■マッサージ
人はなぜマッサージで癒やされるのだろう?
どうしてまた受けたくなるのだろう?
そんなマッサージの「なぜ」が医学的に解き明かされつつあります。
■C触覚線維
マッサージでは皮膚感覚が刺激されますが、このときポイントになるのがC触覚線維。毛根に巻き付いて、毛の振動を感知している神経繊維です。
このC触覚線維は、「柔らかいタッチ」と「ゆっくりとした動き(毎秒3~10cmの速度)」に反応します。そして、C触覚線維からの刺激が脳に届くと、愛情ホルモン・オキシトシンが分泌されるようになります。
別に凝り固まった身体をほぐさなくとも、表面的な皮膚感覚を上手に刺激することで人に幸福感を与えることができるのですから、「たかがマッサージ」なんてもう言ってられません。断然「されどマッサージ」なのです。
■「愛」を伝える
個人的に注目したのは、ほとんどの感覚機能が加齢とともに衰える中、C触覚線維の感度は加齢による影響を受けないばかりか、逆に亢進すること。そうならマッサージは、高齢者のケアにもっと活用できるかもしれません。
もし大切な方が、ご病気や認知症などで意思の疎通ができなくなったとしても、面会のさいには優しく、ゆっくりと身体をさすってあげて下さい。言葉は通じなくても、そのお気持ちは必ずや「愛情」として伝わっているはずです。
(参考文献)
1) 皮膚感覚と心
山口 創
日本香粧品学会誌
2022;46(1):51-58
2) The effects of aging on tactile function in humans
McIntyre S, et al.
Neuroscience
2021;464:53-58