炎症後色素沈着(PIH)の治し方|掻いた跡・ニキビ跡の茶色い色素沈着治療

炎症後色素沈着とは


ニキビ跡、虫刺されや掻き壊しのあと、かぶれ・やけどのあとに残る「茶色いシミのような跡」——その多くは炎症後色素沈着(PIH)です。

時間とともに薄くなることもありますが、紫外線や摩擦が加わると数か月から年単位で居座ることも少なくありません。

当院では、跡が残った原因と肌の状態に合わせて、外用薬・レーザー・内服などを組み合わせ、できるだけ負担の少ない方法からご提案します。「市販のケアでは変化を感じられない」「いつまでも薄くならない」とお悩みの方は、一度ご相談ください。

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**当院は2023年に自由が丘から港区浜松町に移転して診療しています。

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*銀座・汐留方面からも電車1〜2駅の圏内です。詳しい道順は [アクセスページ] をご覧ください。

 


 


▶︎原因や自然治癒の期間について詳しく知りたい方はこちらのブログ記事へ
→ 炎症後色素沈着とは?ニキビ跡・虫刺され・やけどが茶色く残る原因といつ治るか

▶︎抗がん剤治療に伴う色素沈着について詳しく知りたい方はこちらのブログ記事へ
→ 抗がん剤のしみが消えない?色素沈着はいつ消えるか


 



炎症後色素沈着の治し方|まず炎症を止め、色素を増やさない

治療の「適応」を判断する


炎症後色素沈着は、基本的には一時的なメラニン色素の蓄積です。

そのため、まず最初に考えるべきことは、本当に治療が必要かということです。場合によっては、数ヶ月様子を見て少しずつ薄くなるのが確認できればそれ以上何もしないというのも立派な治療方針になります。

医学では、どのような治療法を選ぶか以前に、「そもそも治療すべきかどうか」を判断することを治療の「適応(てきおう)」を判断すると言います。

 

一般の方にはあまり馴染みのない言葉かもしれませんが、実はこれが医学において最も重要なプロセスです。当院ではお一人おひとりの肌状態を慎重に診察し、治療によるメリットがリスクを上回ると判断できた場合にのみ、最適なプランをご提案いたします。



治療の基本方針 ── 3つのアプローチ


クリニックで炎症後色素沈着の治療を考える場合、次のようなステップで行っていきます。

1️⃣原因となる炎症を止める:ニキビ、湿疹、接触性皮膚炎、虫刺されの痒みなどが続いている場合は、その治療を優先します。

2️⃣紫外線と摩擦を避ける:紫外線と摩擦はメラニン産生を促進し、色素沈着を長引かせます。
→炎症後色素沈着のセルフケアについて詳しくはこちら

3️⃣外用剤:アゼライン酸、ナイアシンアミド、トラネキサム酸、ビタミンCなどを状態に合わせて検討します。

4️⃣必要に応じてピーリング:外用剤だけで改善が乏しい場合は、定期的なケミカルピーリング(ホームピーリング)を行います。

5️⃣レーザー治療は慎重に:症状が1年以上改善が見られない場合、真皮型が疑われる場合などでは、レーザー治療の適応を判断します。


炎症後色素沈着の治療は、以下の3つのアプローチを組み合わせて行います。

アプローチ目的主な治療法
メラニン生成の抑制 新たなメラニンが作られるのを抑える 多くの外用剤(ハイドロキノン、アゼライン酸、ビタミンC等)
メラニン排出の促進 蓄積したメラニンの排出を促す ピーリング(ケミカルピーリング)、外用剤の一部(レチノイド)
メラニンの直接破壊 沈着したメラニンを直接破壊する レーザー治療(Qスイッチルビーレーザー、ルビーフラクショナル)




