにくいとのこと。残念ながら心配無用のようです。


4. 【本題】有酸素運動と筋トレで肌が綺麗になる・若返る医学的エビデンス

さて、ここからが今回の記事の核心です。
「運動すると肌がきれいになる」という話は感覚的にはよく言われてきましたが、結論を先に言うと、有酸素運動には適切に行えば加齢による肌の変化を緩やかにし、若々しい肌を保つ効果があることが、複数の研究から示されています。

皮膚の弾力性と真皮構造が改善する

2023年、立命館大学の藤田聡教授とポーラ化成工業の共同研究チームが、画期的な成果を『Scientific Reports』に発表しました。

40~50代の日本人女性61名を対象に、16週間にわたって有酸素運動(サイクリング30分×週2回、最大心拍数の65~70%)と筋力トレーニングの効果を比較した、ランダム化比較試験です。

結果:
◉有酸素運動・筋トレの両方で、皮膚弾力性と上層真皮の構造が有意に改善
◉有酸素運動群では体重・BMIが減少し、心肺機能(VO₂peak)も向上
◉筋力トレーニング群特有の効果として、血中の炎症性ケモカイン(CCL28、CXCL4)などが減少し、真皮の細胞外基質(ECM)の一種であるバイグリカンが増加することで、真皮の厚さが増加

つまり、有酸素運動と筋力トレーニングの両方が皮膚の老化を改善させますが、特に筋トレにおいては血中の特定の炎症因子が減り、真皮が厚くなり若い状態に近づく方向の変化が確認されたのです。(文献4)。


角層水分量――肌のうるおいも改善

日本で行われた研究では、中等度以上の運動(週600 METs分以上)を8週間継続した群で、角層水分量が高くなる傾向が認められました。

これらの結果から、定期的な運動は肌のうるおい(保湿機能の維持・向上)に寄与する可能性があります(文献5)。


筋肉から肌への“美肌シグナル”――IL-15の発見

2015年、カナダ・McMaster大学のCraneらが『Aging Cell』に発表した論文は、運動がなぜ肌を若返らせるのか、その分子メカニズムに迫った画期的な研究です。


有酸素運動が肌に効くメカニズム


運動が筋肉由来のサイトカイン(マイオカイン)であるIL-15(インターロイキン15)を誘発し、それが皮膚のミトコンドリア機能を調節して老化を遅らせることを特定しました。

主な発見:
◉運動習慣のある人の血液中には、IL-15のレベルが運動しない人より高かった
◉運動はAMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)を介してIL-15の発現を制御
◉IL-15が血流を通じて皮膚に到達し、皮膚のミトコンドリア機能を改善
高齢マウスにIL-15を投与すると、運動と同様の皮膚の抗老化効果が再現された

いわば「筋肉が美容液を分泌している」ようなもの。運動で鍛えた筋肉から、血流にのって肌に届く若返りシグナルが出ているというのです(文献6)。


顕微鏡で見ると“20~30歳若い肌”に

この論文は、さらに印象的な研究を報告しています。

20歳から86歳の被験者を運動群と非運動群に分けて皮膚を調べたところ、運動習慣のある人の皮膚は、顕微鏡下で若々しい構造を示していました。

具体的には、皮膚の表面にある角質層がより薄く健康的に保たれており、さらに65歳以上では表皮の内側(有棘層)が加齢により薄くなるのが抑えられていました(ただし、この長年の運動習慣の比較では、真皮のコラーゲン減少については差が見られませんでした)。

さらに注目すべきは追加の介入実験です。65歳から86歳の運動習慣のない高齢者に、週2回・30分(最終的に45分まで増加)のエアロバイクを3か月間実施しました。すると皮膚の構造が20~40代の範囲に近い状態にまで改善したのです(文献6)。


5. 「肌質改善に効く運動ランキング」を作ろうとして失敗した話

ここで一つエピソードをご紹介させてください。

当院のブログでは、これまで医学的エビデンスに基づいて美白成分ランキングや保湿成分ランキングを作成してきました。今回もそれらに続いて、「美肌効果がある運動ランキング」を作成しようと試みたのです。

予備調査の段階で、第1位が有酸素運動、第2位が筋トレ、というところまでは見えました。
しかし、結局ランキングは成立しませんでした。

理由は単純で、ほとんどの個別の運動種目(ヨガ、ピラティス、ストレッチなど)で、肌への直接的な効果を検証した臨床試験がほぼ存在しないからです。エビデンスがないものをランキングにすることはできません。

裏を返せば、肌への効果がきちんと研究されている有酸素運動と筋トレは、それだけ科学的な注目を集めているということ。ランキングが成立しなかったからこそ、エビデンスのある有酸素運動の価値が際立つ結果になりました。


