肝斑

肝斑を治療するということ

肝斑治療の「お楽しみ」


肝斑は、治療が難しいとよく言われます。

確かに完全に消去することは難しい。しかし、見違えるほどに改善することもありますし、ハッキリうすくなることはもっとよくあります。

肝斑の治療をするということは、徹底的に日光から肌を守ることになるし、使う外用剤はエイジングの治療薬でもあるから、肝斑治療に意味がないという人もいません。

肝斑と診断されても悲観することなしに、自分の肌と向き合うひとつのキッカケとして、肝斑がどれくらい改善するのか、そしてご自身の肌年齢がどこまで戻るのか楽しみにしてはいかがでしょうか。

日本人の肌に適した世界標準治療を


肝斑の世界標準の治療といえば3剤併用療法(トレチノイン、ハイドロキノン、ステロイド)が有名ですが、治療が長期にわたることを考えると、副作用が懸念されるステロイドは使いにくい。

2剤併用療法(トレチノイン、ハイドロキノン)をベースにして、補助療法としてトラネキサム酸の内服、ビタミンCの外用を用いるのが、もっとも日本人の肌に合った肝斑治療と言えるでしょう。



院長こらむ


当院の肝斑治療は、特殊なものに映るかもしれませんが、世界に目をやればこれこそ標準的であって、レーザートーニングとトラネキサム酸内服に依存しすぎた日本の肝斑治療こそスタンダードを大きく逸脱していると非難されるべき。

個人的にはレーザートーニングを完全に否定しているわけではありませんし、アジアでは一般的な治療であることくらいは承知していますが、まずは当院で行っているようなスタンダードな治療をきちんと行って、それでも効果がないときにやむなく(!)選択すべきだと考えています。

肝斑治療にビタミンCをトラネキサム酸と併用して内服させるのは、極東の国、日本のローカルルールであることを最後に付け加えておきます。



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日光からの防御

治療の大前提


肝斑において、日光対策は治療の大前提。

肝斑の発症・進展には、日光暴露が重要な役割を果たしています。「肝斑は光老化のひとつの症状である」という見方すらあるほど。

これまでの対策で不十分だったからこそ、肝斑が発症しているという現実をまず認めたうえで、もう一段強化する必要があります。

    • 対策が不十分だったから、肝斑ができたことを認識する
    • 紫外線量の多い時間帯(10時〜14時)は外出しない
    • 止むを得ず外出するときは、その前に日焼け止めを塗る
    • 日焼け止めは、「色付き」にする
    • 日焼け止め以外の対策(日傘、帽子、衣服、サングラスなど)も取り入れる

もし、ここまでは無理と思われたら、治療せず、肝斑はメイクでカバーすることを考えた方がいいでしょう。





「2剤」併用療法

日本人のゴールドスタンダード


肝斑の色をうすくするもっとも有効な美白剤はハイドロキノン。そして3剤併用療法(トレチノイン、ハイドロキノン、ステロイド)として使用するのが、世界的にはスタンダードであり、もっとも有効な治療法とされています。

ただし、ステロイドを長期に使用すると、酒さ様皮膚炎(ステロイド酒さ)が生じるリスクがあります。そのため当院では、ステロイドを除いた2剤併用療法(トレチノイン、ハイドロキノン)を肝斑治療のベースにしています。

ハイドロキノンやトレチノインは、いずれも刺激性があり、医師の適切な指導の下で使う必要があります。

 



補助療法

トラネキサム酸内服


肝斑の病態の特徴と言えるのは、多くの経路を介してメラニン産生が刺激されていることですが、トラネキサム酸(トランサミン)は、数ある刺激経路の中でも、肥満細胞、血管系を介した刺激経路を抑制します。

トラネキサム酸(トランサミン)の内服は、位置づけとしては補助療法ですが、肝斑治療には欠かせません。

トラネキサム酸の投与量は、世界的に見てもっとも標準的な1回1錠(250ミリグラム)、1日2回。投与期間は6ヶ月を一応の目安として、3~6ヶ月の休薬期間を置くよう指導しています。

 

 価格(税込)
トラネキサム酸(1日500mg 28日分) 1,320円

 

 

 

ビタミンC外用


ビタミンCの効果は、ハイドロキノンには劣るものの、副作用が少なく使いやすいため、ハイドロキノンが使えない場合の代替薬というのが、最近の総説の評価。


肝斑治療の外用薬は、レチノイドにしてもハイドロキノンにしても刺激性があるため、使いやすいビタミンC製剤があれば、それを外用薬のベースにすることをおすすめします。






肝斑のエビデンス(Tweet集)

 