 3️⃣外用剤


治療することが決まった場合、治療の第一選択は外用剤です。

炎症後色素沈着への治療として、いきなりレーザー治療を行うことや、肝斑でもないのにトラネキサム酸を中心とした内服治療を行うことは適当ではありません。


外用剤つまりは美白剤の使用です。アゼライン酸を単独で使用するか。またはアゼライン酸とダームエデン美容液(ナイアシンアミドとトラネキサム酸)の併用をお勧めします。

美白剤というと、ハイドロキノンが最も強力な美白剤として知られていますが、ハイドロキノンが原因となって、炎症後色素沈着を増悪させるという可能性もあるため、そうしたリスクが低く、より使いやすいアゼライン酸やダームエデン美容液を推奨します。

*美白剤の選択については、当院ブログ「医学的根拠に基づく美白成分ランキング2025」も参考にして下さい。



使用する外用剤



A アゼライン酸:メラニン生成の抑制

正常な肌の色には影響を与えにくく、刺激が比較的少ないため、敏感肌の方にも使いやすい成分です。ニキビができやすい方、肌に赤みのある方に適しています。

参考:「美白成分ランキング2025」から 第3位 アゼライン酸


▶クリニックで取り扱うアゼライン酸 

 

B トラネキサム酸 × ナイアシンアミド:メラニンの「産生」と「輸送」を二段階で抑制

作用する場所の異なる2つの美白有効成分を、高濃度で組み合わせた美容液です。トラネキサム酸はプラスミンの働きを抑え、メラニンが作られる上流の段階にブレーキをかけます。炎症を鎮める方向にも働くため、微小な炎症がくすぶって繰り返す肝斑にも向いた成分です。ナイアシンアミドは、作られたメラニンが角化細胞へ運ばれる下流の段階を抑え、さらにセラミドの産生を後押しして肌のバリア機能を支えます。作用点が重ならないため互いに干渉せず、攻めと守りを両立できる設計です。

参考:「美白成分ランキング2025」から 第7位 トラネキサム酸 第9位 ナイアシンアミド


▶クリニックで取り扱うトラネキサム酸 × ナイアシンアミド配合美容液 

 

【未承認医薬品等に関する表示】

ダームエデン美容液(DermEden TXA Concentrate 5%)は、国内未承認の海外製品です。医師の責任のもと製造元(Laboratoires DermEden Paris/フランス)から輸入しています(個人輸入の注意:https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/)。本品と同一処方の外用薬で国内承認されたものはなく、諸外国でも肌治療目的の医薬品として承認されていないため、重大な副作用等のリスクが十分に明らかでない可能性があり、医薬品副作用被害救済制度の対象外です。




 4️⃣必要に応じてピーリング


ケミカルピーリングは、酸性の薬剤を皮膚表面に塗布することで古い角質の剥離を促し、表皮のターンオーバー(新陳代謝)を早める治療法です。メラニンを含む古い角質層の排出を加速させることで、色素沈着の改善を図ります。

ピーリングは外用治療と組み合わせることで、より効果的な改善が期待できます。


A サリチル酸マクロゴールピーリング

サリチル酸をマクロゴール(PEG)基剤に溶解した製剤を使用するピーリングです。サリチル酸が角質層のみに作用し、基剤のマクロゴールが真皮への過度な浸透を防ぐため、施術後の赤みやひりつきが軽度で、ダウンタイムが短い点が特徴です。

色素沈着のある肌は刺激に対して再びメラニンを過剰生成するリスクがあるため、刺激の少ないピーリングが適しています。

▶クリニックのピーリング①

 



B レチノールピール

レチノールやレチナールなどレチノイドを主成分としたピーリングです。皮膚のターンオーバーを直接的に促進させることで、蓄積したメラニン色素の排泄を促します。色素沈着の治療とともに、年齢的な肌の劣化の改善を目指す方に適しています。

▶クリニックのケミカルピーリング②

 

 

 


