2025.08.18更新

はじめに

ニキビが治った後に残る茶色いシミ、虫刺されの跡がいつまでも消えない黒ずみ、レーザー治療後に現れる予期しない色素沈着…これらはすべて「炎症後色素沈着(PIH: Post-Inflammatory Hyperpigmentation)」と呼ばれる皮膚トラブルです。

特に私たち日本人を含むアジア人にとって、炎症後色素沈着は避けて通れない肌悩みの一つです。なぜなら、黄色人種の肌は構造的に色素沈着を起こしやすいからです。

本記事では、炎症後色素沈着のメカニズムから日常に潜む意外な原因、そして科学的根拠に基づいた治療原則まで、医学的エビデンスを交えながら詳しく解説していきます。


1)炎症後色素沈着とは?定義と特徴

炎症後色素沈着は、皮膚の炎症や外傷が治癒した後に、その部位に過剰なメラニン色素が沈着して生じる後天性の色素異常症です。

医学的根拠
◉炎症後色素沈着は、炎症性皮膚疾患の一般的な後遺症であり、肌の色が濃い患者に多く、重症度も高い傾向があります(文献1)。


2)なぜ色素沈着が生じるのか?そのメカニズム

[1] 炎症が起きる
ニキビ、傷、やけど、湿疹など様々な原因で皮膚に炎症が発生

[2] サイトカインが放出される
炎症が起きると、皮膚の細胞から「サイトカイン」という情報伝達物質が放出されます
これは細胞間の「連絡係」のような役割をします

[3] 色素細胞が刺激される
サイトカインがメラノサイトという色素を作る細胞に「もっと働け!」という指令を出します
通常より活発に働き始めます

[4] メラニン色素が過剰に作られる
活性化したメラノサイトが、メラニン色素を通常より多く生産。

ポイント
炎症の種類によって、放出されるサイトカインの種類や量が異なります
そのため、炎症後色素沈着の程度や治りやすさも炎症の原因によって変わります

PIHの原因1位ニキビ


3)炎症後色素沈着が生じやすい主な場面

第1位:ニキビ(尋常性ざ瘡)

医学的根拠
◉アジア7カ国におけるニキビ患者について、炎症後色素沈着の有無について評価を行ったところ、58.2%(188/324)が炎症後色素沈着を有していた(文献2)


第2位:アトピー性皮膚炎

医学的根拠
◉ステロイド外用薬の使用後に見られる色素沈着は、皮膚炎が持続したことによって生じる「炎症後色素沈着」であり、色素沈着を防ぐためには、ステロイド外用薬などの抗炎症外用薬を早期に使用し、皮膚炎を十分に沈静化させることが重要である(文献3)。


第3位:外傷・熱傷

医学的根拠
◉熱傷後の炎症後色素沈着発生率は、50〜60%で、特に肌の色の濃い人で生じやすい(文献4)。


4)見逃しやすいスキンケア由来の炎症後色素沈着

摩擦(こすりすぎ):ナイロンタオル等の慢性摩擦で「摩擦黒皮症」と呼ばれるパターンの色素沈着が生じます(文献5)。まず摩擦習慣の中止が必要です。

化粧品による接触皮膚炎:刺激性/アレルギー性接触皮膚炎の後に炎症後色素沈着を残すことがあります(文献6)。原因特定と診断において、パッチテストが重要な役割を果たします(文献6)。


5)炎症後色素沈着が消えない理由

5-1)「色素失禁」で遷延(文献7)

色素失禁は、本来表皮に存在すべきメラニン色素が基底膜を越えて真皮内に落ち込む現象です。

[1] 炎症が原因で、表皮と真皮の境界である基底膜が破壊される
[2] 表皮内のメラニンが真皮に落下
[3] 真皮内マクロファージ(メラノファージ)によって貪食される
[4] 青灰色で遷延すること:この真皮性色素沈着は、「青灰色の色合いを呈し、より遷延しやすい」とされています。


5-2)肌の色によるメラノソーム分解の違い(文献8)

メラニン色素は細胞内ではメラノソームという袋状の構造物に入っています。メラノソームが分解されることで、色素沈着をきたした肌が元の色に戻るわけですが、肌の色の濃い人では、メラノソームの分解が遅れる、つまり色素沈着からの回復が遅れることが指摘されています。


