青い鳥のレチノイド

制作・執筆:坂田修治(医師:美容外科・美容皮膚科 青い鳥 院長)
(最終更新日:2026年1月18日)

レチノイド治療総合|ホームケア×施術で“肌の老化”に向き合う


「どれを選ぶか」より、“どう使うか”。医師が処方・使い方・副反応対策まで設計します。

レチノイドは、自己流で始めると赤み・皮むけで中断しやすい一方、肌に合わせて“慣らし方”を組み立てれば、ハリ感やくすみ、細かな小じわなどの肌印象を少しずつ底上げしていける治療です。


このページでは、当院で扱う トレチノイン/レチナール/ディフェリン/タザロテン の違いと選び方、さらに レチナールトリートメント/レチナール・アイ/レチノールピール など施術での活かし方まで、迷わず分かるように整理しました。





レチノイドとは


レチノイドとは?なぜ“肌の老化”に効くのか

レチノイドはビタミンA由来の成分で、肌の生まれ変わり(ターンオーバー)を整えながら、年齢とともに気になりやすい変化に幅広くアプローチします。

肌の表面が整うことで、ざらつきや毛穴の目立ちが軽減しやすくなり、くすみ・色ムラがすっきり見えることがあります。また、ハリ感やキメの乱れ、小じわといった“肌印象”にも影響するため、スキンケアの中でも医療的に位置づけられる重要な選択肢です。

当院では、目的(ハリ・くすみ・毛穴・ニキビなど)と肌質に合わせて、レチノイドを選び、使い方まで設計します。


自己流が難しい理由(A反応があるから)

レチノイドは効果が期待できる一方、使い始めに赤み・乾燥・皮むけ・ひりつきなどの刺激反応(いわゆるA反応)が出ることがあります。ここで大切なのは、「効かせる=我慢して塗り続ける」ではないという点です。

反応が強いときは、量や頻度を下げたり、保湿を強化したり、スキンケアの組み立てを変えることで、肌を“慣らしながら”続けられるケースが多くあります。自己流で始めると中断につながりやすいため、当院では診察のうえで、薬剤選択から刺激反応対策まで含めてご案内するだけでなく、アフターケアとしてメールサポートサービスを行っています。

 




1分で分かる:あなたはどれ?

 

効果をしっかり出したい


 


レチノイドで最もエビデンスが蓄積されている光老化治療のゴールドスタンダード。






上質に・でも刺激は抑えめに


 


もっとも使いやすいレチノイド。肌の弱い人、目元にしっかり使いたい人に。





 

継続しやすさ重視で始めたい


 


ニキビ治療でおなじみ。使いやすく続けやすいレチノイド。


 




 

塗るだけのニキビ跡、毛穴治療


 


最も刺激反応が強いですが、対処法も確立しています。
*当院では妊娠可能年齢の女性にはタザロテンは処方していません。


 



レチノイドの使い方

使い方の基本


1. 使用の基本ルール

「夜のみ」使用が原則
レチノイドは光や熱に弱く、日光を浴びると成分が分解されて効果が落ちるだけでなく、肌に刺激を与える可能性があります。

日中の紫外線対策を忘れずに
レチノイドを使用中の肌は、通常よりも紫外線に対して非常に敏感になっている可能性があります。

保湿を強化する
刺激反応で最も多い症状は「乾燥肌」です。


2. 導入のステップ(慣らし期間)

肌に少しずつ慣らしていくのがコツです。

1 少量から開始: パール粒大(あるいは小豆大)を顔全体に薄く伸ばします。
2 頻度の調整: 最初の1ヶ月は「2日に1回(1日おき)」からスタートします。
3 ステップアップ: 赤みや皮むけなどのトラブルがなければ、徐々に毎晩の使用へ移行します。

 

肌にレチノイドを慣らす工夫(レチナール対応)


皮膚刺激を回避または最小限に抑えるためには、以下のような方法が効果的です:

1. 少量使用:
米粒大程度の少量から始め、過剰使用を避けます。

2. 段階的な使用頻度:
週2〜3回の使用から始め、肌の反応を見ながら徐々に頻度を増やします。

3. バッファリング法:
レチナール製品を塗る前に、保湿クリームを薄く塗ることで刺激を緩和できます。

4. 敏感な部位を避ける:
目の周り、口の周り、鼻の周りなど敏感な部位には直接塗らないようにします。

5. 保湿の強化:
レチナール使用時は特に保湿を心がけ、肌のバリア機能を維持します。

6. 日焼け止めの使用:
日中はSPF30以上の日焼け止めを必ず使用し、肌を保護します。

7. 他の刺激物との併用を避ける:
AHAやBHAなどの他の刺激性成分との併用は避けます。

8. 夜間使用:
就寝前に使用することで、日中の外的刺激を避けられます。

9. 適切な洗顔:
優しい洗顔料を使い、摩擦を最小限に抑えます。

10. 肌の状態に注意:
日焼けした肌や傷のある肌には使用を控えます。

11. 季節に応じた調整:
乾燥しやすい冬季は使用頻度を減らすなど、季節に応じて調整します。

12. 医師の助言:
医師に相談し、自分の肌に合った使用方法をアドバイスしてもらいます。

これらの方法を組み合わせることで、皮膚刺激を最小限に抑えることができます。個人の肌質や状態に合わせて、最適な使用法を見つけて下さい。

基本的なインターバル法(トレチノイン、ディフェリン対応)

