制作・執筆:坂田修治(医師:美容外科・美容皮膚科 青い鳥 院長)
(最終更新日:2025年6月15日)
肌の老化を防ぐトレチノインの効果的な使い方ガイド
シミ、しわ、ニキビ跡、毛穴の開きなど、お肌のお悩みに効果的な治療をお探しの方へ。CDトレチノイン外用療法は医師管理のもとで行う美肌治療です。JR浜松町駅・東京メトロ大門駅近くの美容外科・美容皮膚科 青い鳥では、従来のトレチノインよりも肌への刺激を抑えながら効果を発揮するCDトレチノイン療法をご提供しています。
CDトレチノインとは
トレチノイン(レチノイン酸)はビタミンA誘導体の一種で、肌のターンオーバーを強力に促進し、新しい皮膚への生まれ変わりをサポートします。化粧品のレチノールと比較して、その生理活性は約50~100倍で、米国FDAではニキビや光老化の治療薬として承認されています。
従来のトレチノイン製剤は効果が高い反面、製剤が不安定で、使用初期に赤みや皮むけなどの刺激反応が出やすい課題がありました。
CDトレチノインは、トレチノインをシクロデキストリンという環状オリゴ糖で包接した特殊製剤です。この技術により以下の利点があります:
⚪️安定性の向上:光や熱による成分分解が抑制され、安定性が向上
⚪️皮膚刺激性の軽減:徐々に放出されることで、従来製剤より赤みや皮むけが緩和
⚪️有効性の維持:皮膚刺激は軽減しつつ、シミやしわ改善効果は同等に維持
CDトレチノインのメリット
◎シミ・くすみ・色素沈着の改善
肌のターンオーバーを促進し、表皮に蓄積されたメラニン色素を古い角質とともに排出。紫外線によるシミ、そばかす、ニキビ跡の色素沈着、くすみの改善が期待できます。
◎小じわ・ハリの改善
真皮層でコラーゲンやヒアルロン酸の産生を促進し、目元や口元の小じわ改善、肌全体のハリ・弾力アップ効果が期待できます。
◎ニキビ・ニキビ跡の改善
皮脂分泌を抑制し、毛穴の角化異常を正常化。炎症性ニキビや面皰の改善、新たなニキビの予防に繋がります。
◎毛穴・肌質の改善
皮脂分泌のコントロールとターンオーバー正常化により、毛穴の目立ちを軽減し、キメの整った肌質へ導きます。
◎刺激を抑えた処方
従来のトレチノイン治療で懸念された強い赤みや皮むけが比較的マイルドになり、治療継続しやすくなります。
デメリットとリスク
⚫️レチノイド反応:治療開始初期には一時的に赤み、皮むけ、乾燥、ヒリヒリ感などが出ることがあります(通常は一過性)
⚫️使用制限:妊娠中・妊娠の可能性がある方・授乳中の方は使用できません
⚫️医師の指導が必須:医療用医薬品のため、適切な濃度や使用方法を医師が判断し処方する必要があります
⚫️コスト:保険適用外の自由診療となります
当院の特徴
⚪️豊富なレチノイド療法の選択肢
患者様一人ひとりのお肌の状態とご希望に合わせて最適な治療プランをご提案
⚪️丁寧なカウンセリング
お悩みを詳しくお伺いし、最適な濃度や使用方法、期待される効果について分かりやすく説明
⚪️副作用への的確な対応
レチノイド反応に対する具体的な対処法を丁寧にお伝えし、定期的な診察で経過を確認
⚪️アクセス良好
JR浜松町駅、地下鉄大門駅からアクセスしやすい立地
まとめ
◉港区(浜松町・大門エリア)で、シミ、しわ、ニキビ、毛穴などのお悩みに効果的な治療をお探しなら、当院のCDトレチノイン療法をご検討ください。豊富な経験と専門知識に基づき、患者様一人ひとりに合わせた丁寧な診察と治療計画をご提案します。
◉「透明感のある肌を手に入れたい」「ニキビのできにくい肌になりたい」といったご希望をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
こんな方におすすめ
トレチノイン(レチノイン酸)は、以下のような人に適している可能性があります:
- 軽度から中等度のニキビがある人:トレチノインはニキビの治療に効果的です。
- 光老化が気になる人:日光による皮膚の老化(しわ、しみなど)の改善に効果があります。
- 肌のターンオーバーを促進したい人:トレチノインは表皮細胞の生まれ変わりを促進します。
- 色素沈着が気になる人:メラニン生成を抑制する効果があります。
- にきび痕の改善を目指す人:コラーゲン生成を促進し、にきび痕の改善が期待できます。
一方で、以下のような人には注意が必要です:
- 妊娠の可能性がある人
- 敏感肌の人
- 日光過敏症の人
- アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患がある人
注1)妊娠・授乳中の人はトレチノインは使用できません。
注2)トレチノインは強力な成分なので、使用を始める前に医師に相談して下さい。
刺激反応(レチノイド反応;A反応)
トレチノインを使い始めて数日すると、多くの方で刺激反応が出現します。
刺激反応には
- 赤み
- 皮むけ
- ヒリヒリ感
- 乾燥
があり、これらは使用を中止してしまう原因になります。
対策としては
- 必ず保湿剤を併用する
- 塗る量を減らす
- それでも収まらなければ、1日おき、または週に2回にする
など、お肌を慣らしながら使用を続けます。
この反応は、1〜2週間すれば自然になくなります。収まったら、通常通りの使用方法にします。
刺激反応(レチノイド反応;A反応)はないといけないのか!?
