2024.01.09更新

 

CBD


このところ何度か大麻関連の話題がニュースになっています。美容業界でも大麻の成分のうち抗精神作用のないカンナビジオール(CBD)を含むコスメが次々に登場しています。

大麻由来成分というハンディキャップがありながら、CBDコスメが大きな顔で、好き勝手に効能を書き立てることができるのは、ひとえにカンナビジオール(CBD)が、内因性カンナビノイド受容体に結合して、内因性カンナビノイドシステムを作動させることができるから。

内因性カンナビノイドシステムというのは、おもに中枢神経系、免疫系で働きますが、皮膚でも表皮のメンテナンス、毛包、皮脂腺の制御に働いていて、アトピー性皮膚炎、皮膚癌などの皮膚疾患に関係しているとされています。内因性カンナビノイドシステムが健康な肌を支えていることから、CBDコスメにもきっと美肌効果があるはずという甘い(?)憶測が働いてしまうのです。

それにしてもなぜ内因性カンナビノイド受容体だの、内因性カンナビノイドシステムだのと命名されたのでしょう?もちろん身体がもともと大麻のために受容体を用意しているはずはありません。実はこれは単純に発見された順番の問題なのです。

大麻に含まれる化合物群はカンナビノイドと呼ばれ、幻覚作用などをもたらすことが知られていましたが、そのメカニズムの研究から、1980年代後半にカンナビノイドが結合する受容体が発見されました。それは当時無名だったため、「内因性カンナビノイド受容体」と名付けられました。その受容体に本来結合する物質が発見されのは1990年代に入ってからでした。

本来結合する物質が発見された後も、一度つけられた名称がそのまま使い続けられたことが、いかにもカンナビノイドが身体の中で重要な役割を果たしているかのような誤解を生む元になったのです。

ここからはカンナビジオール(CBD)の皮膚への作用についての正当な医学的評価を紹介します。現在臨床研究が行われているのは、
・掻痒症(かゆみ)
・炎症性疾患
・皮膚癌
に対してですが、この中では、痒みの治療がもっとも有望視されています。

コスメとして考えたとき、せいぜいウリになるのは抗炎症効果くらいで、保湿効果があるわけでも、美白効果があるわけでもありません。その抗炎症効果も「だから何だ!?」という話で、今のところどういう良い効果をもたらしてくれるか明らかではありません。少なくともCBDコスメが声高に宣伝する皮膚の健康に役立つかのような言い方は、故意か過失かはともかく完全に言い過ぎ。いくら内因性カンナビノイド受容体に結合できるとしても、実は受容体は結合するリガンドにより正反対の作用をもたらすこともあり、実際に生じる作用はさまざま。だから効果を謳いたいなら、まずは人での臨床試験で結果を出すことが先決で、作用機序は二の次なのです。

CBDコスメは、「内因性カンナビノイドシステム」という身に余る(?)命名を最大限に利用(悪用)したに過ぎないというのが、現状での私の結論です。どういう方になら勧められるか、まったく見当がつきません。 

 

(参考文献)
1) Cannabinoids for the treatment of chronic pruritus: A review
Avila C, et al.
J Am Acad Dermatol.
2020;82(5):1205-1212

2) The role of cannabinoids in dermatology
Mounessa JS, et al.
J Am Acad Dermatol.
2017;77(1):188-190

3) カンナビノイド受容体の内因性リガンドの発見
木村 敏行
ファルマシア
1993;29(11):1293

 

 

 

 LINEバナー300225

 

 twitterへ

 

自由が丘ブログバナー  

 

投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