最新医学痩身 Time-Restricted Feeding

食事療法の先に成功はない・・リバウンドがあるだけ


食事療法には限界があります。 

一時的には体重を落とせても、それを維持することができません。人間の本能的な欲望である「食欲」をずっと抑え続けることはできないのです。あとに待ち受けているのは、お決まりのリバウンド。状況をさらに悪化させるだけです。


 



最新医学痩身 Time-Restricted Feeding 基礎編


食事を制限しなくても、「時間」を制限すれば、体重は減らせます。

「時間」を制限することは、習慣化することができます。だから一生でも無理なく続けられるのです。

同じカロリーでも摂取する時間によって身体にとって意味が違う!


時間医学が明らかにした栄養学上の「大発見」!

同じ500キロカロリーでも、朝のカロリーは日中の活動で使われ、夜のカロリーは翌日に備えて蓄えられます。文明以前の人類で考えれば当たり前で、そのようにカロリーを使わなければ生き延びることはできなかったのです。

最近の研究で、体内リズムには個人差があり、各自の体内リズムでの遅い時間帯に食事をすると、脂肪が蓄積しやすいことが報告されています(参考文献1)。

「王様のような朝食、王子様のような昼食、そして貧民のような夕食を」

西洋に伝わるこのことわざに、痩身の極意が表現されています。

《院長の補足コメント》


アンチエイジングでもっとも根本的なカロリー制限も、昔から「腹八分目」という言葉で伝承されてきました。そしてまた「王様のような朝食・・」という昔からの食習慣が注目され出しました。

学問は急速に進歩して、人は賢くなっているように見えても、実際は昔からの言い伝えをただなぞっているだけで、頭の中身はちっとも変わっていないのかもしれません。

 



短い時間帯で食べる!


朝から夜遅くまでダラダラ食べると肥満になりやすく、同じカロリーでも短い時間帯に限って摂れば太りません。

食事の時間帯を限定して、身体に起こる変化を調べた研究があります。糖尿病の前段階の人を対象に、5週間朝、昼、晩の食事を6時間(!)に限定しました。すると糖尿病に特徴的なインスリン抵抗性が下がり、代謝が改善することがわかりました(参考文献2)。

《院長の補足コメント》


夜遅くまで食事をしていると、身体が糖尿病に近づき、短い時間内に食べれば糖尿病から遠ざかります。

世界的に糖尿病患者の爆発的増加が問題になっています。もしかしたら世界各地で伝統的な食習慣、生活習慣が崩れていることが一因なのかもしれません。

 





《院長のまとめコメント》

「時間医学」は生体のリズムを研究する新しい医学分野ですが、2017年のノーベル医学生理学賞は生体リズムのメカニズムを解明した医学者に与えられていて、世界の注目が集まっています。

人間にはもともと生体リズムが備わっていますが、そのリズムの乱れが、肥満、糖尿病をはじめ心疾患、うつなど精神疾患、がんなどのリスクを高めることがわかってきました。

現代社会では、人は朝でも夜でも同じように活動できるという便利さを獲得しましたが、逆にそのことが生体リズムを乱し、健康を奪っています。「時間医学」はダイエットのためだけでなく、現代社会を健康的に生きる術を教えてくれています。

 

 

最新医学痩身 Time-Restricted Feeding 実践編

起床時間を一定にする


■朝は一定に時間に起床しましょう。それが体内リズムを正確に刻むための第一歩。

■体内リズムが乱れていないことが、時間制限ダイエットの前提条件です。

■起床したら、外に出て青空を見上げてブルーライトを目に入れましょう。身体に朝を知らせるシグナルになります。

起床したら2時間以内に朝食を


■身体のリズムを調整するシグナルは、光(ブルーライト)と食事。

■朝は忙しくとも、パンだけのような単調な朝食ではなく、十分にタンパク質も摂れる朝食にします。そうでないと体内リズムは調整できません。

■朝食を抜くと、たとえその分摂取カロリーを減らせたとしても、太りやすい体質に傾きます。

朝食の食べ始めから12時間以内にその日の最後の食事を食べ終える


■1日の中で食事を摂る時間は、12時間以内にまとめます。

■実際に、肥満者を、4か月間食事してよい時間を10〜12時間に制限することで、それ以上は食事の量や内容を制限しなくても、体重を減少させることに成功した臨床試験が報告されています(参考文献3)。