「刺激反応が治療効果に必要」という仮説の変遷
1. 当初の仮説(古い考え方)
「No irritation, No improvement(刺激なければ改善なし)」
当初は、刺激反応が必要であり、治療効果と直接関連していると信じられていました(文献1)。つまり、皮膚に炎症(紅斑・刺激)が起こらなければ、トレチノインの治療効果は得られないと考えられていました。医師も「刺激があるほど効果的」と信じていました。
2. 仮説の修正(現在の理解)
しかし、その後の研究により、刺激反応と治療効果は独立していることが判明しました(文献1)。
きっかけは濃度比較試験でした。
0.025% と0.1%のトレチノインクリームを使用した臨床試験の結果、より高濃度な0.1クリームの方がより顕著な刺激を引き起こしたにも関わらず、臨床的または組織学的には違いを認めなかったのです(文献2)
3. 現在の理解
刺激と効果は独立した現象とされています。
A 治療効果のメカニズム:
◦ コラーゲン合成促進
◦ MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)阻害
◦ 表皮細胞ターンオーバー正常化
◦ 遺伝子発現調節
B 刺激反応のメカニズム:
◦ 表皮過形成
◦ 角質層の急激な変化
◦ 皮膚中レチノイン酸濃度の過剰
◦ 化学構造による直接刺激
4. 臨床的な意味
この理解の変化により、治療戦略も変わりました。
従来は 「刺激が出るまで濃度を上げる」ことが、正しい使い方とされていましたが、 今では「効果的な最小濃度で、刺激を最小限に抑える」ことこそが正しい効果的な使い方とされています。
5. 使用上の注意
• 「赤くなったり刺激があっても、それで効果が高まるわけではない」
• 「刺激を我慢する必要はない」
• 「適切な濃度と使用法で、刺激を抑えながらも十分な効果が得られる」
6. まとめ
この仮説の修正は、トレチノイン治療における重要なパラダイムシフトを表しています。「刺激 = 効果」という誤った関連性から、「刺激と効果は別々のメカニズム」という科学的理解への転換です。
これにより、より快適で、かつ効果的なトレチノインを使った治療が可能になったのです。
【参考文献】
1) Reversal of skin aging with topical retinoids
Bradley A Hubbard
Plast Reconstr Surg
2014;133(4):481e-490e.
2)Topical retinoids in the management of photodamaged skin: from theory to evidence-based practical approach
R Darlenski
Br J Dermatol
2010;163:1157-1165
トレチノインの使い方
基本的なインターバル法
はじめの1ヶ月
◉1日おきに、夜の洗顔後水分をよく拭き取ってから最初に使います。
◉エイジングケアですからお顔全体に塗ります。
◉1日おきでも刺激症状が強ければ、3日に1度、4日に1度と間隔をあけ、症状が収まったら少しずつ間隔を戻します。場合によりショートコンタクト法を指導することもあります。
2ヶ月目以降
◉刺激症状が収まっていたら、毎日夜1回使用します。
◉念のため、昼は日焼け止めをお使い下さい。
◉トレチノインは休薬期間を置く必要はありません。継続して使用して下さい。
*当院ではご不明な点やお困りのことがある方には医師がメールでお答えして、継続して使えるようサポートしています。
うまく使えないときのショートコンタクト法
インターバル法でうまくいかないときは、ショートコンタクト法をお試し下さい。
トレチノインのショートコンタクト法(文献3)
【1】夜、洗顔して最初に顔全体に塗布します
【2】30分したら洗顔料は使わずぬるま湯で洗い流します
【3】その後はいつものルーティーンのスキンケアを行います
【4】1日30分塗っていても刺激反応が出ない状態が1ヶ月続いたら、毎日夜1回の使用に移行します
それでも刺激が強ければ・・
*以下のプロトコールは、(文献4)にあるタザロテンでのショートコンタクト法を参考に独自に作成しています。
【1】塗っている時間を5分に短縮する
【2】刺激反応が収まったら、塗っている時間を5分延長する
【3】一度延長したら、少なくとも3日以上はそのままにして刺激反応が強くならないか観察する
【4】刺激反応が収まっていれば、さらに5分ずつ延長していく
【5】塗っている時間は最長で30分とする
【6】1日30分塗っていても刺激反応が出ない状態が1ヶ月続いたら、毎日夜1回の使用に移行する
ショートコンタクト法のメリット
1)刺激反応の軽減(文献3)
2)治療効果の維持(文献3)
3)治療継続率の向上(文献3)
4)薬剤の皮膚残留がない(文献5)
そのほかのスキンケア製品との適合性を気にする必要がありません
【参考文献】
3) Short contact therapy of acne with tretinoin
Stefano Veraldi
J Dermatolog Treat
2013;24(5):374-376
4) Successful treatment of acne vulgaris using a new method: results of a randomized vehicle-controlled trial of short-contact therapy with 0.1% tazarotene gel
Susan Bershad, et al.