    •  肝斑(1)
      なぜ肝斑ができるかわかりきっていないが、リスクファクターとして
      ・紫外線や可視光線への暴露
      ・遺伝的素因
      ・妊娠 ・女性ホルモンの投与
      が挙げられる。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年11月21日)

 

    • 肝斑(2)
      肝斑の症状は慢性に経過し、治療も難しい。治療を中断したり、日光への暴露でしばしば再発する。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年11月22日)

 

    • 肝斑(3)
      (完治を目指すのではなく)今の症状を少しでも改善すること、そして再発を防ぐことを治療のゴールとすべき。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年11月23日)

 

    • 肝斑(4)
      美白剤は肝斑治療のゴールドスタンダードとされ、ハイドロキノンがもっとも多く用いられ、また世界中でエビデンスが積み重ねられている。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年11月24日)

 

    • 肝斑(5)
      美白剤
      臨床試験ではハイドロキノン3~4%で結果が出ているが、日焼け止めを併用することの重要性も示されている。
      Am J Clin Dermatol.

      2020;21:173-225  (2022年11月25日)

 

    • 肝斑(6)
      美白剤
      20%アゼライン酸は、4%ハイドロキノンとの比較試験で同等の結果を出している。ただし刺激症状はアゼライン酸の方が強いという評価。
      (補足:刺激反応はアゼライン酸の方が強いというのは意外!)
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年11月26日)

 

    • 肝斑(7)
      美白剤
      ビタミンCのイオン導入は、精製水を使った導入と効果は変わらなかった。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年11月27日)

 

    • 肝斑(8)
      美白剤 5%ビタミンC外用液は、ハイドロキノンより副作用の出現は少ないが、効果は4%ハイドロキノンに劣った。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年11月28日)

 

    • 肝斑(9)
      美白剤
      ルシノールは基材との比較で、8週間使うことで肝斑の色味の改善が報告されている。リポソームでくるむことで、刺激症状は緩和された。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年11月29日)

 

    • 肝斑(10)
      レチノイド
      レチノイドは、メラニンの合成と表皮細胞への分配を阻害する。また表皮ターンオーバーを促進することで、メラニンの排泄を早めるとともに他の外用剤の浸透を高める。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年11月30日)

 

    • 肝斑(11)
      レチノイド
      0.1%トレチノインを40週使用した試験では、68%で肝斑は改善を示した。ただし、24週までは改善を認めず、88%で刺激症状の副作用を生じた。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年12月1日)

 

    • 肝斑(12)
      レチノイド
      アダパレン0.1%(ディフェリン)と0.05%トレチノインの肝斑に対する比較試験では、効果は同等で、トレチノインの方が副作用が強かった。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年12月2日)

 

    • 肝斑(13)
      レチノイド
      2種類のレチノールを含むコスメ、ネオレチンの肝斑への効果を見る臨床試験では、74%で改善を認め、また副作用の出現は28例中3例にとどまった。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年12月3日)

 

    • 肝斑(14)
      紫外線だけでなく可視光線まで防ぐ日焼け止めを4%ハイドロキノンと併用した群の方が、紫外線だけを防ぐ日焼け止めをハイドロキノンと併用した群より、肝斑は見た目だけでなく組織検査でも改善していた。
      (補足:肝斑なら、「色付き」日焼け止め!)
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年12月4日)

 

    • 肝斑(15)
      トラネキサム酸外用(塗り薬や皮内注射)は、最近研究が進むが、結果はさまざま(効いたとするものもあれば、無効とするものもある)。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年12月5日)

 

    • 肝斑(16)
      トラネキサム酸外用(塗り薬や皮内注射)での、マイクロニードリングと皮内注射の比較では、有意差はないが、マイクロニードリングの方が効果的かもしれない。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年12月6日)

 

    • 肝斑(17)
      トラネキサム酸外用(塗り薬や皮内注射)の副作用は、ハイドロキノンよりはマイルド。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年12月7日)

 

    • 肝斑(18)
      3剤併用療法(ハイドロキノン、レチノイド、ステロイド)は、肝斑に対する安全で効果的な治療とされる。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年12月8日)

 

    • 肝斑(19)
      3剤併用療法(ハイドロキノン、レチノイド、ステロイド)は、3剤のうちのどの2剤の組み合わせより有効(どれも欠かせないということ)。3剤では77%で肝斑は完全ないしほぼ消失したが、2剤の組み合わせでは最大47%。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年12月9日)

 

    • 肝斑(20)
      569例で3剤併用療法(ハイドロキノン、レチノイド、ステロイド)の安全性と効果を検証した12ヶ月の臨床試験で、副作用のために試験を中断した人は2.5%だった。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年12月11日)

 