6)炎症後色素沈着の治療原則

原則1:原因「炎症」の鎮静化
ニキビ・湿疹・接触皮膚炎など基礎疾患の制御が最優先です。「炎症」が続く限り、色素沈着は治りません。

原則2:メラニン生成の抑制
ハイドロキノン(HQ):2%または4%のハイドロキノンは炎症後色素沈着の標準的外用薬の一つです(文献9)。
レチノイドもよく使われ、患者の64%(118名中)で部分的な色素沈着の軽減が見られたと報告されています(文献9)。

原則3:既存メラニンの排出促進
ケミカルピーリングは外用療法の補助として炎症後色素沈着改善に役立つことがありますが、肌の色の濃い人では術後炎症後色素沈着のリスクに配慮が必要です。


7)まとめ:炎症後色素沈着と正しく向き合う

・原因炎症の特定と鎮静化が最優先

・摩擦・刺激を避け、日々の遮光(UVケア)を徹底
日焼け止めの使用は、炎症後色素沈着の予防という観点からも極めて重要です。ステロイドの外用も含め、ほとんどの予防法は限定的な有効性しか示していませんが、日焼け止めだけは、一貫して炎症後色素沈着の発生を減少させました(文献10)。

・治療の中心は、ハイドロキノンやレチノイドなどの外用剤

・レーザー治療は慎重に

・時間はかかるが改善は見込める——基本的に「炎症」さえ収まれば、治るのは時間の問題(とはいえ半年から1年かかりますが)​​​​​​​​​​​​​​​​


クリニックでの美白治療

 

 おすすめの関連ブログ記事

 


【参考文献】

1)Postinflammatory Hyperpigmentation: A Review of the Epidemiology, Clinical Features, and Treatment Options in Skin of Color
Erica C Davis, Valerie D Callender
J Clin Aesthet Dermatol
2010 Jul;3(7):20–31

2) Frequency and characteristics of acne-related post-inflammatory hyperpigmentation
Flordeliz Abad-Casintahan, et al.
J Dermatol
2016;43(7):826-828

3) アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2024
佐伯秀久, et al.
日本皮膚科学会雑誌
2024;134(11): 2741-2843

4) Inflammatory response: The target for treating hyperpigmentation during the repair of a burn wound." Chi Zhong, et al.
Front Immunol
2023 Feb 1:14:1009137

5) アミロイド沈着がみられたfriction melanosisの6例並びにアンケート調査によるfriction melanosisの頻度
馬場 安紀子, et al.
日本皮膚科学会雑誌
1986;96(12):1215

6) 化粧品開発とその障害の歴史 I
伊藤正俊
日本香粧品学会誌
2022;46(3):247–256

7) Postinflammatory Hyperpigmentation
Elizabeth Lawrence, et al.
StatPearls [Internet].
StatPearls Publishing, 2024

8) Keratinocytes from light vs. dark skin exhibit differential degradation of melanosomes
Jody P Ebanks, et al.
J Invest Dermatol
2011 Jun;131(6):1226-33

9) Treatment of Post-Inflammatory Hyperpigmentation in Skin of Colour: A Systematic Review
Kristie Mar, et al.
J Cutan Med Surg
2024 Sep-Oct;28(5):473-480

10) Prevention of Post-Inflammatory Hyperpigmentation in Skin of Colour: A Systematic Review
Kristie Mar, et al.
Australas J Dermatol
2025 May;66(3):119-126



 



制作・執筆:坂田修治(医師:美容外科・美容皮膚科 青い鳥 院長)
(最終更新日:2025年8月18日)

投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥

2025.08.12更新

はじめに

鏡を見るたびに「肌がくすんでいる」「黄色っぽくなってきた」と感じることはありませんか?その「黄ぐすみ」の正体は、AGEs(エージーイー:終末糖化産物)と呼ばれる老化物質の蓄積かもしれません。

AGEsとは、私たちの体を構成するタンパク質や脂質が糖と結びついてできる「焦げ」のような物質。まるでトーストの焦げ目のように、肌を内側から黄ばませ、ハリや弾力を奪っていきます。しかも恐ろしいことに、一度できてしまったAGEsは、なかなか体外に排出されません。

しかし、諦める必要はありません。最新の研究により、AGEsの蓄積は日々の生活習慣で予防でき、すでに蓄積したAGEsも改善できる可能性があることがわかってきました。本記事では、AGEsについて医学的根拠を交えながら詳しく解説していきます。

AGEsとは?