6. 有酸素運動で美肌・アンチエイジングを目指す際の注意点

運動が肌に良いとはいえ、いくつか気をつけたいポイントがあります。

紫外線対策は必須
屋外での運動は紫外線による光老化のリスクを高めます。せっかくの美肌効果を紫外線で帳消しにしないために、日焼け止め・帽子・サングラスの使用、そして運動する時間帯の工夫(早朝や夕方など)を心がけてください。

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過度な運動は逆効果
激しすぎる運動や過度な持久系運動は、酸化ストレスを増大させ、かえって肌にダメージを与える可能性があります。コルチゾール(ストレスホルモン)の過剰分泌も肌荒れの原因になります。美肌のためには、中強度で無理なく続けられるレベルが最適です。

運動後のスキンケアを忘れずに
汗をかいた後の速やかな洗顔と保湿は重要です。汗を放置すると毛穴詰まりやあせもの原因になります。一方で、運動後は血行が良くスキンケアの浸透も良い状態なので、ていねいなケアが効果的です。

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まとめ――運動で肌を綺麗にするために、まずは歩くことから

有酸素運動の美肌効果を改めて整理すると:

◉皮膚の弾力性・真皮構造が改善する(日本人女性のRCTで実証)
◉筋肉から分泌されるIL-15が“美肌シグナル”として皮膚に届く
◉血流改善・コラーゲン合成促進・抗炎症作用が肌老化を遅らせる
◉顕微鏡下で20~30歳若い肌構造が確認された報告もある

冒頭で告白したとおり、私は有酸素運動が好きではありません。ジムのバイクをこぎながら「この時間で論文が読めるのに...」と本気で悩む人間です。しかし、ここまでエビデンスを並べてしまうと、言い訳がつかなくなっています。有酸素運動から逃げる理由はもう見つけられません。

実は私には毎朝の犬の散歩という日課がありまして、現状これが唯一と言っていい身体を動かす習慣なのですが、何とかこれを有酸素運動と呼べないかと、どこまでも図々しく考えています。しかし、犬に引っ張られながらチンタラ歩いているだけなので、有酸素運動と呼べそうにありません。

ただ、一つだけ言えることがあるとすれば――もし犬の足がもう少し速かったら、私の肌はもっときれいだったかもしれないということでしょうか。



【参考文献】

1. Physical Activity Guidelines for Americans 2nd edition. https://health.gov/sites/default/files/2019-09/Physical_Activity_Guidelines_2nd_edition.pdf
(2026年4月15日参照)

2 Recommended physical activity and all cause and cause specific mortality in US adults: prospective cohort study
Zhao M, et al.
BMJ
2020;370:m2031

3 Leisure-time physical activity is a significant predictor of stroke and total mortality in Japanese patients with type 2 diabetes: analysis from the Japan Diabetes Complications Study (JDCS)
Sone H, et al.
Diabetologia
2013;56:1021-1030

4 Resistance training rejuvenates aging skin by reducing circulating inflammatory factors and enhancing dermal extracellular matrices
Shu Nishikori, et al.
Sci Rep
2023 Jun 23;13(1):10214

5 Effects of regular exercise on skin moisturizing function in adults
Ryosuke Oizumi, et al.
Dermatol Reports
2023 May 18;15(4):9711

6 Exercise-stimulated interleukin-15 is controlled by AMPK and regulates skin metabolism and aging
Crane JD, et al.
Aging Cell
2015;14(4):625-634


 

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制作・執筆:坂田修治(医師:美容外科・美容皮膚科 青い鳥 院長)
(最終更新日:2026年4月15日)

投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥

2026.04.07更新

「抗がん剤治療が終わったのに、顔のしみが消えない」――そうしたご相談を受けたことをきっかけにこの記事は生まれました。

がん治療の進歩によって生命予後は大きく改善しましたが、治療によって生じた色素沈着は長らく「治療のやむを得ない代償」として見過ごされてきました。しかし米国では、がん治療と並行して皮膚を守る「腫瘍皮膚科学(Oncodermatology)」という新たな専門領域が急速に発展し、色素沈着に対しても積極的な治療が行われています。

本記事では、抗がん剤による顔の色素沈着・しみの原因と自然経過を解説したうえで、日本と米国の治療アプローチの違い、そして当院の治療方針をお伝えします。


1 抗がん剤による「しみ・色素沈着」はなぜ起こる?顔の黒ずみの原因

1-1 メカニズム ― なぜ抗がん剤で「しみ」ができるのか



抗がん剤による色素沈着


抗がん剤(化学療法薬)は、がん細胞だけでなく、正常な細胞にも影響を及ぼします。皮膚においては、メラニンを産生するメラノサイトが薬剤により直接刺激されたり、薬剤による炎症反応をきっかけとしてメラニン産生が亢進したりすることで、色素沈着が生じます。とくに紫外線に曝露される顔面は色素沈着が目立ちやすく、患者さんにとって大きな心理的負担となります。