    • 肝斑(21)
      ほとんどの肝斑の臨床研究では、客観的な評価ができていないため、議論がまとまらない。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年12月12日)

 

    • 肝斑(22)
      ケミカルピーリング
      グリコール酸ピーリングの臨床研究がいくつかあるが、外用療法以上の結果は残せていない。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年12月13日)

 

    • 肝斑(23)
      ケミカルピーリング
      グリコール酸ピーリングを肝斑治療に加えた場合、色素沈着のリスクが増えることに留意。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年12月14日)

 

    • 肝斑(24)
      ケミカルピーリング
      サリチル酸ピーリングでは有意な治療効果は得られていない。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年12月15日)

 

    • 肝斑(25)
      ケミカルピーリング
      サリチル酸とマンデル酸を組み合わせたピーリングは、敏感肌、色の濃い肌タイプの人にとってより安全な選択肢になる。マンデル酸は分子量が大きく、皮膚への浸透が安定しているため、刺激になりにくい。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年12月16日)

 

    • 肝斑(26)
      ケミカルピーリング
      トリクロロ酢酸(TCA)ピーリングは、色の濃い肌タイプの人に使われているが、ランダム化比較試験のエビデンスがない。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年12月17日)

 

    • 肝斑(27)
      IPL
      肝斑に対する光治療の効果を見る臨床試験の結果はさまざま。再発を防ぐためにハイドロキノンまたは3剤併用療法と組み合わせるのがよい。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年12月18日)

 

    • 肝斑(28)
      レーザートーニング
      最近、低出力のヤグレーザー、「レーザートーニング」と称される、が肝斑治療によく使われるようになった。
      (補足:レーザートーニングという言葉が総説にも登場。)
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年12月19日)

 

    • 肝斑(29)
      レーザートーニング
      トラネキサム酸の内服と組み合わせた方が、トーニング単独より効果的。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年12月20日)

 

    • 肝斑(30)
      レーザートーニング
      低濃度のハイドロキノンより効果は高いが、白斑のリスクがある。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年12月21日)

 

    • 肝斑(31)
      パルス色素レーザー
      肝斑の再発率を抑えた唯一の治療。肝斑の血管病変をターゲットにしている。
      (補足:肝斑の血管を叩くことは、より病態の本質に迫っているのかもしれない。)
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年12月22日)

 

    • 肝斑(32)
      トラネキサム酸内服
      標準的な外用療法が効かない時に最も効果を発揮する。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年12月23日)

 

    • 肝斑(33)
      トラネキサム酸内服
      内服量は1日500~1,500mg。最も一般的なのは1回250mg、1日2回。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年12月24日)

 

    • 肝斑(34)
      トラネキサム酸内服
      副作用で多いのは、胃腸障害、過少月経、頭痛、筋肉痛など。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年12月25日)

 

    • 肝斑(35)
      トラネキサム酸内服
      深部静脈血栓症のリスクがあるため、血栓傾向のリスクファクターをチェックすべき。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年12月26日)

 

    • 肝斑(36)
      トラネキサム酸内服
      組織学的検査から、表皮ではメラニン(色味)の減少、真皮では(炎症に関わる)肥満細胞、血管の減少が証明される。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年12月27日)

 

    • 肝斑(37)
      トラネキサム酸内服
      最近のメタ分析では、有効性は、トラネキサム酸の内服>皮内注射>外用の順。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年12月28日)

 

    • 肝斑(38)
      飲む日焼け止め(ファーンブロック)
      ランダム化比較試験では、有効性は示せなかった。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年12月29日)

 

    • 肝斑(39)
      レビュー論文の結論!
      ハイドロキノン外用は、もっとも幅広く検証され、理論的には副作用もあるが、多くの臨床試験で高い安全性が実証されている。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年12月30日)

 

    • 肝斑(40)
      レビュー論文の結論!
      3剤(ハイドロキノン+トレチノイン+ステロイド)併用療法は、もっとも効果的な治療法であり続けている。少なくとも12ヶ月までの使用の安全性は確立されている。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2022年12月31日)

 

    • 肝斑(41)
      レビュー論文の結論!
      再発率は、治療開始時の肝斑の重症度にもっとも関連している。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2023年1月1日)

 

    • 肝斑(42)
      レビュー論文の結論!
      肝斑の治療には、SPF30以上の日焼け止めを使うことは必須。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2023年1月2日)

 

    • 肝斑(43)
      レビュー論文の結論!
      肝斑の治療には、可視光線も防御できるよう酸化鉄を含む日焼け止めを使うことが推奨される。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2023年1月3日)

 

    • 肝斑(44)
      レビュー論文の結論!
      トラネキサム酸の外用はハイドロキノンと比較して有用性を示せていないが、トラネキサム酸を併用したマイクロニードリング(ダーマペン)では有望な結果が出ている。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2023年1月4日)

 

    • 肝斑(45)
      レビュー論文の結論!
      ビタミンCの外用は、ハイドロキノンが使えないとき、代りとして使うことができる。
      Am J Clin Dermatol.
      2020;21:173-225  (2023年1月5日)




よくいただくご質問

Q

肝斑はどんなシミですか?

