診療をしていて、ときどきレチノイドはコスメの「食わず嫌い王」なのか!と嘆きたくなることがあります。
レチノイドをすすめても、「私、アレ無理です!」と何度即答されたことか。世間のレチノイドの印象は、「肌が乾燥する」、「荒れる」、「皮むけして使えない」とさんざん。
さらに悪いことに、日本を含め世界的に敏感肌を訴える方が増加しています。レチノイドにとって逆風が吹き荒れているのです。敏感肌、乾燥肌の人に刺激的なレチノイドが使えるわけがない!、そうした罵声、悲鳴が聞こえてくるようです。
しかし・・、それは誤解もはなはだしい!
本来、レチノイドを使うことで、皮膚のバリア機能、保水力は高まります。それなのに、なぜ誤解が生じるかというとレチノイド本来の効能とレチノイド反応が混同されているから。
レチノイドは使用をスタートすると多くの方が、皮膚の乾燥、赤み、ヒリヒリ感などに悩まされます。それがレチノイド反応。でも、それはレチノイド本来の効能ではありません。当たり前です。それが本来の効能だとしたら誰も使うわけがない。
残念ながら、多くの方が十分な説明を受けることなく、またフォローもなく使用しているため、レチノイド反応が出ると、途端にモチベーションが下がり、「自分には合わない」と決めつけてやめてしまいます。
その結果、残るのは「レチノイドは合わない」という累々たる不平不満の山。
この現状は何とか変えていかないといけないとは痛切に思いながら、自分の発信力、影響力のなさはどうにもならず、急な好転は望むべくもありません。それでも、まずは自分の足元からコツコツと西川きよし師匠のように頑張るつもり。
敏感肌、乾燥肌で悩まされている方でも、いや、そういう方にこそ使っていただきたいし、使える使用法を広めていきたい。
(追伸)
世間ではレチノイド反応のことを「A反応」と呼ぶようです。AはビタミンAのことだとか。でもそうなら呼称としてふさわしくない。ビタミンAはレチノールなので、レチノールを使ったときの反応になってしまう。レチノールだけではなく、レチナールでもトレチノインでもディフェリンでも生じるわけで、これはレチノイド(retinoid)反応、つまりは「R反応」とするのが適切だと思います。相変わらず自分の発信力、影響力のなさを顧みず言ってますけど。
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