ホームピーリング:メラニン排出の促進

クリニックでケミカルピーリングを続け、症状の改善が進めば、その後はホームケアとしてのピーリングをお勧めします。

グリコール酸は古い角質を除去することで、皮膚のターンオーバーを促進する働きがあり、メラニン色素の排出を促進します。


▶クリニックで取り扱う高濃度(8%)グリコール酸配合美容液 

 

【未承認医薬品等に関する表示】

WiQoフェイスフルイド(ワイコ美容液)は、国内未承認の海外製品です。医師の責任のもと製造元(WiQOmed/イタリア)から輸入しています(個人輸入の注意:https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/)。本品と同一処方の外用薬で国内承認されたものはなく、諸外国でも肌治療目的の医薬品として承認されていないため、重大な副作用等のリスクが十分に明らかでない可能性があり、医薬品副作用被害救済制度の対象外です。




 5️⃣ レーザー治療は慎重に


外用治療やピーリングで十分な改善が得られない場合、あるいは真皮型の炎症後色素沈着に対しては、レーザー治療が選択肢となります。

ただし、炎症後色素沈着に対するレーザー治療は慎重に適応を判断する必要があります。レーザー照射自体が皮膚に炎症を起こすため、不適切なレーザー治療はかえって色素沈着を悪化させるリスクがあるからです。

当院では、炎症後色素沈着の状態(表皮型か真皮型か、原因炎症の収束状況など)を慎重に評価したうえで、レーザー治療の適応を判断しています。



Qスイッチルビーレーザー

694nmの波長を持つルビーレーザーを超短時間(ナノ秒)で照射し、メラニン色素を選択的に破壊する治療法です。メラニンへの吸収率が高く、周囲組織へのダメージを最小限に抑えられます。色素沈着の治療において世界的に広く使用されているレーザーです。


▶クリニックのレーザー治療①

 



ルビーフラクショナル

メラニン色素への高い効果を持つルビーレーザーを、特殊な技術でマイクロドット状(微細な点状)に分割して照射する治療法です。

最大の特徴は、レーザーを面で一気に照射するのではなく「点」で当てること。照射された点と点の間にはダメージのない正常な皮膚が残るため、肌への負担やダウンタイムを最小限に抑えながら、安全に治療を進められる点に大きな意義があります。

これにより、通常のルビーレーザーでは刺激が強すぎて照射が難しかったデリケートな部位や、広範囲に広がる色素沈着・くすみに対しても、お肌を守りながら繊細かつ包括的なアプローチが可能になります。

 

▶クリニックのレーザー治療② 

 




 

 

よくいただくご質問

 A. 治療の選び方・適応

Q

 炎症後色素沈着は自然に治りますか?

A

⚪️表皮型の炎症後色素沈着は、原因となった炎症が収束し、適切な紫外線防御を行っていれば、半年〜1年程度で自然に改善することが多いです。

⚪️ただし、真皮型の場合は自然改善に時間がかかり、年単位で残存することがあります。

⚪️改善を早めたい場合や、なかなか改善しない場合は、外用薬やピーリング、レーザー治療などの医療的なアプローチが有効です。
 

 

Q

外用剤・ピーリング・レーザーのうち、どれから始めるのがよいですか?

A

⚪️当院は刺激の少ない外用剤から始め、効果や肌の状態をみてピーリング、最後にレーザーを検討する段階的な順序を基本にしています。

⚪️炎症後色素沈着は刺激で悪化することがあるため、いきなり強い治療を行わない方針です。
 

Q

複数の治療を組み合わせることはできますか?

A

⚪️ できます。

⚪️ 外用剤で土台を整えながらピーリングを併用するなど、組み合わせで相乗効果を狙うことがあります。組み合わせは肌の状態と跡の原因をみて個別に判断します。

Q

ニキビがまだ繰り返している状態でも、色素沈着の治療はできますか?

A

⚪️ まずは新しい炎症(ニキビ)を抑えることを優先します。

⚪️炎症が続いたまま色素だけを治療しても跡が新たにできてしまうため、再発を抑えながら並行してケアを進めます。

Q

凹凸(クレーター)のあるニキビ跡も同時に治せますか?