色素沈着のパターンは薬剤によってさまざまで、びまん性(顔全体に広がるもの)、蛇行状(ブレオマイシンに特徴的な鞭打ち様の色素沈着)、手のひらや足の裏に限局するもの、しわに沿って現れるもの、点滴の血管に沿って現れるものなど多彩です。


1-2 色素沈着を起こしやすい抗がん剤

色素沈着の報告が多い主な薬剤


皮膚の色素変化は、従来型の抗がん剤だけでなく、分子標的薬でも高頻度に認められます。36の臨床試験・8,052人の患者を対象としたメタアナリシスでは、分子標的薬による皮膚の色素変化の発症率は17.7%、毛髪の色素変化は21.5%と報告されています(文献1)。


2 抗がん剤の色素沈着はいつ消える?放置しても「しみが消えない」ケース

抗がん剤による色素沈着の多くは「炎症後色素沈着」のメカニズムを持ち、薬剤の投与が終了すれば、数ヶ月から数年をかけて徐々に薄くなる傾向があります。しかしその回復の程度と速度には大きな個人差があり、すべての方で完全に消えるわけではありません。

とくにメラニンが表皮だけでなく真皮(皮膚の深い層)にまで沈着した場合や、線維化を伴う場合には、色素沈着は数年以上にわたって持続するか、永続的に残ることがあります(文献2)。こうした深い色素沈着は自然消退が期待しにくく、積極的な治療介入が必要となるケースです。


がんサバイバーの皮膚に関する調査では、小児がん経験者の成人のうち最大59%が慢性的な皮膚の問題を報告し、約30%が治療終了後も長期にわたり目に見える瘦痕や外見の変化を経験しているという報告があります。色素沈着を含む皮膚の続発症は、患者さんにとって「がんを経験したことの視覚的なリマインダー(爪痕)」として残り続けるものなのです(文献2)。




3 日本のアピアランスケアにおける「しみ・色素沈着」対応の現状と課題

日本のがん治療の現場において、抗がん剤による色素沈着は「命に関わる治療における、やむを得ない副次的な問題」として位置づけられてきました。がん治療の主目的はあくまで腫瘍の縮小や生存期間の延長であり、色素沈着のような「見た目の問題」は優先度が低く扱われがちです。

実際に日本の「がん治療におけるアピアランスケアガイドライン2021年版」では、抗がん剤による色素沈着に対して特定の薬剤を推奨していません。ハイドロキノンの外用は「治療効果があるという報告はない」、ビタミンCの投与は「十分な根拠はない」、トラネキサム酸の内服は「予防および治療効果があるという報告はない」とされています(文献3)。もっとも、日本の保険診療において色素沈着に適応のある治療薬はビタミンCの内服剤くらいしかなく、推奨できる選択肢自体が乏しいという事情もあります。

その結果、臨床の現場では「紫外線を避けてください」「自然に薄くなるのを待ちましょう」というアドバイス以上の対応は行われていないのが実情です。



4 がん治療の色素沈着を救う新潮流「腫瘍皮膚科学(Oncodermatology)」とは

米国では、がん治療によって引き起こされる皮膚・毛髪・爪・口腔粘膜の有害事象を専門的に研究し、その予防・治療・ケアを行う「腫瘍皮膚科学(Oncodermatology)」という新たな医療領域が急速に発展しています。

腫瘍皮膚科学が重視するのは、単に「皮膚の副作用を治す」ことだけではありません。皮膚毒性が重症化すると、命を救うための抗がん剤の減量や治療の中断を余儀なくされることがあります。皮膚症状を適切に管理してがん治療のドロップアウトを防ぎ、治療を完遍させること――これが腫瘍皮膚科学の最大の目的の一つです(文献4)。


4-1 「支持的」と「修復的」― 2つのアプローチ

支持的腫瘍皮膚科学(Supportive Oncodermatology)

• がん治療中の患者さんを対象とし、ざ瘡様皮疹、手足症候群、放射線皮膚炎、乾燥、かゆみなどの急性の皮膚毒性の予防と症状緩和を行います

• 治療開始前からの保湿・光防御などの予防的介入が不可欠とされています



修復的腫瘍皮膚科学(Restorative Oncodermatology)