体内で起こる「糖化」という現象

AGEs(Advanced Glycation End Products:終末糖化産物)は、還元糖(ブドウ糖・果糖など)がタンパク質や脂質に結合して生じる不可逆的な生成物です(文献1)。

医学的根拠
◉AGEsは不可逆的で代謝されにくいため、皮膚に年々蓄積します。特に、皮膚コラーゲンの代謝回転が遅いことが、AGEs蓄積の主な理由とされています(文献1)


AGEsが肌にどのような悪影響を及ぼすか?

肌への影響:美容の大敵

AGEsの蓄積は、女性の美容上の悩みに直結します。


シワ・たるみの原因

AGEsはコラーゲンやエラスチンなどの皮膚の線維成分に結合し、これらを硬くもろくします。正常なコラーゲンは柔軟性があり、肌の弾力を保っていますが、AGEsによって架橋されたコラーゲンは硬化し、肌のハリが失われます。

医学的根拠
◉AGEsがコラーゲン線維に蓄積することによる変化(文献2):
●コラーゲン線維の硬化(Stiffening)
●コラーゲン線維に力が加わった際にエネルギーが線維内に蓄積され、もろくなって破壊されやすくなります
●組織の機能低下

黄ぐすみ・くすみ
AGEsは褐色の色素を持つため、皮膚に蓄積すると肌が黄色っぽくくすんで見えます。これは糖化による「黄ぐすみ」と呼ばれ、通常の美白化粧品では改善が困難です。

医学的根拠
◉2024年に黄色い色を持つ糖化最終産物AGEY(Advanced Glycation End-product Yellow)が、皮膚の黄変に直接関与することが判明しました(文献3)。


皮膚におけるAGEsの蓄積のリスクファクター

1. 年齢(加齢)
加齢は皮膚AGEs蓄積の最も確実なリスクファクターです。

医学的根拠
◉Verzijl et al.らの研究により、皮膚コラーゲン中のAGE含有量は年齢とともに線形的に増加することが証明されています(文献1)。


2. 糖尿病・高血糖状態

医学的根拠
◉韓国人2型糖尿病患者310名を対象とした研究では、糖尿病の罹患期間が長いほど、SAF(皮膚自己蛍光)で測定されたAGEsのレベルが高いことが認められました(P < 0.001)(文献4)


3. 紫外線暴露

医学的根拠
◉若年者において、通常は紫外線から保護された皮膚部位にはAGEsの顕著な蓄積は見られませんが、日光にさらされる部位ではAGEsの沈着が増加していることが示されています。特に、光老化した部位にAGEsの蓄積が多く見られると報告されており、紫外線暴露がAGEs形成を促進する可能性が示唆されています(文献5)



4. 食事由来AGEs

医学的根拠
◉549食品のAGE含有量データベース解析により、乾熱調理(高温かつ低水分量の状態で行われる調理法)は、未調理の状態と比較して、食事由来のAGEsの生成を10~100倍以上促進することが報告されています(文献6)

◉現代の食事が主に加熱調理されているため、高レベルのAGEsを含んでいるとされ、特に「グリル、ブロイル、ロースト、ソテー、フライ」といった調理法が新規AGEsの生成を促進・加速させることを指摘しています(文献6)


5. 喫煙

医学的根拠
◉タバコの煙はAGEsの外因性供給源であると報告されています。能動喫煙はもちろん受動喫煙でも曝露時間が長くなるにつれて皮膚のAGEs蓄積の指標である皮膚自己蛍光(SAF)レベルを上昇させることが明確に示されています(文献7)


皮膚に蓄積したAGEsは除去できるか?