Arch Dermatol
2002;138:481-489
5) Short-contact topical tretinoin therapy to stimulate granulation tissue in chronic wounds
D Paquette
J Am Acad Dermatol
2001;45(3):382-386
価格表
CDトレチノイン | 価格(税込) |
---|---|
0.025%:10g | 3,520円 |
当院で0.025%を採用しているワケ
トレチノイン(レチノイン酸)の効果的な濃度について、
• 0.025%から0.1%の濃度が一般的に使用され、効果があると報告されています。
• 0.05%の濃度が最もよく研究されており、有効性と忍容性のバランスが取れていると考えられています。
• 初期治療では0.025%から0.05%の濃度から開始することが推奨されています。
• 維持療法では0.01%から0.025%の低濃度で効果が持続することが示されています。
• 0.025%と0.1%の濃度を比較した研究では、臨床的な効果に大きな差は見られませんでした(文献6)。
海外では0.05%がバランスの取れた濃度として多くの研究で使用されています。しかし、エビデンス的に0.025%でも効果として劣ることはなく、刺激性は弱まることから、敏感肌の方が多い日本人では0.025%が最適な濃度と考えています。
【参考文献】
6) Topical retinoids in the management of photodamaged skin: from theory to evidence-based practical approach
R Darlenski
Br J Dermatol
2010;163:1157-1165
トレチノインの医学的検証
1. 有効性の証明
パイオニア研究による確立
Kligmanらの先駆的な研究(1986年)により、トレチノインの光老化に対する有効性が初めて実証されました(文献7)。この研究を皮切りに、1986年以降多くのランダム化比較試験が実施されてきました。
2. 臨床試験による有効性の証明
主要な二重盲検比較試験
JAMAにニューイングランドジャーナルにJAADととにかくジャーナル名が凄すぎて圧倒されてしまいます。こうした裏付けがあって、トレチノインの光老化皮膚に対する効果は揺るぎないものになったのです。
◉Weiss et al. (1988): 二重盲検vehicle対照試験により、トレチノイン外用が光老化皮膚を改善することを証明(文献8:JAMA 1988;259:527-532)
◉Griffiths et al. (1993): 光老化皮膚におけるコラーゲン形成の回復を実証(文献9:N Engl J Med 1993;329:530-535)
◉Olsen et al. (1992, 1997): 24週間、48週間の多施設共同二重盲検試験で、トレチノイン0.05%エモリエントクリームの有効性を確認(文献10:J Am Acad Dermatol 1992;26:215-224)、(文献11:J Am Acad Dermatol 1997;37:217-226)
3. 臨床的改善効果
トレチノインを使うことで、以下の効果が報告されています(文献12、13):
⚪️細かいシワと粗いシワの改善(文献12)
⚪️まだら状色素沈着の軽減(文献13)
⚪️皮膚の粗さの改善(文献12)
⚪️皮膚の弾力性向上(文献13)
4. 組織学的改善
トレチノイン療法により以下の組織学的改善が確認されています(文献12):
⚪️角層の緻密化
⚪️表皮肥厚異型細胞の正常化
⚪️メラニン細胞の肥大の減少
⚪️新しいコラーゲンの合成増加
⚪️血管新生の促進
⚪️アンカリング線維の増加
なお、組織学的に長期使用の安全性を示すデータとして、4年間の治療後の後の組織学的検査で、角化細胞や色素細胞の異型性はなかったと報告されています(文献14)
5. 有効な濃度と用法
濃度による効果の違い
トレチノインの初心者では気にならないでしょうが、使い慣れてくると濃度の違いが気になるかもしれません:
●0.05%: 長期間の有効性と安全性が確立(文献15)
●0.025%と0.1%: 光老化の徴候に対して有意で類似した改善を示す(文献15)
●0.025%と0.1%:濃度の高い0.1%クリームの方がより顕著な刺激反応を引き起こしたが、臨床的または組織学的には違いを認めず(文献16)
●0.02%: 多施設ランダム化試験で光老化皮膚に有効、高濃度より忍容性が良好(文献15)
●0.01%: 光老化の改善は認められず(文献15)
6. トレチノインの作用機序
トレチノインが皮膚老化に有効である理論的根拠:
▶︎細胞分化と増殖に関わる遺伝子の調節能力(文献17)
▶︎ヒアルロン酸とコラーゲンの合成促進と分解抑制(文献17)
▶︎紫外線吸収による保護作用(文献18)
7. 限界と今後の展望
トレチノイン療法には以下のような限界も指摘されています:
◉刺激性と炎症特性のため、高濃度にしても効果向上は困難(文献17)
◉より大幅な改善のためには新世代の外用レチノイドが必要(文献17)
【参考文献】
7) Topical tretinoin for photoaged skin
Kligman AM, et al.