• がん治療を終えた「がんサバイバー」を対象とする、近年注目されている新しい概念です

• 治療終了後も長期間にわたって残存する深い色素沈着、永続的な脱毛、爪の変形、瘦痕などの慢性的な変化に対処します

• レーザー治療やケミカルピーリングなどを通じて外見と機能を修復し、患者さんの心理的・社会的な回復を支援します


4-2 「症状が出てから」ではもう遅い ― 予防的(Pre-emptive)アプローチとは

日本では、色素沈着が現れてから「どうしましょう」と対応を始める反応的なアプローチが一般的です。しかし米国の腫瘍皮膚科学では、皮膚障害が現れてから対処するのではなく、がん治療を開始する前、あるいは開始と同時に積極的なスキンケアや予防策を講じる「予防的(Pre-emptive)」なアプローチへと大きなパラダイムシフトが起きています(文献1)。


予防的アプローチの目的

皮膚バリア機能の維持と重症化予防:治療開始前から皮膚のバリア機能を保つことで、皮膚障害の発生そのものを防ぎ、重症度を低下させます

がん治療の完遍(ドロップアウト防止):皮膚の副作用を理由とした抗がん剤の減量や治療中断を防ぎ、がん治療の成功を後押しします

レスキュー治療の減少:早期に介入しておくことで、症状悪化後に強い治療薬を用いるリスクを減らすことができます


「予防的」アプローチの実践内容

米国の腫瘍皮膚科学や各種コンセンサスでは、治療開始前からのベースライン・スキンケア(プロアクティブフェーズ)として以下が推奨されています。

徹底した保湿と刺激の排除(文献5): アルコールベースのローションや刺激の強い製品を避け、肌のpHに近い(pH5程度)刺激の少ない洗浄剤を使用します。また、シャワーの時間を短くし、セラミドやシアバターなどを含む高保湿のクリームや軟膏を1日複数回、症状がなくても予防的にたっぷりと塗布します。

徹底した光防御(紫外線対策)(文献5): SPF50以上かつUVA/UVBを広域に防御する日焼け止めのこまめな塗布や、帽子、サングラス、UV保護衣類などを用いて、治療開始時から徹底的に紫外線を遮断します。色素沈着は、とくに日光の影響で悪化するため重要な予防策となります。

患者教育(文献1): 治療開始前に、どのような皮膚症状が起こり得るか、またそれを防ぐための日々のスキンケア方法を患者自身に教育し、予防策への継続的な取り組み(アドヒアランス)を高めます。

薬剤による予防(特定の抗がん剤の場合)(文献4): 皮膚障害が強く出やすい特定の薬剤(EGFR阻害薬など)を使用する場合は、皮膚症状が出る前から、予防的に経口抗生物質(ドキシサイクリンなど)やステロイド外用薬を6週間程度使用することで、重度の皮膚障害の発生率を劇的に減少させることが確認されています。



5 がんサバイバーのスキンケアと修復的アプローチ(修復的腫瘍皮膚科学)の重要性

抗がん剤の投与期間が終了し、患者さんが「がんサバイバー」としての生活フェーズへ移行した後にも、色素沈着が残存するケースは少なくありません。

こうした色素沈着は外用薬だけでは十分な改善が得られないことがあり、その場合に検討されるのがレーザー治療やケミカルピーリングです。

ただし、それらの治療はがん治療が完了し、皮膚の状態が安定してから慎重に行う必要があります。


修復的腫瘍皮膚科学の意義

修復的腫瘍皮膚科学は、単なる「美容目的」の治療ではありません。がん治療による不可逆的な外見の変化は、患者さんにとって「がんを経験したことの目に見えるリマインダー」であり続けます。

とくに顔面の色素沈着は、社会的な場面での自信の喪失やうつ症状と関連することが複数の研究で報告されています。

修復的腫瘍皮膚科学は、患者さんの社会的アイデンティティを回復させ、がんサバイバーとしての人生の質を向上させることを目的とした医療なのです。




6 「抗がん剤のしみが消えない」悩みに寄り添う、当院の3つの治療方針


当院の治療における3つの考え方


当院では、米国で発展する腫瘍皮膚科学(Oncodermatology)の知見を取り入れ、抗がん剤による顔の色素沈着に対して、以下の3つの考え方を治療の柱とします。

① がん治療の完遂に向けてサポートします
抗がん剤治療中の患者さんに対して、当院では予防的スキンケア(光防御・保湿・摩擦の排除)を指導・サポートします。

これらの基本ケアは色素沈着の予防にとどまらず、皮膚障害全般の重症化を防ぐ効果があることが国内外の文献で示されています。皮膚の副作用が重症化すると、命を救うための抗がん剤の減量や中断を余儀なくされることがあります。

