2022.03.13更新

その昔、中国の秦の始皇帝は、家来に命じて「不老不死の薬」を探させたとか。今の時代にあてはめれば、レチノイドはまさに、お肌の「不老不死の薬」というにふさわしい存在です。

ただし、レチノイドには、やっかいな副作用として刺激反応があります。そこで製薬メーカーは、「刺激作用のないトレチノイン」のような合成レチノイドを目指して新薬の開発に取り組んでいます。

今回、当院で取り扱いを開始したタザロテンは第3世代の合成レチノイド。日本でニキビ治療に使われるディフェリンと同世代になります。ディフェリンは繊細な(?)日本人にピッタリなマイルドなレチノイド。ハードなタザロテンが日本で承認薬として使える日はきっと来ないでしょう。

トレチノインとタザロテンはすでに米国FDAが、ニキビに対してだけでなく、光老化にも有効と認めています。そうなると、きっとゼオス〇ンをお使いの人など、どっちがいいの?と気になるのではないでしょうか。

結論からいうと、臨床試験では互角です。ただタザロテンの方が早期から効果を認めやすいので、使うならタザロテンでしょう。

ただ、ある文献で実際に臨床で使っている米国の医師が「ディフェリンは効果はマイルドだが、使い続けやすい」に続けて、「トレチノインは効果も使いやすさも中くらい」、「タザロテンはもっとも効果が強いが、もっとも続けにくい」と語っています。

米国人にも使い続けるのは大変と言わせてしまうとなると、日本人にとっては、タザロテンをアンチエイジング目的に毎日顔全体に塗るのはちょっときついかもしれません。

タザロテンで特筆すべきは「塗るだけのニキビ痕(アクネスカー)治療薬」であること!論文では、片顔はタザロテンを夜に1回3ヶ月間塗るだけ、片顔は月に一度、合計4回ダーマローラーをするという設定で、治療効果に差がなかったという衝撃的すぎる結末が報告されています。

さらにタザロテンは毛穴を小さくする効果も高いと評判です。ですから全体は無理でも、気になるところに部分的に使うのも十分ありだと思います。

もし不老不死の薬を捜索中の家来が私の前に現れたら・・バカバカしい空想話ですが・・、さっと私は「レチノイド」を差し出して、家来には始皇帝に献上するとき、こう耳打ちするように伝えます。「これで最期までお肌はピチピチです。」

きっと私はご褒美として酒池肉林に1年くらい招待されるに違いありません。

 

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投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