はじめの1ヶ月

◉1日おきに、夜の洗顔後水分をよく拭き取ってから最初に使います。

◉エイジングケアですからお顔全体に塗ります。

◉1日おきでも刺激症状が強ければ、3日に1度、4日に1度と間隔をあけ、症状が収まったら少しずつ間隔を戻します。

2ヶ月目以降

◉刺激症状が収まっていたら、毎日夜1回使用します。

◉念のため、昼は日焼け止めを忘れずにお使い下さい。

◉レチノイドは休薬期間を置く必要はありません。継続して使用して下さい。

*当院ではご不明な点やお困りのことがある方には医師がメールでお答えして、継続して使えるようサポートしています。

ショートコンタクト法(タザロテン対応)


薬剤の皮膚への接触時間を短くすることで、刺激反応を軽減する方法です。


  • 夜、洗顔して最初にタザロテンを塗る
  • 2分したらタザロテンを洗い流す
  • 洗顔料は使わず、ぬるま湯で洗い流す
  • あとはいつものスキンケアを行う

ここからスタートして、

  • 刺激反応が見られなければ塗っている時間を1分ずつ延長する
  • 延長は少なくとも3日以上の間隔で行う
  • 延長しても、塗っている時間は最長で5分とする

これが基本形。

もし、使用中に刺激症状(皮むけ、赤み、乾燥、ヒリヒリ感など)が出たら

  • 塗っている時間を30秒に短縮する
  • 刺激反応が治まったら塗っている時間を30秒ずつ延長する
  • 延長は少なくとも3日以上の間隔で行う
  • 延長しても、塗っている時間は最長で5分とする

臨床試験では、通常の使用法で10%ほどの使用中断率が、この方法ではゼロになったと報告されています。

*この記載はタザロテンでのショートコンタクト法です。トレチノインでのショートコンタクト法はこちら


 

 

使えない方・注意


レチノイドは効果が期待できる一方で、体調やライフステージ、併用状況によっては使用できない/注意が必要な場合があります。安全のため、当てはまる方は必ず診察時にお申し出ください。



妊娠・授乳・妊娠の可能性がある方
妊娠中・授乳中の方、妊娠の可能性がある方、妊娠を計画中の方は、レチノイドは使用できません。受診時に必ずご申告ください(自己判断で開始・継続しないでください)



併用に注意が必要なケース
✔️他のレチノイドとの重ね塗り(トレチノイン+レチナール等の自己判断併用)

✔️刺激が強いケアの同時多用(ピーリング成分、スクラブ、強い摩擦など)
✔️日焼け直後、肌荒れ・湿疹・傷がある部位への使用

※肌状態によっては、いったん休薬・頻度調整・保湿設計を優先します


タザロテンについて(重要)
当院では安全性を最優先し、妊娠可能年齢の方にはタザロテンを処方しません

タザロテンを含むレチノイドは適応を慎重に判断します。使用をご希望の方は、まず診察でご相談ください

※上記は一般的な注意点です。実際の適応・使用法は診察のうえで個別にご案内します。




施術で"レチノイドを高める"

レチナールトリートメント / レチナール・アイ


◉レチナールトリートメント / レチナール・アイは、ダーマペンを用いて肌表面に微細な通り道をつくり、レチナールを肌に浸透しやすくする施術。

◉レチナールは自宅での外用でも効果が期待できますが、より積極的に治療強度を高めて、しっかりレチナールを肌に効かせる肌の若返り治療です。


◉多くの人にとって、シワ、たるみなどエイジングサインが目立つ目まわり(まぶた)をしっかり治療できることも大きなメリットになっています(レチナール・アイ)。

◉レチナールトリートメント / レチナール・アイで使用するレチナール・アクティブは、ダーマペンのメーカーがダーマペンと併用するために販売しています。

レチノールピール


◉レチノールピールとは、高濃度のレチノール(ビタミンA)およびレチナールを主成分とした、医療機関専用のピーリング治療です。



◉従来のピーリングが表皮を剥がすことを主目的とするのに対し、レチノールピールは肌細胞の代謝(ターンオーバー)を強力に促進させ、内側から新しい皮膚への生まれ変わりを加速させる点が特徴です。



◉これにより、肌の質感の低下、増えてきたシミや小ジワ、開いた毛穴、失われたハリ、こうしたエイジングサインや肌トラブルを根本から改善へと導きます。

細胞外マトリックス(ECM)治療


◉肌の土台である「細胞外マトリックス」をターゲットにした治療、それがスネコスやプロファイロなどの細胞外マトリックス治療。肌のハリ、小ジワ、肌痩せの改善に役立ちます。