J Am Acad Dermatol
1986;15(4 Pt 2):836-859
8) Topical tretinoin improves photoaged skin. A double-blind vehicle-controlled study
J S Weiss
JAMA
1988;259(4):527-32
9) Restoration of collagen formation in photodamaged human skin by tretinoin (retinoic acid)
C E Griffiths
N Engl J Med
1993 ;329(8):530-5
10) Tretinoin emollient cream: a new therapy for photodamaged skin
E A Olsen
J Am Acad Dermatol
1992;26(2 Pt 1):215-24
11) Tretinoin emollient cream for photodamaged skin: results of 48-week, multicenter, double-blind studies
E A Olsen
J Am Acad Dermatol
1997;37(2 Pt 1):217-26
12) Topical retinoids in the treatment of photoaging
Stefanaki C, et al.
J Cosmet Dermatol
2005;4(2):130-4
13) Retinoids: active molecules influencing skin structure formation in cosmetic and dermatological treatments
Malwina Zasada, et al.
Postepy Dermatol Alergol
2019;36(4):392-397
14) Assessment of the long-term safety of topical retinoids
Jag Bhawan
Cutis
2005;75(2 Suppl):25-31
15) Topical Retinoids: Therapeutic Mechanisms in the Treatment of Photodamaged Skin
Ryan R Riahi
Am J Clin Dermatol
2016;17(3):265-76
16) Topical retinoids in the management of photodamaged skin: from theory to evidence-based practical approach
R Darlenski
Br J Dermatol
2010;163:1157-1165
17) Proposed mechanisms of action for retinoid derivatives in the treatment of skin aging
Olivier Sorg, et al.
J Cosmet Dermatol
2005;4(4):237-44
18) Topical retinoids in skin ageing: a focused update with reference to sun-induced epidermal vitamin A deficiency
Olivier Sorg, et al.
Dermatology
2014;228(4):314-25
よくいただくご質問
トレチノインを使うことで、具体的にどのような肌の悩みの改善が期待できますか?
トレチノイン療法は、その効果のメカニズムから、様々なお肌の悩みに対応できる可能性があります。患者様の具体的なお悩みや肌質によって効果の現れ方には個人差がありますが、主に以下のような改善が期待できます。
シミ・色素沈着:
▶︎老人性色素斑(日光黒子):紫外線が主な原因でできるシミです。当院での治療の第一選択はQスイッチルビーレーザー治療です。
▶︎炎症後色素沈着:ニキビ跡や傷、やけどの跡などが茶色く残ったものです。
▶︎肝斑:頬骨のあたりなどに左右対称に現れることが多い、難治性のシミです。
▶︎ソバカス(雀卵斑):体質的な要因や紫外線で悪化する小さな斑点状のシミです。当院での治療の第一選択はフラクショナルルビーレーザーです。
ニキビ・ニキビ跡:
▶︎活動性ニキビ:皮脂腺の働きを抑え、毛穴の詰まりを改善することで、新しいニキビができにくくなる効果が期待されます。
▶︎ニキビ跡の色素沈着:肌のターンオーバーを促進することで、ニキビ跡の色素沈着の改善を助けます。
肌質・エイジングケア:
▶︎小ジワ:真皮でのコラーゲン産生を促す作用により、継続的な使用で浅いしわの改善が期待されます。
▶︎毛穴の開き・黒ずみ:皮脂分泌の抑制やターンオーバーの正常化により、毛穴が目立ちにくくなる効果が期待されます。
▶︎肌のくすみ:古い角質が排出されやすくなることで、肌全体の透明感がアップし、くすみが改善されることが期待されます。
▶︎肌のハリ・弾力:コラーゲンの増生をサポートすることで、肌のハリ感向上が期待できます。
その他:
▶︎毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん):二の腕や太ももなどにできる、ザラザラとした肌状態の改善にも用いられることがあります。
これらの効果は、トレチノインが持つ「表皮のターンオーバー促進作用」や「真皮でのコラーゲン産生促進作用」などによるものです。
お客様がどの肌の悩みを最も改善したいかによって、治療計画や期待できる効果の程度も変わってきますので、診察時に詳しくご相談ください。
「CDトレチノイン」とは何ですか?なぜCDトレチノインを導入しているのですか?
「CDトレチノイン」とは、トレチノインをシクロデキストリン(CD)という環状の糖のカプセルに包み込んだ(包接)製剤のことです。
CDトレチノインには以下の2つの大きなメリットがあります。
◎薬剤としての安定性の向上:トレチノインは光や熱に対して不安定ですが、シクロデキストリンで包み込むことで、薬剤としての安定性が高まります。これにより、治療期間中、製品の品質を保つことができます。
◎刺激症状の緩和:トレチノイン治療では、赤みや皮むけといった刺激症状(レチノイド反応)が起こりやすいことが知られています。CDトレチノインは、この刺激性を緩和することができ、治療の継続しやすさにつなげることができます。
トレチノイン治療の課題であった「不安定さ」と「刺激性」の両方が改善されているため、当院ではCDトレチノインを推奨しています。
CDトレチノインはどのように塗ればよいですか?1回の使用量の目安はありますか?