当院の予防的スキンケア支援は、そうしたドロップアウトを防ぎ、がん治療を最後まで完遂するためのサポートになります。


② がん治療の状況をふまえた上で、積極的に治療介入します
色素沈着の治療は、「いつ、何をするか」のタイミングが極めて重要です。当院では、患者さんのがん治療の進行状況を十分に把握した上で、フェーズに応じた治療を行います。

抗がん剤の投与期間中は予防に徹し、がん治療が終了して皮膚の状態が安定した段階で、外用剤やレーザー治療などの積極的な治療へと移行します。

日本の多くの医療機関で行われている「様子を見ましょう」という消極的な対応ではなく、適切なタイミングで積極的に介入する――これが当院の基本姿勢です。


③ がんサバイバーとしてのQOLを向上させます
がん治療後も長期にわたって残る顔の色素沈着は、患者さんにとって「がんを経験したことの視覚的なリマインダー(爪痕)」であり続けます。鏡を見るたびに治療の記憶がよみがえり、社会生活への自信を失ってしまう方も少なくありません。

当院の治療は、単なる「美容目的のしみ取り」ではありません。がんサバイバーの方が、がんを乗り越えた先の人生を自分らしく歩んでいけるよう、外見の回復を通じてQOL(生活の質)を向上させること――これが、修復的腫瘍皮膚科学(Restorative Oncodermatology)の理念に基づく、治療の最終的な目的です。


7 【フェーズ別】炎症後色素沈着(抗がん剤のしみ)の具体的な治療法

残念ながら米国で生まれた「腫瘍皮膚科学」を日本で実践することはハードルが高いですが、抗がん剤が原因で生じる顔の色素沈着に限定すれば、自由診療を利用することで、腫瘍皮膚科学のエッセンスを取り入れることもできます。

ここでは、抗がん剤治療のフェーズに応じた2段階の治療方針を説明します。



フェーズ1:抗がん剤の投与期間中 ― 予防のための「3つの基本」

国内外の腫瘍皮膚科学のコンセンサスや、日本の国立がん研究センターの指導(文献6)においても推奨されている以下の「3つの基本」を、抗がん剤投与中から徹底します。


3つの基本


フェーズ2:抗がん剤投与終了後 ― 外用剤を中心とした積極的治療

がん治療が終了し、生活フェーズへ移行した後は、残存する色素沈着に対して外用剤を中心とした積極的な治療を開始します。

エビデンスを重視しながら、日本人の肌に合わせて選択した以下の外用剤をおすすめします。



ハイドロキノン(2〜4%)(→クリニック処方のハイドロキノンはこちらへ)
米国の腫瘍皮膚科学などの海外文献では、がん治療による色素沈着に対する第一選択薬(First-line treatment)として有効とされています(文献7)。ただし、オーストラリアやニュージーランドの専門家によるコンセンサスでは、「がん治療終了から6ヶ月以内は使用すべきではなく、使用期間も6ヶ月を超えないようにする」といった使用上の注意も提唱されています(文献5)。

アゼライン酸(5〜20%)(→クリニック処方のアゼライン酸はこちらへ)
海外の医学論文において、アゼライン酸はがん治療に伴う色素沈着に対して「有効」であり、第一選択薬(First-line treatment)のひとつとして推奨されています(文献7)。濃度5〜10%のアゼライン酸はハイドロキノン、レチノイド、およびステロイドと組み合わせて、濃度20%のアゼライン酸は単独で外用することも有効な治療の選択肢として挙げられています(文献7)。

ナイアシンアミド(→クリニック処方のナイアシンアミドはこちらへ)
ナイアシンアミドを含む外用薬は、メラニンを作り出す細胞(メラノサイト)から表皮の細胞(ケラチノサイト)へのメラノソームの移行を阻害する働きがあります。これにより、皮膚の過剰な色素沈着を軽減することが示されているため、日焼け止めなどの紫外線対策と併せて、積極的な使用が推奨されています(文献7)。

ナイアシンアミドは色素沈着の改善だけでなく、抗がん剤治療中に頻発する他の皮膚トラブルの予防・ケア成分としても非常に高く評価されています。ベースライン・スキンケア(毎日の保湿剤)の推奨成分として、シアバターやセラミドとともにナイアシンアミドが挙げられています(文献7)。


これらの外用剤を患者さんの肌状態に合わせて組み合わせ、段階的に治療を進めます。外用剤治療に十分な反応が得られない場合には、ケミカルピーリングやレーザー治療といったデバイスベースの治療も考慮します。


外用薬に反応しない色素沈着に対して、第二選択としてのレーザー治療・ケミカルピーリング

◎Qスイッチレーザー
外用薬に反応しない色素沈着に対して、Qスイッチレーザーはケミカルピーリング等と並ぶ重要な第二選択治療として評価・実践されています(文献7)。

