2018.01.22更新

「がん検診なんて意味がない!」などという検診無用論を聞くことがあります。あらかじめ告白しておくと、私は自分自身は検診を受けないくせに、人には受けることを絶対に(!)勧める派です。いつもは無用論を聞き流しているのですが、今回はせっかくですので(?)、無用論を論破して乳がん検診をお勧めしたいと思います。

検診に意味があるかどうかは、検診を行うことで、その疾患による死亡率を減少させることができるかどうかで判断されます。これがまず大前提の判断基準。ただ同時にできるだけ検診の「不利益」は少ない方が望ましいという注意書きがつきます。

検診の「不利益」とは、例えば乳がん検診では要精検とされる率が高すぎる場合です。要精検とされ、いろいろ検査されて最終的に乳がんの疑いが晴れたとすると、それは喜ばしいことではありますが、精神的、肉体的負担を考えるとはじめからちゃんと診断して!と言いたくなるでしょう。またマンモグラフィでは放射線被曝が避けられないことも「不利益」のひとつに数えられます。

そうして、乳がん検診はどうかというと、まず大前提について、マンモグラフィによる乳がん検診は、40歳以上の女性の死亡率を下げる効果があることは、諸外国で行われた多くの大規模試験で証明されています。ただ、40代女性では乳腺濃度の高い(デンスブレスト)方が多く、その場合乳がんの発見率が低くなるため、「不利益」も無視できないと考えられています。

デンスブレスト問題


先頃若くして幼子を残して乳がんで他界された有名人の方がいました。彼女の場合最初に異常を指摘されたのが授乳期だったといわれていますから、年代は違えど、まさに高濃度乳房(デンスブレスト)だったわけです。

乳がん検診では、もう検診が有用か無用かという結論は出ていて、40代の高濃度乳房(デンスブレスト)対策をどうすればさらに有用性を高めることができるかが議論されています。日本で行われた大規模な臨床試験では、高濃度乳房(デンスブレスト)対策として、超音波検査が有望であることが示されています。しかしまだそれが死亡率減少につながるかまでは明らかになっていません。

米国では高濃度乳房(デンスブレスト)の検診受診者には、それを告知する方向で法整備が進んでいます。もしも乳腺外来で専門医と話す機会があれば、自分が高濃度乳房(デンスブレスト)かどうか、そして望ましい検診方法について(マンモグラフィだけでいいか、超音波検査も併用すべきか)アドバイスを求めてはいかがでしょうか。

世界的に見たとき、先進国ではすでに乳がんの死亡率は、低下傾向にあります。ところが残念ながら日本では上昇傾向に歯止めがかかっていません。その一因として指摘されているのが、乳がん検診受診率の低さです。検診率は年々上昇してはいるのですが、2016年で45%と、欧米諸国の70~80%に比べるとまだまだ低いといわざるを得ません。ブログ読者の皆様、くれぐれも乳がん検診をお忘れなきように。

(参考)
患者さんのための乳がん診療ガイドライン2016年版
日本乳癌学会編
金原出版 2016年

乳がん検診における超音波検査の意義
鈴木昭彦
医学のあゆみ
2017;261(5):363-367

 

 

自由が丘ブログバナー

 

投稿者: 美容外科・美容皮膚科 青い鳥

詳しいお問い合わせ・ご予約はこちらから