CDトレチノインの効果を最大限に引き出し、副作用を最小限に抑えるためには、正しい塗布方法が大切です。基本的な使い方と量の目安は以下の通りですが、医師の指示に従ってください。
準備:
○まず、低刺激性の洗顔料で優しく洗顔し、タオルで軽く押さえるように水分を拭き取ります。
○トレチノインは最初にお使い下さい。
*肌が濡れた状態で塗布すると、刺激が強く出ることがあります(“hydration-enhanced permeation”)。一般的には、洗顔後10分ほど待つことが推奨されます。
塗布量:
○多くの臨床試験では「えんどう豆大(pea-size)=約0.25 g」を全顔に薄く塗布するプロトコルを採用しています。
○シミなど局所的に使用する場合は、綿棒の先にごく少量をとり、病変部からはみ出さないように薄く塗布します。
○「たくさん塗れば早く効く」というわけではありません。むしろ、量を多くすると刺激が強く出やすくなるため、医師に指示された量を守ってください。
塗布方法:
○清潔な指先または綿棒で、薄く均一に伸ばします。強く擦り込まず、優しく塗布してください。
CDトレチノインを塗り忘れた場合はどうすればよいですか?
CDトレチノインを塗り忘れた場合の対処法は、以下の通りです。
◉いつもの塗る時間を少しすぎてしまった場合・・: 気づいた時点で、通常通りに塗布してください。
◉いつもの塗る時間を大幅にすぎてしまい、次に塗布する時間が近い場合: 忘れた分はとばして、次回の塗布時間になったら通常通りの量を塗布してください。
避けるべきこと:
塗り忘れたからといって、1度に2回分を塗ったり、通常より多い量を塗ったりしないでください。過剰な塗布は、副作用(赤み、皮むけ、ヒリヒリ感など)を強く引き起こす原因となります。
トレチノイン治療は、毎日規則正しく継続することが理想的ですが、万が一塗り忘れても焦る必要はありません。上記の指示を守り、次の塗布から通常のスケジュールに戻してください。もし、頻繁に塗り忘れてしまう場合や、どう対処すべきか不安な場合は、医師にご相談ください。
CDトレチノイン治療中、普段使っている化粧水や保湿剤、メイクアップ製品は使用できますか?
トレチノイン治療中は、とくに使いはじめの頃は肌が通常よりも敏感になりやすいため、スキンケア製品やメイクアップ製品の選び方や使い方に注意が必要です。
保湿剤: トレチノイン治療中は皮膚が乾燥しやすくなるため、保湿ケアを徹底することが非常に重要です 5。刺激の少ない、無香料、ノンコメドジェニックな保湿剤を使用してください。
化粧水: 使用する場合は、アルコールフリーで刺激の少ない、保湿成分が含まれたものを選びましょう。
洗顔料: マイルドで、肌への刺激が少ない洗顔料を選び、よく泡立てて優しく洗顔してください。ゴシゴシこすったり、スクラブ入りの洗顔料を使用したりするのは避けましょう。
メイクアップ製品: 基本的には使用できます。日中は、トレチノインと保湿剤、日焼け止めを塗布した上から、通常通りメイクをしていただけます。ただし、肌のコンディションが不安定な場合は、なるべく肌への負担が少ない製品を選ぶとよいでしょう。
注意が必要な製品: 高濃度のビタミンC、AHA(フルーツ酸)、BHA(サリチル酸)、レチノール配合製品など、他にピーリング作用のあるものや刺激の強い成分が含まれるスキンケア製品の併用は、肌への負担が増大する可能性があるため、医師に相談なく使用するのは避けてください。
CDトレチノインの刺激反応(副作用)にはどのようなものがありますか?これらはいつ頃から現れますか?
CDトレチノイン治療中には、薬の作用メカニズムに関連して、いくつかの刺激反応(副作用)が現れることがあります。当院でおすすめしているCDトレチノインは、従来のトレチノインに比べて刺激が緩和されるよう工夫されていますが、それでも以下のような症状が見られる場合があります。これらは「レチノイド反応」や「A反応」とも呼ばれます。
一般的な刺激反応:
赤み(紅斑):塗布部位が赤くなることがあります。
皮むけ(落屑):古い角質が剥がれ落ち、皮膚がポロポロとむけることがあります。
乾燥:皮膚がカサカサと乾燥しやすくなります。
ヒリヒリ感・灼熱感:塗布時にピリピリとした刺激感や、熱っぽさを感じることがあります。
かゆみ:皮膚が敏感になり、かゆみが出ることがあります。
皮膚の過敏性の亢進:普段使っている化粧品がしみたり、わずかな刺激にも敏感に反応したりすることがあります。
出現時期: これらの症状は、一般的にCDトレチノインの使用を開始してから数日~1週間程度で現れ始めます。最初の1~2週間が最も反応が出やすい時期とされていま。
これらの反応は、ほとんどは肌がトレチノインに慣れていく過程で起こる一時的なものです。しかし、症状の程度には個人差があり、CDトレチノインの刺激緩和効果をもってしても、強く感じる方もいらっしゃいます。ご不安な点や症状が強い場合は、自己判断せず、必ず医師にご相談ください。
治療初期にニキビや肌の状態が悪化したように見えることはありますか?