しかし、一般的な色素沈着に対しては効果に「ばらつきがある」ため慎重な照射が求められる一方で、放射線治療の位置決めに用いられる「放射線タトゥー」の除去においては傷跡を残しにくい優れた治療法として高く評価されています(文献7)。

▶当院のQスイッチレーザー:


定番のルビーレーザー Qスイッチルビーレーザー

肌への負担の少ないフラクショナル ルビーフラクショナル


◎ケミカルピーリング
Qスイッチレーザーが効果に「ばらつきがある」とされている一方で、グリコール酸やサリチル酸を使用したケミカルピーリングは、外用薬と組み合わせることで抗がん剤による色素沈着を改善するための実践的で有効な第二選択治療として評価されています(文献7)。

▶当院のケミカルピーリング:


Dr.施術のピーリング サリチル酸マクロゴールピーリング

ホームピーリングならWiQo WiQo美容液



9 まとめ|化学療法による顔の黒ずみ・しみが消えないとお悩みの方へ

抗がん剤による顔の色素沈着は、がんそのものを克服した後も患者さんを苦しめ続ける、見過ごされてきた問題です。日本では「自然に薄くなるのを待ちましょう」という対応が一般的ですが、米国では腫瘍皮膚科学(Oncodermatology)という専門領域のもと、がん治療中からの予防的スキンケア、そして治療後の積極的な色素沈着治療が実践されています。

当院では、この腫瘍皮膚科学のエッセンスを日本の自由診療に取り入れ、抗がん剤治療中の予防的ケア(光防御・保湿・摩擦排除の「3つの基本」)から、治療終了後の外用剤治療(ハイドロキノン、アゼライン酸、ナイアシンアミド)、さらに必要に応じたレーザー治療やケミカルピーリングまで、フェーズに応じた一貫した治療をご提供しています。

「がん治療後のしみが消えない」「どこに相談すればよいかわからない」という方は、まずはお気軽にご相談ください。当院では、がんサバイバーの方の肌のお悩みに真摯に向き合い、エビデンスに基づいた最適な治療プランをご提案いたします。

 


【参考文献】

1. Pigmentary changes in patients treated with targeted anticancer agents: a systematic review and meta-analysis
Julia Dai, et al.
J Am Acad Dermatol
2017; 77(5): 902–910.e2

2. Corrective and Restorative Dermatology in Cancer Survivors: An Urgent Unmet Need!
Luca Rapparini, et al.
Am J Clin Dermatol
2026 Mar 31.doi: 10.1007/s40257-026-01027-0

3. 日本がんサポーティブケア学会 編(2021)
がん治療におけるアピアランスケア ガイドライン 2021年版
金原出版

4. Toxic Side Effects of Targeted Therapies and Immunotherapies Affecting the Skin, Oral Mucosa, Hair, and Nail
Mario Lacouture, Vincent Sibaud
Am J Clin Dermatol
2018 Nov;19(Suppl 1):31-39

5. Management of Skin Toxicities in Cancer Treatment: An Australian/New Zealand Perspective
Rahul Ladwa, et al.
Cancers
2024 Jul 12;16(14):2526

6. 国立がんセンター中央病院WEBサイト「生活の工夫インタビュー:色素沈着や皮膚の変化の対処法」https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/division/nursing/power/010/100/index.html
(2026年4月6日参照)

7. Restorative Oncodermatology: Diagnosis and Management of Dermatologic Sequelae from Cancer Therapies
Anthony M Rossi, et al.
J Am Acad Dermatol
2021 Sep;85(3):693-707

 

 

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制作・執筆:坂田修治(医師:美容外科・美容皮膚科 青い鳥 院長)
(最終更新日:2026年4月7日)

投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥

2026.04.02更新

春になると化粧水がしみる、赤みが出るなどの「ゆらぎ肌」にお悩みではないですか?

本記事では、春に肌荒れが起こる原因(花粉・紫外線など)や、敏感肌との違い、正しいスキンケア対策を美容皮膚科の視点で解説します。春の肌荒れが治らない時の皮膚科受診の目安も紹介しています。


春の「ゆらぎ肌」とは?赤みや化粧水がしみる等の症状


春の「ゆらぎ肌」とは

「ゆらぎ肌」とは、特定の病気の名前ではなく、肌のコンディションが一時的に乱れ、外からの刺激を受けやすくなっている状態を指す言葉です。確認できる範囲では、少なくとも2006年ごろには企業サイト上で使用例がみられ、2010~2011年ごろには女性誌でも広く用いられるようになりました。