A

⚪️ 茶色い色素沈着と、へこみ・盛り上がりといった凹凸(瘢痕)は治療方針が異なります。診察で見極め、色素沈着への治療と凹凸への治療を整理してご提案します。

▶凹凸(瘢痕)のニキビ跡治療についてはこちらへ
 ニキビ跡・クレーター治療

Q

診察ではどのように炎症後色素沈着と判断しますか?

A

⚪️跡の色・場所・できた経緯(ニキビ・虫刺され・かぶれ等)を確認し、シミ(老人性色素斑)や肝斑などと見分けたうえで、治療の「適応」があるかを判断します。状態によっては経過観察をおすすめすることもあります。


Q

色素沈着の治療は保険適用ですか?

A

⚪️炎症後色素沈着の原因疾患(ニキビ、湿疹など)の治療は保険適用となる場合があります。ただし、色素沈着そのものに対する美白外用薬(ハイドロキノン等)やレーザー治療、ケミカルピーリングは美容目的の自由診療となり、保険適用外です。


 B. 外用剤について

Q

 AZAクリア(アゼライン酸)はどんな人に向いていますか? 

A

⚪️刺激が比較的少なく、ニキビと色素沈着の両方が気になる方や、ハイドロキノンが合いにくい方の選択肢になります。



Q

市販のシミ消しクリームで炎症後色素沈着は治りますか?

A

⚪️市販のシミ対策化粧品にも美白成分(トラネキサム酸、ビタミンC誘導体等)が配合されている製品がありますが、医療用に比べて濃度が低いため、効果は限定的です。

⚪️特に真皮型のPIHに対しては、市販品での改善は難しい場合がほとんどです。改善が見られない場合は、皮膚科・美容皮膚科での専門的な治療をおすすめします。



 C. ピーリングについて

Q

サリチル酸マクロゴールピーリングはどのくらいの間隔で受けますか?

A

⚪️ 肌の状態にもよりますが、数週間ごとに複数回を目安に行うことが一般的です。炎症後色素沈着では刺激を抑えるため、間隔を調整しながら進めます。

Q

レチノールピールにダウンタイムはありますか?

A

⚪️ 施術後に一時的な赤み・乾燥・皮むけが出ることがあります。日常生活に大きな支障が出ないよう設定しますが、大切なご予定の前は時期をご相談ください。

 D. レーザー治療について

Q

レーザー治療で色素沈着が悪化することはありますか?

A

⚪️ レーザー照射自体が皮膚に炎症を起こすため、照射後に一時的に炎症後色素沈着が増悪するリスクがあります。特に、原因炎症がまだ収束していない段階でのレーザー治療や、不適切な照射設定による治療は、悪化のリスクが高まります。

⚪️ 当院では、炎症後色素沈着の状態を慎重に評価したうえでレーザー治療の適応を判断し、照射後の紫外線防御の徹底をご指導しています。

Q

他院でレーザーを受けて色素沈着が悪化しました。治療できますか?

A

⚪️まず炎症を鎮めて刺激を止めることを優先し、状態が落ち着いてから外用などで慎重にケアします。悪化した肌に強い治療を重ねないことが大切なので、現在の状態を診せてください。




 E. その他

Q

カウンセリングだけでも受けられますか?

A

⚪️はい、カウンセリングのみのご来院も承っております。

⚪️院長が直接お肌の状態を診察し、炎症後色素沈着のタイプ(表皮型・真皮型)を評価したうえで、外用薬・施術・日常ケアを含めた治療プランと費用の目安をご説明いたします。

⚪️治療を受けるかどうかは、カウンセリング後にご判断下さい。




制作・執筆:坂田修治(医師:美容外科・美容皮膚科 青い鳥 院長)
(最終更新日:2026年6月28日)