2022.06.25更新

■□■□■□■□■□■□■ニキビ治療の誤解「ブツブツが治ったら治療は終わり」

ニキビ診療での課題のひとつは「皮膚科受診の遅れ」ですが、もうひとつ「中途半端な治療」も課題といえます。

多くの方は、「ブツブツが治ったら治療は終わり」と考えがちですが、治療を止めれば当然またできてしまうわけで、ひどくなったときだけ皮膚科にかかることを繰り返しています。

ニキビ治療の終わりをハッキリ線引きするのは難しいですが、そう簡単に肌質が変わるはずもないので、治療は長期戦を覚悟しなければなりません。


ニキビ治療は長〜いお付き合い

■□■□■□■□■□■□■治療を継続することに意味はある!?

もちろん治療の継続をいうからには、続けることに意味がないといけないのですが、その点については、次のようなエビデンスがあります。

日本では未発売ですが、エピデュオ・フォルテ(アダパレン0.3%+過酸化ベンゾイル2.5%)を使った臨床報告です。

ニキビ患者を集めて、顔の半分にだけこのエピデュオ・フォルテを6ヶ月間塗って治療効果をみました。

この報告の最も画期的な点は、塗り薬であるエピデュオ・フォルテでニキビ瘢痕の数を減らしたことですが(もちろん炎症性ニキビの減少、テクスチャーの改善も)、効果は3ヶ月、6ヶ月と尻上がりに上がって、治療を継続するすることの重要性が示唆されました。

実はこの報告には続きがあって、調子にのった(?)研究者が、さらに治療期間を半年延長したのです。

するとフォルテを使用した半顔は、半年でニキビ痕は22%減少していたのですが、1年後には27%まで減少させることができました。

返す返すも残念なのは、日本ではエピデュオ・フォルテは使えず、アダパレン(ディフェリン)の濃度が低いエピデュオゲルしかないこと。

ただこのシリーズには、そのエピデュオゲルを使ったバージョンもあって、半年間使用してニキビ瘢痕を増加させなかったという結論が得られています。しかも新しいニキビ瘢痕ができるのを防ぐだけでなく、すでにあるニキビ瘢痕を、数としては減らせなかったけれど、目立たなくするに役立ったと評価されています。

ニキビ治療をまじめに半年、1年と続けられる人はほとんどいないのではないでしょうか。ぜひ1年は続けて、そのとき止める理由がなければさらに続けてはどうでしょう。新しいニキビが出来るのを防ぐだけでなく、すでにある瘢痕の数を減らせる可能性すらあるのですから。


■□■□■□■□■□■□■ニキビの正解とは!?

ニキビには治療のガイドラインがあって、そこでは急性炎症期の治療に続いて、「維持療法」が明記され、アダパレン(ディフェリン)やBPO製剤の外用療法が推奨されています。

ニキビは「ブツブツが治ったら治療は終わり」なのではなく、その後またできないように「維持療法」を続ける、それが正解なのです。

ガイドラインが掲げる基本方針なのに、そうしたことがなぜか一般には浸透していないように思われます。何か裏があるのでしょうか?

もしかしたら維持療法が一般化して、国民の医療費がさらに増えるのは避けたいという政治的思惑から、あまり声高には言わないことになっているとか・・さすがに考えすぎか。


(参考文献)
1)Adapalene 0.1%/benzoyl peroxide 2.5% gel reduces the risk of atrophic scar formation in moderate inflammatory acne: a split-face randomized control trial
Dréno B,et al.
JEADV
2017;31:737-742

2)Prevention and reduction of atrophic acne scars with adapalene 0.3%/benzoyl peroxide 2.5% gel in subjects with moderate or severe facial acne: results of a 6-month randomized, vehicle-controlled trial using intra-individual comparison
Dréno B,et al.
Am J Clin Dermatol.
2018;19:275-286

3)Long-term effectiveness and safety of up to 48 weeks' treatment with topical adapalene 0.3%/benzoyl peroxide 2.5% gel in the prevention and reduction of atrophic acne scars in moderate and severe facial acne
Dréno B,et al.
Am J Clin Dermatol.
2019;20:725-732



 

 

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投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