つまり、医療現場で生まれた用語ではなく、季節の変わり目に感じる肌の不安定さを表すために、美容の現場から広がった表現です。

具体的には、次のような変化がみられることがあります。
✔️乾燥しやすい
✔️赤みが出やすい
✔️かゆみやヒリつきがある
✔️いつもの化粧品がしみる
✔️ごわつきや化粧ノリの悪さが気になる
✔️吹き出物が出やすい

美容の分野では、こうした状態を「バリア機能が低下している」と表現することが少なくありません。ただし、春とバリア機能の関係については、もう少し丁寧に考える必要があります。この点は記事の後半(「医学的にみると『春はバリア低下の季節』とは言い切れない」)で詳しく整理しています。


春の肌荒れ・ゆらぎ肌が起こる主な原因


春にゆるぎ肌が生じやすい理由

春の肌不調は、ひとつの原因だけで起こるのではなく、いくつかの要因が重なって表れます。

花粉(→花粉症皮膚炎について詳しくはこちらへ)
春の肌トラブルを語るうえで、まず挙げたいのが花粉です。とくに日本では、スギ花粉が大きな問題となっており、鼻や目の症状だけでなく、肌にも影響しうることが知られています。

花粉が肌表面に付着すると、赤み、かゆみ、ざらつき、ヒリつきなどを感じやすくなることがあります。春になると急に化粧品がしみる場合、その背景に花粉の影響があることもあります。

黄砂(→黄砂について詳しくはこちらへ)・ほこりなどの外的刺激
黄砂が世界的に問題になりやすい地域は限られており、とくに中国大陸、朝鮮半島、日本で影響を受けやすいと考えられます。日本の春は、黄砂や空気中の微粒子が肌への刺激要因として加わりやすい季節です。

紫外線
春は真夏ほど暑さを感じないため、紫外線への意識が向きにくい季節です。しかし実際には、気温の上昇に先行して紫外線量は増えていきます。

そのため、「まだ本格的なUV対策は早い」と思っているうちに、肌には少しずつ紫外線の刺激が積み重なります。春の肌不調の背景には、この“油断しやすさ”もあります。

寒暖差
春は暖かい日と冷える日が入り混じり、一日の中でも気温差が大きくなりがちです。こうした変化は、体調や皮脂・発汗のバランス、スキンケアの選び方に影響し、肌のコンディションを不安定にしやすくします。

乾燥
春先の空気は、冬ほど意識されないものの、まだ乾燥しています。冬の乾燥ダメージが残る肌に春の空気の乾きが重なることで、肌のかさつきやつっぱりが目立ちやすくなることがあります。

生活リズムの変化やストレス
春は進学、就職、異動、引っ越しなど、生活環境が変わりやすい季節です。睡眠不足や疲れ、ストレスは、肌の安定性にも影響しやすく、普段なら気にならない刺激を強く感じる背景になります。

洗いすぎ・こすりすぎ・合わないスキンケア
肌が不安定な時期ほど、「きれいにしたい」「早く立て直したい」という思いから、洗いすぎや過度な角質ケアに傾きやすくなります。しかし実際には、このような時期の肌には、強い洗浄や摩擦、刺激の強い化粧品が逆効果になることも少なくありません。


医学的視点で見る「春のゆらぎ肌」とバリア機能の関係


「春はバリア機能が落ちる季節」と説明されることがありますが、医学的には、もう少し慎重に捕らえる必要があります。

季節による皮膚状態の変動は確かにありますが、文献的には、バリア機能の低下がより目立ちやすいのは冬であり、低温・低湿度の環境で経表皮水分蒸散量(TEWL)が増え、角層水分量が低下しやすいことが示されています(文献1)。

では、なぜ春に肌の不調を感じる方が多いのでしょうか。それは、春に皮膚が特別弱くなるというよりも、冬を越えた肌に、日本の春特有の刺激が重なることで不調が表面化しやすくなるためと考えられます。冬のあいだに蓄積した乾燥ダメージがまだ回復しきらないうちに、花粉、黄砂、紫外線の増加、寒暖差といった外的要因が一度に押し寄せる――この重なりこそが、春に肌がゆらぎやすい本質的な理由です。

つまり、「春だからバリアが落ちる」のではなく、「冬に受けたダメージの上に、春の刺激が重なって不調が見えやすくなる」と捕らえるほうが、実態に即しています。


「ゆらぎ肌」と「敏感肌」の違いとは?


