2022.06.09更新

ニキビ跡ゼロを目指す!皮膚科医が警鐘を鳴らす「早期治療の重要性」


「すべてのニキビには瘢痕化するリスクがある。皮膚科医はたとえ軽症のニキビであっても、早期から継続的な治療で瘢痕形成を防がねばならない。」これは、ニキビ治療における皮膚科・美容皮膚科医の共通認識であり、究極の目標はニキビ跡を作らせないことです。

しかし、「すべてのニキビにリスクがある」という言葉は、裏を返せば、これまで具体的なニキビ跡化のメカニズムが明確でなかったことの現れでもありました。漠然と「重症のニキビほど、炎症が強いニキビほどニキビ跡になりやすい」と理解されてきたものの、具体的な指標は乏しかったのです。

そんな中、ニキビ跡に関する長年のモヤモヤを解消するような、執念とも言える詳細な臨床研究が報告されました。この記事では、その最新の研究結果を踏まえ、効果的なニキビ跡の予防とニキビ跡の治療のポイントについて解説します。


ニキビ瘢痕こうできる



ニキビ跡化の謎を解明!最新研究が示す「危険なニキビ」の見分け方

これまで「重症度」や「炎症の強さ」といった曖昧な指標で語られがちだったニキビ跡化のリスク。しかし、ある臨床研究が、顔のニキビ一つひとつを2週間ごとに6ヶ月間追跡するという徹底的な調査を行いました。この丹念な研究により、ニキビ跡になりやすいニキビの具体的な特徴が明らかになってきました。

研究によると、驚くべきことにニキビ跡(瘢痕)の実に83%が、ニキビが治った後の「炎症後の赤み」や「色素沈着」から生じていることが判明しました。特に多く見られたのが、「赤ニキビ」が発生し、それが「炎症後の赤み」として残り、最終的に「ニキビ跡」へと進行するケースです。

さらに、将来的にニキビ跡となったニキビは、そうならなかったニキビと比較して、症状が治まるまでの期間が明らかに長い(平均10.5日に対し6.6日)という事実も突き止められました。


「長引く赤み」がサイン!ニキビ跡 予防のカギは早期発見・早期治療

この研究結果は、従来の「重症のニキビ、炎症の強いニキビほど瘢痕化しやすい」という経験則を裏付けるものですが、さらに重要な示唆を与えてくれます。それは、「重症」や「炎症」といった多様な症状の中でも、特に「治癒までの期間が長いこと」そして「炎症後の赤みが続くこと」が、ニキビ跡化するリスクの高いニキビを見分けるための重要な指標になるということです。

つまり、ニキビができてから治るまでに時間がかかっているもの、そして一度落ち着いたように見えても赤みがなかなか引かないものは、ニキビ跡になる危険信号と捉えるべきなのです。

このことから、効果的なニキビ跡 予防のためには、ニキビの「長い経過」の途中、まだ「赤み」が目立つ段階で積極的にニキビ跡 治療を開始することが極めて重要であると言えます。具体的には、ディフェリンゲルや過酸化ベンゾイル(BPO)製剤といった外用薬による早期の治療介入が、その後のニキビ跡化を防ぐ可能性を高めます。

放置してはいけないのは、発生してから1週間以上経過しても改善しないニキビや、一度平らになった後も赤みが持続しているニキビです。これらはニキビ跡への危険なサインと認識し、速やかに皮膚科医に相談することが賢明です。


まとめ:ニキビ跡は予防できる!「赤み」を見逃さず、今日から始めるケア

ニキビ跡は、一度できてしまうとセルフケアでの改善が難しく、専門的なニキビ跡治療が必要となるケースも少なくありません。しかし、今回の研究結果が示すように、ニキビ跡は決して手の施しようがないものではなく、適切なニキビ跡 予防策を講じることで、その発生リスクを大幅に減らすことが可能です。

重要なのは、「たかがニキビ」と軽視せず、特に「治りが遅いニキビ」や「赤みが長引くニキビ」といった危険信号を見逃さないことです。これらのサインに気づいたら、自己判断で放置せず、できるだけ早い段階で皮膚科医に相談し、適切なニキビ跡治療(予防的治療を含む)を開始しましょう。

早期からの正しいケアと継続的な治療によって、ニキビ跡に悩まされることのない、健やかな肌を目指すことは十分に可能なのです。


(参考文献)
1)Acne scarring: why we should act sooner rather than later
Dréno  B,et al.
Dermatol ther.
2021;11(4):1075-1078

2)Prospective study of pathogenesis of atrophic acne scars and role of macular erythema
Tan J,et al.
J Drugs Dermatol.
2017;16(6)567-573

 

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制作・執筆:坂田修治(医師:美容外科・美容皮膚科 青い鳥 院長)
(最終更新日:2025年5月12日)

投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