はい、特にニキビ治療の場合、CDトレチノイン治療を開始して間もない時期(例えば、最初の1~2週間程度)に、一時的にニキビが増えたり、肌の状態が悪化したように感じることがあります。
これはトレチノインの作用によって皮膚のターンオーバーが急激に促進されることで、皮膚の下に潜んでいたニキビの元(マイクロコメド)が一斉に表面化するために起こると説明されたりしますが、なにより刺激反応が生じて肌の状態が不安定になるためでもあります。
こうした状態は、通常は一時的なもので、治療を継続することで徐々に落ち着き、その後、改善効果が現れてきます。多くの場合、この期間を乗り越えると、ニキビの新生が抑えられ、肌の状態が向上していきます。
しかし、この時期はご不安に感じられるかもしれません。もし症状が著しく悪化する場合や、強い炎症、痛みを伴う場合は、他の原因や副作用の可能性も考慮する必要があるため、自己判断で治療を中断したりせず、医師にご相談ください。
皮膚の乾燥や刺激感を和らげるにはどうすればよいですか?
CDトレチノイン治療中の皮膚の乾燥や刺激感は、多くの方が経験する症状ですが、適切なケアで和らげることが可能です。以下の方法を試してみてください。
徹底した保湿: これが最も重要です。低刺激性で保湿力の高い保湿剤(クリームやワセリンなど)を、1日に何度もこまめに塗布してください。特に洗顔後やトレチノイン塗布後、乾燥を感じた時にはすぐに保湿しましょう。
優しい洗顔: 洗顔料は刺激の少ないものを選び、よく泡立てて、肌をこすらず優しく洗います。熱いお湯は乾燥を助長するため、ぬるま湯を使用しましょう。
使用頻度や量の一時的な調整: 乾燥や刺激感が強い場合は、自己判断せず医師に相談の上、CDトレチノインの塗布頻度を一時的に減らす(例:毎晩から1日おきに)か、1回の使用量をさらに少なくするなどの調整を行うことがあります。
塗布方法の見直し: 適切な量、とくに多く塗布していないか確認しましょう。ごく薄く、均一に塗布することがポイントです。
刺激となるものの回避: アルコール含有の化粧水、スクラブ入りの洗顔料、ピーリング効果のある他のスキンケア製品の使用は、症状が悪化する可能性があるため控えましょう。
これらのセルフケアと医師による適切な指導を組み合わせることで、治療中の不快感を最小限に抑え、治療を継続しやすくなります。
刺激反応(レチノイド反応)はどのくらいの期間続きますか? いつ頃おさまりますか?
トレチノイン療法に伴う刺激反応(赤み、皮むけ、乾燥、ヒリヒリ感など)の期間や程度には個人差がありますが、一般的な経過は以下の通りです。
初期反応期(治療開始~数週間): 治療を開始して数日後から、赤みや皮むけといった反応が出始め、通常は数週間程度続きます。特に最初の1~2週間は、症状を顕著に感じるかもしれません。
「耐性」獲得期(数週間~1ヶ月程度以降): 多くの場合、治療を継続していくうちに肌が徐々にトレチノインに慣れてきて(耐性ができて)、赤みや皮むけ、ヒリヒリ感といった初期の強い反応は次第に落ち着いてきます。
乾燥感: 赤みや皮むけが落ち着いた後も、ある程度の乾燥感は治療期間中を通じて続くことがあります。保湿ケアは継続して行うことが重要です。
ただし、これらはあくまで一般的な目安です。肌質や塗布量、頻度、季節などによっても経過は異なります。CDトレチノインは刺激が緩和されているとはいえ、もし副作用が非常に強い、あるいは長期間改善が見られない場合は、何か他の問題が隠れている可能性も考えられます。そのような場合は、自己判断せずに必ず医師にご相談ください。医師が肌の状態を確認し、適切なアドバイスや治療計画の調整を行います。
刺激反応が強く出た場合や、なかなか改善しない場合はどうすればよいですか?