「ゆらぎ肌」と「敏感肌」は似た場面で使われる言葉ですが、意味合いは少し異なります。

敏感肌は、もともと刺激に反応しやすい肌質を指して使われることが多く、ゆらぎ肌は、季節や体調、環境の変化によって、一時的に不安定になっている肌状態を指すことが多い言葉です。

ただ実際には、両者が重なることも少なくありません。もともと敏感な肌の方ほど、春のように刺激が重なる季節の影響を受けやすい傾向があります。


春のゆらぎ肌対策・スキンケア|肌荒れを優しく整える方法


ゆらぎ肌対策

春のゆらぎ肌対策では、何かを積極的に足すことよりも、肌を乱さず、シンプルに整えることが大切です。

顔はやさしく、洗いすぎない
花粉や汚れを落とすことは大切ですが、洗いすぎは肌の負担になります。強くこすらず、必要以上に脱脂しすぎない洗顔を心がけましょう。

保湿はシンプルに続ける
肌が不安定なときは、多くのアイテムを重ねるより、低刺激の保湿を丁寧に続けるほうが、結果として安定につながりやすいことがあります。

刺激の強いケアはいったん控える
ピーリング、スクラブ、刺激を感じやすい高機能化粧品などは、肌状態によっては負担になることがあります。肌が落ち着くまでは、少し引き算を意識するほうが穏やかです。

紫外線対策は春こそ丁寧に
春は紫外線対策が欠かせません。暑さが本格化する前だからこそ、対策が後回しになりやすい季節でもあります。肌に合う日焼け止めを選び、無理なく続けることが大切です。

花粉や黄砂を肌に残さない
外出後は、顔や髪についた花粉や微粒子を、できるだけ早めに落とすことが役立ちます。ただし、落とすことに意識が向きすぎて、こすり洗いにならないよう注意が必要です。

睡眠と生活リズムを整える
肌は外からのケアだけでなく、内側のコンディションにも大きく左右されます。春の肌不調こそ、睡眠や休養の大切さを見直したい時期です。


ゆらぎ肌・春の肌荒れ悪化を防ぐ!避けたいNG行動


スキンケアのNG

肌が不安定なときには、次のような行動が、かえって悪化につながることがあります。

☑️ゴシゴシ洗う
☑️スクラブや過度な角質ケアを重ねる
☑️しみるのに我慢して化粧品を使い続ける
☑️新しい高機能コスメを試す
☑️赤みやかゆみがあるのに、自己判断だけで長く様子を見る

この時期は、効かせることより、まず悪化させないことが大切です。


春の肌荒れが治らない?ゆらぎ肌で皮膚科を受診する目安


皮膚科受診の目安

春の肌不調は珍しいものではありませんが、すべてを季節のせいにしてよいわけではありません。次のような場合には、皮膚科で相談することをおすすめします。

⚫️赤みやかゆみが強い
⚫️湿疹のようになっている
⚫️何を塗ってもしみる
⚫️数日から1~2週間たっても改善しない

湿疹、接触皮膚炎、脂漏性皮膚炎、酒さなど、「ゆらぎ肌」では説明できない皮膚疾患が隠れていることもあります。肌がゆらいでいるときほど、「何を足すか」よりも「何をやめるか」が大切になることがあります。早めに状態を見極めることで、遠回りを避けられることがあります。


まとめ|春の肌は、シンプルに整える

春のゆらぎ肌とは、花粉、黄砂、紫外線、寒暖差、生活リズムの変化などが重なり、肌が一時的に不安定になっている状態です。

医学的には、皮膚バリア機能の低下がもっとも目立ちやすいのは春ではなく冬です。それでも春に肌の不調を感じやすいのは、冬に受けたダメージが回復しきらないうちに、スギ花粉、黄砂、紫外線の増加といった日本の春特有の刺激が重なるためと考えられます。

この時期は、目に見える変化にあわてて何かを足すよりも、まずは刺激から肌を守り、シンプルに整えていくことが大切です。

⚪️洗いすぎない
⚪️こすらない
⚪️保湿を丁寧に続ける
⚪️花粉・黄砂・紫外線の刺激を減らす
⚪️不安定な時期は「攻め」のスキンケアは控える

春の肌には、「優しさ」が必要です。一方で、症状が長引くときや炎症が強いときは、単なる「ゆらぎ肌」ではない可能性もあります。気になる変化が続く場合には、早めに皮膚科へご相談ください。


▶当院の皮膚バリアを修復する治療:


劣化した皮膚バリアを再構築 ダーマペン・ベーシック

炎症を抑え、常在菌を正常化して最弱の肌を救う プラズマトーニング



【参考文献】
1 The Effects of Regional Climate and Aging on Seasonal Variations in Chinese Women’s Skin Characteristics
Kim, E., et al.
Journal of Cosmetics, Dermatological Sciences and Applications
2017;7:164-172

 

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制作・執筆:坂田修治(医師:美容外科・美容皮膚科 青い鳥 院長)
(最終更新日:2026年4月2日)

投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