◉その細胞外マトリックス治療の効果を高め、持続させるために欠かせないのがレチノイド。


◉直接レチノイドを使用する施術ではありませんが、レチノイドの良きパートナーとして細胞外マトリックス治療をおすすめします。

当院で受けられる細胞外マトリックス治療




もっと詳しくレチノイド

レチノイドの歴史


ビタミンAの重要性は古代から認識されており、その歴史は3500年以上前にさかのぼります。

1 古代の知恵
古代エジプトでは、夜盲症の治療にレバーを使用していました。

・この知識は古代ギリシャにも引き継がれました。


2 近代の発見
・19世紀後半、牛乳が健康な成長に不可欠であることが分かりました。
・1915年までに「脂溶性因子A」が特定されました。
・「ビタミン」という言葉は1911年に誕生しました。


3 科学的進歩
・1920年代から1930年代にかけて、カロテンがビタミンAに変換されることが発見されました。
・1931年にビタミンAの化学構造が解明され、1947年に合成に成功しました。


4 医療への応用
・ビタミンAは皮膚疾患の治療に使用されましたが、高用量の副作用が問題となりました。
・1949年以降、ニキビ治療に使用されるようになりました。

このように、ビタミンAの研究は長い歴史を持ち、現代医学に大きな影響を与えています。


ビタミンAは3500年以上前からその重要性が知られており、特に夜盲症の治療に効果的でした。古代エジプト人は、夜に見えにくくなる症状を改善するために、羊や牛のレバーを使用していました。19世紀後半には、ビタミンAの欠乏が成長に影響を与えることが明らかになり、牛乳や卵、バターなどの食品が健康な成長に必要であると判明しました。1915年には「脂溶性因子A」が特定され、「ビタミン」という言葉が誕生しました。

その後、ビタミンAが植物の黄色い色素であるカロテン(プロビタミン)と関連し、体内で活性のあるレチノールに変換されることが発見されました。1931年にその化学構造が解明され、1947年には合成に成功しました。1950年代から1980年代にかけて、ビタミンAの生化学的な経路や抗がん作用、核内レチノイン酸受容体などが明らかにされました。

1974年には世界保健機関(WHO)がビタミンAに関する国際会議を開催し、その皮膚への効果が再評価されました。ビタミンAは皮膚の角化を抑える作用があり、一時は高容量のビタミンA内服療法が、乾癬やニキビの治療に使用されましたが、副作用のリスクがあるため、この治療法は中止されています。





レチノイドは肌にどう作用する?〜セントラル・ドグマ〜



レチノイドを肌に塗ると、その成分は細胞に取り込まれ、皮膚細胞の中で働き始めます。特に、トレチノインというレチノイドの一種は、細胞内で「レチノイン酸結合タンパク質」によって核(細胞の指令を出す場所)まで運ばれます。これがレチノイドが皮膚に影響を与える第一歩です。


レチノイドの働く場所

レチノイドは、細胞の核の中にある「レチノイド受容体」と呼ばれる場所に結合して働きます。この受容体には2つのタイプ(RARとRXR)があり、皮膚にはこれらが豊富に存在しています。特に、RAR-γとRXR-αというタイプが、皮膚の中で最も多く、レチノイドの効果に大きく関わっています。


遺伝子に働きかけるレチノイド

レチノイドが受容体に結合すると、遺伝子の働きを調整します。これにより、肌の細胞が新しく生まれ変わったり、健康な状態を保つことができるようになります。特に、肌のターンオーバー(細胞の生まれ変わり)を促進し、しわやシミなどを改善する効果が期待されます。また、レチノイドは炎症を抑える効果もあり、ニキビなどにも有効です。


レチノイドの代謝(分解)

レチノイドは、肌に吸収されると体内で分解されます。この過程で、個人差があり、レチノイドに対する反応が異なる場合があります。また、長期間使用すると、体がレチノイドに慣れてしまうことがあります。これを防ぐための研究も進められています。

 

 

 

よくいただくご質問

Q

刺激症状について

A

レチノイド療法では、刺激症状が避けられませんが、使い始めの1か月でレチノイドを肌に慣らすことができれば、その後はほとんど問題なく使うことができます。

赤み、ヒリヒリ感、皮むけなど刺激症状が現れたら、

・使用量を減らす
・一日おきに使用する
など、お肌を慣らしながら使用して下さい。症状は、1〜2週間で自然になくなります。

当院ではできるでか刺激症状が出ないようにインターバル法ショートコンタクト法で使い始めることをおすすめしています。

 

Q

夜1回の使用に慣れたら、どうすればいいですか?

A

夜1回が標準的使用法ですが、効果を高めたいときは朝と夜の1日2回使用して下さい。

Q

レチナールにはどのような効果がありますか?

A

レチナールは、トレチノインの前駆体で、皮膚の中でトレチノインに変換されて効果を発揮します。

1)表皮での増殖、新陳代謝促進
2)真皮でのコラーゲンの増生と分解の抑制
3)紫外線の悪影響の抑制
などの効果があります。