CDトレチノイン治療中に刺激反応(赤み、皮むけ、ヒリヒリ感、かゆみなど)が予想以上に強く出たり、セルフケアをしてもなかなか改善しなかったりする場合は、無理に我慢したり自己判断で対処したりせず、医師にご相談下さい。
以下のような対応を検討します。
CDトレチノインの一時的な使用中止: 症状が非常に強い場合は、まずトレチノインの使用を数日間~1週間程度お休みし、肌を休ませることがあります。
使用頻度や塗布量の調整: 症状が落ち着いた後、再開する際には、使用頻度を減らす(例:毎晩→1日おき、週2回など)、または1回の塗布量をさらに少なくする、といった調整を行います。
塗布方法の再指導: 正しい塗布方法が守られているか(薄く塗れているか、刺激の強い部位を避けているかなど)を再確認し、必要であれば再度指導します。
保湿ケアの強化: より保湿力の高い製品への変更や、塗布回数を増やすなど、保湿ケアの徹底を再度指導します。
スキンケア製品の見直し: 現在使用している他のスキンケア製品(洗顔料、化粧水、日焼け止めなど)が刺激の原因になっていないかを確認し、必要であればより低刺激な製品への変更を提案します。
トレチノインから他のレチノイド製剤への変更の検討:より刺激性の弱いレチノイド製剤への変更を検討することもあります。
大切なのは、お客様が安心して長く治療を続けられることです。医師はお客様の状態に合わせて最適な対処法を考えますので、遠慮なくご相談ください。
CDトレチノイン治療中、特に注意すべきことは何ですか?
CDトレチノイン治療を安全かつ効果的に行うためには、いくつかの重要な注意点があります。これらを守っていただくことが、良好な結果を得るために不可欠です。
妊娠・授乳中の使用禁止:妊娠中、妊娠の可能性がある方、授乳中の方はCDトレチノインを使用できません。胎児への影響が懸念されるため、厳守してください。
徹底した紫外線対策:治療中の肌は紫外線の影響を非常に受けやすくなっています。日焼け止め(SPF30以上、PA+++以上推奨)を毎日の使用し、帽子や日傘の活用も心がけてください。
十分な保湿:治療中は肌が乾燥しやすくなるため、こまめな保湿ケアが非常に重要です。
刺激物・他のピーリング剤の回避:医師の指示なく、他のピーリング作用のある薬剤や刺激の強いスキンケア製品を併用しないでください。
強い副作用が出た場合の対応:赤み、皮むけ、ヒリヒリ感などが強く出たり、長引いたりする場合は、自己判断せず速やかにクリニックにご相談ください。
医師の指示通りの使用:塗布量、回数、期間など、医師の指示を必ず守ってください。
他人への譲渡・貸与の禁止:処方されたCDトレチノインはご本人様専用です。他人に譲ったり貸したりしないでください。
なぜCDトレチノイン治療中は徹底した紫外線対策が必要なのですか?
トレチノイン治療中の皮膚は、バリア機能の変化や刺激反応によって一時的に敏感になるため、紫外線への感受性が高まる可能性があります。
そのため、治療効果を最大限に引き出し、副作用を管理し、皮膚の安全を確保するためには、日焼け止めの適切な使用を含む紫外線対策が重要です。
CDトレチノイン治療中は、天候や季節に関わらず、毎日欠かさずに紫外線対策を行って下さい。具体的には、以下のような対策を推奨します。
日焼け止めの使用:SPF30以上、PA+++以上の広範囲の紫外線をブロックできる日焼け止めを使用して下さい。2~3時間おきに塗り直すのが理想です。
物理的な遮光:帽子(つばの広いもの)、日傘、サングラスなどを活用し、直接日光を浴びるのを避けて下さい。
外出時間の工夫:紫外線の強い時間帯(午前10時~午後2時頃)の長時間の外出はなるべく避けるようにしましょう。
日焼けサロンの禁止:日焼けサロンや人工的な紫外線照射機器の使用は絶対に避けて下さい。
紫外線対策を怠ると、治療効果が得られないばかりか、肌トラブルを招くことになりかねません。治療を成功させるための最も重要な柱の一つとして、紫外線対策の徹底をお願いします。
CDトレチノインと併用してはいけない薬剤やサプリメントはありますか?
CDトレチノイン(外用薬)と他の薬剤やサプリメントを併用する際には、相互作用や副作用のリスクを考慮する必要があります。自己判断での併用は避け、医師にご相談ください。特に注意が必要なものは以下の通りです。
他のレチノイド(ビタミンA誘導体)外用薬: アダパレン、タザロテン、市販のレチノール高配合製品など、他のレチノイド外用薬との同時併用は、作用が重複し、皮膚への刺激(赤み、皮むけ、乾燥など)が過度に強まる可能性があるため、原則として避けるべきです。医師の特別な指示がない限り、併用しないでください。
ビタミンA含有サプリメント: トレチノインはビタミンAの誘導体です。高用量のビタミンAサプリメントを内服している場合、体内のビタミンA濃度が過剰になる可能性が理論上考えられます(特に内服のトレチノインでは注意喚起されています)。サプリメントで高用量のビタミンAサプリメントをご利用の場合は、医師に申し出てください。
光線過敏症を引き起こす可能性のある薬剤: 一部の利尿薬、抗生物質、抗不整脈薬などの中には、光線過敏症(日光に対する感受性を高める作用)の副作用を持つものがあります。CDトレチノイン治療中も皮膚は光線過敏性が高まっているため、これらの薬剤を併用すると、さらに日焼けしやすくなったり、光線皮膚炎のリスクが高まったりする可能性があります。服用中の薬剤があれば、医師にお伝えください。
テトラサイクリン系抗生物質(内服薬): 内服のイソトレチノインでは、テトラサイクリン系抗生物質(ミノサイクリン、ビブラマイシンなど)との併用は禁忌とされています。これは頭蓋内圧亢進のリスクがあるためです。外用CDトレチノインの全身吸収はごく微量と考えられますが、念のため、これらの抗生物質を服用中または服用予定の場合は医師にご相談下さい。
刺激の強い外用剤やスキンケア製品: 硫黄製剤、サリチル酸、アルコールを多く含む化粧品、強力なピーリング剤(AHA、BHA高配合など)、スクラブ洗顔料などは、CDトレチノインによる皮膚への刺激を増強させる可能性があるため、併用には注意が必要です。必ず医師にお伝え下さい。
安全な治療のためには、現在使用中および新たに使用を考えている医薬品(処方薬、市販薬)、サプリメントについて、診察時に医師に正確に伝えることが必要です。
CDトレチノイン治療中に、レーザー治療やケミカルピーリング、脱毛などの美容施術を受けても大丈夫ですか?