《院長の補足コメント》


この臨床試験が衝撃を与えたもうひとつの理由は、追跡調査の結果でした。驚くべきことに、1年後にもほとんどの試験参加者で体重が維持されていました。理由は「続けるのが楽だったから」でした。

実はこれまでの痩身の臨床試験では、試験期間中は体重が減っても、試験が終わればリバウンドしてしまう人ばかりだったのです。



参考文献


1) Later circadian timing of food intake is associated with increased body fat.
McHill AW, et al.
Am J Clin Nutr. 2017;106(5):1213-1219

2)  Early time-restricted feeding improves insulin sensitivity, blood pressure, and oxidative stress even without weight loss in men with prediabetes.
Sutton EF, et al.
Cell Metab. 2018 June 5;27(6):1212-1221.

3)  A smartphone app reveals erratic diurnal eating patterns in humans that can be modulated for health benefits.
Shubhroz G,Satchidananda P
Cell Metab. 2015 Nov 3;22(5):789-98.




時間栄養学について

食事の内容や量ではなく、時間を制限する

■「時間を制限する」ダイエット法の先駆けとなった論文を紹介します。

■実験マウスは通常のエサで飼育すると、夜行性のマウスは主に夜間に食事をします。ここで高脂肪食のエサに変えると、マウスは昼、夜という日内リズムが崩れ、一日中食べるようになり、肥満、糖尿病を発症します。

■ところが同じ高脂肪食を与えても、エサが食べられる時間を8時間に制限すると、トータルの摂取量は時間制限のある、なしに関わらず同じにしても、肥満になることはなく健康が保たれました。


(解説)
■あくまでマウスの実験ではありますが、高脂肪食が生体リズムを乱して肥満、糖尿病を発症させること、たとえ高脂肪食を続けたとしても食事時間さえ制限すれば、肥満を防ぐことができることが示されました。

 

 

(参考文献)
Time restricted feeding without reducing caloric intake prevents metabolic diseases in mice fed a high fat diet.
Megumi H,et al.
Cell Metabolism. 2012;15(6):848-860.

 

食事時間を制限する(続報)

■先に紹介した論文と同じ研究グループからの続報。さらに細かく飼育環境を変えて実験が行われました。

■食事摂取時間の制限と体重増加については、9時間制限と12時間制限ではほとんど効果は同じでした。また緩い制限になる15時間制限でも自由摂取よりは体重の増加が防げました。

■5日間(weekdays)時間制限し、2日間(weekends)は自由摂取という食事パターンでも体重増加を抑制できました。しかも毎日時間制限したときにほとんど劣らない効果でした。

■高脂肪食で肥満になってしまったマウスでも、その後時間制限することで体重を減少させることができました。


(解説)
■あくまでマウスの実験ですが、「人」を意識した実験設定になっています。

■少なくともマウスでは12時間の食事制限(一日の中で12時間だけ食事できる)で肥満は予防できること、また12時間が守れなくても少しでも制限することで、それだけ体重増加が防げることが示されています。また食事時間制限は平日の5日間だけという食事パターンでも有効なこと、さらには、すでに肥満してからでも時間制限すればダイエットできることが示されました。

■あとは人でも時間制限が有効なのか、マウスの12時間が人では何時間に相当するかに焦点になります。

 

(参考文献)
Time-restricted feeding is a preventative and therapeutic intervention against diverse nutritional challenges.
Amandine C,et al.
Cell Metabolism. 2014;20(6):991-1105.

 

人での時間制限〜答えは12時間〜

■スマートフォンアプリを活用して、人の摂食行動を解析した報告です。

■「食事期間(1日の中で最初にカロリーあるものを摂取してから最後に摂取するまでの時間)」が14時間を越える肥満者を、4か月間「食事期間」を10〜12時間に制限することで、それ以上は食事の量や内容を制限しなくても、体重を減少させることができました。

(解説)
■追跡調査の結果は、驚くべきものでした。なんと!1年後もほとんどの人で体重が維持されていました。理由は「続けるのが楽だから」でした。


(参考文献)
A Smartphone App Reveals Erratic Diurnal Eating Patterns in Humans that Can Be Modulated for Health Benefits.
Shubhroz G,Satchidananda P
Cell Metab. 2015 Nov 3;22(5):789-98.