現在の科学的見解
皮膚に蓄積したAGEsの完全な除去は困難ですが、部分的には除去・減少させることができる可能性があります。

1. オートファジー経路によるAGEs除去
オートファジーとは、細胞の中にたまった"古い部品やゴミ"を分解して再利用する仕組みのこと。2016年にはこの仕組みの解明で大隅良典先生がノーベル賞を受賞しています。

医学的根拠
◉人工的にAGEsを蓄積させたヒト表皮細胞を使用した実験で、オートファジー促進剤で処理すると、蓄積していたAGEsは有意に減少しました。オートファジーの活性化が皮膚の表皮細胞内に蓄積したAGEsの除去を促進できることを示唆しています(文献9)。


2. AGEブレーカー(架橋断裂薬)
AGEブレーカーとは、糖化によって形成されたタンパク質間の架橋(特に長寿命のコラーゲンに多い)を切断し、組織の硬化や機能低下を可逆的に改善することを狙う治療アプローチです。動物実験で一定の効果を示しています。

美白の敵 〜AGEs〜

3. 食事療法・生活習慣改善

実践可能な対策
⚪️AGEs含有食品の摂取制限(文献6)
⚪️調理法の変更(焼く、揚げる→蒸す・煮る)(文献6)
⚪️カロリー制限(文献8)
⚪️禁煙(文献7)
⚪️節酒(文献10)


まとめ:AGEsと上手に付き合い、美肌を守る

現時点では:
◎糖尿病なら、血糖値をしっかりコントロールする
◎糖尿病でなくとも血糖値を急激に上げる食習慣をさける
◎UVケアで紫外線から肌を守る
◎上記「3. 食事療法・生活習慣改善」を実践する
これが、最も科学的根拠に基づいたAGEsから肌を守る方法です。

AGEsは、私たちの肌を内側から黄ばませ、老化を促進する「美肌の敵」です。AGEsとの闘いは長期戦ですが、正しい知識と継続的な努力により、年齢を重ねても美しく輝く肌を保つことができます。今日から少しずつ、AGEs対策を始めてみませんか?


クリニックでの美白治療

 

 おすすめの関連ブログ記事

 

【参考文献】
1) Advanced Glycation End Products in the Skin: Molecular Mechanisms, Methods of Measurement, and Inhibitory Pathways
Chun-Yu Chen, et al.
Front Med
2022 May 11:9:837222

2) Advanced-Glycation Endproducts: How cross-linking properties affect the collagen fibril behavior
Julia Kamml, et al.
J Mech Behav Biomed Mater
2023 Dec:148:106198

3) Identification of Yellow Advanced Glycation End Products in Human Skin
Bin Fang, et al.
Int J Mol Sci
2024 May 21;25(11):5596

4) Skin accumulation of advanced glycation end products and cardiovascular risk in Korean patients with type 2 diabetes mellitus
Lee-Seoul Choi, et al.
Heliyon
2022 Jun 2;8(6):e09571

5) Advanced glycation end products: Key players in skin aging?
Paraskevi Gkogkolou, Markus Böhm.
Dermato-endocrinology
2012 Jul 1;4(3):259-70

6) Advanced glycation end products in foods and a practical guide to their reduction in the diet
Jaime Uribarri, et al.
J Am Diet Assoc
2010 Jun;110(6):911-16.e12

7) The association between various smoking behaviors, cotinine biomarkers and skin autofluorescence, a marker for advanced glycation end product accumulation.
Robert P van Waateringe, et al.
PLoS One
2017 Jun 20;12(6):e0179330

8) Oral glycotoxins determine the effects of calorie restriction on oxidant stress, age-related diseases, and lifespan
Weijing Cai, et al.
Am J Pathol
2008 Aug;173(2):327-36

9) Autophagy activators stimulate the removal of advanced glycation end products in human keratinocytes
T Laughlin, et al.
J Eur Acad Dermatol Venereol
2020 Jun:34 Suppl 3:12-18

10) Inhibition of advanced glycation endproduct formation by acetaldehyde: role in the cardioprotective effect of ethanol
Y Al-Abed, et al.
Proc Natl Acad Sci U S A
1999 Mar 2;96(5):2385-90




制作・執筆:坂田修治(医師:美容外科・美容皮膚科 青い鳥 院長)
(最終更新日:2025年8月12日)