A

肝斑は典型的には、顔の頬骨のあたりを中心に「地図状」に広がるシミです。「左右対称性」に現れるとされますが、片側性のこともあります。

頬だけではなく、額や口周囲にも見られます。



 

Q

肝斑の原因は?

A

A 紫外線
B 女性モルモン
C 遺伝的素因


A 紫外線
肝斑を光老化の一症状とする考え方もあります。

B 女性モルモン

妊娠、出産、また女性ホルモン製剤の内服を契機にできることがあります。

C 遺伝的素因
肝斑は家族内発生することが知られています。ただし、原因遺伝子は特定されていません。

Q

どのようにして肝斑はできるのですか?

A

肝斑では、さまざまな経路からメラニン形成が刺激されます。少なくとも主要な経路が真皮由来であることは間違いありません。

真皮由来の経路として、
1)線維芽細胞
2)血管系
3)肥満細胞
4)女性ホルモン
5)酸化ストレス
を介した刺激でメラニンが形成されることが知られています。

問題は、この経路が複雑に絡み合って、一筋縄ではいかないこと。

現在の研究では、分子レベル、遺伝子レベルまでさかのぼっての反応経路の全容の解明に力が注がれている状況で、どうしたらこの刺激経路を全体的に抑え込むことができるかまでに至っていません。

 

 

 


参考文献

 

1) Melasma Treatment: An Evidence-Based Review.
McKesey J,et al
Am J Clin Dermatol
2020;21(2):173-25

2) Melasma: Updates and perspectives.
Kwon SH,et al
Exp Dermatol
2019;28(6):704-708

3) Melasma pathogenesis: a review of the latest research, pathological findings, and investigational therapies.
Rajanala S,et al
Dermatol Online J
2019;25(10):1-6

4) Future therapies in melasma: What lies ahead?
Sarkar R,et al
Indian J Dermatol Venereol Leprol
2020;86(1):8-17

5) Oral Tranexamic Acid for the Treatment of Melasma: A Review
Bala HR,et al
Dermatol Surg
2018;44(6):814-825

6) Melasma treatment: A novel approach using a topical agent that contains an anti-estrogen and a vascular endothelial growth factor inhibitor.
Cohen PR
Med Hypotheses
2017;101:1-5

7) New oral and topical approaches for the treatment of melasma
Grimes PE,et al
Int J Womens Dermatol
2019;5:30-36

8) Near-visible light and UV photoprotection in the treatment of melasma: a double-blind randomized trial
Castanedo-Cazares JP,et al
Photodermatol Photoimmunol Photomed
2014;30(1):35-42

9) Defective barrier function in melasma skin
Lee DJ,et al
J Eur Acad Dermatol Venereol
2012;26(12)1533-1537

10) メラニンからみた美容皮膚科学 美白剤の展望
芋川弦爾
Aesthetic Dermatology
2014;24:17-34

 





 価格(税込)
トランサミン 28日分 1,848円
シナール(ビタミンC)28日分 1,144円
ハイチオール(Lシステイン) 28日分 1,056円
肝斑セット(上記3剤)28日分 4,048円
トラネキサム酸クリーム20g 2,200円

 

 

 

治療戦略 〜肝斑治療の未来〜


世界的に見て、現在の肝斑治療の主流は、美白剤ですが、肝斑の発症機序から考えて根本的な治療ではなく、対症療法にとどまっています。

少しずつ肝斑のメカニズムは明らかになっていますが、今のところ治療に直結するまでにはいたっていないのが現状。トラネキサム酸(トランサミン)の内服は、メカニズムの一部をカバーしていますが、全体とはとても言い難い。

今わかっているだけでも、肝斑ではさまざまな経路からメラニン色素生成が刺激されていることを考えると、1剤でそれをすべて抑え込むことはできそうもありません。

現在世界的に肝斑の標準治療といえる3剤コンビネーション(ハイドロキノン、トレチノイン、ステロイド)治療に代わる新しい組み合わせ、たとえばハイドロキノン、抗女性ホルモン剤、血管新生阻害剤といった新たな3剤コンビネーション治療が、もっとも現実的で有力な「未来」の肝斑治療かもしれません。