塗るだけ!のアクネスカー治療
アクネスカー治療を続けていて、もっとできることはないかとお探しではないですか?
これまでのスキンケアの役割は、治療でダメージを受けた皮膚の回復を促すこと。しかし、今までの常識を覆す「塗るだけのアクネスカー治療」ができました。
これからのスキンケアの役割は、もっと積極的に塗ってアクネスカーを治療すること。
塗るだけ! ニキビ治療、光老化治療としても米国FDAのお墨付きあり。
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光老化に対するタザロテンのエビデンス
- 一番有名なのは、タザロテンをトレチノインと比較した臨床試験。
6ヶ月以降はタザロテンの効果はトレチノインと同程度と判定されましたが、タザロテンはトレチノインよりも早期から効果が認められたことが、タザロテンを支持する有力な根拠になっています。なお刺激症状については、同程度でした。
- 米国FDAは光老化症状に対して、トレチノインはもちろんタザロテンも承認しています。
- 米国での評価としては、「タザロテンは作用はもっとも強いが、その反面、刺激症状ももっとも強い」と紹介している文献があります。
十分肌に慣らしながら使用するか、毛穴やニキビ痕の症状のある部位だけに使用するのがよいでしょう。
こんな方におすすめ
- 1.トレチノインより強力なレチノイドを使いたい方に
- 2.スキンケアで毛穴を小さくしたい
- 3.スキンケアでニキビ痕を目立たなくしたい
タザロテンの使い方 〜ショートコンタクト法〜
薬剤の皮膚への接触時間を短くすることで、刺激反応を軽減する方法です。
- 夜、洗顔して最初にタザロテンを塗る
- 2分したらタザロテンを洗い流す
- 洗顔料は使わず、ぬるま湯で洗い流す
- あとはいつものスキンケアを行う
ここからスタートして、
- 刺激反応が見られなければ塗っている時間を1分ずつ延長する
- 延長は少なくとも3日以上の間隔で行う
- 延長しても、塗っている時間は最長で5分とする
これが基本形。
もし、使用中に刺激症状(皮むけ、赤み、乾燥、ヒリヒリ感など)が出たら、
- 塗っている時間を30秒に短縮する
- 刺激反応が治まったら塗っている時間を30秒ずつ延長する
- 延長は少なくとも3日以上の間隔で行う
- 延長しても、塗っている時間は最長で5分とする
臨床試験では、通常の使用法で10%ほどの使用中断率が、この方法ではゼロになったと報告されています。
刺激反応
タザロテンを使い始めて数日すると、多くの方で刺激反応が出現します。
刺激反応には
- 赤み
- 皮むけ
- ヒリヒリ感
- 乾燥
があり、これらは使用を中止してしまう原因になります。
従来は、刺激反応が見られたら、塗る量を減らす、使用を1日おきにするなどの方法がとられていましたが、それだけでは、臨床試験でも数%から10%は使用を中断する方が出ていました。
この問題に対する解決策がショートコンタクト法です。
価格表
タザロテン | 価格(税込) |
---|---|
0.1%クリーム20g | 3,740円 |
*当院では保険診療は行っていません。全額自己負担になります。
その他のレチノイド療法
よくいただくご質問
必ず刺激反応が出現するのですか?
タザロテンの代表的な作用が皮膚のターンオーバーの促進ですが、刺激反応とはそれが極端に現れた症状です。皮膚には耐性が生じるので、1,2週間で症状は収まります。もしまったく刺激症状がない場合は、濃度が低いことも考えられます。
タザロテンにはどんな作用がありますか?
タザロテンは、第3世代レチノイドで
1)表皮での新陳代謝促進
2)真皮でのコラーゲンの増生と分解の抑制
3)紫外線の悪影響の抑制
などの作用があります。
タザロテンは、第3世代合成レチノイドです。
レチノイドは細胞の核内にあるレチノイド受容体に結合して、さまざまな作用を及ぼします。天然型のトレチノインは、すべての受容体に結合し広範な作用を発揮します。タザロテンは、選択的に皮膚にある受容体をメインに結合します。
こうした選択的な受容体との結合が、副作用の軽減、使用する上での安全性に寄与していると考えられています。
妊娠、授乳中について
女性では使用中、避妊が必要です。妊娠している、妊娠しているかもしれない、または妊娠を希望して治療をしている方は使用しないで下さい。
授乳中には使用しないことが望ましいですが、やむを得ず使用する場合は、授乳を避けて下さい。母乳への移行についてはわかっていません。
参考文献
1)Topical Tazarotene gel,0.1%,as a novel treatment approach for atrophic postacne scars
Afra TP,et al.
JAMA Facial Plast Surg
2019;21(2):125-132
2)A multicenter, randomized, double-blind traial of tazarotene 0.1% cream in the treatment of photodamage
Kang S,et al.
J Am Acad Dermatol
2005;52(2):268-274
3)Tazarotene cream for the treatment of facial photodamage
Kang S,et al.
Arch Dermatol.
2001;137:1597-1604
4)Histologic effects of tazarotene 0.1% cream vs. vehicle on photodamaged skin: a 6-month, multicentre, double-blind, randomized, vehicle-controlled study in patients with photodamaged facial skin
Machtinger LA,et al.
Br J Dermatol.
2004;151:1245-1252
5)Adapalene
Tolaymat L,et al.
StatPearls
2022 Jan 4
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK482509/
6)Successful treatment of acne vulgaris using a new method
Bershad S,et al.
Arch Dermatol.
2002;138:481-489
院長コラム
日本では、とくに美容に積極的な人々の間でトレチノインを主成分とするコスメ(ゼオスキン、メラフェード)が人気を集めています。
基本的にはコスメですから、好きなものを使えばと思いますが、トレチノインの刺激反応で皮剥けしたり、赤くなっている人を見ると、本人は納得しているのでしょうが、荒らされている肌が気の毒でなりません。
トレチノインに代わるものがなければ、うまく刺激反応をコントロールして使うことを指導しますが、トレチノインに代われるレチナールが登場した今となっては、レチナールへの変更をおすすめします。
レチナールと聞いても、レチノールの誤植と思う方もきっと多いでしょう。レチナールが登場したことのインパクトは正当に理解されず見過ごされているようです。
とはいえ、私も最初はわからなかったので、何も言えません。ことの始まりは、一通のファックス。それはダーマペンの取扱代理店からで、レチナールのコスメの販売開始を伝えるものでした。スタッフから自分たちで使いたいから取り寄せられないかと言われたことから、レチナールについて調べはじめました。
レチナールは天然レチノイドのひとつでトレチノインの前駆体。レチナールを塗ると皮膚の細胞内でトレチノインに変換されて作用するため、その効果は質的にトレチノイン製剤と同じです。トレチノインよりはマイルドな効き目になりますが、その分刺激反応もずっとマイルドなので、継続して使えて、結局はトレチノインを使うより、肌への効果が期待できます。
なぜこれまでレチナールがなかったかというと、コスメの成分としては不安定で製剤化が難しかったから。レチナールの臨床研究ではアベンヌの製品が使われることが多いのですが、日本では入手困難なようです。
トレチノインの方が効果が強いので、レチナールへの乗り換えに抵抗がある人もいるでしょう。ただトレチノインにしてもレチナールにしても最終目的はエイジングケアのはず。あなたにはまだ何十年も人生が残っています。長距離走と同じで、走り抜くためには、ペース配分が大切。トレチノインのように最初から全力で飛ばしたらすぐにバテて完走できません。長く続けられるものが結局は効果的なのです。