投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥

2025.08.07更新

はじめに

美容意識の高まりとともに、私たちは日光を避ける傾向が強くなっています。しかし、適切な日光浴には、私たちの健康にとって重要な役割があることをご存知でしょうか。

この記事では、最新の科学的エビデンスをもとに、日光浴の真のメリットと、美容を損なわない安全な日光浴のやり方について詳しく解説します。


日光浴がもたらす3つの医学的メリット

1. ビタミンDの生成促進

日光を浴びる最も確立されたメリットは、皮膚でのビタミンD合成です。

医学的根拠
◉ビタミンD3の産生には紫外線B波(UVB)が必須であり、室内光や紫外線A波(UVA)を主体とする光源ではほとんど誘導されません(文献1)
◉日本の最新調査では、ビタミンD不足の割合が男性72.5%、女性88.0%と深刻な状況です(文献2)
◉2025年3月の日本小児科学会の提言でも、適度な紫外線を浴びることの重要性が強調されています(文献3)


ポイント
成人の場合、米国皮膚科学会は「ビタミンDは日光ではなく、食事やサプリメントで摂取すること」を推奨しています(文献4)。これは皮膚への悪影響を考慮した、バランスの取れたアプローチです。


2. 気分を明るくする効果

日光に当たるメリットとして、メンタルヘルスへの好影響があります。

医学的根拠
◉朝の太陽光は、うつ病や季節性感情障害の症状を軽減することが研究で示されています(文献5)
◉日光浴による気分改善のメカニズム(文献6):
●体内時計(概日リズム)の調整
●メラトニンの抑制
●セロトニンの生成促進

ポイント
この効果を得るために必要なのは「明るさ」であり、紫外線は必須ではありません。


3. 体内時計のリセット効果

朝日を浴びることで体内時計がリセットされ、質の良い睡眠につながります。

医学的根拠
明るい光が体内時計をリセットすることは広く認識されていますが、低強度(約180ルクス)の光でさえも体内時計をリセットすると報告されています(文献7)

ポイント
体内時計のリセットに必要なのも「可視光線の明るさ」であり、紫外線は不要です。


賢い日光浴

美容と健康を両立する「賢い日光浴のやり方」

日光浴の効果を享受しつつ、日焼けや皮膚老化を防ぐ方法をご紹介します。

1. ビタミンDはサプリメントで補給
米国皮膚科学会の推奨に従い、ビタミンDは食事やサプリメントで確保しましょう。

2. 朝の時間帯を活用(日光浴のゴールデンタイム)

起床後1時間以内に20〜30分程度
理想的な明るさ:2,500ルクス以上
*最低1,000ルクス(日陰でも1,000ルクス以上あることが多い)
朝でも紫外線対策は必須:日焼け止めや帽子を活用

*睡眠相後退障害(就寝・起床時間が遅れるタイプ)に対する光療法を参考に作成しています。

3. 室内でも効果的な日光浴
明るい窓際で30分程度過ごす
*窓にUVカットフィルムを貼るか、日焼け止めの使用を推奨


まとめ:科学に基づいた賢い選択を

日光のメリット

体内時計の調整による睡眠の質向上
気分の改善とストレス軽減
ビタミンD生成

 

日光のデメリット

皮膚の老化促進(シミ・しわの原因)
皮膚がんリスクの増加


現代の医学は、「日光」との付き合い方についてバランスの取れたアプローチを推奨しています:

◉体内時計・気分改善効果は紫外線なしで得られる
◉ビタミンDは食事・サプリメントでの確保が安全
◉屋外活動時はUV対策を徹底

美容と健康の両立のため、最新の科学的知見を活用し、日光と賢く付き合っていきましょう。

実は私自身は、朝に犬の散歩をするので、「日光浴」の条件を満たしています。何か身近な生活習慣と結びつけることが、「日光浴」を実践するコツかもしれません。


【参考文献】

1) Sunlight and Vitamin D: A global perspective for health
Wacker, M., & Holick, M. F.
Dermato-endocrinology
2013;5(1):51-108.