必ず事前に医師に申告して相談を:
CDトレチノイン治療中に他の美容施術を検討する場合は、必ず事前に担当医にご相談して、指示に従って下さい。施術の種類や肌の状態によって、一時的なCDトレチノインの使用の中止が必要と判断されることもあります。
CDトレチノインはどのような人が使用できない、あるいは特に注意が必要ですか?
CDトレチノインは効果的な治療薬ですが、すべての方に適しているわけではありません。以下に該当する方は使用できない、あるいは使用に際して特に慎重な判断と医師による厳重な管理が必要です。
【使用できない方(禁忌)】
⚫️妊娠中の方、妊娠の可能性がある方、妊娠を希望されている方: トレチノイン(ビタミンA誘導体)には催奇形性(胎児に奇形を引き起こす可能性)のリスクがあります。ごく微量でも経皮吸収される可能性を考慮し、これらの期間の使用は絶対に避けてください。
⚫️授乳中の方: 母乳への移行については明確にわかっていませんが、安全性が確立されていないため、使用しないことが望ましいです。やむを得ず使用する場合は授乳を中止する必要があります。
⚫️本剤の成分に対し過敏症(アレルギー)の既往歴のある方: 過去にトレチノインや製剤に含まれる他の成分でアレルギー反応を起こしたことがある方は使用できません。
【特に注意が必要な方(慎重投与)】
●アトピー性皮膚炎や湿疹など、炎症性の皮膚疾患が治療部位にある方: 症状が悪化する可能性があります。活動性の炎症が治まってから、医師の慎重な判断のもとで使用を検討します。
●極度に敏感肌の方: CDトレチノインは刺激が緩和されていますが、それでも反応が強く出る可能性があります。ごく少量から、ごく低い頻度で開始するなど、特に慎重な導入が必要です。
●最近日焼けをした方、またはこれから日焼けをする予定のある方: 日焼けした肌は炎症を起こしており、バリア機能も低下しているため、トレチノインの刺激を強く感じやすくなります。日焼けが落ち着いてから使用を開始し、治療中も徹底した紫外線対策が必要です。
●他の薬剤(特に光線過敏性を高める薬剤など)を使用中の方: 相互作用により副作用が強く出ることがあります。必ず医師に申し出てください。
上記以外でも、何らかの皮膚疾患の治療中の方や、お肌に関してご心配な点がある方は、必ず診察時に医師にお伝えください。医師が患者様お一人おひとりの状態を総合的に判断し、CDトレチノイン治療の適否や、安全な使用方法についてご説明いたします。
CDトレチノインの効果は、いつ頃から実感できますか?
CDトレチノイン治療の効果を実感し始める時期は、治療対象の肌悩み、その方の肌質や状態、使用方法の遵守度などによって個人差があります。焦らずにじっくりと取り組むことが大切です。
初期の変化(数週間以内): 治療を開始して数週間で、肌のターンオーバーが促進されることにより、肌触りが滑らかになったり、ごわつきが軽減したりといった質感の変化を感じ始める方がいます。これは主に表皮レベルでの効果です。
色素沈着(シミなど)やニキビの改善(4~8週間以降): シミが薄くなってきた、ニキビが減ってきたといった変化は、多くの場合、継続的な使用から4~8週間程度(約1~2ヶ月)で感じられるようになります。
小じわや肌のハリの改善(数ヶ月以上): 小じわの改善や肌のハリ感アップといった真皮レベルでの効果は、コラーゲンの再構築に時間を要するため、より長期的な視点が必要です。一般的には3~6ヶ月以上の継続使用で、徐々に効果が現れてくると考えられています。
トレチノイン治療は、魔法のようにすぐに結果が出るものではありません。特に最初の数週間は、赤みや皮むけといった反応期があり、効果よりも副作用を強く感じるかもしれません。しかし、この期間を乗り越え、医師の指示通りに治療を継続することで、徐々に肌質の改善が期待できます。治療効果の実感には時間がかかる場合があるため、途中で諦めずに根気強く続けることが大切です。