2) 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書

https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586561.pdf?utm_source=chatgpt.com


3) 日本小児医療保健協議会栄養委員会 "乳児期のビタミンD欠乏の予防に関する提言."
日本小児科学会雑誌
2025;129(3):494-496

4) 米国皮膚科学会"VITAMIN D"
https://www.aad.org/media/stats-vitamin-d

5) The efficacy of light therapy in the treatment of mood disorders: a review and meta-analysis of the evidence.
Robert N Golden, et al.
Am J Psychiatry
2005;162(4):656-62

6) Exploring the role of phototherapy in the management of Seasonal Affective Disorder
Michał Chról, et al.
Journal of Education, Health and Sport
2025;79: 59082-59082

7) Dose-response relationships for resetting of human circadian clock by light.
D B Boivin, et al.
Nature
1996;379(6565):540-2




日光浴におすすめの日焼け止め

 

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制作・執筆:坂田修治(医師:美容外科・美容皮膚科 青い鳥 院長)
(最終更新日:2025年8月7日)

投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥

2025.08.02更新

はじめに

紫外線が美白の大敵なのは皆さんご存知ですね。でも実は、私たちの身近なところに、「隠れた敵」が潜んでいるんです。

それは「睡眠不足」。

「美白ケアを頑張っているのに、なかなか効果が出ない...」 そんなお悩みをお持ちの方は、もしかすると睡眠が足りていないのかもしれません。

最近の研究で、睡眠不足が肌に与えるダメージは想像以上に大きいことがわかってきました。今回は、睡眠と美白の意外な関係について、わかりやすくご紹介します。

睡眠と美白の関係


たった一晩の寝不足でも、肌は変わってしまう

驚くことに、たった一晩の睡眠不足でも肌には大きな変化が起こります。24名の女性を対象にした研究では、一晩寝不足になっただけで次のような変化が確認されました(文献1):

✓ 肌の水分量がガクッと低下
✓ ハリや弾力が失われる
✓ 透明感がなくなり、くすんで見える
✓ 肌がざらつき、毛穴が目立つ
✓ 血色が悪くなる

「寝不足の朝は化粧ノリが悪い」「なんだか肌がゴワゴワする」 こんな経験、ありませんか?実はこれ、科学的にも証明されている現象だったんです。


もっと怖い!連日の寝不足で起こる「黄ぐすみ」

さらに深刻なのは、睡眠不足が続いた場合です。

28名の女性が5日間、毎日4時間しか眠らない生活を送った研究では、顔の黄色っぽさが明らかに増加。しかも、その後しっかり睡眠をとっても、この「黄ぐすみ」はすぐには改善されなかったのです(文献2)。

つまり、寝不足のツケは後からやってくるということ。週末の寝だめでは取り返せない変化が、肌に刻まれてしまうのです。


なぜ肌がくすむの?そのメカニズム

睡眠不足で肌がくすむ理由は、実はまだ完全には解明されていません。

よく「睡眠不足→炎症→メラニンが増える→シミ・くすみ」と思われがちですが、研究では睡眠不足が直接メラニンを増やすという証拠は見つかっていません。くすみの原因は、メラニン以外の要因による可能性が高いと考えられています。


肌を守る力も弱まってしまう

睡眠不足のもう一つの怖さは、肌のバリア機能を弱めてしまうこと。
健康な肌は、紫外線や大気汚染から私たちを守ってくれる「見えないシールド」のような役割を果たしています。でも、睡眠不足になると:

✓外からの刺激に弱くなる
✓ダメージを受けやすくなる
✓紫外線や汚染物質の影響を強く受けてしまう

つまり、寝不足は肌を直接傷めるだけでなく、他の美白の敵からのダメージも増幅させてしまう「ダメージ増幅装置」のような働きをしてしまうのです。


まとめ:今夜から始める「美容睡眠」

⚪️睡眠不足と美白の関係については、まだ研究途中の部分もあります。でも、質の良い睡眠が肌にとって大切なのは間違いありません。

⚪️高価な美容液やエステも素敵ですが、まずは毎日の睡眠を見直してみませんか? 睡眠は、誰でも今夜から始められる、最もコスパの良い美白ケアかもしれません。

⚪️美しい肌への第一歩は、今夜の「美容睡眠」から。 ぐっすり眠って、明日の朝は透明感のある肌で目覚めましょう!


クリニックでの美白治療

 

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【参考文献】

1) The Effects of Sleep Deprivation on the Biophysical Properties of Facial Skin
MA Kim, et al.
J Cosmet Dermatol Sci Appl
2017;7:34-47

2) Sleep Deprivation Increases Facial Skin Yellowness
Akira Matsubara, et al.
J Clin Med
2023;12(2):615





 

 

制作・執筆:坂田修治(医師:美容外科・美容皮膚科 青い鳥 院長)
(最終更新日:2025年8月2日)

投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